上 下
14 / 61

学校生活2。

しおりを挟む
ライムに聞くと、ライムは頷いた。



「うん。お金もかかるから5歳くらいから家の手伝いをして家計を助けるんだ。それで10歳くらいになったら学校に入れるようになる。」

「待って・・・ジニアは12歳で卒業したって言ってたけど!?」



入って2年で卒業するとかありえないスピードだ。

前の世界では6年、小学校に通ってから3年間、中学校に通う。そして進学する子たちはその後高校や大学に行って・・・みんな16年くらい学生をするものだった。



「ジニア!?お前、ジニアと知り合いなのか!?」



セダムは私の両頬をがしっとつかまえて私に顔を近づけた。


(待って・・!この子すっごいイケメン・・・!!)


イケメンは幼いときもイケメンだ。

アイドルの昔の写真特集とかで見てもやっぱりイケメンだった。



「し・・知り合いっていうか友達だけど・・・」



そう言うとセダムはつかんでいた手をぱっと離した。



「ジニアは入学したときから賢かったんだよ。ほんとは1年で卒業できたけど念のためにもう1年勉強してから卒業試験を受けた。で、満点に近い点数取って卒業したんだよ。」

「もしかして卒業試験って・・・いつでも受けれるの?」



私の疑問にライムが横から答える。



「いつでも受けれるよ?ただし年に一度だけだけど。」

「そうなんだ・・・・」

「入学はどの年齢でもできるけど、基本的には12歳まで。同じ時期に入学した人は年が違っても同学年になる。」

「へぇー・・・。」




ライムは『学校』の仕組みを詳しく教えてくれた。

基本的には入学した時のメンバーでずっと勉強していくこと。

最高学年は6年生で、そこで卒業試験をクリアできなかった人たちはもう1年、6年生をする。

すると5年生が6年生に上がった時に一緒になり、1クラスの人数が増えるというものだった。

いつまでも卒業できない人はそのまま辞めるか、卒業できるまで学校に通う。

家計を助けるならさっさと卒業するのがいいみたいだ。




「俺はこのメンバーからは一番に卒業するからな!」



セダムが意気込んで宣言した。

それを呆れるようにして、あざ笑う声が聞こえてくる。




「はっ、計算問題でつまずくようなやつはずっと卒業できないんじゃないか?」

「そうだな、まだ文字もまともに書けないようだし?」

「10歳にもなって呆れそうだよ。」




そう言ったのは赤い髪をした3人だった。



「アイビー、あいつらは三つ子なんだよ。」

「三つ子!?」

「将来学者になりたくて入学したんだってさ。」

「学者・・・・。」



3人は賢いのか、はたまたそれをアピールしたいのか難しそうな本を広げて読み始めた。

私はライムとセダムを見ながら、恐る恐る聞いた。



「ね・・ねぇ・・二人っていくつ・・なの?」



二人は顔を見合わせて、同時に答えた。



「10歳だよ。アイビー以外はみんな10歳。」

「5歳も年上なんだ・・・・。」



喋り方や知ってる内容からして10歳とも思えなかったけど、私は歳の差を痛感していた。

身体の大きさも全然違う。



(私・・学校に来る意味あったのかな・・・。)



そんなことを思ってると、先生が教室に入ってきた。



「はい、次の授業しますよー。」



セダムは自分の席に帰っていき、ライムは引き出しから次の教科書を取り出した。

私も同じ教科書を出して授業を受けていく。



(帰ったらシャガに聞かないと・・・。)



私はこの日、夕方まで授業を受けて家に帰った。

寄り道をせずに真っ直ぐ家に帰った。





ーーーーー





「ちょっと、とうさんっ!!」




家に帰ると晩御飯の支度をしてるシャガの姿があった。

甘い匂いから今日は魚の煮つけだろう。



「おぉ、おかえり。どうだった?初めての学校は。」


お出汁の味を見ながらシャガが答える。


「聞きたいことがいっぱいあるんだけどっ!」

「ならメシんときな。さっさと着替えて来い。もうすぐできる。」

「むー・・・。」



私は部屋の奥に入り、制服から普段着に着替えた。

机を見るとちょうどシャガがご飯を並べてるところだ。


「ほら座れ。」


私は自分の椅子に座った。

机に並べられたご飯は私の予想通り、煮付けに煮物、あと卵を焼いたものだ。


「いただきます。」

「いただきます・・・。」



私はご飯の入った器を左手に持ち、右手でお箸を持った。

この世界、スプーンはあるけどフォークはない。

刺す代わりに挟んで食べる『箸』があるのだ。

その辺は前の世界とあまり変わりなくて助かってる。



「ねぇ、学校に通う子は10歳くらいが普通っていわれたんだけど?」




ご飯を口に入れず、器と箸を持ったまま聞いた。



「え!?今は10歳が入学適齢期なのか!?」



本気で驚いたのか、シャガのお箸が止まった。

私を見つめて呆然としてる。



「え・・知らなかったの?」

「俺んときは5歳が普通だったから・・・。」



どうも年代が進み、学校への入学時年齢が上がったようだった。

そのことを知らなかったシャガは、自分の経験を元に私を5歳で学校に入れたようだ。



「じゃあどうする?さっさと卒業しちまうか?」

「いや、それはそれで目立つでしょ・・・。」

「だな。」



私はお箸でご飯をすくった。

口に放り込んでもぐもぐと口を動かす。

するとシャガも同じように口に放り込んで私に言った。



「ならもういっその事飽きるまで通え。将来を考えながらでいいし。」

「えぇ!?」

「友達はできたか?」

「友達っていうか・・・話をした子はいたけど・・・」



ライムとセダムは今日の休み時間の度に話をした。

二人の住んでるとこや、大きくなったら何になるかとかの話を散々聞かされた。

それを友達と呼べるのかどうかは分からなかった。



「ならそいつらと一緒に勉強すればいい。そいつらが卒業するときに合わせて一緒に卒業したらいい。」

「うーん・・・でも私だけ5歳なんだけど・・・。」

「中身は21歳なんだからいいんじゃね?」

「え、そういう問題?」



シャガは私の卵を一つひょいと取った。

それを自分の口に放り込む。



「あっ・・!」

「社会勉強するんだろ?いろんなやつら見て来い。」


私はシャガのお皿にある卵を一つ取り、自分の口に放り込んだ。



「あっ・・!?」

「娘のおかずを取り上げるなんてどういう神経してんのよ。」



もぐもぐと口を動かしながらそう言うと、シャガはケタケタと笑った。


「ははっ、ま、楽しめ。」



シャガが私との生活を楽しんでるように、私も楽しむのがいいかもしれない。

そう考えた私はこれからの学校生活をどうするか考えた。

畑の仕事もしたいし、学校にも行きたい。



「いろいろやってみるよ。」

「あぁ。」




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた

愛丸 リナ
恋愛
 少女は綺麗過ぎた。  整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。  最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?  でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。  クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……  たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた  それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない ______________________________ ATTENTION 自己満小説満載 一話ずつ、出来上がり次第投稿 急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする 文章が変な時があります 恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定 以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました

Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。 そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。 相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。 トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。 あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。 ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。 そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが… 追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。 今更ですが、閲覧の際はご注意ください。

転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~

恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん) は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。 しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!? (もしかして、私、転生してる!!?) そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!! そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?

【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。

櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。 ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。 気付けば豪華な広間。 着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。 どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。 え?この状況って、シュール過ぎない? 戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。 現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。 そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!? 実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。 完結しました。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

処理中です...