6 / 41
6.入れ替わった幼馴染
しおりを挟む
アキラはひどい頭痛がして目を覚ました。ゆっくりと記憶をたどる。ダンジョンから脱出しようとして光に包まれて落ちていったような気がする。
ここはダンジョン?魔物がいるかも?
急いで逃げなければと思い、起き上がろうとしたが全身に痛みが走り、動けなかった。周りを確認しようと目を開けようとしたが、さらに頭痛がひどくなり、とても開けられなかった。
どうすることもできない。このまま死んでしまうのか。短い人生だった。いろいろ考えていたが、そのうち考えるのを止めた。諦めの心境で、ただ呼吸だけをした。しばらくすると臍のあたりが暖かくなり、光りだした。そこから全身に光の線が伸びていく。その光景に意識が釘付けになった。
頭まで光の線が届いたとき、頭痛が消え、目を閉じてているのに視界が明るくなった。そして、光が波のように脳から臍へ、臍から全身へ、そして全身から臍へと循環し始めた。不思議な感覚だった。いつのまにか体の痛みも消えていた。
ゆっくり目を開けてみてた。
星が見えた。外に出られたんだ!ほっとした。
「そうだ、マリは?」
思わず手足を動かして体を起こしたが、痛みはなかった。周りを見回すと、近くに人が倒れているのが見えた。急いで駆け寄り、顔を覗き込み、仰天した。
それは九条アキラにそっくりだったのだ。
思わず周りを見回し、大声で「マリー!マリー!」と叫んだ。そしてさらに驚いた。女性の声だった。しかもマリに似ていた。恐ろしい考えが浮かんだ。
確かめなくてはと思い、恐る恐る両胸を触った。大きくて柔らかかった。冷汗が出てきた。さらに股間に手を伸ばす。本来あるべき物がなかった。愕然とした。
心と体が入れ替わってしまったのだ!
呆然と男の体を見つめていた。冷たい風が頬をなでていった。
しばらくして、男の体が小さくビクッと震え、眉間が険しくなった。さっきの自分みたいに痛いんだ。なら意識は戻ったんだ。
「マリ、何も考えず、ゆっくり深呼吸するんだ」
また眉間にしわが寄った。
「力を抜いて、ゆっくり深呼吸」
何回も耳元で叫んだ。ようやく眉間のしわがなくなり、静かな呼吸になった。
さっき自分がやった光の循環をマリもできれば、きっと動けるようになるはずだ。しかし、どうやったら教えることができるのだろうか?言葉で伝えるのは正直難しいと思った。目を瞑って思案していたら、男の体の臍のあたりに光が見えた。そこに意識を集中させたら光が強くなってきた。
もしかしたらうまくいくかもしれない?さっき自分がしたように、光の線が全身に広がるのを想像した。意識を集中すればするほど、光の線は輝き全身に届いた。そして循環させるようにしてみた。急に全身がうっすらと光に包まれて、やがて消えていった。うまくいった。そう確信した。
「マリ、聞こえるか?聞こえたら目を開けて。」
ゆっくりと男の瞼が開いた。
「あなた、誰?」
九条アキラの声で返事が返ってきた。
マリは瞼を開いて、驚き、困惑していた。自分とまったく同じ顔の女の子が、「よかった。よかった」と自分の体を揺すっていたのだ。何が起こっているのか、まったく理解できなかった。
「そうだ!アキラは?」と体を起こした。周りを見回したが、アキラの姿は見えなかった。そしたらマリの体をした女の子が抱きついてきた。恐ろしくなり、その子を突き飛ばした。
「アキラ、どこ!」
そう言って、立って逃げようとした。
「マリ、オレだ、アキラだ」
マリの姿形をした女の子が、マリと同じ声で、腕をつかんできた。
「離して!」
腕を振り払って、そして自分の声に驚いた。アキラの声に似ていたからだ。手を見た。それは男のように大きく太かった。顔を触ったらゴツゴツしていた。恐る恐る胸を触ったら、胸のふくらみはなく、平だった。何が起こったのか分からず、キャーと大声を出し、その後のことはよく覚えていない。
泣きながらマリがつぶやいた。
「仕事なんか受けなきゃ良かった…ねえ、元に戻れるの?」
「たぶん可能だと思う」
「えっ…ほんと?ほんとなの?」
しばらく沈黙した後、アキラが口を開いた。
「もう一度ダンジョンに入って、あの時と同じ状況を再現するんだ」
マリは俯いて黙り込んだ。当然の反応だ。でも、それしか手はない。そして、なぜか分からないけどできるという変な確信がアキラにはあった。
しばらくして、マリが尋ねた。
「本当にダンジョンに入らないといけないの?」
強い口調でアキラが返事をした。
「うん」
「わかった」
すすり泣きながらマリが身を寄せてきた。
「マリはオレが守る」
「バカ」
二人はお互いをいたわるように抱き合った。
ここはダンジョン?魔物がいるかも?
