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ありがとう。

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店主「ひなたちゃーん!上がったよー!」

ひなた「はーい!すぐに持ってきますね?」





そう言って彼女は奥に入っていった。




優弥「・・・二十歳って・・。」

宏斗「若く見えたハズだわ・・・。」

航平「こりゃ犯罪の域だな。」





二人は彼女の年を聞いて諦めたようだったけど、俺は違った。





優弥(別に、ひなたが30になったとき、俺は38。問題は・・・ない。)





そう、年の差はどうでもよかった。

問題は・・・彼氏がいるかどうかだった。





優弥(聞くか・・・やめるか・・・迷うな。)






ひなた「お待たせしましたー。」





腕を組んで考えてる時に運ばれてきたチャーハンとギョーザ。

いつ出動の命令がでるかわからない俺たちはダッシュで食べ始めた。




宏斗「いただきます!」

航平「いただきます!」

優弥「いただきます!」





ばくばくと食べながらなら聞きやすいかと思って、思いきって聞いてみる。






優弥「ひなた?」

ひなた「はい?」





空いてるテーブルを布巾で拭いてる彼女。





優弥「彼氏とか・・・いるの?」




思いきった俺。

ドキドキしながら返事を待つ。




ひなた「彼氏?いませんよ?」

優弥「そ・・・そうなんだ。」

ひなた「?」




次に繋げれる言葉を探せられず、俺は押し黙った。

その時、消防署からけたたましいサイレンが聞こえてきた。




ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!




優弥「!!・・・あ、悪い!会計が・・・!」




いつも会計を言い出すやつが一緒じゃなかったからか、出し忘れてしまっていた。




店主「あとでもらいに行くから先行きなっ。」

宏斗「すんませんっ!」

航平「事務員に渡しときますんで!」

優弥「ごちそうさまでした!」

ひなた「いってらっしゃいー。」





俺たちは慌てて店を出てダッシュで署に戻った。

署に残ってた翔馬と合流して準備をし、消防車に乗り込む。





翔馬「行くぞっ。」

優弥「おぅっ。」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







ひなたside・・・






消防士さんたちが食べ残したご飯を、私は折に詰めていく。





ひなた「これが宏斗さんで、こっちが航平さん。で、最後が優弥さんっと。」




蓋に名前を書いてると、店主のおじさんが焼いた卵焼きを持って来た。




店主「ほら、入れてやりな。」

ひなた「・・・ふふ。はーい。」




店主のおじさんは、私が折に詰めてるとなにかおかずを持ってくる。

サービスとして入れてるけど・・・それにはちゃんとした理由があった。





ーーーーーーー




店主「1年前に倒れた時にあいつらが俺を病院まで運んでくれたんだよ。・・・一時は店をたたもうかと思ったけど・・・やっぱ無理でさ、平日の昼だけ営業することにした。」





ーーーーーーー







そんな話を、雇ってもらってすぐに聞いた覚えがあった。





店主「消防士は休みの日でも駆り出されることがある。ご飯食べてても、風呂に入ってても、出動命令がでたらすっ飛んで行かなきゃならない。・・・だからちょっとだけだけど『ありがとう』の気持ちで入れてやってくれ。」

ひなた「ふふ。入れておきます。」





折の中にスペースを作り、私は卵焼きを入れていく。

蓋を閉じて、向かいの消防署に向かって店を出た。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー







ひなた「すみませーん、あおぞら食堂ですー。」




事務所にいくと、いつもの人がお弁当を受け取ってくれる。




事務員「いつもごめんなさいね。」

ひなた「いえ、大丈夫です。」

事務員「支払いがまだって言ってたの聞いてるわ。ちょっと待ってて?」

ひなた「はーい。」




事務員の人が奥に消えていき、時間を持て余した私は辺りに貼ってあるポスターを眺めた。




ひなた「『防災月間』『空き巣に注意』『救急車はタクシーじゃない』・・・・いっぱいあるなぁ。」




たくさんの掲示物の中に、一つ気になるものがある。




ひなた「『人命救助講習会』?」




なんでも、心臓マッサージやAEDの使い方を勉強するとか書いてある。




ひなた「へぇー・・・。」





じーっと見てると、さっきの事務員さんが戻ってきて私に声をかけてくれた。




事務員「あ、それ気になる?」

ひなた「気になるってほどじゃないんですけど・・・。」

事務員「『何かあったときに何もできないよりはいい』って言って受けに来る人もいるのよ?無料だしね。」

ひなた「へぇー・・。」




事務員さんはお金を私に手渡してくれた。




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