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二話

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 もちろんお金が欲しかったわけじゃない。最低限生活していけるだけの収入は実家の手伝いでも十分稼いで

いくことができたからそれ以上に贅沢をしようだなんて欲はなかった。公爵にもらった高級な家具やアクセサリー

などの宝石類も同じだ。そんなもの無くても生きていける、だからどうでもよいかった。でもここで出会った

コンスタンティンだけは違った。彼はここにきてからずっとわたしと生活を共にしていろいろなところへいっしょに

旅に行った友達を超えた戦友であり家族でったのだ……別れるのはとても辛いことだった。だから一緒に連れて

行きたかったのだがいくら頼んでもそれは受け入れられなかった。名残惜しかったがもともとこれも公爵の財産と

してわたしに分け与えてもらったものなのだから仕方ない、またあたらしい令嬢といっしょに頑張ってくれ……

そう思っていたのだが……。
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