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36.転生
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七年後、松戸で一人の少年が片膝を折り、合掌していた。
「目黒さん、オレがみんなを守ります。見てて下さい」
少年は、そう言って一輪の花を地面に捧げた。
「アキラ!またここに来てたの?帰るわよ」
金髪の美女が空から飛んできた。
「勝手にいなくなったらダメって、いつも言ってるでしょ」
「ゴメン、マリ。」
「帰るわよ。明日から大変なんだから」
「はい、はい、わかってるよ」
金髪の美女はマリだった。ダンジョン崩壊から七年たち二十三歳になっていた。幼かった面影は少し残ってはいるものの、成熟した大人の魅力を身にまとった美女になっていた。
少年は、アキラの生まれ変わりだった。マリは、そのことを知っていたので「アキラ」と名をつけ、溺愛した。マリによく似た顔立ちで、碧い目、黒髪の美少年だ。
二人は市ヶ谷に向けて飛んで行った。
やがて目の前に大きな街が見えてきた。市ヶ谷基地を中心に街の復興が進み、日本中から生き残った人々が集まってきて、いまや人口が五百万になろうとする大都市。周囲を巨大な壁で囲われた、その街は、
「迷宮都市 新東京」
と呼ばれていた。
二人は市ヶ谷基地に降り立った。
朝比奈が二人を出迎えた。
「お帰りなさい。みなさん、会議室でお待ちです」
「分かりました。アキラもいっしょに来てね」
マリが、笑みを浮かべてアキラを見た。
「ええ、やだよ。七歳の子供だよ。みんなと遊ぶ」
アキラが、頬を膨らませて抗議をした。
マリが、アキラを睨んで頬をつねった。
「都合が悪くなると、子供の振りして逃げるのは止めて。これはアキラが計画したことなんだから、責任をとってよね」
「ちぇっ、わかってるよ。」
マリはアキラの手を引いて会議室に向かった。
会議が終わり、田所がアキラとマリのところにやってきた。
「お疲れさま、いよいよ明日だね」
「はぁー、私やっぱり、国主なんてやりたくないです。田所さんがやってください」
マリがため息をつき、田所が困った顔をした。
「マリ君以上に人心を纏められる人はいない。雑務は私たちが引き受けるから、お願いだ」
「一度は引き受けたんだから、逃げちゃダメでしょ」
アキラがさらっと言うと、マリがキッとアキラを睨んで、アキラの両頬をつねった。
「誰のせいで、こうなったと思ってるのよ。アキラのせいでしょ!」
「い、いてて。暴力反対!」
はぁー、マリは大きなため息をついた。
「分かってます。分かりました。もう部屋に戻ります」
「うむ、ゆっくり休んでくれたまえ。では明日」
アキラとマリは最上階の部屋へ飛んでいった。
「今日は、アキラがお風呂を沸かしてくれない?」
「いいよ」
アキラは、いつものように魔法でお風呂の準備をした。生まれ変わって、魔法はマリ以上に、身体能力は以前のアキラ以上に扱えるようになっていた。さらに生まれたときから魔力量が多く、魔石なしで多くの魔法を使えたので、神童と呼ばれていた。
アキラは、さっさと湯を沸かし、先にお風呂に浸かった。
「お風呂湧いたよ」
マリが風呂場に入ってきた。それを嬉しそうにアキラは見つめていた。
「マリ、いつ見ても奇麗だな」
「な、なに言ってるの!アキラのバカ!」
マリは顔を赤らめて、急いでお風呂に浸かった。そしてアキラを抱きしめた。
「もう、離さない。離れないんだからね」
「うん、分かってる」
マリは思い出していた。七年前アキラが死んだ日のことを。悲しくて、辛くて、絶望して泣いた。そのとき魔法陣がお腹の中に現れ、アキラの声が聞こえた気がした。魔法陣はすぐ消えたが、それが魂の魔法陣だと直感した。
