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ふるさとの文学と読書のつどい 2017 in 横手市

会場潜入レポート(1):はじめに

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 二〇一七年十月二十八日(土)、横手市の「平鹿ひらか生涯学習センター(浅舞あさまい公民館)」講堂にて、第一回目となる「ふるさとの文学と読書のつどい」が開催された。
 全国に先駆けて施行された「読書条例(秋田県民の読書活動の推進に関する条例)」に伴って定められた「県民読書の日」に合わせ開催されたイベントであり、僕たちを含め市内外から約三五〇人の読書好きが集まったらしい。


 全七条から成る「読書条例」は平成二十二(二〇一〇)年四月一日から施行されたもので、平成二十六(二〇一四)年から始まった「ふるさと秋田文学賞」は今年で第四回目を数えるに至った。
 そして十一月一日に「県民読書の日」が定められ、この日を中心とした一定の期間に読書イベントの集中開催などが行われているらしい。


 十三時三十分から「第四回ふるさと秋田文学賞」の表彰式があり、十四時からは地元の高校生たちによる受賞作の朗読、十四時二十分から「若者を引き込む読書の魅力とは」と題した座談会が行われる流れとなっていた。
 最後の座談会にはゲストとして、同市の十文字地域出身である檀蜜だんみつさんや秋田県知事である佐竹敬久さたけのりひささんなどをお招きし、読書に対する思いをそれぞれ熱く語り合った。


 横手駅で友達と合流し(この友達を仮にM氏としよう)、目的地には十二時三十分頃に着く。
 僕たちは浅舞公民館前に車を駐め、そこから会場へ向かう。受付のところで整理券の半券を切り、講堂へと続く列に並んだ。


 まもなくして開場する。
 進み始めた行列の中には、どこかのテレビ局だとかいう、小さなカメラを手に持った男性もいた。その男性の質問にM氏が短く答え、僕は行列の波に乗ってそそくさと講堂の中へと進んで行く。


 ふたり揃って着席したあと、四十分ほど雑談して時間を潰したのち、ようやく女性が出てきて皆一様に拍手した。
「ただいまから、ふるさとの文学と読書のつどい二〇一七、イン横手を開催いたします。わたくしは、実行委員で『おはなし大すきの会』代表、高橋恵美子たかはしえみこと申します。表彰式司会を務めますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 はじめに、主催者を代表して、秋田県知事・佐竹敬久さたけのりひさがご挨拶を申し上げます」


 佐竹知事
「みなさん、こんにちは。え~きょうは、多くのみなさんにご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。
 ふるさとの文学と読書のつどい二〇一七イン横手ということで、きょうのこの開催にあたりましては、関係する横手市さまをはじめ、県南地区の読書関連団体のみなさまから多大なご支援とご協力をいただきまして、この場をお借りして深く感謝を申し上げたいと存じます。
 え~わたくしどもは、全国の都道府県で唯一、読書活動の推進に関する条例が制定されておりまして、十一月一日を『県民読書の日』と定めるとともに『ふるさと秋田文学賞』を作りまして、県民からの絵本等の寄贈によるリサイクル文庫の普及、民間団体あるいは市町村と連携して、街中に図書コーナーを設置する取り組み運動、県民のライフステージや生活スタイルに応じた読書活動の向上に努めていくものであります。
 こうした取り組みによりまして、徐々にではありますが、県民の読書に対する意識の高まりが、感じられるのであります。
 え~さて、本年度の『ふるさと秋田文学賞』には全国から二部門合わせて、一〇六篇の応募があり、こののちの表彰式では、作品の選考にあたりました内館牧子うちだてまきこ先生、塩野米松しおのよねまつ先生、西木正明にしきまさあき先生にご臨席をいただき、入賞作品についてご講評いただけるということで、大変、嬉しく思っております。
 また、表彰式に続いて、高校生のみなさんによる文学賞受賞作品の朗読、横手市出身の壇蜜さんや選考委員の西木先生を交えた座談会と、まさしく読書の秋に相応ふさわしい多彩なプログラムとなっておりますので、みなさんには最後まで楽しんでいただき、読書の素晴らしさを改めて体感していただければ幸いでございます。
 え~読書は、心を潤し、想像力を高めるほか、ストレスの解消や、脳の活性化にも役立つと言われており、偶然に巡り合った一冊の本が、人生に寄り添い生涯の友になるということがあります。読書がみなさま一人ひとりの生活にしっかりと根づき、文化的で心豊かな人生ができるよう、県としても読書活動の推進に力を注いでいくものであり、きょうの契機に県民のみなさまの読書活動がさらに、進展することを祈りまして、わたくしからのあいさつと致します。きょうは、本当にありがとうございます!」


