33 / 67
守らなかったいいつけ。
しおりを挟む
恭吾お兄ちゃんは私を抱え上げた。
鈴「きゃあっ!?」
恭吾「ほら、しっかり抱きついてないと落ちるぞー。」
鈴「!?」
くるっと回され姫抱きに抱えられた。
そのままソファーに座って私を離さない恭吾お兄ちゃん。
鈴「も・・・離して?」
恭吾「嫌だ。」
ぎゅーっと私を抱きしめたままだ。
鈴「お兄ちゃんっ?」
恭吾「・・・翔平、聴診器。」
翔平「---!取ってくる。」
鈴「?」
翔平お兄ちゃんが取ってきた聴診器を受け取り、私の服の下から滑り込ませてきた恭吾お兄ちゃん。
鈴「お兄ちゃん・・?」
恭吾「鈴、しー・・。」
鈴「・・・・・・。」
しばらく無言の時間が流れたあと、お兄ちゃんは聴診器を取り外した。
恭吾「最近ちゃんと寝てるか?」
鈴「え?」
恭吾「夜、何時に寝てる?」
おもむろに始まった問診。
鈴「えっと・・1時?」
翔平「1時って・・・。」
恭吾「疲れが溜まると心臓に負担がかかる。このままじゃ倒れるぞ。」
翔平「明日は1日家にいること。わかった?」
鈴(明日は最後の仕上げなのに・・・!)
鈴「私、元気だよ?ちょっとだけ出掛けた・・・・」
恭吾「ダメだ。父さんから検査の話も聞いてるだろ?」
鈴「でも・・・・。」
恭吾「薬のおかげで気づいてないだけだ。心臓はだいぶ疲れてる。明日は家から出るなよ?」
鈴「・・・・・・はい。」
そのあと、翔平お兄ちゃんも聴診器で私の胸の音を聞き、同じことを言った。
翔平「あー・・明日はベッドから出るなよ?」
鈴「ベッドからも!?」
翔平「俺らは仕事だし・・・なんかあったら大変だからな。」
鈴「えー・・・・。」
お兄ちゃんたちはそういったけど、私は元気だった。
寝る前まで家事をしたり、お風呂に入ったりしてたけど、なんとも無かった。
鈴(お兄ちゃんたちは、ああ言ったけど、最後の仕上げをして帰ってくるくらい大丈夫だよ。)
そう思って、私はお兄ちゃんたちがいなくなった後、出かけることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日・・・
お兄ちゃんたちに言われた通り、ベッドにいた私。
階下から叫ぶ声が聞こえてくる。
翔平「鈴ーっ。行ってくるからなーっ。」
恭吾「なんかあったらケータイ鳴らせよーっ。」
鈴「はーいっ。」
がさごそと玄関の方で音がして、ガチャンっとドアが閉まる音が聞こえた。
鈴「よっし。」
私はベッドから下りて、服を着替えた。
荷物を持って、階段を下り、玄関のドアを少しだけ開けて車庫を見た。
車は全部ない。
鈴「ダッシュで帰ろーっと。」
私は急ぎ足でおじいさんのお店に向かった。
ーーーーーーーーーーーーー
カランカラン・・・
店主「おぉ、鈴ちゃん、いらっしゃい。」
鈴「はぁ・・はぁ・・おはよ、おじいさん・・・。」
お店まで急いできたからか、息が上がっていた。
店主「昨日は驚いたよ。」
鈴「はぁ・・私もだよ・・。」
店主「大丈夫かい?顔色が・・・。」
鈴「大・・丈夫。今日で仕上げるから・・・。」
私はタイピンの入った箱を受け取り、最後の仕上げをした。
3つのタイピンを箱に入れ、包装紙をかぶせていく。
鈴「できた・・・。」
店主「うんうん。喜んでくれるといいねぇ・・・。」
鈴「私・・帰るね。お会計・・・。」