その後、市ヶ谷に戻ってから、妊娠三か月だと判明した。
「アキラが私の中にいる!」
マリは生まれてくる子の名前を「アキラ」と決めた。アキラの生まれ変わりだから「アキラ」なのと言って、周りから呆れられていた。しかしマリの喜んでいる姿に、誰も何も言わなかった。
「私のアキラ、私だけのも、もう離さない。絶対離れないから」
そう言って飛び回っては、周りははらはら見ていた。
その時のことを思い出して、マリは恥ずかしくなった。
「ふふ、アキラがお腹の中にいるって分かったときは、本当に嬉しかったわ」
「オレは、転生したって気づいたときは、ビックリしたよ」
アキラも思い出していた。自分が目覚めたときの事を。
夢を見ている気がした。いろんな夢が現れて消えていった。そして「アキラ」という声が聞こえハッとしたが、すぐ眠くなり、また夢に落ちていった。
生後三か月たったとき、長い夢を見た、最後に光に包まれて、マリを見ている夢だった。「アキラ、アキラ、アキラー!」と言う声が聞こえ、急に意識がはっきしりした。
「オレはアキラだ!」
生きている!大喜びした。しかし何かが変だった。
すべてがぼやけて見える。手足が、体が思うように動かせない。喋ろうと思っても泣き声しか出ない。すぐお腹がすいた。すると口に何かが吸いついて飲み物のようなものが流れ込んだ。そしたら眠くなった。
そんな事を三回繰り返したとき、自分が赤ん坊だと気がついた。生まれ変わった!転生した!と理解した。
アキラは起きている間は、魔力操作とダンジョン・コアの解析をした。
「アキラの魔力が強くなったのも、その頃からだったわね」
「あの後マリに転生したことを伝えたくて、必死にがんばってたな」
「がんばって、泣いて、お乳を吸って、うんちしてたわね」
「赤ちゃんだから、当然じゃね?」
「四か月のときだったわね。無性にダンジョン・コアに触らないといけないと思ったのは」
「あの時、マリに思いが届いて良かったよ」
アキラが生後四か月のとき、マリは、ダンジョン・コアに触らないといけないという衝動に突き動ごかされていた。アキラを抱っこしてダンジョン・コアの前に立った。触りたくなかったが、アキラも必死にダンジョン・コアに触ろうとしてるのを見て、決心して触った。
気がついたときはダンジョン・コアの中にいた。
「しまった。戻る方法を知らない。どうしらいいの?」
マリは焦った。
「マリ、聞こえるかい?」
「アキラ、アキラなの?」
突然アキラの声が聞こえてきて、驚き、心が震えてきた。
「うん、オレだよ」
「ああ、アキラと話ができるなんて、嬉しいわ」
「意識が、魂が繋がったからだよ」
「あ、そうだ。戻る方法を知らない?」
「それなら大丈夫、オレが知っているから」
「ふう、良かったあ」
「マリ今から言う事を、しっかり聞いて欲しい」
「え、ええ。わかったわ」
「非常に大切な事を、マリの魂に直接送る」
「え、ええ?」
「混乱するとは思うけど、とにかく無心で受け止めて欲しい」
「???」
「後で、ゆっくりと思い出して欲しい。じゃあ、始めるよ」
「ちょっ、ちょっと待って。意味が分からないわ」
「とにかく何も考えず、頭を空っぽにして」
「わ、わかったわ」
その瞬間、物凄い量の魔法陣が周囲に現れた。そして一気になだれ込んできた。
「え、ええ、ちょっ、ちょっと」
物凄い量の情報が津波のごとく流れ込み、マリは混乱し、そして意識が消えていった。
気がついたときは、ダンジョン・コアの前にいた。
「アキラ、ねえアキラってば!」
マリは生後四か月の赤ん坊をぶんぶん揺すった。赤ん坊は大声で泣き叫んだ。
「もう、こんな時に泣かないでよ!」
泣くしかないだろ!赤ん坊だぞ!とアキラは心の中でため息をついた。
