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誘拐。
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ーーーーーーーー
雄飛side・・・
美悠が実家に帰ったあと、特別勤務の命令が出た。
場所はグランドホテル。
仕事内容は・・・一色一族の警護だ。
雄飛「これは・・・美悠も来るのかな。来たら驚くだろうな(笑)」
そんなことを思いながら美悠に内緒にして臨んだ勤務。
案の定美悠が来ていた。
雄飛(やば・・・本気のお嬢様だ・・・。)
いつもラフな格好をしてる美悠。
今日は真っ白のワンピースに髪の毛がきっちり結わえられていた。
アクセサリーもなんだか豪華で・・・同じ世界の人とは思えないくらいキレイだった。
雄飛(あのかわいい子が俺の彼女なんだよなー・・。)
そんなことを思いながら美悠が目の前を通り過ぎるのを見た。
美悠もかりんちゃんも俺に気がついたらしくて慌てながらトイレに駆けこんでいく。
雄飛(こういうとこはまだ子供なんだよな(笑))
帰ったらきっと美悠からメールが来てる。
『なんで教えてくれなかったのー・・・。』
とかいう内容のものが来るだろう。
雄飛(ははっ。・・・またなんかお詫びしないとな。)
そんなことを考えながら美悠たちが出て来るのを待った。
女の子はトイレに時間がかかる。
ましてや今日はきれいな格好をしてるんだからなおさらだ。
雄飛(まだかなー・・・もう一回美悠が見たい。)
そう思ってる時、宿泊客っぽい女が俺たちの目の前を通った。
真っ赤な服に真っ赤なワンピース。
目深に帽子をかぶってサングラスをかけている。
不審に思いながらもその姿を見ていたとき、ブランドのロゴがチラッと目に入った。
あれは・・・
雄飛(元カノがよく来てたブランドだな。)
ゴロゴロとスーツケースを押しながら歩いていった。
その後ろを少し距離を開けて男が追いかけてきていた。
カップルか・・・夫婦の旅行かもしれない。
俺はその夫婦(?)を目で見送り、美悠を待った。
でも・・・1時間経っても美悠たちは出て来なくて・・・俺の周りにいるやつらも不振に思い始めてざわざわと話が聞こえだした。
「なぁ・・・遅すぎないか?」
「確かに・・・。」
「向こうから出たとか?」
「いや、ないだろう。会場に戻るにはここを通るしかない。」
確かにそうだった。
この廊下の造りは『コの字型』。
反対方向に行けはするけど行き止まりだ。
だから美悠たちはここを通ることが絶対なのだ。
雄飛「俺、見てきます。」
そう言って女子トイレに向かった。
美悠たちしかいないハズだけど、俺はトイレの前で一応大声で聞いた。
雄飛「安全確認のため、失礼します!」
俺はそっと女子トイレを覗いた。
洗面室には誰もいない。
個室の方も覗いたけど・・・美悠たちの姿は無かった。
雄飛「ほんとに反対方向にでもいったのか?」
そう思ってトイレから出ようとしたとき、床になにかが落ちてるのが見えた。
白くて丸い・・・弾みたいなものだ。
雄飛「なんだ・・・?」
それを拾い上げてみると、弾じゃなかった。
紙を・・・弾みたいに丸められたものだ。
雄飛「紙?・・・なんでこんなに丸められてるんだ?」
その丸められた紙を解くようにして広げる。
その紙はメモ用紙の一部のようで・・・文字が書かれていた。
雄飛「『ば・・れた』・・・?」
俺はその字を見て・・・血の気が引いて行ったのがわかった。
この字は・・・美悠の字だ。
雄飛「---っ!!美悠!?」
そのメモを手の中で握りしめ、俺はトイレから駆け出た。
この警備の責任者である上司の下に急ぐ。
雄飛「・・・兄貴!!」
そう叫ぶと、ムッとした表情で兄が俺を見た。
今回の警備・・・責任者は俺の兄だ。
兄「雄飛・・・仕事中は苗字で呼べ。」
雄飛「美悠が攫われた・・・!!」
兄「はぁ!?」
俺は美悠の残したメモを兄に見せた。
これが美悠の字だという証明は・・・俺の言葉だけじゃ足りない。
