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「おばぁちゃん・・・!」
家に着いた私は駆け入るように玄関の扉を開けて家に入った。
ベッドにいるハマルおばぁちゃんの側にいき、さっきの話をしようと側で屈む。
「あのね、おばぁちゃん・・・」
『私を探してる人がいた』と言おうとした時、おばぁちゃんの呼吸がおかしいことに気がついた。
「はぁ・・はぁ・・・・」
「おばぁちゃん・・!?どうしたの!?」
眉間にしわを寄せ、苦しそうに息をするハマルおばぁちゃん。
どうしたいいのかわからず、私はおばぁちゃんの手を握った。
「大丈夫・・大丈夫だから・・・」
何もできなく、何も知らない自分が情けなくて私はぽろぽろと涙を流した。
「おばぁちゃん・・!この世界はお医者さんはいるの・・!?」
「え・・・?」
「病院は・・!?薬は・・!?森から出て治療を受けようよ・・!」
「ステラ・・?何言ってるんだい・・?」
「おばぁちゃんが元気になるなら私、治療費くらい稼ぐから・・!入院費だって、手術するなら手術費用も稼ぐからっ・・!」
そう言いながらわぁわぁ泣くと、ハマルおばぁちゃんは私の頭をよしよしと撫で始めた。
「・・・それが『お前さんのいた世界』の『ヒール』なのかい?」
「!!・・・おばぁちゃん、知ってたの・・?」
前の世界のことはおばぁちゃんに話したことはなかった。
赤ちゃんの姿で生まれ変わったのだから、この世界に染まるつもりで話さなかったのだ。
「3000年前に現れた『金色の瞳を持つ者』は、違う世界から来たと言っていたんだよ。」
「そう・・なの・・?」
「どの世界から来たのかはわからないし、知ることもできないが・・・こっちの世界はかなり『昔』だと言っていた。だから、ステラももっと時代が進んだ世界から来たんじゃないかい?」
「・・・うん。」
私は前の世界のことをハマルおばぁちゃんに話し始めた。
「この世界は国が二つって言ってたけど、私がいた世界は200近い国があったの。小さい国から大きな国まで・・・。」
「そんなにあったのかい?」
「うん。」
国の数を始めとして広大な海があることやいろんな食べ物があること、おしゃれな服屋さんや、雑貨屋さん、それに電気で動く便利な道具があることを話した。
中にはインターネットを通じて、姿が見えない人と連絡を取ることもできることも。
「ステラはその世界に・・・帰りたいんじゃないかい?」
「え?」
「便利な世界のほうが・・・いいんじゃないかい?」
そう聞かれ、私は前の世界ではもう自分自身が死んでしまってることを話した。
『夫』と呼べる人生の伴侶に殺されたことを・・・。
「そんな酷いことをされたのかい・・・それは辛かったね・・・。」
「ううん、大丈夫。きっとハマルおばぁちゃんに出会うために・・・ここに来たと思うから・・。」
施設育ちだった私は『家族』というものを知らない。
誠也さんと結婚して『家族』になれた気がしていたけど、縛られた生活の中で家政婦をしていただけだったのだ。
「ははっ、私もこんなかわいい子と一緒に過ごせれて幸せだったよ・・・。」
「『だった』って・・・そんな過去形なこと言わないでよ・・・」
そう言うとハマルおばぁちゃんは大きく咳込んだ。
「ごほっ・・!ごほっごほっ!!」
「!!・・・お水汲んでくるから待ってて!」
そう言って私はテーブルにあったコップを手に取ろうと手を伸ばした。
その時・・・
「ステラ・・そこの入れ物を・・・」
ハマルおばぁちゃんは震える手でベッドの足元にある棚を指さした。
そこには小さい小瓶がある。
「ガラスの入れ物?珍しい・・。」
「取っておくれ・・・。」