その後マリは情報を思い出し、整理していった。1か月して、アキラの計画の全容が掴めてきた。しかし抜け落ちた情報があった。それでもう一度ダンジョン・コアに触れることした。
「アキラ、いる?」
「うん、いるよ。」
「よかった。分からないことがあるの。教えて」
「わかった。でも、これで最後にしよう。魂が深く混ざり合いすぎると、自我が保てなくなるから」
「え、そうなの?」
「うん、だから手短に、分からない内容をオレに送って。思い浮かべるだけでいいから」
「わ、分かったわ」
しばらくして、
「今から送るから。今度は漏らさないように全部受け止めてね」
「うん、分かったわ」
「いくよ」
そして大量の魔法陣が現れて、マリの中に流れ込んだ。
お風呂の中、マリはその時のことを思い返していた。
あれから自分がどれだけ苦労したか!そして赤ん坊のアキラは、泣いて、お乳を吸って、うんちしていただけだった。沸々と怒りが込み上げてきた。
マリはアキラの両頬を思いっきりつねった。
「い、いてー!急に何すんだよ!」
「ぜんぶ、アキラのせいだからね!」
「はいい?」
アキラは、どうしてこうなったか分からず、涙目になっていた。
アキラとマリはソファーに座って、夕食をとっていた。
窓の外を見た。新東京にたくさんの明かりが灯っていて、多くの人々が暮らしていることが実感された。
「長いようで、あっという間の七年だったわ」
「何とか、間に合った。ありがとう。マリ」
「いっぱい感謝してもらわないと、割に合わないわ」
「いよいよ明日だね」
「ええ、いよいよね」
明日は、二回目のダンジョン崩壊、大災害が起こる日だった。
この日のため、生き残るため、対策を考えて実行してきた。
まずは、魔法を扱える人を増やす。
次に魔法を使って、インフラ、都市の整備。
さらに魔法部隊の設立。
そして関東一円のダンジョンを消すか魔石製造機に変える。
これらと並行して城壁の建築、日本中から人を避難させる。
あとは、全力で事に当たるだけだ。
生存を賭けた戦いの前に、静かな夜が過ぎていった。
「目黒さん、オレがみんなを守ります。見てて下さい」
少年は、そう言って一輪の花を地面に捧げた。
「アキラ!またここに来てたの?帰るわよ」
金髪の美女が空から飛んできた。
「勝手にいなくなったらダメって、いつも言ってるでしょ」
「ゴメン、マリ。」
「帰るわよ。明日から大変なんだから」
「はい、はい、わかってるよ」
金髪の美女はマリだった。ダンジョン崩壊から七年たち二十三歳になっていた。幼かった面影は少し残ってはいるものの、成熟した大人の魅力を身にまとった美女になっていた。
少年は、アキラの生まれ変わりだった。マリは、そのことを知っていたので「アキラ」と名をつけ、溺愛した。マリによく似た顔立ちで、碧い目、黒髪の美少年だ。
二人は市ヶ谷に向けて飛んで行った。
やがて目の前に大きな街が見えてきた。市ヶ谷基地を中心に街の復興が進み、日本中から生き残った人々が集まってきて、いまや人口が五百万になろうとする大都市。周囲を巨大な壁で囲われた、その街は、
「迷宮都市 新東京」
と呼ばれていた。
二人は市ヶ谷基地に降り立った。
朝比奈が二人を出迎えた。
「お帰りなさい。みなさん、会議室でお待ちです」
「分かりました。アキラもいっしょに来てね」
マリが、笑みを浮かべてアキラを見た。
「ええ、やだよ。七歳の子供だよ。みんなと遊ぶ」
アキラが、頬を膨らませて抗議をした。
マリが、アキラを睨んで頬をつねった。
「都合が悪くなると、子供の振りして逃げるのは止めて。これはアキラが計画したことなんだから、責任をとってよね」
「ちぇっ、わかってるよ。」
マリはアキラの手を引いて会議室に向かった。
会議が終わり、田所がアキラとマリのところにやってきた。
「お疲れさま、いよいよ明日だね」