財布を取り出してお会計を済ませた。
店主「・・・ほんとに大丈夫かい?体がふらついてる・・。」
鈴「え・・・?」
お店を出ようと立ち上がった時、全身が急に重くなり、私はその場にしゃがみ込んだ。
鈴「あ・・・・・。」
店主「--っ!鈴ちゃんっ!!」
どさっと倒れた私。
おじいさんが慌てながら私の側に駆け寄ってきた。
店主「大丈夫かい!?」
鈴「大丈夫・・・。」
私はゆっくり立ち上がった。
家に帰るまでならなんとか大丈夫そうだ。
鈴「また・・来ますね。」
店主「う・・うん。またね。」
おじいさんに見送られ、私はお店を出た。
一歩一歩、地面をしっかり踏みながら家に向かって歩く。
鈴「お兄ちゃんの・・言った通りだった・・・。」
心臓が疲れてる。
薬のおかげ。
今日はベッドから出ない。
守らなかったから心臓が悲鳴を上げてる。
鈴「あとちょっと・・・家に着いたらちゃんと寝るから・・・お願い・・・。」
ゆっくりゆっくり歩き続け、私は無事に家に帰った。
這うようにして2階に上がり、ベッドに寝ころんだ。
鈴「はぁ・・はぁ・・おやすみ・・。」
そのまま眠りにつき、次に目が覚めたのはお兄ちゃんが帰ってきたときだった。
鈴「きゃあっ!?」
恭吾「ほら、しっかり抱きついてないと落ちるぞー。」
鈴「!?」
くるっと回され姫抱きに抱えられた。
そのままソファーに座って私を離さない恭吾お兄ちゃん。
鈴「も・・・離して?」
恭吾「嫌だ。」
ぎゅーっと私を抱きしめたままだ。
鈴「お兄ちゃんっ?」
恭吾「・・・翔平、聴診器。」
翔平「---!取ってくる。」
鈴「?」
翔平お兄ちゃんが取ってきた聴診器を受け取り、私の服の下から滑り込ませてきた恭吾お兄ちゃん。
鈴「お兄ちゃん・・?」
恭吾「鈴、しー・・。」
鈴「・・・・・・。」
しばらく無言の時間が流れたあと、お兄ちゃんは聴診器を取り外した。
恭吾「最近ちゃんと寝てるか?」
鈴「え?」
恭吾「夜、何時に寝てる?」
おもむろに始まった問診。
鈴「えっと・・1時?」
翔平「1時って・・・。」
恭吾「疲れが溜まると心臓に負担がかかる。このままじゃ倒れるぞ。」
翔平「明日は1日家にいること。わかった?」
鈴(明日は最後の仕上げなのに・・・!)
鈴「私、元気だよ?ちょっとだけ出掛けた・・・・」
恭吾「ダメだ。父さんから検査の話も聞いてるだろ?」
鈴「でも・・・・。」
恭吾「薬のおかげで気づいてないだけだ。心臓はだいぶ疲れてる。明日は家から出るなよ?」
鈴「・・・・・・はい。」
そのあと、翔平お兄ちゃんも聴診器で私の胸の音を聞き、同じことを言った。
翔平「あー・・明日はベッドから出るなよ?」
鈴「ベッドからも!?」
翔平「俺らは仕事だし・・・なんかあったら大変だからな。」
鈴「えー・・・・。」
お兄ちゃんたちはそういったけど、私は元気だった。
寝る前まで家事をしたり、お風呂に入ったりしてたけど、なんとも無かった。
鈴(お兄ちゃんたちは、ああ言ったけど、最後の仕上げをして帰ってくるくらい大丈夫だよ。)
そう思って、私はお兄ちゃんたちがいなくなった後、出かけることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
翌日・・・
お兄ちゃんたちに言われた通り、ベッドにいた私。
階下から叫ぶ声が聞こえてくる。
