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バーベキュー。
しおりを挟む雪華「んーっ・・!んーっ・・!!」
腕を倒そうと力を込める。
でも雄大さんの手はびくとも動かない。
雪華「んぁーっ・・!」
雄大「・・・。」
雪華「動かない・・・。」
雄大「いや、当たり前だろ?これで俺が負けたらすげぇショックだわ・・・。」
私は笑いながら組んでいた手を解いた。
置いていたお箸を手に取って、ご飯の続きを食べ始める。
雪華「あははっ、運動はね、殆どしたことないよ?基礎代謝?がすごいらしくて運動しなくても消費されるんだってー。」
雄大「あ、なるほど・・・。じゃあ今度のバーベキュー来る?」
雪華「『バーベキュー』?」
雄大さんもお箸を持って、ご飯の続きを食べ始めた。
食べながら・・・バーベキューの話をする。
雄大「今度さ、仕事終わりに署の裏にある河原でバーベキューするんだよ。」
雪華「へぇーっ。」
雄大「ちょうどこの時期に新入の署員の訓練が終わって配属されてくるんだけど、歓迎会を兼ねてのバーベキュー。雪華もどう?」
雪華「『どう?』って・・・私、完全に部外者だけど行っていいの?」
単なる一署員の彼女でしかない私。
消防署で働いてるわけでもない。
雄大「彼女もちはみんな呼ぶよ?仕事は終わったあとだし。雪華の予定が空いてたら来てよ。俺も彼女自慢する。」
雪華「自慢・・・できる彼女じゃないけど・・・。」
私は鞄を漁って手帳を取り出した。
パラパラとページをめくって予定を確認する。
雪華「えーと・・・いつ?」
雄大「再来週の月曜。」
雪華「再来週の・・・月曜はー・・・」
パラっとページをめくるとそこには『店休日』の文字があった。
店長に、3連休になることを言われていた日だ。
雪華「あ・・私、3連休の初日だ。」
雄大「連休?珍しいな。」
雪華「お店の冷蔵庫を新しくするのね?それでちょっと工事が入ることになって・・・3連休なの。」
だいぶ古くなってきていたお店の冷蔵庫。
店長が少し自腹を切って、新しい冷蔵庫を買ったのだ。
雄大「へぇー・・・。予定は?」
雪華「あるわけないでしょ?雄大さんとのお出かけしかないんだもん。」
ショッピングや買い物に一人で行くことはあっても、自分一人で丸々一日使った予定何て入ることはない。
雄大さんと一緒じゃなきゃ・・・楽しくもない。
雄大「じゃあバーベキュー来てくれる?」
雪華「ふふ、行かせてもらうね?」
雄大さんと付き合い始めて半年近くになろうとしてる。
ほとんど毎日顔を合わせてるけど・・・まだまだ足りない。
好きすぎて・・・会いたくてたまらない。
雪華「何持って行ったらいい?バーベキューなら道具とか?具材とか?」
雄大「あぁ、こっちで用意するから雪華はお客さんで来てよ。火を消すのも得意だけど、肉を焼くのも得意だから(笑)」
雪華「!・・・あははっ。じゃあ楽しみにしてるね。」
連休の初日から雄大さんと一緒にいれるという幸せ過ぎる予定が入った。
このバーベキューが雄大さんを怒らせる事態に発展するとも知らずに・・・私はその日を楽しみにすることになった。
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