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ナイショ2。
しおりを挟むロディ「俺も一緒に行ク!!」
ゼオン「!?・・・話せるのか!?」
ルカ「人間みたいだな・・・。」
二人・・・・どころか他の騎士さんも驚いた表情でロディを見た。
ロディは一気にたくさんの人に見られて委縮したのか私の後ろで私の服をこそっと触っていた。
リズ「馬車がダメなら・・・私はロディと一緒に歩いてお城まで行きます。」
ゼオン「しかし・・・!」
リズ「大丈夫です。ロディが道案内してくれますから・・・。先に戻ってください。」
私の言葉にゼオンさんは馬に向かって歩き始めた。
そして颯爽と馬にまたがって言った。
ゼオン「カイルさまに報告してきます。・・・お気をつけて。」
リズ「ありがとうございます。」
ゼオンさんに続いて他の騎士さんたちも歩き始めた。
馬に乗ってきた人は馬に乗り、歩いて来た人はまた歩いて・・・今来た道を戻って行く。
私とロディはその姿をしばらく見つめながら立っていた。
近くにいるルカさんも一緒に・・・・。
リズ「えっと・・・ルカさんは戻らないんですか?」
じーっとロディを見てるルカさん。
てっきりゼオンさんと一緒に戻ると思ってたのに、ルカさんは動かなかった。
ルカ「お前・・・名前は?」
ロディに向かって言ったルカさんの表情はゼオンさんとは違った。
汚らわしいものを見るような目じゃなく・・・興味がある目だ。
ロディ「ろ・・ロディ・・・。」
ルカ「ロディ。俺はルカだ。」
ロディ「る・・ルカ・・・。」
ルカ「ロディ、リズは馬に乗せるからな?お前と俺で歩いて城に向かう。・・・・いいな?」
ロディ「!!・・・うン!!」
ルカさんは私の身体をひょいと抱え、馬に乗せてくれた。
馬の手綱はルカさんが握り、引っ張り始める。
そして反対の空いてる手を・・・ロディに向かって差し出した。
ルカ「・・・ほら。」
ロディ「!!・・・いいノ!?」
ルカ「俺はリズを信じてる。『橋渡しの者』としてこの世界に来たリズを守る責任があるんだ。守るってことは信じるってことにもなる。信じれないと守れないしな。」
ロディ「よくわからないけド・・・。」
ルカ「お前は人間を傷つけるか?」
ロディ「傷つけなイ!!」
ルカ「リズは『ロディは人間を傷つけない』って言った。なら俺はお前の言うこととリズの言うことを信じてみるよ。」
ロディは差し出された手を取った。
『握る』ことはできないロディのU字型の手をルカさんがぎゅっと握り、私たちはお城に向かって足を進め始めた。
ーーーーーーーー
ルカ「・・・・さて、ここからどうするかな。」
歩き進めた私たちはお城が目に見えるところまでやって来た。
途中、ルカさんはロディにロボットのことを聞いたり、機械の国のことを聞いたり・・・人間についてどう思うかを聞いたりしていた。
私もその会話に参加するときがあったけど、基本的にロディとルカさんがずっと話してるのを聞いていた。
いろいろ興味津々に聞いていたルカさんだけど・・・あの事件については一言も話さなかった。
多分・・・カイルさまと一緒に聞くつもりなんだろう。
リズ「隠して連れて行ったほうがいいですよね・・・?」
私たちはお城を見て・・・ロディを見て・・・またお城を見た。
さっき私を探しに来てくれた騎士さんたちやゼオンさんは、ロディを見てるからさほど驚かないと思う。
でもこのお城には侍女さんや、料理人、さっきは来てない騎士さんたちがたくさんいる。
その人たちがロディを見たら・・・パニックになるだろう。
ロディ「ロディ、小さくなれル。」
リズ「へ?」
ルカ「は?」
突然なことを言ったロディを見ると、身体をカクカクさせながらロディの関節が縮み始めた。
それはみるみるうちにロディ本体を小さくしていき・・・ボールのような大きさにまでなっていった。
私とルカさんはその様子を見続けながらぽかんと口を開けていた。
ロディ「これが限界・・・。」
リズ「これなら隠して連れて行けるかも・・・。」
ルカ「そうだな。・・・リズ、ロディを抱えて馬の上で倒れ込め。」
リズ「?・・・こう?」
私はロディをお腹のところにおいて、馬に覆いかぶさるようにして身体を倒した。
ルカさんはそんな私をじーっと見た。
ルカ「うん。リズは城に戻ってくるまでに体力が尽きてへばってることにしよう。」
リズ「・・・へ?」
ルカ「これならリズを無理矢理起こそうとするやつもいないから、ロディも隠せれる。」
リズ「!・・・なるほど!」
私たちはロディを隠しながらお城に向かって歩き始めた。
お城についたとき、門のところにいる騎士さんが心配そうに私の事を聞いていたけど、ルカさんが『リズの体力がなくなった』とだけ言った。
なぜか・・・『なるほど』みたいな返事をされてしまったことに若干ショックを受けつつも、ロディのことはバレずにお城に入ることができた。
馬を馬小屋に連れて行き、私はロディを抱えたまま馬から下ろしてもらう。
ルカ「そのまま抱えていくのは難しいかもな。」
抱っこされる状態で馬から下ろされた私。
でもルカさんは私の足を地面につけることなく、そのまま抱きかかえていた。
リズ「?・・・あの、下ろしてもらってもいいですか?」
宙ぶらりんの足が地面につかず、地面とルカさんを交互に見る。
彼は・・・何か考えてるのか私の顔をじーっと見ている。
ルカ「・・・待て。このまま行こう。」
リズ「・・・はい?」
ルカさんは私の身体を抱いたままひょいひょいと回して体勢を変えさせた。
私はあっという間にお姫様抱っこされる形になり、ロディは私とルカさんの間にはめ込まれてしまった。
ルカさんはそれだけじゃ足りないようで、私の身体を胸に近づけるようにして抱き寄せた。
リズ「ちょ・・・!」
ルカ「これで完全に見えない。いくぞー。」
リズ(見えないのはいいけど私の心臓が持たないよ!)
ぎゅっと抱きしめられるなんて物語の中の話だ。
そんな世界に憧れを抱いたときもあったけど、アンダーでは男の人と女の人が恋人同士になることはあまりない。
子供が欲しけれは体外受精して一人で産むのが一般的だった。
昔は結婚して・・一緒に暮らして・・・子どもを授かるのが一般的だったけど、地下都市で暮らすようになってからは結婚なんてものは廃止された。
その理由は・・・短命化だ。
自然物を失い、人工物にさらされ続けた人は、年々長く生きられなくなっていった。
その理由はさまざまだけど、まだ地上で暮らしてた頃は70歳から90歳まで生きられるのが普通だったのに対して、アンダーの・・・今の平均寿命は40歳。
好きな人に出会って、結婚して子供を授かったころには亡くなってしまうことが多くなってしまい、一時期人口が極端に減ったのだ。
その対策として政府が考案したのが『精子・卵子の選択受精制度』。
提供された精子や卵子の情報を『性格』や『取得学歴』の情報に具体化して提示。
気に入ったものを選択して受精させるというものだ。
希望さえすれば自身の卵子を使わないことも可能だった私の世界には・・・こんな風にお姫様抱っこされてドキドキするようなシチュエーションは存在しない。
リズ(でも・・・誰かに抱きしめられるのとか・・・気持ちいいかも。)
そんなことを思いながら、私とルカさん、ロディはカイルさまのいる部屋に向かった。
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