翔平「鈴ーっ。行ってくるからなーっ。」
恭吾「なんかあったらケータイ鳴らせよーっ。」
鈴「はーいっ。」
がさごそと玄関の方で音がして、ガチャンっとドアが閉まる音が聞こえた。
鈴「よっし。」
私はベッドから下りて、服を着替えた。
荷物を持って、階段を下り、玄関のドアを少しだけ開けて車庫を見た。
車は全部ない。
鈴「ダッシュで帰ろーっと。」
私は急ぎ足でおじいさんのお店に向かった。
ーーーーーーーーーーーーー
カランカラン・・・
店主「おぉ、鈴ちゃん、いらっしゃい。」
鈴「はぁ・・はぁ・・おはよ、おじいさん・・・。」
お店まで急いできたからか、息が上がっていた。
店主「昨日は驚いたよ。」
鈴「はぁ・・私もだよ・・。」
店主「大丈夫かい?顔色が・・・。」
鈴「大・・丈夫。今日で仕上げるから・・・。」
私はタイピンの入った箱を受け取り、最後の仕上げをした。
3つのタイピンを箱に入れ、包装紙をかぶせていく。
鈴「できた・・・。」
店主「うんうん。喜んでくれるといいねぇ・・・。」
鈴「私・・帰るね。お会計・・・。」
財布を取り出してお会計を済ませた。
店主「・・・ほんとに大丈夫かい?体がふらついてる・・。」
鈴「え・・・?」
お店を出ようと立ち上がった時、全身が急に重くなり、私はその場にしゃがみ込んだ。
鈴「あ・・・・・。」
店主「--っ!鈴ちゃんっ!!」
どさっと倒れた私。
おじいさんが慌てながら私の側に駆け寄ってきた。
店主「大丈夫かい!?」
鈴「大丈夫・・・。」
私はゆっくり立ち上がった。
家に帰るまでならなんとか大丈夫そうだ。
鈴「また・・来ますね。」
店主「う・・うん。またね。」
おじいさんに見送られ、私はお店を出た。
一歩一歩、地面をしっかり踏みながら家に向かって歩く。
鈴「お兄ちゃんの・・言った通りだった・・・。」
心臓が疲れてる。
薬のおかげ。
今日はベッドから出ない。
守らなかったから心臓が悲鳴を上げてる。
鈴「あとちょっと・・・家に着いたらちゃんと寝るから・・・お願い・・・。」
ゆっくりゆっくり歩き続け、私は無事に家に帰った。
這うようにして2階に上がり、ベッドに寝ころんだ。
鈴「はぁ・・はぁ・・おやすみ・・。」
そのまま眠りにつき、次に目が覚めたのはお兄ちゃんが帰ってきたときだった。
1
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説
My Doctor
west forest
恋愛
#病気#医者#喘息#心臓病#高校生
病気系ですので、苦手な方は引き返してください。
初めて書くので読みにくい部分、誤字脱字等あると思いますが、ささやかな目で見ていただけると嬉しいです!
主人公:篠崎 奈々 (しのざき なな)
妹:篠崎 夏愛(しのざき なつめ)
医者:斎藤 拓海 (さいとう たくみ)
お兄ちゃんはお医者さん!?
すず。
恋愛
持病持ちの高校1年生の女の子。
如月 陽菜(きさらぎ ひな)
病院が苦手。
如月 陽菜の主治医。25歳。
高橋 翔平(たかはし しょうへい)
内科医の医師。
※このお話に出てくるものは
現実とは何の関係もございません。
※治療法、病名など
ほぼ知識なしで書かせて頂きました。
お楽しみください♪♪
シンデレラストーリーだけじゃ終われない!?
