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事故3。

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彩斗「・・・え?」



笹井さんは鞄の中から点滴のキットを取り出した。

タバコくらいの大きさのパックに透明の液体が入ってる。



彩斗「ちょ・・・医師でもないのにしちゃだめでしょう!?」

弓弦「・・・この人は医師免許持ってるんだよ。」

彩斗「え!?」

笹井「なんだ、弓弦は知ってたのか。他にも資格持ってるぞ?」



そういいながら手際よくほたるちゃんの腕を消毒していく。



笹井「腕、押さえとけ。意識なくても反応するときあるからな。」

弓弦「はい。」



ほたるちゃんの細い腕に針が刺さっていく。




笹井「これでよし。10分ぐらいで一応目が覚めるけど・・・ちょうどいいから二人でほたる見とけ。」

弓弦「なんで二人?」

彩斗「もう大丈夫なら俺は戻ります。」



笹井さんは怖い顔をしながら俺たちに言う。



笹井「西条、お前、ほたるの元恋人だろ?」

彩斗「!!なんでそれ・・・・」

笹井「お前と過ごす時間が楽しくて、ほたるは薬を飲み忘れることがあった。ちがうか?」

彩斗「・・・その通りです。」

笹井「倒れたほたるを病院に搬送しただろ?」

彩斗「?・・・はい。」

笹井「何回だ?」

彩斗「・・・覚えてません。」

笹井「病院に搬送されたら必ずこの点滴をするそうだ。予備をもらいに行った時に聞いた。・・・救護車に連れて行ってやれ。二人で必ず一緒にいろ。わかったな?」

弓弦「リョーカイ。」

彩斗「リョーカイ・・・。」




俺はほたるちゃんを抱いて、救護車に入った。

点滴を持ちながら西条もついてきた。



救護車の中に入った俺は、ほたるちゃんを抱いたままベッドに座っていた。








ーーーーーーーーーー





弓弦「もうすぐ10分くらい経つな。」





笹井さんは10分で目が覚めるって言ってた。

前は3時間くらい経ってから目を覚ましたような・・・。


それだけ点滴は効果がすごいんだろう。


彩斗「俺、戻っちゃダメですか?」


西条は、ここにいる意味がわからないみたいで、戻りたそうだ。



俺も、ほたるちゃんの元彼なんかと一緒にいたくはないけど・・・。


弓弦「ダメだろ。1時間ここにいないと。」



そんな会話をしてるときに、ほたるちゃんの目が覚めた。



ほたる「ん・・・・。」

弓弦「ほたるちゃん?気づいた?」

ほたる「---っ。いた・・・っ。」

弓弦「?・・・どうした?」



俺の腕の中にいたほたるちゃんの様子がおかしかった。

身を縮めて、息が荒い。



ほたる「んっ・・いぃっ・・!」

彩斗「・・・・・・ほたる?」




どうなってるのか分からなくて悩んでいると、笹井さんが救護車に入ってきた。



笹井「お、始まったか。」

弓弦「笹井さん、これ、どういうことですか?」



苦しんでるほたるちゃんの頭を撫でながら、笹井さんは答えた。




笹井「副作用だってさ。全身の痛み。」

弓弦「全身・・・?」

笹井「この点滴は血液に流してる。足りない分を入れてるわけだけど、体は拒否するらしい。それで激痛が走るって担当医は言ってた。」

彩斗「激痛・・・。」

笹井「薬だったら体の中でゆっくり時間をかけて、自分で増やすから大丈夫みたいだけど、点滴は直接入るからな。・・・体は異物と認めるんだろう。」


ほたる「うぅっ・・!いっ・・!んーっ!」



ほたるちゃんは小さい手で俺の服を握りしめていた。

俺の体に顔を押し付けて・・・痛みを耐えてる。



弓弦「これ・・・どれくらいの時間?」

笹井「・・・1時間だ。」

弓弦「そんなに・・?道理で病院への搬送を嫌がるはずだ。痛い思いは・・・したくないよな。」

彩斗「・・・病院に搬送したら・・・毎回?」

笹井「そうだ。お前、恋人だったんだろ?大切な人に薬を飲ます努力もしないで何してたんだ?うちの署員は意識のないほたるに薬を飲ませることができるぞ?」

彩斗「---っ!・・・すみません。」

笹井「ほたるに謝った方がいいと思うけど・・・もう会わないほうがいいかもな。忘れろ。」

彩斗「・・・失礼します。」

笹井「おぅ。お疲れ。」



西条は俯きながら救護車から出ていった。

俺の腕の中で苦しんでたほたるちゃんも、1時間経つ頃には痛みもだいぶ引いて、落ち着いて呼吸できるようになっていた。



ほたる「弓弦・・さん・・ありがと・・・。」




俺は、この小さな体でがんばるほたるちゃんを守りたいと思った。


笑ってて欲しい。


俺が笑顔を・・・守り続けたい。









ーーーーーーーーー







ーーーーー





ーーー










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