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タイピン作り2。
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鈴「ただいまー。」
家に帰ってきた私はリビングに向かった。
車庫にお兄ちゃんたちの車はなかった。
じゃあ家の中にはお父さんしかいないハズだ。
ガチャ・・・
お父さん「おかえり。欲しいものは買えたかい?」
鈴「うんっ。・・・あのね、お父さん。」
お父さん「うん?」
鈴「お兄ちゃんたちのお誕生日ケーキって・・・。」
お父さん「あぁ。・・・どうする?お祝いは・・・ちょうど間の日にしようか。鈴もしたいだろ?」
鈴「するっ。」
お父さん「ははっ。もうすっかり馴染んだね。よかった。」
お父さんは私の頭を一撫でしてからキッチンに入っていった。
コーヒーを淹れながら話は続く。
お父さん「で、ケーキは?今年は買ってこようか。」
私は頭の中で考えた。
タイピンを作る時間が必要だし、学校の勉強もある。
お母さんの作った情報開示システムの分析もしたいし・・・。
リビングで頭を抱えながら右に左にうろうろ歩いてると、お父さんが言った。
お父さん「来年は・・・作ってみる?」
鈴「うんっ。」
私は部屋に戻ろうと、お父さんに背を向けた。
お父さん「あ、今度検査しに病院に来てくれる?」
鈴「え・・?」
お父さん「この前、調子が悪そうだったって翔平たちに聞いてね。薬の効きが悪くなってるかもしれないから。」
鈴「・・・・はい。」
私はそのまま部屋に戻り、ベッドにいるうさぎを抱きしめながら寝っ転がった。
鈴「私の心臓・・悪くなってるのかな。」
どくどくいってる胸を自分の手で押さえてみる。
元気そうに聞こえるけど・・こればっかりはわからない。
鈴「でも、お兄ちゃんたちのお誕生日まではちょっと忙しいし、終わってからかな?病院は。」
私は明日からの予定を立てて、実行に移した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鈴「・・・ふーっ。」
店主「おぉ、だいぶできたね。」
初めてタイピンを作り始めて1週間。
毎日頑張ったかいがあって二つは完成し、今、最後の一つを作っていた。
店主「明日で完成しそうじゃな。」
鈴「うん。明後日誕生日だから間に合うねっ。」
先に完成した二つを見てモチベーションを上げる。
店主「これはサービスであげるよ。」
そう言って持ってきてくれたのはタイピンを入れる箱。
指輪が入ってそうな、パカッと開けるタイプの箱だ。
鈴「・・・いいの?」
店主「うん。いつも遊びに来てくれて私も楽しいからね。」
おじいさんは優しい笑顔で箱を3つ渡してくれた。
鈴「ありがとうっ。」
店主「・・ただ、残念なことに包装紙はないんだよ。」
鈴「あっ、じゃあ私買ってくる!明日持ってきたらいいよね?」
店主「うん、ここで包めばそのまま渡せるよ。」
今日の作業はそこそこにして、私はお店を出た。
そのままギフトショップに寄り、包装紙を選ぶことにした。
鈴「えーっと・・・。」
ギフトショップを探しながら歩いてると、私の少し前に翔平お兄ちゃんの姿を見つけた。
鈴「やばいっ・・!今、お兄ちゃんと会うわけにいかないっ。」
しばらく身を隠そうと、踵を返した時、後ろにいた人とぶつかった。
どんっ・・!
鈴「あっ、ごめんなさいっ。」
恭吾「お前・・・何してんだ?」
ぶつかった相手は恭吾お兄ちゃんだった。
鈴「わぁっ・・!恭吾お兄ちゃん!?」
真後ろに恭吾お兄ちゃんがいたことに驚いたけど、それよりも驚くことがあった。
女の人「・・・恭吾さん?知り合い?」
恭吾お兄ちゃんの隣に女の人が立っていたのだ。
恭吾「妹。」
女の人「あぁ、妹さんなの。初めまして。」
鈴「は・・初めまして・・・。」
きれいな女の人。
背が高くてお兄ちゃんと並んだら二人ともモデルさんみたいだ。
恭吾「で?何やってんだ?」
鈴「か・・買い物?」
恭吾「なんで疑問形なんだよ・・。」
鈴「わ・・私、もう行くねっ!?」
その場から離れるために私はダッシュで駆けていった。
恭吾「あっ!走るなよっ!?」
鈴「わかってるーっ!」
一つ目の路地を曲がって、私は息を整えた。
こそっとさっきの道を覗くと、恭吾お兄ちゃんの側にいた女の人がお兄ちゃんの腕に自分の腕をからませて歩き始めたところだった。
鈴「危ない危ない・・・。」
翔平「なにが危ないんだ?」
鈴「!?」
振り返ると今度は翔平お兄ちゃんが私の後ろに立っていた。
鈴「えぇっ!?」
翔平「?・・どうした?」
鈴「えっと・・あの・・・きょ・・恭吾お兄ちゃんが・・!」
恭吾お兄ちゃんがいたほうを指差すと、翔平お兄ちゃんは路地からひょこっと顔を出して見た。
翔平「あぁ、恭吾の彼女だろ?同じ病院のナース・・。」
鈴「そうなんだ・・・。」
私も路地から顔を出して恭吾お兄ちゃんを見た。
鈴(彼女がいるなら・・もう『ぎゅ』ってしてもらうのやめた方がいいよね。)
そんなことを考えてると、翔平お兄ちゃんは私の頭を撫でてきた。
翔平「で?お前はここで何してんだ?」
鈴「え?私は包装紙を買いに・・・・」
翔平「包装紙?」
鈴(しまった・・・!)