「はぁー、私やっぱり、国主なんてやりたくないです。田所さんがやってください」
マリがため息をつき、田所が困った顔をした。
「マリ君以上に人心を纏められる人はいない。雑務は私たちが引き受けるから、お願いだ」
「一度は引き受けたんだから、逃げちゃダメでしょ」
アキラがさらっと言うと、マリがキッとアキラを睨んで、アキラの両頬をつねった。
「誰のせいで、こうなったと思ってるのよ。アキラのせいでしょ!」
「い、いてて。暴力反対!」
はぁー、マリは大きなため息をついた。
「分かってます。分かりました。もう部屋に戻ります」
「うむ、ゆっくり休んでくれたまえ。では明日」
アキラとマリは最上階の部屋へ飛んでいった。
「今日は、アキラがお風呂を沸かしてくれない?」
「いいよ」
アキラは、いつものように魔法でお風呂の準備をした。生まれ変わって、魔法はマリ以上に、身体能力は以前のアキラ以上に扱えるようになっていた。さらに生まれたときから魔力量が多く、魔石なしで多くの魔法を使えたので、神童と呼ばれていた。
アキラは、さっさと湯を沸かし、先にお風呂に浸かった。
「お風呂湧いたよ」
マリが風呂場に入ってきた。それを嬉しそうにアキラは見つめていた。
「マリ、いつ見ても奇麗だな」
「な、なに言ってるの!アキラのバカ!」
マリは顔を赤らめて、急いでお風呂に浸かった。そしてアキラを抱きしめた。
「もう、離さない。離れないんだからね」
「うん、分かってる」
マリは思い出していた。七年前アキラが死んだ日のことを。悲しくて、辛くて、絶望して泣いた。そのとき魔法陣がお腹の中に現れ、アキラの声が聞こえた気がした。魔法陣はすぐ消えたが、それが魂の魔法陣だと直感した。
その後、市ヶ谷に戻ってから、妊娠三か月だと判明した。
「アキラが私の中にいる!」
マリは生まれてくる子の名前を「アキラ」と決めた。アキラの生まれ変わりだから「アキラ」なのと言って、周りから呆れられていた。しかしマリの喜んでいる姿に、誰も何も言わなかった。
「私のアキラ、私だけのも、もう離さない。絶対離れないから」
そう言って飛び回っては、周りははらはら見ていた。
その時のことを思い出して、マリは恥ずかしくなった。
「ふふ、アキラがお腹の中にいるって分かったときは、本当に嬉しかったわ」
「オレは、転生したって気づいたときは、ビックリしたよ」
アキラも思い出していた。自分が目覚めたときの事を。
夢を見ている気がした。いろんな夢が現れて消えていった。そして「アキラ」という声が聞こえハッとしたが、すぐ眠くなり、また夢に落ちていった。
生後三か月たったとき、長い夢を見た、最後に光に包まれて、マリを見ている夢だった。「アキラ、アキラ、アキラー!」と言う声が聞こえ、急に意識がはっきしりした。
「オレはアキラだ!」
生きている!大喜びした。しかし何かが変だった。
すべてがぼやけて見える。手足が、体が思うように動かせない。喋ろうと思っても泣き声しか出ない。すぐお腹がすいた。すると口に何かが吸いついて飲み物のようなものが流れ込んだ。そしたら眠くなった。
そんな事を三回繰り返したとき、自分が赤ん坊だと気がついた。生まれ変わった!転生した!と理解した。
アキラは起きている間は、魔力操作とダンジョン・コアの解析をした。
「アキラの魔力が強くなったのも、その頃からだったわね」
「あの後マリに転生したことを伝えたくて、必死にがんばってたな」
「がんばって、泣いて、お乳を吸って、うんちしてたわね」
「赤ちゃんだから、当然じゃね?」
「四か月のときだったわね。無性にダンジョン・コアに触らないといけないと思ったのは」
「あの時、マリに思いが届いて良かったよ」
