上 下
17 / 33

伝えるのって難しい。

しおりを挟む



リズ「え?」

ロディ「俺たちがなんのために生まれて、何をしたらいいのかがわからなイ。」

リズ「自由にすればいいんじゃないの?」





自分のしたいことをする。

それだけでいいと思った。



長老「ロボットは・・・何かしらの使命を持って生まれる。作業の為や、運搬の為、身の回りの・・・世話だったり。」

ロディ「でモ・・・ここは機械がいっぱいあル。仕事・・・なイ。」





確かにビートも私のお世話ロボットとして側にいてくれていた。



ロボットは・・・パーツ交換をすれば完全に壊れることなくしばらくは動き続けれる。

パーツ交換をして長く生きてきたロボットたちに対して、新しく生まれてきたロボットには仕事がなかった。

使命は与えられるものの、その仕事自体が無く・・・ただ毎日ウロウロしてるだけのロボットが結構な数いるらしい。

そのロボットたちは使命を全うすることなく壊れていく運命だ。




リズ「この国を出ればいいんだろうけど・・・人間に嫌われてるから出れない。かといってここに居続けても仕事が無い。」

ロディ「そういうこト。」

リズ「だから私が・・・カイルさまやみんなにロボットは大丈夫って伝えなきゃならないんだ・・・。あの事件は・・・ロボットのせいで起こったんじゃないって・・・伝えないと・・・。」



二つの国はお互い、話をすることもできない状態だ。

その二つの国の間に流れてる『事件』という溝を・・・私が『橋』となって誤解を解く。

それが私がここに来た『使命』だった。




リズ「・・・わかった。長老、私がちゃんとカイルさまたちに伝えますから。」

長老「頼む・・・。」

リズ「あと・・一つ聞いてもいいですか?」

長老「なんだ・・?」

リズ「私と同じ世界から一緒にロボットが来たと思うんです。でもはぐれちゃったみたいで・・・知りませんか?」




この機械の国に入ってから、私はビートの姿を目で探した。

もし、ビートが人間に見つかってたらきっと大騒ぎになってたハズだ。

でも人間の国では騒ぎは起こってない。

ならこの機械の国に避難してるかと思った。




長老「ロボットの数は・・・ここ数年・・・増えてはいないが・・・。」

リズ「そうですか・・・。じゃあもしここにビートが来たら、リズが探してると伝えてもらえますか?」

長老「わかった・・・。」





私とロディは長老がいた建物を出た。

また歩いて機械の国の出入り口に向かう。



リズ「はぁー・・・ロディはビートのこと知らない?」

ロディ「しらなイ。そいつ、どんなやツ?」

リズ「えーっと・・・生意気で、口が悪いときがあって、世話焼きで・・・」

ロディ「・・・そいツ、ロボット?」

リズ「ふふ・・・でも可愛くって・・・私の一番の友達で家族なの。」




小さいときから一緒にいるビートは家族だ。

それはいつになってもどんなことがあっても変わらない。




ロディ「ふーン・・・・。」

リズ「ロディも友達だからね?」

ロディ「・・・うン。」




そんな話をしながら歩き進め、私はこの国に入ってきた場所についた。

この先は・・・一人で人間の国に帰らなければならない。

でも、道が分からない私はロディに大まかな道だけでも教えてもらおうと、彼を抱き上げた。




ロディ「!?」

リズ「ねぇ、ロディ、帰り道・・・だいたいでいいから教えてくれない?わかる?」




私の言葉に黙り込むロディ。

道がわからないのかと思って顔を覗き込んだ。

するとロディは・・・驚くべき言葉を言った。






ロディ「・・・俺も行ク!!」












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後

澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。 ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。 ※短いお話です。 ※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

その断罪、三ヶ月後じゃダメですか?

荒瀬ヤヒロ
恋愛
ダメですか。 突然覚えのない罪をなすりつけられたアレクサンドルは兄と弟ともに深い溜め息を吐く。 「あと、三ヶ月だったのに…」 *「小説家になろう」にも掲載しています。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

【完結】私の結婚支度金で借金を支払うそうですけど…?

まりぃべる
ファンタジー
私の両親は典型的貴族。見栄っ張り。 うちは伯爵領を賜っているけれど、借金がたまりにたまって…。その日暮らしていけるのが不思議な位。 私、マーガレットは、今年16歳。 この度、結婚の申し込みが舞い込みました。 私の結婚支度金でたまった借金を返すってウキウキしながら言うけれど…。 支度、はしなくてよろしいのでしょうか。 ☆世界観は、小説の中での世界観となっています。現実とは違う所もありますので、よろしくお願いします。

(完結)嘘つき聖女と呼ばれて

青空一夏
ファンタジー
私、アータムは夢のなかで女神様から祝福を受けたが妹のアスペンも受けたと言う。 両親はアスペンを聖女様だと決めつけて、私を無視した。 妹は私を引き立て役に使うと言い出し両親も賛成して…… ゆるふわ設定ご都合主義です。

処理中です...