兄「でも反対方向に行ったって可能性も・・・。」
雄飛「でももう一時間経ってる!戻ってこないなんて明らかにおかしい・・・!」
俺と兄が揉めてると、騒ぎに気がついたのか、美悠のお父さんが駆け寄ってきた。
パパ「なにかありましたか?」
兄「それが・・・・」
兄がどう説明しようか悩んだ時、美悠のお父さんは俺の顔を見た。
俺の表情をみて・・・美悠になにかあったのだと悟ったんだろう。
俺の肩をガシッと持って・・・問い詰めてきた。
パパ「美悠は?・・・美悠は!?美悠に何かあったんだな!?」
雄飛「お父さん・・・おそらく・・・かりんちゃんと共に攫われたのではないかと・・思います。」
パパ「・・・攫われた・・?」
俺は美悠が残したメモを、美悠のお父さんに見せた。
美悠のお父さんはメモを見て・・・俺の顔を見た。
パパ「・・・美悠の字だ。」
兄「!!」
美悠のお父さんの言葉を聞いた兄は、すぐさまこのホテルを封鎖する指示を署員に伝えた。
この会場を含めたホテル全体が慌ただしく動き始める。
雄飛「もしかしたら犯人側から何か要求が来るかもしれません。お父さんはこちらで兄たちからの指示に従ってください。」
パパ「わかった・・・。キミは?」
雄飛「俺は美悠を探します。このホテルの隅から隅までくまなく探します!!」
パパ「頼む・・・。」
俺たち警護班は全員でホテル中を探した。
宿泊の部屋も全て見せてもらい、厨房やスタッフルーム、倉庫まで調べた。
でも美悠の姿もかりんちゃんの姿も見つけることはできなかった。
俺たちが探してる間、兄は招待客に説明をしたり、犯人からの連絡を待っていた。
俺たちが一通りホテルの中を見終わって兄と合流した時・・・美悠のお父さんと、かりんちゃんのお父さんのケータイが・・・鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
兄「出てください。スピーカーでお願いします。・・・周りの奴らは静かにしろ!!」
パパ「はい・・・。」
兄に言われて、美悠のお父さんとかりんちゃんのお父さんはケータイに出た。
ピッ・・・・
雄飛side・・・
美悠が実家に帰ったあと、特別勤務の命令が出た。
場所はグランドホテル。
仕事内容は・・・一色一族の警護だ。
雄飛「これは・・・美悠も来るのかな。来たら驚くだろうな(笑)」
そんなことを思いながら美悠に内緒にして臨んだ勤務。
案の定美悠が来ていた。
雄飛(やば・・・本気のお嬢様だ・・・。)
いつもラフな格好をしてる美悠。
今日は真っ白のワンピースに髪の毛がきっちり結わえられていた。
アクセサリーもなんだか豪華で・・・同じ世界の人とは思えないくらいキレイだった。
雄飛(あのかわいい子が俺の彼女なんだよなー・・。)
そんなことを思いながら美悠が目の前を通り過ぎるのを見た。
美悠もかりんちゃんも俺に気がついたらしくて慌てながらトイレに駆けこんでいく。
雄飛(こういうとこはまだ子供なんだよな(笑))
帰ったらきっと美悠からメールが来てる。
『なんで教えてくれなかったのー・・・。』
とかいう内容のものが来るだろう。
雄飛(ははっ。・・・またなんかお詫びしないとな。)
そんなことを考えながら美悠たちが出て来るのを待った。
女の子はトイレに時間がかかる。
ましてや今日はきれいな格好をしてるんだからなおさらだ。
雄飛(まだかなー・・・もう一回美悠が見たい。)
そう思ってる時、宿泊客っぽい女が俺たちの目の前を通った。
真っ赤な服に真っ赤なワンピース。
目深に帽子をかぶってサングラスをかけている。
不審に思いながらもその姿を見ていたとき、ブランドのロゴがチラッと目に入った。
あれは・・・
雄飛(元カノがよく来てたブランドだな。)
ゴロゴロとスーツケースを押しながら歩いていった。
その後ろを少し距離を開けて男が追いかけてきていた。
カップルか・・・夫婦の旅行かもしれない。
俺はその夫婦(?)を目で見送り、美悠を待った。