アキラが生後四か月のとき、マリは、ダンジョン・コアに触らないといけないという衝動に突き動ごかされていた。アキラを抱っこしてダンジョン・コアの前に立った。触りたくなかったが、アキラも必死にダンジョン・コアに触ろうとしてるのを見て、決心して触った。
気がついたときはダンジョン・コアの中にいた。
「しまった。戻る方法を知らない。どうしらいいの?」
マリは焦った。
「マリ、聞こえるかい?」
「アキラ、アキラなの?」
突然アキラの声が聞こえてきて、驚き、心が震えてきた。
「うん、オレだよ」
「ああ、アキラと話ができるなんて、嬉しいわ」
「意識が、魂が繋がったからだよ」
「あ、そうだ。戻る方法を知らない?」
「それなら大丈夫、オレが知っているから」
「ふう、良かったあ」
「マリ今から言う事を、しっかり聞いて欲しい」
「え、ええ。わかったわ」
「非常に大切な事を、マリの魂に直接送る」
「え、ええ?」
「混乱するとは思うけど、とにかく無心で受け止めて欲しい」
「???」
「後で、ゆっくりと思い出して欲しい。じゃあ、始めるよ」
「ちょっ、ちょっと待って。意味が分からないわ」
「とにかく何も考えず、頭を空っぽにして」
「わ、わかったわ」
その瞬間、物凄い量の魔法陣が周囲に現れた。そして一気になだれ込んできた。
「え、ええ、ちょっ、ちょっと」
物凄い量の情報が津波のごとく流れ込み、マリは混乱し、そして意識が消えていった。
気がついたときは、ダンジョン・コアの前にいた。
「アキラ、ねえアキラってば!」
マリは生後四か月の赤ん坊をぶんぶん揺すった。赤ん坊は大声で泣き叫んだ。
「もう、こんな時に泣かないでよ!」
泣くしかないだろ!赤ん坊だぞ!とアキラは心の中でため息をついた。
その後マリは情報を思い出し、整理していった。1か月して、アキラの計画の全容が掴めてきた。しかし抜け落ちた情報があった。それでもう一度ダンジョン・コアに触れることした。
「アキラ、いる?」
「うん、いるよ。」
「よかった。分からないことがあるの。教えて」
「わかった。でも、これで最後にしよう。魂が深く混ざり合いすぎると、自我が保てなくなるから」
「え、そうなの?」
「うん、だから手短に、分からない内容をオレに送って。思い浮かべるだけでいいから」
「わ、分かったわ」
しばらくして、
「今から送るから。今度は漏らさないように全部受け止めてね」
「うん、分かったわ」
「いくよ」
そして大量の魔法陣が現れて、マリの中に流れ込んだ。
お風呂の中、マリはその時のことを思い返していた。
あれから自分がどれだけ苦労したか!そして赤ん坊のアキラは、泣いて、お乳を吸って、うんちしていただけだった。沸々と怒りが込み上げてきた。
マリはアキラの両頬を思いっきりつねった。
「い、いてー!急に何すんだよ!」
「ぜんぶ、アキラのせいだからね!」
「はいい?」
アキラは、どうしてこうなったか分からず、涙目になっていた。
アキラとマリはソファーに座って、夕食をとっていた。
窓の外を見た。新東京にたくさんの明かりが灯っていて、多くの人々が暮らしていることが実感された。
「長いようで、あっという間の七年だったわ」
「何とか、間に合った。ありがとう。マリ」
「いっぱい感謝してもらわないと、割に合わないわ」
「いよいよ明日だね」
「ええ、いよいよね」
明日は、二回目のダンジョン崩壊、大災害が起こる日だった。
この日のため、生き残るため、対策を考えて実行してきた。
まずは、魔法を扱える人を増やす。
次に魔法を使って、インフラ、都市の整備。
さらに魔法部隊の設立。
そして関東一円のダンジョンを消すか魔石製造機に変える。
これらと並行して城壁の建築、日本中から人を避難させる。
あとは、全力で事に当たるだけだ。
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