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三門さんの仕事。
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16時過ぎ・・・
結局一撃も当たらないまま、私はタイムリミットを迎えた。
美悠「うぅぅ・・・不完全燃焼・・・。」
スカッと気分を晴らすことができなかった私。
仕方なく次回に持ち越す。
美悠「仕方ないよねー・・・三門さん、強いし・・」
どうやったら一撃入れれるかどうかを考えながら、更衣室で着替えを済ませた。
荷物をひとまとめにして、道場を後にする。
美悠「先生っ、私、週1で通うから・・・。お月謝いくらになります?」
道場の外まで見送ってくれた先生に聞いた。
師匠「月謝なんていらないよ。もう教えることなんてないしな。」
美悠「・・・いいんですか?」
師匠「あぁ。だから気が向いたら遊びにおいで。毎週でもいいし。」
美悠「ありがとうございます!じゃあまた土曜日に!」
そう言って私は駅に向かって歩き始めようとした。
その時・・・
雄飛「美悠!」
美悠「?」
後ろから三門さんに呼ばれ、私は振り返った。
雄飛「家、どっちだ?送ってくから。」
美悠「・・・へ?いや、大丈夫ですよ?」
雄飛「送ってく。」
美悠「ほんとに大丈夫ですって!変な人にはそう簡単にやられませんし・・・!」
現役時代は全国大会まで行ったことがある。
だから・・・自分の身は守れると思っていた。
雄飛「いいから。・・・ほら、どっちだ?」
美悠「・・・駅から下りで3駅・・。」
雄飛「おっけ。俺も3駅だからちょうどいいな。」
三門さんは私の隣を歩き始めた。
それも車道側を。
美悠(・・・三門さんが大きすぎて車が見えない(笑))
通り過ぎる車の音は聞こえるけど、その姿を確認できるのは過ぎ去ってからだった。
鍛えてるであろう身体は、筋肉がついてて・・・逞しい。
美悠「いいなー・・・。」
ぼそっと言うと聞こえてたみたいで、三門さんは私に聞き返してきた。
雄飛「なにが?」
美悠「!!・・・聞こえてたんですか?」
雄飛「バッチリ聞こえてた。で?なにが『いいな』?」
私は三門さんの腕の筋肉を指差した。
美悠「・・・筋肉。」
そう言うと三門さんは右手の手のひらを口にあて、声を殺して笑い始めた。
雄飛「くくっ・・・!」
美悠「!?・・・なんで笑うんですかー・・。」
雄飛「いや?筋肉を羨ましがる女の子なんていないなーって思って・・・ははっ・・・!」
美悠「?・・・そうですか?」
私はどんなに鍛えても三門さんみたいな筋肉はつかない。
これだけの筋肉がつけば・・・あの速さで打撃を繰り出すことも夢じゃない。
雄飛「あぁ、少なくとも俺の彼女は欲しがらないな(笑)」
美悠「私は欲しいですけどねー。」
そんな話をしてるうちに駅に着き、私たちは電車に乗り込んだ。
電車の中では空手や柔道の話で盛り上がり、3駅なんてあっという間についてしまう。
美悠「・・・送ってくださってありがとうございました。家、もうそこなんで・・・。」
そう言って私は、大きいマンションの手前にある自分のアパートを指差した。
雄飛「ん。気を付けてな。」
美悠「来週は負けませんからねー。」
雄飛「はいはい。軽くかわしてやるよ。」
三門さんは手を振りながら通りを曲がっていった。
私は足を進めて自分のアパートに向かう。
美悠「さー・・・どうやったら一撃いれれるかな。」
三門さんに一撃いれる方法を考えながら・・・私は今日を終えた。
ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
週明けの月曜日・・・
キーンコーンカーンコーン・・・
昼過ぎに大学の講義が終わった私は、教務員室に向かって歩いていた。
造りが複雑な上に広い広い大学の中は、何度も何度も角を曲がらないと教務員室に辿り着かない。
美悠「もー・・・複雑すぎでしょ・・・。」
ぼやきながら角を曲がった時、ちょうど反対方向から曲がってきた人と、私はぶつかってしまった。
どんっ・・・!
