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デート3

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千冬「子供は好きですけど・・・うーん・・・。」




私自身が持ってる『病気』がある。

それはもしかしたら遺伝するかもしれない。

そのこともあって、一概に『結婚したい!』『子供欲しい!』とは言えないのだ。




秋也「・・・八重樫さんはさ、俺のことどう思ってる?」

千冬「どうって・・・。」

秋也「俺はこのまま見合い進めたい。」

千冬「それはできませんよ。」




ぱくぱくとご飯を口に入れながら答えた。




秋也「じゃあ俺が嫌い?」

千冬「そういうわけじゃ・・・。」

秋也「『家事はできる』『子供も好き』『俺のことはキライじゃない』・・・なんで見合い進めたくないんだ?」

千冬「最後は別れるからですよ。別れるのがわかっててお付き合いするのは・・・辛いんで。」




学生時代に付き合ってた人たちは、私の病気のことを知って別れを切り出してきた。

お見合いをし始めてからも、病気を知って音信不通になったひともいる。

どうせフラれるならもう付き合わないほうがいい。





秋也「それは・・・八重樫さんから別れを?」

千冬「いいえ?すべてフラれてます。」

秋也「『俺は別れを切り出さない』・・・そう言っても?」

千冬「無理だと思いますけど・・・。」






平行線をたどる私たちの会話。

気がつけばもうご飯を食べ終わっていた。





千冬「・・・そろそろ帰りますか?」

秋也「そうだな。じゃあ次の約束をしてから。」

千冬「次!?」

秋也「『何回か』だろ?どこか行きたいとこある?」

千冬「うーん・・・。」




『行きたいところ』

それを考えてると、笹倉さんが私に提案してきた。




秋也「アクアリウムとかどう?」

千冬「あ、好きです。」

秋也「じゃあ明日。」

千冬「・・・明日!?」

秋也「休みなんでしょ?予定ある?」

千冬「あります。」




明日は定期健診で病院にいかないといけない。

予約はいらないからいつ行ってもいいけど、この2~3日で行かないと薬が無くなってしまう。




秋也「夜は?空いてない?」

千冬「夜は・・・大丈夫ですけど・・・。」

秋也「俺、仕事が夕方までだからそのあとどう?ナイトアクアリウム。」

千冬「ナイトアクアリウム・・・!」




一人では行きにくいアクアリウム。

恋人がいない私はもう何年も行ってない。

そのうえ『ナイト』なんて・・・行ってみたくなる。





秋也「・・・その顔はオッケーってことだな。」

千冬「!!・・・私、そんな顔してました?」

秋也「『行ってみたい』って顔をしてる。・・・仕事終わったら連絡するからメールアドレスと電話番号教えて。」




私は鞄からケータイを取り出した。

笹倉さんと連絡先を交換する。




秋也「・・・『千冬』って呼んでも?」

千冬「ダメです。」

秋也「厳しいな。」

千冬「当たり前です。」





今日半日、笹倉さんと過ごしてわかってしまったことがある。

笹倉さんは・・・優しい人だ。

一方的に話さず、疑問に思ったことは聞いてくれる。

そして私の話もちゃんと聞いてくれた。




千冬(見た目も中身もいいとか・・・反則だ。)




好きになってしまう前に、このお見合いを終わらせようと・・・思った。








ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







翌日・・・





朝から病院に来ていた私。

血液内科の待合で名前を呼ばれるのを待っていた。




『千冬ちゃーん、どうぞー。』

千冬「・・・マイクで名前呼びって・・どうなの?」




そう思いながら私は診察室のドアを開けた。




ガラガラガラ・・・





医師「お、今月もちゃんと来たね。エライエライ。」





白衣を着たおじさん先生。

私を小さいころから診てくれてる先生だ。





千冬「マイクで呼ぶときはちゃんと名字で呼んでよー・・。」





椅子に座りながら言うと、先生は笑いながら答えた。




医師「ははっ。赤ちゃんくらいからの付き合いだからねー。名前のほうが呼びやすいんだよ。」

千冬「むー・・・。」

医師「ほらむくれない。検査は?行ってきた?」

千冬「まだだよー。」

医師「じゃあ行っといで。なんかあった時用に自己血分とるから休憩して帰りなよ?」

千冬「はーい。」






私は診察室を出て、採血室に向かった。

検査用と保存用に血を取ってもらうけど・・・これが結構苦労する。










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