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意外と方向音痴・・・?
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山下「今日はどのルートで行く?」
交番に鍵をかけ、持ち物の確認をしてると山下が地図を取り出していた。
雄飛「そうだな・・・こっちの人通りが少ないとこ行こうか。」
山下「おっけ。」
俺たちは辺りを見回しながら歩き始めた。
道行く人は挨拶をしてくれ、時に落とし物を預かる。
見回るだけでも犯罪の抑止になるなんて安いものだ。
山下「前にいたとこも平和だったけど・・・ここも平和だな。」
雄飛「事件や事故ばっかり起きてたら身が持たねーって。」
山下「ま、それもそうか。」
そんな話をしながら歩いてると・・・前方に見知った顔を見つけた。
ケータイを見ながら・・・辺りをキョロキョロしてる。
雄飛(美悠?こんなとこで何してんだ?)
ちょっとこじゃれた格好をした美悠。
女の子らしい格好に一瞬見惚れたけど、すぐに我に返った。
一歩ずつ近づいていき・・・声をかけてみる。
雄飛「・・・迷子にでもなったのか?」
そう聞くと美悠は俺を見た。
美悠「・・・三門さん!?」
雄飛「こんなとこでどうした?学校は?」
そう聞くと、山下が俺と美悠の間に割り込んできた。
山下「うっわ・・・めっちゃかわい!」
美悠「え?」
雄飛「!!・・・山下、下がってろ。」
山下「えー、なんで?俺もこの高校生と仲良くなりたい・・・。」
雄飛「!!」
『高校生』と聞いた美悠は、みるみるうちに怒り顔になっていった。
足をじわじわ肩幅に開いて・・・ゆっくり腰を落とし始めてる。
雄飛「あー・・・山下が悪いんだからな?俺は助けない。自分で自分の身を守れよ?」
山下「え?」
そう言った瞬間、美悠は腕を引き、山下の腹めがけて突き出した。
シュッ・・・!
山下「!?・・・ぅぐっ・・!」
見事に命中した美悠のパンチ。
山下は咄嗟の判断で後ろに身を引いたけど、しっかり腹に当たっていた。
山下「ごほっ・・!え!?」
美悠「・・・私は高校生じゃない!」
山下「え?え?」
雄飛「山下・・・美悠は大学生なんだよ。高校生って言われることを気にしてる。」
山下「ごほっ・・!はぁ!?・・・んなこと知らねぇし!」
雄飛「お前・・・訓練サボってるだろ。だからやられるんだよ。」
むせてる山下を放っておいて、俺は美悠に聞く。
雄飛「で、こんなとこで何してんだ?」
そう聞くと美悠はケータイを俺に見せてきた。
美悠「ここに行きたいんだけどどこか分かんなくなって・・・。」
雄飛「えーと・・・あぁ、2本向こうの道だな。連れて行こうか?」
美悠「いいよ。自分で行くから。・・・あっち?」
美悠が指差したほうは、目的の場所とは真反対の方向だった。
雄飛「・・・送る。」
俺は腹を擦ってる山下を見た。
雄飛「悪い、先に行っててくれ。」
山下「いいけど・・・。」
雄飛「美悠、こっち。」
俺は美悠を連れて、歩き始めた。
雄飛「そこに何の用があるんだ?」
そう聞くと美悠はケータイを見つめたまま答えた。
美悠「えーっと、学校の課題?でちょっと隠れ家的なフレンチを食べに行こうと思って。」
雄飛「?・・課題でご飯?」
意味が分からない俺は、美悠に聞き返した。
美悠「うん。私、栄養学科を選択してるから。」
雄飛「あぁ、それで『ご飯』なのか。」
美悠「そ。」
ずいぶんと砕けた感じに話すようになった美悠。
年上の威厳は保たれないけど・・・これはこれで別によかった。
美悠「?・・・なに?」
雄飛「いや?なんでもない。」
美悠「?」
少し歩けば見えてきた美悠の目的地。
俺は指を指して場所を教えた。
雄飛「ほら、あそこ。わかる?」
美悠「!!・・・わかる!ありがとうございましたっ。」
美悠は俺に手を振りながら店に駆けて行った。
店の前で足を止めて、鞄からバインダーみたいなものとペンを取り出した。
そしてそれらを持って・・・お店の中に入っていった。
雄飛「・・・学生も大変だな。」
俺は山下と合流するために踵を返した。
スタスタと歩きながらさっきの美悠を思い返す。
雄飛(・・・あんな格好もするんだな。)
道場では道着。
帰るときはラフなパンツにTシャツを着てた美悠。
でもさっきは・・・ふわっふわなロングのスカートに、ブラウス、カーディガンを羽織っていた。
背中の真ん中まである長さの髪の毛は・・・ゆるくふわふわと巻いてあって・・・
まるで今からデートでもするかのようだ。
雄飛(まぁ、美悠が誰とデートしようが俺は関係ないしな。)
そんなことを考えながら俺は仕事に戻った。
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交番に鍵をかけ、持ち物の確認をしてると山下が地図を取り出していた。
雄飛「そうだな・・・こっちの人通りが少ないとこ行こうか。」
山下「おっけ。」
俺たちは辺りを見回しながら歩き始めた。
道行く人は挨拶をしてくれ、時に落とし物を預かる。
見回るだけでも犯罪の抑止になるなんて安いものだ。
山下「前にいたとこも平和だったけど・・・ここも平和だな。」
雄飛「事件や事故ばっかり起きてたら身が持たねーって。」
山下「ま、それもそうか。」
そんな話をしながら歩いてると・・・前方に見知った顔を見つけた。
ケータイを見ながら・・・辺りをキョロキョロしてる。
雄飛(美悠?こんなとこで何してんだ?)