美悠「わぁっ・・・!?」
ぶつかったのは私の顔。
鼻をぶつけてしまい、思わず手で押さえる。
美悠「いたたたた・・・。」
「ごめん・・・!大丈夫?」
美悠「大丈夫・・・・・・」
そう答えようと、私はぶつかった人を見た。
その人は・・・私の知ってる人だった。
美悠「・・・三門さん!?」
雄飛「・・・美悠!?なんでここに!?」
美悠「なんでって・・・ここ、私が通ってる大学・・・ってか、三門さんこそその格好・・・」
紺色の帽子に、青や紺、黒を基調としたYシャツにズボン。
ベストみたいなものも着てるけど、ポケットに色々入ってそうだ。
なにより・・・腰元に銃らしきものが見えた。
雄飛「あれ?俺の仕事言ってなかった?」
美悠「きっ・・・聞いてないです・・・」
雄飛「『警察官』だよ。交番勤務。」
美悠「・・・それで格闘技してるんですかー・・。」
警察官なら格闘技はできたほうがいい。
三門さんが強いことも納得だった。
雄飛「俺は美悠が大学生だったことのほうが驚きなんだけど・・・」
美悠「え?」
雄飛「てっきり・・・高校生かと・・・」
美悠「!?」
身長が低いから年相応に見られることはないけど、高校生に見られてたことは・・・さすがにショックだった。
美悠「・・・ひどい。」
雄飛「!・・・ごめんな。もう覚えたから。『美悠は大学生』って。」
美悠「むー・・・。」
雄飛「むくれるなって・・・ちゃんとお詫びするから・・・。」
その言葉を聞いて、私は足を肩幅に開いた。
腰を落として腕を引き、突き出す。
シュッ・・・!
雄飛「おっと・・・!」
パシッと音を立てて、私は手を掴まれてしまった。
美悠「お詫びしてくれるなら一撃くらい入れさせてくださいよー・・・。」
雄飛「えぇぇぇ・・・?今は勤務中だから・・・今度の土曜な?いいか?」
美悠「入れさせてくれるの!?」
雄飛「無抵抗で美悠が納得するなら。」
無抵抗で一撃いれて納得なんかできるはずがない。
正面から一撃いれれたほうが・・・何倍も気持ちいいことを私は知ってる。
美悠「・・・その言い方はずるいです。」
雄飛「ははっ。とりあえず土曜日な。俺、仕事中だからもう行かないと。」
そう言って三門さんは大学の外に通じてる道を歩いていった。
美悠「警察官さんかー・・・。」
高い身長に、逞しい身体。
『警察官』という仕事がよく似合ってるように感じた。
美悠「・・・あ、『お詫び』として土曜日は、時間目一杯まで試合してもらおうかな。」
そんなことを考えながら、私は教務員室に足を向けた。
結局一撃も当たらないまま、私はタイムリミットを迎えた。
美悠「うぅぅ・・・不完全燃焼・・・。」
スカッと気分を晴らすことができなかった私。
仕方なく次回に持ち越す。
美悠「仕方ないよねー・・・三門さん、強いし・・」
どうやったら一撃入れれるかどうかを考えながら、更衣室で着替えを済ませた。
荷物をひとまとめにして、道場を後にする。
美悠「先生っ、私、週1で通うから・・・。お月謝いくらになります?」
道場の外まで見送ってくれた先生に聞いた。
師匠「月謝なんていらないよ。もう教えることなんてないしな。」
美悠「・・・いいんですか?」
師匠「あぁ。だから気が向いたら遊びにおいで。毎週でもいいし。」
美悠「ありがとうございます!じゃあまた土曜日に!」
そう言って私は駅に向かって歩き始めようとした。
その時・・・
雄飛「美悠!」
美悠「?」
後ろから三門さんに呼ばれ、私は振り返った。
雄飛「家、どっちだ?送ってくから。」
美悠「・・・へ?いや、大丈夫ですよ?」
雄飛「送ってく。」
美悠「ほんとに大丈夫ですって!変な人にはそう簡単にやられませんし・・・!」
現役時代は全国大会まで行ったことがある。
だから・・・自分の身は守れると思っていた。
雄飛「いいから。・・・ほら、どっちだ?」
美悠「・・・駅から下りで3駅・・。」
雄飛「おっけ。俺も3駅だからちょうどいいな。」
三門さんは私の隣を歩き始めた。
それも車道側を。
美悠(・・・三門さんが大きすぎて車が見えない(笑))
通り過ぎる車の音は聞こえるけど、その姿を確認できるのは過ぎ去ってからだった。
鍛えてるであろう身体は、筋肉がついてて・・・逞しい。
美悠「いいなー・・・。」
ぼそっと言うと聞こえてたみたいで、三門さんは私に聞き返してきた。
雄飛「なにが?」
美悠「!!・・・聞こえてたんですか?」
雄飛「バッチリ聞こえてた。で?なにが『いいな』?」
私は三門さんの腕の筋肉を指差した。