家に帰ってきた私はリビングに向かった。
車庫にお兄ちゃんたちの車はなかった。
じゃあ家の中にはお父さんしかいないハズだ。
ガチャ・・・
お父さん「おかえり。欲しいものは買えたかい?」
鈴「うんっ。・・・あのね、お父さん。」
お父さん「うん?」
鈴「お兄ちゃんたちのお誕生日ケーキって・・・。」
お父さん「あぁ。・・・どうする?お祝いは・・・ちょうど間の日にしようか。鈴もしたいだろ?」
鈴「するっ。」
お父さん「ははっ。もうすっかり馴染んだね。よかった。」
お父さんは私の頭を一撫でしてからキッチンに入っていった。
コーヒーを淹れながら話は続く。
お父さん「で、ケーキは?今年は買ってこようか。」
私は頭の中で考えた。
タイピンを作る時間が必要だし、学校の勉強もある。
お母さんの作った情報開示システムの分析もしたいし・・・。
リビングで頭を抱えながら右に左にうろうろ歩いてると、お父さんが言った。
お父さん「来年は・・・作ってみる?」
鈴「うんっ。」
私は部屋に戻ろうと、お父さんに背を向けた。
お父さん「あ、今度検査しに病院に来てくれる?」
鈴「え・・?」
お父さん「この前、調子が悪そうだったって翔平たちに聞いてね。薬の効きが悪くなってるかもしれないから。」
鈴「・・・・はい。」
私はそのまま部屋に戻り、ベッドにいるうさぎを抱きしめながら寝っ転がった。
鈴「私の心臓・・悪くなってるのかな。」
どくどくいってる胸を自分の手で押さえてみる。
元気そうに聞こえるけど・・こればっかりはわからない。
鈴「でも、お兄ちゃんたちのお誕生日まではちょっと忙しいし、終わってからかな?病院は。」
私は明日からの予定を立てて、実行に移した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
鈴「・・・ふーっ。」
店主「おぉ、だいぶできたね。」
初めてタイピンを作り始めて1週間。
毎日頑張ったかいがあって二つは完成し、今、最後の一つを作っていた。
店主「明日で完成しそうじゃな。」
鈴「うん。明後日誕生日だから間に合うねっ。」
先に完成した二つを見てモチベーションを上げる。
店主「これはサービスであげるよ。」
そう言って持ってきてくれたのはタイピンを入れる箱。
指輪が入ってそうな、パカッと開けるタイプの箱だ。
鈴「・・・いいの?」
店主「うん。いつも遊びに来てくれて私も楽しいからね。」
おじいさんは優しい笑顔で箱を3つ渡してくれた。
鈴「ありがとうっ。」
店主「・・ただ、残念なことに包装紙はないんだよ。」
鈴「あっ、じゃあ私買ってくる!明日持ってきたらいいよね?」
店主「うん、ここで包めばそのまま渡せるよ。」
今日の作業はそこそこにして、私はお店を出た。
そのままギフトショップに寄り、包装紙を選ぶことにした。
鈴「えーっと・・・。」
ギフトショップを探しながら歩いてると、私の少し前に翔平お兄ちゃんの姿を見つけた。
鈴「やばいっ・・!今、お兄ちゃんと会うわけにいかないっ。」
しばらく身を隠そうと、踵を返した時、後ろにいた人とぶつかった。
どんっ・・!
鈴「あっ、ごめんなさいっ。」
恭吾「お前・・・何してんだ?」
ぶつかった相手は恭吾お兄ちゃんだった。
鈴「わぁっ・・!恭吾お兄ちゃん!?」
真後ろに恭吾お兄ちゃんがいたことに驚いたけど、それよりも驚くことがあった。
女の人「・・・恭吾さん?知り合い?」
恭吾お兄ちゃんの隣に女の人が立っていたのだ。
恭吾「妹。」
女の人「あぁ、妹さんなの。初めまして。」
鈴「は・・初めまして・・・。」
きれいな女の人。
背が高くてお兄ちゃんと並んだら二人ともモデルさんみたいだ。
恭吾「で?何やってんだ?」
鈴「か・・買い物?」
恭吾「なんで疑問形なんだよ・・。」
鈴「わ・・私、もう行くねっ!?」
その場から離れるために私はダッシュで駆けていった。
恭吾「あっ!走るなよっ!?」
鈴「わかってるーっ!」
一つ目の路地を曲がって、私は息を整えた。
こそっとさっきの道を覗くと、恭吾お兄ちゃんの側にいた女の人がお兄ちゃんの腕に自分の腕をからませて歩き始めたところだった。
鈴「危ない危ない・・・。」
翔平「なにが危ないんだ?」
鈴「!?」
振り返ると今度は翔平お兄ちゃんが私の後ろに立っていた。
鈴「えぇっ!?」
翔平「?・・どうした?」
鈴「えっと・・あの・・・きょ・・恭吾お兄ちゃんが・・!」
恭吾お兄ちゃんがいたほうを指差すと、翔平お兄ちゃんは路地からひょこっと顔を出して見た。
翔平「あぁ、恭吾の彼女だろ?同じ病院のナース・・。」
鈴「そうなんだ・・・。」
私も路地から顔を出して恭吾お兄ちゃんを見た。
鈴(彼女がいるなら・・もう『ぎゅ』ってしてもらうのやめた方がいいよね。)
そんなことを考えてると、翔平お兄ちゃんは私の頭を撫でてきた。
翔平「で?お前はここで何してんだ?」
鈴「え?私は包装紙を買いに・・・・」
翔平「包装紙?」
鈴(しまった・・・!)
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