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解決。

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男「見つけた!!!」

雄飛「!!」




しゃがんだ状態で美悠を背中に隠したまま、俺は犯人の一人である男を睨み上げた。

その男の姿をまじまじと見るけど・・・見覚えは無い。





男「その女、返して欲しいんだけど。」



俺が美悠の恋人だと気づいてないらしく、男は和やかな表情を浮かべながら美悠を指差した。

この状況を利用できないかと頭を捻ってると・・元カノが現れた。



元カノ「ゆーひくん?この子を助けにきたのぉ?」

雄飛「・・・そうだ。美悠は返してもらう。」

元カノ「えー?まだ200億もらってないんだよ?今帰られると困るんだけどぉ?」





犯罪を犯しときながら悪いことをしたと思ってない元カノ。

全然悪びれるようすもなく、首をかしげて人差し指を自分の顎に押し当てていた。




雄飛(こんな性格だっけ?もっとまともだったと思うけど・・・。)




どうしようか考えながら元カノを見てると、俺の前に立っていた男が元カノに言った。



男「さっさと金を回収して海外に逃げようぜ?お前の好きなブランドの服、いーっぱい買ってやるし!」

元カノ「ほんと!?」

男「あぁ!・・・あ、俺・・・いーこと思いついちゃった。この女を連れて行ったら定期的に金をもらえるんじゃね!?殺さない代わりに毎月金もらえばいーじゃん!!」

元カノ「それいいね!!」


雄飛「!?」




二人はその意見で合致したのか、にやっと笑って美悠を見た。

その表情に俺は寒気を覚えた。

こんな奴らに・・・美悠は渡せない。




男「ほら、さっさとその女、こっちに渡せよ!」

雄飛「誰が渡すかよ!!」

元カノ「ゆーひくん?彼、柔道五段なんだってー。敵わないと思うよぉ?」

男「俺に勝てる男なんて今までいなかったからな。・・・さっきは油断してその女に蹴られたけどなー。」





クスクス笑いながら俺と美悠に迫ってくる二人。

美悠を抱えて走ったとしても、追いつかれるのが関の山。

かといって美悠を置いてこの男の相手をすれば・・・元カノが美悠に手を出すかもしれない。




雄飛(どうすれば・・・どうするのが最善か・・・。)





頭の中でいろんなシミュレーションを繰り返してる時、美悠が俺の背中側から両肩に手を乗せた。




雄飛(美悠・・・?)




俺の両肩に乗せられた手にぐっと力が入ったのが分かった。

その瞬間、美悠が『何』をしようとしてるのかが分かった俺は・・・頭をぐっと下げた。




元カノ「え・・?」

男「?」




俺が頭を下げた瞬間、美悠は俺の肩を支えにして・・・蹴りを繰り出した。




シュッ・・・・!



男「うわぁ・・っ!!」




その蹴りは見事に男に命中し、イイとこに入ったのか男は吹っ飛ばされてそのまま動かなかった。

その様子を間近で見ていた元カノの表情が青くなっていく。




元カノ「あ・・・あ・・・・。」

雄飛「お前だけになったな。」

元カノ「ちっ・・・違うの・・!彼に唆されて・・・・!」

雄飛「言い訳はいい。唆されたとしても加担したんだから罪になる。」




俺は落としてしまったケータイを取りだして兄に電話をかけた。

兄は電話口で怒っていたけど、すぐに部隊を引き連れて駆けつけてくれて・・・男はそのまま逮捕。

元カノも署に連行されていった。




雄飛「美悠・・・無茶するなって・・・。」




そう言って美悠を抱きしめると、美悠は力なく返事をした。




美悠「へへ・・・決まった・・ね・・・・」

雄飛「美悠・・・?」




美悠は目を閉じて・・・その体からかくんっと力が抜けた。

俺は美悠の身体を支え、兄に向かって叫ぶ。




雄飛「兄貴!救急車呼んでくれ!!」

兄「もう呼んである!じきに来る!」





兄の言った通り、ほどなくして救急車のサイレンが聞こえ始めた。

俺は美悠を抱えて外に出て、救急車を待った。




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