「あ、うん・・・。」
言われた通り、私は入れ物を取った。
小さい小瓶は私の手のひらにすっぽり収まるほどの大きさだ。
「これなぁに?」
透明の液体がほんの少し入ってる小瓶をおばぁちゃんに手渡すと、おばぁちゃんはその小瓶を私に握り返させてきた。
「これはお前の瞳の色を変えるものだ。なかなか材料が手に入らなくて・・・少ししか作れなかったけど誰かに、見つかりそうになったら使いなさい。」
「え?瞳の色を・・変える・・?」
「あぁ・・目に少し入れてごらん・・?」
私は小瓶を少し見つめてから蓋を開けた。
目薬をさすように一滴・・・右目に落とした。
「・・・どう?変わった?」
変わったのかどうかわからずにハマルおばぁちゃんに近づいて見せてみた。
違いがわかるように両目を見せると、おばぁちゃんは右目と左目を見比べ、にこっと笑ってくれた。
「うんうん、きれいな青色になってるよ。」
「ほんと?」
「あぁ、左目も入れてごらん?」
「うん。」
言われた通り左目に入れ、ぱちぱちと瞬きを繰り返してからおばぁちゃんに見せる。
すると満足げに頷いてくれたのだ。
「うんうん・・・ごほっ・・!ごほっごほっ・・!!」
「!!・・・お水・・・!」
私はテーブルに置いてあった木のコップとピッチャーを取り、外に出た。
家から少し離れたところにあるとても小さな川に屈み、ピッチャーを入れて水をすくう。
「街に行ったら・・・おばぁちゃんは治るのかな・・。」
弱っていくおばぁちゃんを見るのは辛いことこの上ない。
また元気になってくれるなら、森から出るのも全然アリな話だと思っていた。
「もう一度聞いてみよう。」
そう思って私は汲んだ水を持って立ち上がった。
家に戻ろうと思って踵を返したとき、少し離れたとこから4人の男の人が現れた。
「こんにちは、ちょっとお話いいかな?」
「おばぁちゃん・・・!」
家に着いた私は駆け入るように玄関の扉を開けて家に入った。
ベッドにいるハマルおばぁちゃんの側にいき、さっきの話をしようと側で屈む。
「あのね、おばぁちゃん・・・」
『私を探してる人がいた』と言おうとした時、おばぁちゃんの呼吸がおかしいことに気がついた。
「はぁ・・はぁ・・・・」
「おばぁちゃん・・!?どうしたの!?」
眉間にしわを寄せ、苦しそうに息をするハマルおばぁちゃん。
どうしたいいのかわからず、私はおばぁちゃんの手を握った。
「大丈夫・・大丈夫だから・・・」
何もできなく、何も知らない自分が情けなくて私はぽろぽろと涙を流した。
「おばぁちゃん・・!この世界はお医者さんはいるの・・!?」
「え・・・?」
「病院は・・!?薬は・・!?森から出て治療を受けようよ・・!」
「ステラ・・?何言ってるんだい・・?」
「おばぁちゃんが元気になるなら私、治療費くらい稼ぐから・・!入院費だって、手術するなら手術費用も稼ぐからっ・・!」
そう言いながらわぁわぁ泣くと、ハマルおばぁちゃんは私の頭をよしよしと撫で始めた。
「・・・それが『お前さんのいた世界』の『ヒール』なのかい?」
「!!・・・おばぁちゃん、知ってたの・・?」
前の世界のことはおばぁちゃんに話したことはなかった。
赤ちゃんの姿で生まれ変わったのだから、この世界に染まるつもりで話さなかったのだ。
「3000年前に現れた『金色の瞳を持つ者』は、違う世界から来たと言っていたんだよ。」
「そう・・なの・・?」
「どの世界から来たのかはわからないし、知ることもできないが・・・こっちの世界はかなり『昔』だと言っていた。だから、ステラももっと時代が進んだ世界から来たんじゃないかい?」
「・・・うん。」
私は前の世界のことをハマルおばぁちゃんに話し始めた。
