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真相。

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長老はギギッっと音を立てて自分のお腹のところをぱかっと開けた。

その開けた蓋の部分に・・・絵が書かれてるのが見える。

その絵は・・・何か尖ったもので蓋を削られて書かれているようだった。




リズ「それは?」

長老「私の大事な友達・・・ミーナとノアが書いてくれたものだ・・・。」





・・・この世界が最初にできた時、人間の男の子が一人と、人間の女の子が一人、それとロボットが一台、平原のど真ん中に生まれた。

男の子は『ノア』、女の子は『ミーナ』、ロボットは『0号』という名前だったそうだ。

ノアとミーナは大人の状態で、0号はいろんな知識を詰め込まれた状態でこの地に生まれた。




二人と一台は生活を共にし、一緒に暮らし始めた。

何の知識も持ってない人間のために0号は食べれるものを教え、時に川の中に入って魚を取ったりした。

雨風を防げるように木を切り倒して家を作り、二人もできるように道具を作る。


二人はそんな0号に心から感謝をして労い、0号からの教えを受けて徐々に生活力を養っていった。

遊びの一環だったのか、0号のお腹のとこに石を削ったもので絵を描いたりも。



やがて家族が増えて・・・0号一台じゃ心もとなくなってきて・・・0号は自分の分身を作った。

始めは小さいロボットからだったけれども、それも台数が増えていくにつれていろんなロボットが誕生し始める。

その作られたロボットたちがまたロボットを作り・・・何年も何年も時間が過ぎていく中でどんどん人口やロボットが増えていったとき・・・





長老「ミーナが・・・死んだ。」




人間に訪れた初めての死。

0号の中では『死』というものが理解できず、土に埋葬された彼女の帰りを・・・何日も待っていたらしい。

何日も・・・何日も待ち続けてる中で、今度はノアが死んだ。

0号は・・・『人間は死ぬと帰って来ない』ということをいやいやながらも学習した。



悲しいという感情はわからなくても、心のどこかに穴が開いたような気持ちを抱えたらしい。




リズ「長老が・・・0号なんだ・・・。」





その後も0号はパーツ交換を繰り返して壊れることなく生き続けた。

他のロボットはパーツ交換をしても長い時間動き続けることができないものもあって壊れていくものも多かった。

そんな中でも0号だけが生き続けることができたのは・・・この世界で一番最初のロボットだっただからかもしれない。







ミーナとノアが死んでから数百年が経ち、ロボットの数はある程度一定になった。

仕事も分野ごとに分けられて特化していった。

人間も同じように増えては減りを繰り返していって・・・ほぼ一定の数に落ち着いていた。





人間の国と機械の国に分けてお互いを行き来しながら生活をしていく。

それが確立されてまた数百年が経ったとき、あの事件が起きた。







リズ「女の子の手足がもがれた事件・・・。」

長老「あれは・・・女の子の手足を千切ったのは・・・ロボットだ。」

リズ「なんでそんなこと・・・・」

長老「あの日・・・女の子は機械の国の前で・・・倒れていた。」

リズ「え・・・」






両親と分かれて機械の国に遊びに来た女の子は、機械の国にたどり着く前に倒れたらしい。

その姿を見つけたロボットが機械の国に連れて行って診察。

すでに心臓が止まっていたそうだ。


でも・・・ロボットは『壊れたら修理』が基本。

死んだ女の子が『壊れた』と判断したロボットたちは修理をしようと手足を外し始めたらしい。



でも・・・

どんなにパーツを交換しようと、女の子は人間だ。

生き返るわけがない。



どう頑張っても動かない女の子を『完全に壊れた』と思ったロボットたちは、女の子を発見した場所に戻すことにした。

それを発見した人間側が・・・ロボットが殺したと言ったらしい。





リズ「でも、人間が死ぬことはわかってたんじゃないんですか?」

長老「あの頃は・・・他のロボットたちは知らなかった・・・。」

リズ「知らなかった・・・。」





0号の説明不足といえば説明不足なんだろう。






長老「今のロボットたちは・・・みんな知ってる・・・。」

リズ「じゃあその女の子はどうしようもなかったってことですか?」

長老「そうだ・・・。人間に説明しようと思っても・・・『来るな』と言われて近づけなかった・・・。」






ロボットは・・・倒れていた女の子を助けようとしただけ・・・

その方法を知らなかったのと・・・女の子がすでに死んでしまっていたことが人間側の誤解に繋がってしまったのだ。




リズ「じゃあ・・・その事実を私がカイルさまに伝えたら・・・・」




きっとロボットを毛嫌いする必要はなくなる。

畑の水やりももっと効率よくできるし、馬車の車輪だってもっといいものができる。

他にもいろいろ発展できることがありそうだけど・・・

何よりも・・・私が人間とロボットが仲良くしてほしかった。

それは私がロボットの世界で生きてきたからかもしれない・・・。





長老「0号として・・・この世界に生まれた時に・・・『橋渡しの者』の情報が私の中にあった・・・。」

リズ「?」

長老「『いづれ人と機械は別れる時が来る。機械の発展なしに世界は発展しない。別れたときは橋渡しの者を待て。その者が二つを一つにするだろう。』」

リズ「それが・・・私?」

長老「あの事件を・・・正しく伝えれるのはあなただけだ・・。機械の国も・・・目的が無くて・・・危機に瀕してる・・・。」

リズ「それってどういう意味・・・?」





機械の国は機械の国で勝手に発展してそうだった。

この国に入って目に飛び込んできたのは人間の国とは比べ物にならないくらい発展したもの。

自動で動く乗り物なんて人間の国にはないし、ベルトコンベアなんてのももちろんない。





ロディ「・・・何の為に動いてるのカ・・・分からないんダ。」

















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