でも・・・1時間経っても美悠たちは出て来なくて・・・俺の周りにいるやつらも不振に思い始めてざわざわと話が聞こえだした。
「なぁ・・・遅すぎないか?」
「確かに・・・。」
「向こうから出たとか?」
「いや、ないだろう。会場に戻るにはここを通るしかない。」
確かにそうだった。
この廊下の造りは『コの字型』。
反対方向に行けはするけど行き止まりだ。
だから美悠たちはここを通ることが絶対なのだ。
雄飛「俺、見てきます。」
そう言って女子トイレに向かった。
美悠たちしかいないハズだけど、俺はトイレの前で一応大声で聞いた。
雄飛「安全確認のため、失礼します!」
俺はそっと女子トイレを覗いた。
洗面室には誰もいない。
個室の方も覗いたけど・・・美悠たちの姿は無かった。
雄飛「ほんとに反対方向にでもいったのか?」
そう思ってトイレから出ようとしたとき、床になにかが落ちてるのが見えた。
白くて丸い・・・弾みたいなものだ。
雄飛「なんだ・・・?」
それを拾い上げてみると、弾じゃなかった。
紙を・・・弾みたいに丸められたものだ。
雄飛「紙?・・・なんでこんなに丸められてるんだ?」
その丸められた紙を解くようにして広げる。
その紙はメモ用紙の一部のようで・・・文字が書かれていた。
雄飛「『ば・・れた』・・・?」
俺はその字を見て・・・血の気が引いて行ったのがわかった。
この字は・・・美悠の字だ。
雄飛「---っ!!美悠!?」
そのメモを手の中で握りしめ、俺はトイレから駆け出た。
この警備の責任者である上司の下に急ぐ。
雄飛「・・・兄貴!!」
そう叫ぶと、ムッとした表情で兄が俺を見た。
今回の警備・・・責任者は俺の兄だ。
兄「雄飛・・・仕事中は苗字で呼べ。」
雄飛「美悠が攫われた・・・!!」
兄「はぁ!?」
俺は美悠の残したメモを兄に見せた。
これが美悠の字だという証明は・・・俺の言葉だけじゃ足りない。
兄「でも反対方向に行ったって可能性も・・・。」
雄飛「でももう一時間経ってる!戻ってこないなんて明らかにおかしい・・・!」
俺と兄が揉めてると、騒ぎに気がついたのか、美悠のお父さんが駆け寄ってきた。
パパ「なにかありましたか?」
兄「それが・・・・」
兄がどう説明しようか悩んだ時、美悠のお父さんは俺の顔を見た。
俺の表情をみて・・・美悠になにかあったのだと悟ったんだろう。
俺の肩をガシッと持って・・・問い詰めてきた。
パパ「美悠は?・・・美悠は!?美悠に何かあったんだな!?」
雄飛「お父さん・・・おそらく・・・かりんちゃんと共に攫われたのではないかと・・思います。」
パパ「・・・攫われた・・?」
俺は美悠が残したメモを、美悠のお父さんに見せた。
美悠のお父さんはメモを見て・・・俺の顔を見た。
パパ「・・・美悠の字だ。」
兄「!!」
美悠のお父さんの言葉を聞いた兄は、すぐさまこのホテルを封鎖する指示を署員に伝えた。
この会場を含めたホテル全体が慌ただしく動き始める。
雄飛「もしかしたら犯人側から何か要求が来るかもしれません。お父さんはこちらで兄たちからの指示に従ってください。」
パパ「わかった・・・。キミは?」
雄飛「俺は美悠を探します。このホテルの隅から隅までくまなく探します!!」
パパ「頼む・・・。」
俺たち警護班は全員でホテル中を探した。
宿泊の部屋も全て見せてもらい、厨房やスタッフルーム、倉庫まで調べた。
でも美悠の姿もかりんちゃんの姿も見つけることはできなかった。
俺たちが探してる間、兄は招待客に説明をしたり、犯人からの連絡を待っていた。
俺たちが一通りホテルの中を見終わって兄と合流した時・・・美悠のお父さんと、かりんちゃんのお父さんのケータイが・・・鳴った。
ピピピッ・・・ピピピッ・・・ピピピッ・・・・
兄「出てください。スピーカーでお願いします。・・・周りの奴らは静かにしろ!!」
パパ「はい・・・。」
兄に言われて、美悠のお父さんとかりんちゃんのお父さんはケータイに出た。
ピッ・・・・
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