すずなり。
恋愛
身寄りのない子が暮らす養護施設。そこで暮らしていた13歳の女の子に『引き取りたい』との申し出がきた。中学生の彼女は施設で最年長であったことから自分を引き取ってくれる人はいないだろうと諦めていたのにチャンスが舞い込んできたのだ。しかもそれは彼女の本当の家族だった。
施設を出て晴れて本当の家族と一緒になった彼女。楽しいこともたくさんある中で色んな壁がやってくる。
施設の外を知らない彼女は一つ一つそれらを受けいれていくが・・・彼女には彼女も知らない才能が眠っていた。
そんな彼女は中学・高校と進学していく。
その中で出会った男が・・・彼女に近づいてくる。
「お前の全てが欲しい。」
※お話は全て想像の世界です。現実とはなんの関係もありません。
※メンタルが薄氷につき、コメントはいただくことができません。すみません。
※スランプ明けなので文章が怪しいところが多々あります(以前もです。)。日々精進します。
※ただただ暇つぶしに読んでいただけたら幸いです。
それではすずなり。の世界をお楽しみください。
兄貴がイケメンすぎる件
みららぐ
恋愛
義理の兄貴とワケあって二人暮らしをしている主人公の世奈。
しかしその兄貴がイケメンすぎるせいで、何人彼氏が出来ても兄貴に会わせた直後にその都度彼氏にフラれてしまうという事態を繰り返していた。
しかしそんな時、クラス替えの際に世奈は一人の男子生徒、翔太に一目惚れをされてしまう。
「僕と付き合って!」
そしてこれを皮切りに、ずっと冷たかった幼なじみの健からも告白を受ける。
「俺とアイツ、どっちが好きなの?」
兄貴に会わせばまた離れるかもしれない、だけど人より堂々とした性格を持つ翔太か。
それとも、兄貴のことを唯一知っているけど、なかなか素直になれない健か。
世奈が恋人として選ぶのは……どっち?
4人の王子に囲まれて
*YUA*
恋愛
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生の結衣は、母の再婚がきっかけとなり4人の義兄ができる。
4人の兄たちは結衣が気に食わず意地悪ばかりし、追い出そうとするが、段々と結衣の魅力に惹かれていって……
4人のイケメン義兄と1人の妹の共同生活を描いたストーリー!
鈴木結衣(Yui Suzuki)
高1 156cm 39kg
シングルマザーで育った貧乏で平凡な女子高生。
母の再婚によって4人の義兄ができる。
矢神 琉生(Ryusei yagami)
26歳 178cm
結衣の義兄の長男。
面倒見がよく優しい。
近くのクリニックの先生をしている。
矢神 秀(Shu yagami)
24歳 172cm
結衣の義兄の次男。
優しくて結衣の1番の頼れるお義兄さん。
結衣と大雅が通うS高の数学教師。
矢神 瑛斗(Eito yagami)
22歳 177cm
結衣の義兄の三男。
優しいけどちょっぴりSな一面も!?
今大人気若手俳優のエイトの顔を持つ。
矢神 大雅(Taiga yagami)
高3 182cm
結衣の義兄の四男。
学校からも目をつけられているヤンキー。
結衣と同じ高校に通うモテモテの先輩でもある。
*注 医療の知識等はございません。
ご了承くださいませ。
死が二人を別こうとも。
すずなり。
恋愛
同じクラスに気になる女の子がいる。かわいくて・・・賢くて・・・みんなの人気者だ。『誰があいつと付き合うんだろうな』・・・そんな話が男どもの間でされてる中、俺は・・・彼女の秘密を知ってしまう。
秋臣「・・・好きだ!」
りら「!!・・・ごめんね。」
一度は断られた交際の申し込み。諦めれない俺に、彼女は秘密を打ち明けてくれた。
秋臣「それでもいい。俺は・・・俺の命が終わるまで好きでいる。」
※お話の内容は全て想像の世界です。現実世界とは何の関係もございません。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
※誤字脱字や表現不足などは日々訂正していきますのでどうかご容赦ください。(目が悪いので見えてない部分も多いのです・・・すみません。)
※ただただこの世界を楽しんでいただけたら幸いです。 すずなり。
溺愛彼氏は消防士!?
すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。
「別れよう。」
その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。
飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。
「男ならキスの先をは期待させないとな。」
「俺とこの先・・・してみない?」
「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」
私の身は持つの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。
※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる