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前倒しテスト。

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担任「・・・それは大丈夫だけど・・・お前はとりあえず一年一学期期末テストだぞ?」

秋臣「わかってます。それがクリア出来たら・・・二学期の中間テストを受けたい。」

担任「・・・わかった。範囲をやる。」



担任は引き出しをあけてプリントをくれた。

学年末テストの試験範囲が書かれてある。



担任「先に言っとくけど、前倒しテストのほうが難しいからな?実際やってもいない授業の中から出るし、範囲も幅広い。」

秋臣「大丈夫・・・です・・。」




そう答えたあと、プリントを見た俺はぞっとした。

そこに書かれていた範囲は・・・『広い』なんてものじゃなかった。



秋臣(教科書5ページから300ページって・・・全部じゃん!それも全教科・・・!)



担任「・・・前倒しテストは全教科各90点以上で合格だ。一教科でも下回ったら不合格。先には進めない。」

秋臣「・・・ちなみに中谷の成績は・・?」

りら「・・・全教科95点以上。」

秋臣「!!・・・やってやる・・!」




俺はプリントを鞄にしまった。




秋臣(参考書買わないと・・・。)



頭の中で勉強のプランを考えてると、中谷が思わぬ提案をしてきた。



りら「・・・一緒に勉強する?」

秋臣「!!」

りら「病院でだけど(笑)。」

秋臣「・・・する!」




この提案に乗らないとかは・・・男じゃない。

好きな子に近づけるチャンスだ・・・!



りら「いつからする?明日がいいかな?」

秋臣「今日!」

りら「わ・・・わかった。参考書とかは私のあるし・・・よかったら使って?」

秋臣「さんきゅっ。じゃあ・・・先にCDショップな!」



俺たちは職員室を出て、CDショップに向かって歩き始めた。

歩くスピードを彼女に合わせ、ゆっくり進む。



りら「ごめんね?歩くの遅くて。」

秋臣「いいや?全然大丈夫。」



中谷とならゆっくり歩くのも楽しい。

これが恋人同士ならもっといいけど・・・



秋臣(まずはテスト追いつかないと。)



ーーーーーーーーーー




CDショップに寄った俺たちは色々物色した。

手に取ったCDを、あーだこーだ言いながら見ていく。



りら「あ、工藤くんが言ってたのってどれ?」

秋臣「あぁ。えーと・・・。」



中谷が好きそうな曲を探しておいた俺。

タイトルを探して歩く。



秋臣「確かこの辺・・・あ、あった。」


CDを手に取って中谷に渡すと、クスクス笑いながら見始めた。



りら「ふふ。これ持ってる。」

秋臣「え!?あー・・・そっか。」



手に渡したCDを取り、棚に戻す。

その時、中谷は手を伸ばして1枚のCDを取った。


りら「あ、これ・・・。」

秋臣「うん?・・・・・!?」



中谷が手に取ったのは俺の曲。

雄星のバンドのやつのアルバムで・・・

収録されてる曲は全て俺が作ったやつだ。




りら「工藤くん、この『クレセント』ってバンド知ってる?」

秋臣「・・・知ってる。前にピアノのやつ借りたじゃん。」

りら「あはは、そうだね。前は違う人が編曲したピアノのやつだったんだけど、このバンド・・・作曲してる人が別にいるみたいなんだよねー。」

秋臣「ふーん?」

りら「・・・この人の曲のアルバムとかないのかなぁ。」

秋臣「さぁ・・・。」




俺は中谷の手からCDを取って棚に戻した。



りら「?」

秋臣「勉強・・・したい。」

りら「あ、そうだよね。ごめん。・・・行こっか。」

秋臣「おぅ。」





中谷が『俺』の曲を知ってる。

『クレセント』じゃなくて、俺の存在に気づいてた。

それも全部俺の曲でアルバムにしたやつを。



秋臣(偶然どこかで知ったのか?だとしても・・・)



『嬉しい』。



秋臣(やば・・・顔がニヤける・・・。)

りら「?」



俺は必死に顔を作りながら歩いた。








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