プロビデンスは見ていた

深月珂冶

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ラピスラズリの復讐

ラピスラズリの復讐 3

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  私はお盆にコーヒーを二つ置き、森本のいる店の玄関に戻る。

「お待たせ」
「おう。本当、ごめん」
  森本は頭を下げてきた。

「いいよ。それが私の役目だから。ところで、被害者の由加子はなんで死んだの?」
「実は犯人が死んでいて、どう死んだのか。殺されたには変わりないんだ。ただちょっと」

  森本は言い難そうだった。事態は結構深刻なのだろうか。私は嫌な気分になる。

「ちょっとって?」
「あのその。白井由加子の遺体であったことも、確証が持てないんだ」
「確証が持てない?どういうこと?由加子は生きているの?」

  私は混乱してきた。森本は私の動揺具合に、驚く。

「落ち着け。いいから、落ち着いてくれ。白井の家族にも遺体は確認してもらった。彼女に変わりはないって。でも、何となく腑に落ちなくて。行方不明になっている女性がいるんだ」
「どういうこと?」

  森本が何を言いたいのか解らなかった。

「だからその女性と入れ替わったのかなと」
「入れ替わった?」

  私はミステリ小説のような出来事に、驚くしかなかった。

「誰と入れ替わったの?」
「誰とはまだ断定できていなんだ。それも見てほしい」

   私は頭が混乱する。入れ替わる?どうやって?

「ただ他にも気がかりが」
「ただ?なに勿体ぶっているの?」
「落ち着いて聞いてくれ。顔がつぶれていたんだ」
「つぶれていた……?」


  私は目の前が真っ暗になった。
  あんなに大変な思いをした由加子の最後は、悲惨なものだったのか。

「……う…うそ」
「だから、それをお前に確かめてほしい。お前にとって精神的苦痛が凄いのは解っている。お願いします」

  森本は私に再び頭を下げた。
  私はくうを見つめる。由加子は顔を潰されて殺された?
  どういうこと。私は自然と涙が出てきた。
  嗚咽をし、声を出して泣いた。

  森本は困惑する。私の背中をなでた。

「辛いよな。本当に」
「由加子は。由加子はどうして………」
「今日はもう止めたほうがいいか。俺、引き返すよ。お前の心が整ったらまた連絡してくれ。近いうちが望ましい」

  私は泣きながら、首を縦に振る。
  森本はラピスラズリのピアスを丁寧に、ジッパーのビニール袋に仕舞う。
  森本は店を出て、帰って行った。

  森本が居なくなった後、私は店の片づけを始める。
  いくら悲しくても辛くても、やらないといけないことがある。
   私は両親が死んでから多少、強くなった。

  けれど、高校時代の友人の衝撃的な死にどう向き合ったらいいか、解らなかった。

ラピスラズリの復讐 3 了
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