ちょっとこじゃれた格好をした美悠。
女の子らしい格好に一瞬見惚れたけど、すぐに我に返った。
一歩ずつ近づいていき・・・声をかけてみる。
雄飛「・・・迷子にでもなったのか?」
そう聞くと美悠は俺を見た。
美悠「・・・三門さん!?」
雄飛「こんなとこでどうした?学校は?」
そう聞くと、山下が俺と美悠の間に割り込んできた。
山下「うっわ・・・めっちゃかわい!」
美悠「え?」
雄飛「!!・・・山下、下がってろ。」
山下「えー、なんで?俺もこの高校生と仲良くなりたい・・・。」
雄飛「!!」
『高校生』と聞いた美悠は、みるみるうちに怒り顔になっていった。
足をじわじわ肩幅に開いて・・・ゆっくり腰を落とし始めてる。
雄飛「あー・・・山下が悪いんだからな?俺は助けない。自分で自分の身を守れよ?」
山下「え?」
そう言った瞬間、美悠は腕を引き、山下の腹めがけて突き出した。
シュッ・・・!
山下「!?・・・ぅぐっ・・!」
見事に命中した美悠のパンチ。
山下は咄嗟の判断で後ろに身を引いたけど、しっかり腹に当たっていた。
山下「ごほっ・・!え!?」
美悠「・・・私は高校生じゃない!」
山下「え?え?」
雄飛「山下・・・美悠は大学生なんだよ。高校生って言われることを気にしてる。」
山下「ごほっ・・!はぁ!?・・・んなこと知らねぇし!」
雄飛「お前・・・訓練サボってるだろ。だからやられるんだよ。」
むせてる山下を放っておいて、俺は美悠に聞く。
雄飛「で、こんなとこで何してんだ?」
そう聞くと美悠はケータイを俺に見せてきた。
美悠「ここに行きたいんだけどどこか分かんなくなって・・・。」
雄飛「えーと・・・あぁ、2本向こうの道だな。連れて行こうか?」
美悠「いいよ。自分で行くから。・・・あっち?」
美悠が指差したほうは、目的の場所とは真反対の方向だった。
雄飛「・・・送る。」
俺は腹を擦ってる山下を見た。
雄飛「悪い、先に行っててくれ。」
山下「いいけど・・・。」
雄飛「美悠、こっち。」
俺は美悠を連れて、歩き始めた。
雄飛「そこに何の用があるんだ?」
そう聞くと美悠はケータイを見つめたまま答えた。
美悠「えーっと、学校の課題?でちょっと隠れ家的なフレンチを食べに行こうと思って。」
雄飛「?・・課題でご飯?」
意味が分からない俺は、美悠に聞き返した。
美悠「うん。私、栄養学科を選択してるから。」
雄飛「あぁ、それで『ご飯』なのか。」
美悠「そ。」
ずいぶんと砕けた感じに話すようになった美悠。
年上の威厳は保たれないけど・・・これはこれで別によかった。
美悠「?・・・なに?」
雄飛「いや?なんでもない。」
美悠「?」
少し歩けば見えてきた美悠の目的地。
俺は指を指して場所を教えた。
雄飛「ほら、あそこ。わかる?」
美悠「!!・・・わかる!ありがとうございましたっ。」
美悠は俺に手を振りながら店に駆けて行った。
店の前で足を止めて、鞄からバインダーみたいなものとペンを取り出した。
そしてそれらを持って・・・お店の中に入っていった。
雄飛「・・・学生も大変だな。」
俺は山下と合流するために踵を返した。
スタスタと歩きながらさっきの美悠を思い返す。
雄飛(・・・あんな格好もするんだな。)
道場では道着。
帰るときはラフなパンツにTシャツを着てた美悠。
でもさっきは・・・ふわっふわなロングのスカートに、ブラウス、カーディガンを羽織っていた。
背中の真ん中まである長さの髪の毛は・・・ゆるくふわふわと巻いてあって・・・
まるで今からデートでもするかのようだ。
雄飛(まぁ、美悠が誰とデートしようが俺は関係ないしな。)
そんなことを考えながら俺は仕事に戻った。
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