急いで逃げなければと思い、起き上がろうとしたが全身に痛みが走り、動けなかった。周りを確認しようと目を開けようとしたが、さらに頭痛がひどくなり、とても開けられなかった。
どうすることもできない。このまま死んでしまうのか。短い人生だった。いろいろ考えていたが、そのうち考えるのを止めた。諦めの心境で、ただ呼吸だけをした。しばらくすると臍のあたりが暖かくなり、光りだした。そこから全身に光の線が伸びていく。その光景に意識が釘付けになった。
頭まで光の線が届いたとき、頭痛が消え、目を閉じてているのに視界が明るくなった。そして、光が波のように脳から臍へ、臍から全身へ、そして全身から臍へと循環し始めた。不思議な感覚だった。いつのまにか体の痛みも消えていた。
ゆっくり目を開けてみてた。
星が見えた。外に出られたんだ!ほっとした。
「そうだ、マリは?」
思わず手足を動かして体を起こしたが、痛みはなかった。周りを見回すと、近くに人が倒れているのが見えた。急いで駆け寄り、顔を覗き込み、仰天した。
それは九条アキラにそっくりだったのだ。
思わず周りを見回し、大声で「マリー!マリー!」と叫んだ。そしてさらに驚いた。女性の声だった。しかもマリに似ていた。恐ろしい考えが浮かんだ。
確かめなくてはと思い、恐る恐る両胸を触った。大きくて柔らかかった。冷汗が出てきた。さらに股間に手を伸ばす。本来あるべき物がなかった。愕然とした。
心と体が入れ替わってしまったのだ!
呆然と男の体を見つめていた。冷たい風が頬をなでていった。
しばらくして、男の体が小さくビクッと震え、眉間が険しくなった。さっきの自分みたいに痛いんだ。なら意識は戻ったんだ。
「マリ、何も考えず、ゆっくり深呼吸するんだ」
また眉間にしわが寄った。
「力を抜いて、ゆっくり深呼吸」
何回も耳元で叫んだ。ようやく眉間のしわがなくなり、静かな呼吸になった。
さっき自分がやった光の循環をマリもできれば、きっと動けるようになるはずだ。しかし、どうやったら教えることができるのだろうか?言葉で伝えるのは正直難しいと思った。目を瞑って思案していたら、男の体の臍のあたりに光が見えた。そこに意識を集中させたら光が強くなってきた。
もしかしたらうまくいくかもしれない?さっき自分がしたように、光の線が全身に広がるのを想像した。意識を集中すればするほど、光の線は輝き全身に届いた。そして循環させるようにしてみた。急に全身がうっすらと光に包まれて、やがて消えていった。うまくいった。そう確信した。
「マリ、聞こえるか?聞こえたら目を開けて。」
ゆっくりと男の瞼が開いた。
「あなた、誰?」
九条アキラの声で返事が返ってきた。
マリは瞼を開いて、驚き、困惑していた。自分とまったく同じ顔の女の子が、「よかった。よかった」と自分の体を揺すっていたのだ。何が起こっているのか、まったく理解できなかった。
「そうだ!アキラは?」と体を起こした。周りを見回したが、アキラの姿は見えなかった。そしたらマリの体をした女の子が抱きついてきた。恐ろしくなり、その子を突き飛ばした。
「アキラ、どこ!」
そう言って、立って逃げようとした。
「マリ、オレだ、アキラだ」
マリの姿形をした女の子が、マリと同じ声で、腕をつかんできた。
「離して!」
腕を振り払って、そして自分の声に驚いた。アキラの声に似ていたからだ。手を見た。それは男のように大きく太かった。顔を触ったらゴツゴツしていた。恐る恐る胸を触ったら、胸のふくらみはなく、平だった。何が起こったのか分からず、キャーと大声を出し、その後のことはよく覚えていない。
泣きながらマリがつぶやいた。
「仕事なんか受けなきゃ良かった…ねえ、元に戻れるの?」
「たぶん可能だと思う」
「えっ…ほんと?ほんとなの?」
しばらく沈黙した後、アキラが口を開いた。
「もう一度ダンジョンに入って、あの時と同じ状況を再現するんだ」
マリは俯いて黙り込んだ。当然の反応だ。でも、それしか手はない。そして、なぜか分からないけどできるという変な確信がアキラにはあった。
しばらくして、マリが尋ねた。
「本当にダンジョンに入らないといけないの?」
強い口調でアキラが返事をした。
「うん」
「わかった」
すすり泣きながらマリが身を寄せてきた。
「マリはオレが守る」
「バカ」
二人はお互いをいたわるように抱き合った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件
森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。
学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。
そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる