溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。

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知らないことはない。

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圭「ごちそうさまでした。」



モーニングセットを食べ終わった俺は会計をするために席を立った。

レジに行くと雪華ちゃんが立っていて・・・俺は伝票を差し出す。




雪華「500円になります。」

圭「はい。」



財布から500円玉を取り出してトレイに置いた。

雪華ちゃんはその500500円玉を取り、レジの中に入れた。

代わりにレシートをくれた。



雪華「ありがとうございました。また来てくださいね。」

圭「うん、ごちそうさま。」

雪華「あ、雄大さんにはナイショにしててね?お昼には終わるし・・・。」

圭「わかってるよ。でも2~3日は無理はしないこと。いい?」

雪華「はいっ。」




素直に答える彼女に胸を高鳴らせながら、俺はカフェから出た。

雪華ちゃんと秘密の話ができて・・・なんだか優越感に浸る。




圭「・・・へへっ。」




家に帰ろうと足を一歩進めたとき、カフェの横に知った顔を見つけた。

あれは・・・雄大さんだ。



圭「・・・へ!?」

雄大「・・・お疲れ。」

圭「『お疲れ』って・・・何してるんですか・・・?」




近くの電柱にもたれながら缶コーヒーを飲んでいた雄大さん。

チラチラとカフェを見てる。




雄大「雪華、働いてたんだろ?」

圭「えっ・・・・。」

雄大「最近、人が少ないって言ってたし・・・きっと出勤するだろうと思って見に来た。まぁ、大丈夫だと思うけど。」




そう言って缶コーヒーを口につけた。



圭(雄大さんって・・・確か連勤だったはず・・・)




消防隊は忙しいのか、常に署にいる雄大さん。

いつ休んでるのかと思うくらい動いてるのを・・・俺は知っていた。

仮眠室にいるところなんて・・・見たこともない。




圭「ゆ・・雄大さん・・・睡眠は・・・?」

雄大「うん?・・・あぁ、10分くらい寝たから大丈夫。」

圭「じゅ・・・!?」



雄大さんが立ってる場所からは・・・カフェの中が見えない。

とういうことは、カフェの中からも雄大さんの姿は見えないことになる。

つまり・・・雪華ちゃんは雄大さんが来てることを知らないままだ。




圭「・・・伝えてきましょうか?雄大さんがいること・・・。」

雄大「言わなくていいよ。出てきたら声かけるし。それより・・・・」

圭「?」





雄大さんはもたれていた電柱から体を起こした。

持っていた缶コーヒーを指3本でつまむようにして持ち・・・俺を見据えた。





雄大「雪華は俺のものだから。誰にも渡さない。」

圭「!?」

雄大「誰にも・・・な。」




じっと見られ、俺は雄大さんと視線を合わせることができなかった。


圭「し・・・失礼します・・・。」


その言葉だけをなんとか言い、俺は足を進めた。

通り過ぎた雄大さんを、振り返って見たかったけど・・・そんな勇気がなかった。



圭(怖えぇぇ・・・・。)




目に焼き付いて離れない雄大さんの顔。

ただでさえ頭がキレる雄大さんに言われた言葉が頭の中を巡る。



圭(なんでバレた・・・?気になったのなんて昨日とか今日とかじゃん・・・!)


いろんな意味で胸がどきどきする中、俺は家に向かって真っすぐ・・・真っ直ぐ帰った。







ーーーーー





雪華side・・・





雪華「お疲れさまでしたー。お先でーす。」





昼、1時まで勤務の私は仕事が終わり、着替えを済ませて店の裏口から出た。


鞄からケータイを取り出してメールや着信の確認をする。

夜勤明けの雄大さんはもう自分の家で寝てる頃だ。




雪華「夜勤明けだから・・・夕方くらいまで寝てるよね。17時くらいにご飯誘おっかな。」



昨日、迷惑をかけたお詫びを兼ねて・・・夕食に誘おうと思っていた私は頭の中でメニューを考えた。

和食にしようか中華にしようか頭を悩ませ始めた時・・・目の前に雄大さんの姿を見つけた。




雪華「・・・え!?」

雄大「お疲れ。送ってくよ。」




そう言って私の鞄をひょいと取り上げた雄大さん。

空いてる手で・・・私の手を握った。




雪華「雄大さん!?なんでここに!?」

雄大「うん?・・・働いてると思ったから・・・かな?」

雪華「まさか・・・ずっといたの!?」




私のシフトは基本的に雄大さんに伝えてある。

もし・・・もし、何か災害が起きた時に私の居場所が推測できるようにって・・・シフトが出たら全部伝えてあった。

私自身、仕事と家の往復以外に出歩くことはあんまりないし、あっても買い物かミヤとご飯くらいなものだから。




雄大「今日13時上がりだろ?『休む』とか言ってんの聞いてなかったから出勤したと思った。・・・ほら、帰るよ。」




にこっと笑いながら私の手を引いて歩き始めた。



雪華「雄大さん、ちゃんと寝た?」




歩く足取りはいつも通り。

でもここ連日仕事だったのを聞いていた。

ちゃんと休めてるのか・・・心配になる。




雄大「仮眠取ったから大丈夫。」

雪華「・・・どれくらい?」

雄大「10分・・・は寝たと思うけど?」

雪華「じゅ・・・!?それは寝てないっていうんだよ!?」

雄大「平気平気。いつも2分とかだし。」

雪華「に・・・!?」




呆れてしまうくらい仮眠を取ってない雄大さん。

このまま睡眠不足を重ねてしまうと・・・いつか倒れそうで怖くなってくる。




雪華「・・・今日は帰るの?家に。」

雄大「うん。久しぶりに明日丸々休みになったから・・・まとめて寝るよ。だから大丈夫。」

雪華「明日休みなんだ・・・。」




きっと雄大さんは私のケガを気にしてカフェまで来たに違いない。

せっかくの休める時間を・・・私を待つために使っていた。

その事を申し訳なく思った。



雪華「・・・わかった。今日、うちに泊まって行って?」

雄大「それは・・・また大胆なお誘いだな。」

雪華「ちゃんと休めるように・・・ご飯作るから!」

雄大「・・・え、そっち?」





雄大さんは別のことを考えてたようだけど、私の頭の中はメニューでいっぱいだった。

今、冷蔵庫にあるものでお昼ご飯を作って雄大さんを休ませないといけない。



雪華「チャーハン・・・じゃお腹いっぱいにならない?でも他にできるのはパスタと・・・うーん・・・。」

雄大「お、パスタ食べたい。」

雪華「え?でも『チキンのトマトクリームパスタ』くらいしかできないよ?卵無いし・・・。」

雄大「全然大丈夫っ。」

雪華「うーん・・・わかった。」





雄大さんはなぜか足取りが機嫌よくなった。

別にさっきまで悪かったわけじゃないけど・・・なんだか足取りが軽そうだ。



雪華(まぁ・・・雄大さんが食べたいならいいか。)




私は雄大さんの手をきゅっと握り、一緒に歩いてアパートに戻った。






















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