「この世界は国が二つって言ってたけど、私がいた世界は200近い国があったの。小さい国から大きな国まで・・・。」
「そんなにあったのかい?」
「うん。」
国の数を始めとして広大な海があることやいろんな食べ物があること、おしゃれな服屋さんや、雑貨屋さん、それに電気で動く便利な道具があることを話した。
中にはインターネットを通じて、姿が見えない人と連絡を取ることもできることも。
「ステラはその世界に・・・帰りたいんじゃないかい?」
「え?」
「便利な世界のほうが・・・いいんじゃないかい?」
そう聞かれ、私は前の世界ではもう自分自身が死んでしまってることを話した。
『夫』と呼べる人生の伴侶に殺されたことを・・・。
「そんな酷いことをされたのかい・・・それは辛かったね・・・。」
「ううん、大丈夫。きっとハマルおばぁちゃんに出会うために・・・ここに来たと思うから・・。」
施設育ちだった私は『家族』というものを知らない。
誠也さんと結婚して『家族』になれた気がしていたけど、縛られた生活の中で家政婦をしていただけだったのだ。
「ははっ、私もこんなかわいい子と一緒に過ごせれて幸せだったよ・・・。」
「『だった』って・・・そんな過去形なこと言わないでよ・・・」
そう言うとハマルおばぁちゃんは大きく咳込んだ。
「ごほっ・・!ごほっごほっ!!」
「!!・・・お水汲んでくるから待ってて!」
そう言って私はテーブルにあったコップを手に取ろうと手を伸ばした。
その時・・・
「ステラ・・そこの入れ物を・・・」
ハマルおばぁちゃんは震える手でベッドの足元にある棚を指さした。
そこには小さい小瓶がある。
「ガラスの入れ物?珍しい・・。」
「取っておくれ・・・。」
「あ、うん・・・。」
言われた通り、私は入れ物を取った。
小さい小瓶は私の手のひらにすっぽり収まるほどの大きさだ。
「これなぁに?」
透明の液体がほんの少し入ってる小瓶をおばぁちゃんに手渡すと、おばぁちゃんはその小瓶を私に握り返させてきた。
「これはお前の瞳の色を変えるものだ。なかなか材料が手に入らなくて・・・少ししか作れなかったけど誰かに、見つかりそうになったら使いなさい。」
「え?瞳の色を・・変える・・?」
「あぁ・・目に少し入れてごらん・・?」
私は小瓶を少し見つめてから蓋を開けた。
目薬をさすように一滴・・・右目に落とした。
「・・・どう?変わった?」
変わったのかどうかわからずにハマルおばぁちゃんに近づいて見せてみた。
違いがわかるように両目を見せると、おばぁちゃんは右目と左目を見比べ、にこっと笑ってくれた。
「うんうん、きれいな青色になってるよ。」
「ほんと?」
「あぁ、左目も入れてごらん?」
「うん。」
言われた通り左目に入れ、ぱちぱちと瞬きを繰り返してからおばぁちゃんに見せる。
すると満足げに頷いてくれたのだ。
「うんうん・・・ごほっ・・!ごほっごほっ・・!!」
「!!・・・お水・・・!」
私はテーブルに置いてあった木のコップとピッチャーを取り、外に出た。
家から少し離れたところにあるとても小さな川に屈み、ピッチャーを入れて水をすくう。
「街に行ったら・・・おばぁちゃんは治るのかな・・。」
弱っていくおばぁちゃんを見るのは辛いことこの上ない。
また元気になってくれるなら、森から出るのも全然アリな話だと思っていた。
「もう一度聞いてみよう。」
そう思って私は汲んだ水を持って立ち上がった。
家に戻ろうと思って踵を返したとき、少し離れたとこから4人の男の人が現れた。
「こんにちは、ちょっとお話いいかな?」
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