「本日、来賓として、秋田県議会のみなさまに、ご出席いただいておりますので、ご紹介申し上げます」
 一人ずつ名前を呼ばれ、そのたびに拍手が起こりこうべを垂れる。三人目が呼ばれたのち、最初に名前が呼ばれた人が起立した。
「代表いたしまして、秋田県議会『読書と図書活動をすすめる議員の会』副会長のカトウマリさまに、ご来賓のごあいさつを頂戴いたします」


「みなさん、こんにちは。ご紹介いただきました、県議会議員のカトウマリです。『読書と図書活動をすすめる議員の会』略して『読書議連』と呼んでおりますが、副会長を務めております。
 本日は『ふるさとの文学と読書のつどい』を、紅葉の美しいここ横手市で、たくさんの県民のみなさまのご参加のもとで開催されますことを、心からお祝い申し上げます。また本日『ふるさと秋田文学賞』を受賞されるみなさまにおかれましても、読書の町・横手市で表彰式を迎えられることは、受賞の喜びとともに本県の魅力を感じていただける、よい機会になると存じます。
 秋田県は平成二十二年に、都道府県で唯一、県民読書活動に関する条例を議員提案で制定いたしました。当時、読書議連の会長でありましたタケダヒデフミ議員が、本会議場で行った条例案の趣旨説明で『親やボランティアによる読み聞かせ運動を展開する。児童生徒には、学校での読書時間をより充実させる。お年寄りの方々には、地域で受け継がれてきた、貴重な民話や昔話の語り部として、次代に継承する役割を担ってもらう』と熱く語られました。
 県民参加のもとで、読書活動が生活に根を張り、県民とみなさまお一人お一人が人生を実り豊かに生きていってほしい。そのために、議会と県は一体となって取り組んでいく、という決意を込めたものであります。
 以来『県民読書の日』の制定や『ふるさと秋田文学賞』の創設、県民からの寄贈による『リサイクル文庫』の設置などに取り組んで参りました。
 わたしたちはいま、社会情勢が激しく変化する時代を生きております。変化の波に上手に乗って生きていくための知識も必要かと思います。しかしまた、波に翻弄されずに生きる知恵も必要ではないでしょうか。
 県民のみなさまが、今後とも本のある暮らしの中で、心のかてを充実させながら、豊かな人生を送っていただけますように、ご祈念申し上げましてお祝いの言葉とさせていただきます。
 本日は本当に、おめでとうございます」


「ありがとうございました。『ふるさと秋田文学賞』は小説の部と随筆・紀行文の部の二部門で応募し、十月上旬の最終選考会にて『ふるさと秋田文学賞』と『ふるさと秋田文学賞 佳作』の受賞作品をそれぞれ一篇ずつ決定いたしました。
 選考は本日おいでいただいている三人の先生方に、お願いいたしました。選考委員の方々をご紹介いたします。
 秋田市出身の脚本家、内館牧子うちだてまきこさま。仙北市、旧鹿角町出身の作家、塩野米松しおのよねまつさま。同じく仙北市、旧西木村出身の作家、西木正明にしきまさあきさま」

「本日の表彰式には、賞に選ばれました四名の方に、ご出席いただいております。また、お祝いとして、花による人づくりの県民運動をしております『秋田県花いっぱい運動の会』さまにご協力いただき、舞台の横には『NAMAHAGEナマハゲ』ダリアを飾っていただきましたので、ご紹介いたします。
 それでは、表彰に移ります。佐竹知事、中央にお願いします」


「受賞者は、紹介いたしましたら、ステージ中央にお進みください。
 小説の部『ふるさと秋田文学賞』は夢野寧子ゆめのねいこさんの『ヘミングウェイに聞いてみて』です。随筆・紀行文の部『ふるさと秋田文学賞』は、青山あおやまトーゴさんの『譲り葉』です。
 小説の部『ふるさと秋田文学賞 佳作』は、渡部麻実わたべあさみさんの『みずのたたき、てふてふの花』です。随筆・紀行文の部『ふるさと秋田文学賞 佳作』は、鹿住敏子かずみとしこさんの『「生きる」父の愛した映画』です」


 一人ずつ呼ばれ、中央の知事がいるところへ、歩みを進めていった。続きは、次章で。


(※台詞セリフに関しては聞き取れた部分、聞き取れなかった部分は改変して記載しています。また、誤字脱字を含めて、部分的に間違って記載されている場合もあります)


 出典1:市報よこて 2017年12月1日号(https://www.city.yokote.lg.jp/files/000124615.pdf)
 出典2:秋田県公式サイト 美の国あきたネット(https://www.pref.akita.lg.jp/pages/genre/12569)
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