美悠「・・・筋肉。」
そう言うと三門さんは右手の手のひらを口にあて、声を殺して笑い始めた。
雄飛「くくっ・・・!」
美悠「!?・・・なんで笑うんですかー・・。」
雄飛「いや?筋肉を羨ましがる女の子なんていないなーって思って・・・ははっ・・・!」
美悠「?・・・そうですか?」
私はどんなに鍛えても三門さんみたいな筋肉はつかない。
これだけの筋肉がつけば・・・あの速さで打撃を繰り出すことも夢じゃない。
雄飛「あぁ、少なくとも俺の彼女は欲しがらないな(笑)」
美悠「私は欲しいですけどねー。」
そんな話をしてるうちに駅に着き、私たちは電車に乗り込んだ。
電車の中では空手や柔道の話で盛り上がり、3駅なんてあっという間についてしまう。
美悠「・・・送ってくださってありがとうございました。家、もうそこなんで・・・。」
そう言って私は、大きいマンションの手前にある自分のアパートを指差した。
雄飛「ん。気を付けてな。」
美悠「来週は負けませんからねー。」
雄飛「はいはい。軽くかわしてやるよ。」
三門さんは手を振りながら通りを曲がっていった。
私は足を進めて自分のアパートに向かう。
美悠「さー・・・どうやったら一撃いれれるかな。」
三門さんに一撃いれる方法を考えながら・・・私は今日を終えた。
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週明けの月曜日・・・
キーンコーンカーンコーン・・・
昼過ぎに大学の講義が終わった私は、教務員室に向かって歩いていた。
造りが複雑な上に広い広い大学の中は、何度も何度も角を曲がらないと教務員室に辿り着かない。
美悠「もー・・・複雑すぎでしょ・・・。」
ぼやきながら角を曲がった時、ちょうど反対方向から曲がってきた人と、私はぶつかってしまった。
どんっ・・・!
美悠「わぁっ・・・!?」
ぶつかったのは私の顔。
鼻をぶつけてしまい、思わず手で押さえる。
美悠「いたたたた・・・。」
「ごめん・・・!大丈夫?」
美悠「大丈夫・・・・・・」
そう答えようと、私はぶつかった人を見た。
その人は・・・私の知ってる人だった。
美悠「・・・三門さん!?」
雄飛「・・・美悠!?なんでここに!?」
美悠「なんでって・・・ここ、私が通ってる大学・・・ってか、三門さんこそその格好・・・」
紺色の帽子に、青や紺、黒を基調としたYシャツにズボン。
ベストみたいなものも着てるけど、ポケットに色々入ってそうだ。
なにより・・・腰元に銃らしきものが見えた。
雄飛「あれ?俺の仕事言ってなかった?」
美悠「きっ・・・聞いてないです・・・」
雄飛「『警察官』だよ。交番勤務。」
美悠「・・・それで格闘技してるんですかー・・。」
警察官なら格闘技はできたほうがいい。
三門さんが強いことも納得だった。
雄飛「俺は美悠が大学生だったことのほうが驚きなんだけど・・・」
美悠「え?」
雄飛「てっきり・・・高校生かと・・・」
美悠「!?」
身長が低いから年相応に見られることはないけど、高校生に見られてたことは・・・さすがにショックだった。
美悠「・・・ひどい。」
雄飛「!・・・ごめんな。もう覚えたから。『美悠は大学生』って。」
美悠「むー・・・。」
雄飛「むくれるなって・・・ちゃんとお詫びするから・・・。」
その言葉を聞いて、私は足を肩幅に開いた。
腰を落として腕を引き、突き出す。
シュッ・・・!
雄飛「おっと・・・!」
パシッと音を立てて、私は手を掴まれてしまった。
美悠「お詫びしてくれるなら一撃くらい入れさせてくださいよー・・・。」
雄飛「えぇぇぇ・・・?今は勤務中だから・・・今度の土曜な?いいか?」
美悠「入れさせてくれるの!?」
雄飛「無抵抗で美悠が納得するなら。」
無抵抗で一撃いれて納得なんかできるはずがない。
正面から一撃いれれたほうが・・・何倍も気持ちいいことを私は知ってる。
美悠「・・・その言い方はずるいです。」
雄飛「ははっ。とりあえず土曜日な。俺、仕事中だからもう行かないと。」
そう言って三門さんは大学の外に通じてる道を歩いていった。
美悠「警察官さんかー・・・。」
高い身長に、逞しい身体。
『警察官』という仕事がよく似合ってるように感じた。
美悠「・・・あ、『お詫び』として土曜日は、時間目一杯まで試合してもらおうかな。」
そんなことを考えながら、私は教務員室に足を向けた。
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