上 下
12 / 12

第十二話

しおりを挟む
 黒いローブの守護者との戦いが始まった。彼の力は圧倒的で、その一挙一動が周囲の空間に深刻な影響を与えていた。わたしとセオはその威圧感に押しつぶされそうになりながらも、持てる力をすべて振り絞って応戦した。

「セオ、注意して!彼の攻撃はただの力技じゃない!」

わたしはセオに警告しながら、炎を使って守護者の攻撃を防ごうとした。しかし、守護者の力はただの火や雷を超えて、空間そのものを変える力を持っていた。彼が手を振るうと、空間が歪み、攻撃がわたしたちの周囲に猛威を振るう。

「わたしが時間の操作でその歪みを緩和するわ。セオ、チャンスを狙って!」

わたしは時間の流れを一瞬遅くすることで、守護者の攻撃を遅延させることに成功した。セオはその隙をついて、光の剣で守護者に一撃を加えようとしたが、守護者はあっさりと攻撃を回避し、無表情で再び反撃の体勢に入った。

「このままじゃ、いつまで経っても勝てない…!」

わたしは焦りながらも冷静を保ち、周囲の状況を確認した。守護者の力を削ぐためには、彼の攻撃パターンを把握し、適切に対応する必要がある。わたしはすぐに戦術を考え直し、セオと連携して攻撃を仕掛けた。

「セオ、今だ!二人で集中攻撃をかけるわ!」

わたしとセオは、火、水、雷の三つの属性を組み合わせて守護者に立ち向かった。炎で守護者の動きを制限し、水でその周囲を凍らせ、雷でその隙を突く。これにより、守護者の動きが一瞬鈍った。

「うおおおおお!」

セオが光の剣を振り上げ、守護者に一撃を放つ。その攻撃は確実に守護者に命中し、彼は一瞬だけ攻撃を受け止めた。しかし、その後すぐに立ち上がり、再び反撃を開始した。

「まだまだ…!」

わたしは全力を尽くし、守護者の攻撃を受け止めながらも、徐々にその力を削っていった。セオもまた、その攻撃に合わせて絶え間なく反撃を加え続けた。

時間が経つにつれ、守護者の力は次第に弱まっていった。その姿には徐々に疲労の色が見え始め、攻撃も緩やかになってきた。

「これが…最後の攻撃だ!」

わたしは全ての力を集結させ、空間と時間を操作して一撃の必殺技を放った。セオもそのタイミングに合わせて光の剣を振り下ろし、守護者に最も強力な一撃を加えた。

「うああああああ!」

守護者はその攻撃に耐え切れず、力尽きて地面に崩れ落ちた。わたしたちは息を切らしながら、守護者の前に立ち尽くしていた。

「やった…」

わたしはセオと目を合わせ、互いに微笑んだ。彼もまた、疲れながらも満足げに頷いていた。

「これで…秘宝を手に入れることができるね。」

セオがそう言ったその時、守護者の姿が徐々に消え去り、空間に変化が現れた。水晶が輝きを増し、その周囲には古代の文字が浮かび上がってきた。

「これが…秘宝の力。」

わたしは慎重に水晶に近づき、その力を確認しようとした。すると、突然、水晶から強烈な光が放たれ、わたしとセオを包み込んだ。

その光が収まったとき、わたしとセオは遺跡の外に立っていた。周囲の風景は変わっており、見知らぬ土地に移動していた。

「ここは…?」

わたしは周囲を見渡しながら、困惑した表情を浮かべた。セオもまた、その変化に驚いていた。

「一体どうなってしまったんだろう…」

わたしたちは再び、状況を把握しなければならなかった。この新たな場所で待っている試練や冒険に、再び立ち向かう覚悟を決めた。

「どんな困難が待っていても、わたしたちは乗り越えてみせるわ。」

わたしはセオに向かって決意を示し、再び冒険の旅に出る準備を整えた。どんな未来が待っているのかは分からないが、二人でなら乗り越えられると信じて、再び前へと進んでいった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

婚約破棄されたのたが、兄上がチートでツラい。

藤宮
恋愛
「ローズ。貴様のティルナシア・カーターに対する数々の嫌がらせは既に明白。そのようなことをするものを国母と迎え入れるわけにはいかぬ。よってここにアロー皇国皇子イヴァン・カイ・アローとローザリア公爵家ローズ・ロレーヌ・ローザリアの婚約を破棄する。そして、私、アロー皇国第二皇子イヴァン・カイ・アローは真に王妃に相応しき、このカーター男爵家令嬢、ティルナシア・カーターとの婚約を宣言する」 婚約破棄モノ実験中。名前は使い回しで← うっかり2年ほど放置していた事実に、今驚愕。

殿下、私は貴方のものではありません!

ヴィク
恋愛
――私は絶対に悪役令嬢の運命を生き抜いて、幸せになってやる!! 高貴な血筋と高潔な家柄に生まれた公爵令嬢フィリリアは、生まれながらに、王太子である第一王子の婚約者という名誉ある地位まで将来を約束されていた。 順風満帆に人生を歩んでいくことが疑いようのなかったフィリリアだったが、実は誰にも言えない秘密を抱えており――なんとフィリリアは日本のOLだった前世の記憶を保持していたのだ! 突然、前世の記憶を思い出した事からフィリリアの運命は大きく歪んでいく。 なぜならフィリリアが転生したのは、前世で読んだ小説の中で!? 小説の中でフィリリアは、小説の主人公ヒロインである男爵令嬢シトアと自分の婚約者で小説のヒーローである第一王子の為の当て馬の悪役令嬢をやっていた! しかも嫉妬に駆られてヒロインを虐めた罪で婚約破棄され、挙句公爵家からは破門され追い出されるのだ! 悪役令嬢の役割を受け入れるフィリリアだが、敵であるヒロインのハーレム候補たちは義弟も含まれたチート級の奴等ばかり!! 義弟や婚約者、幼馴染や伯爵子息に発明家等--フィリリアは全ての敵から逃れることができるのか……? ―――― 悪役令嬢ものは初めて書きました! 楽しんで頂けたら幸いです

姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました

珠宮さくら
恋愛
イヴォンヌ・ロカンクールは、自分宛てに届いたものを勝手に開けてしまう姉に悩まされていた。 それも、イヴォンヌの婚約者からの贈り物で、それを阻止しようとする使用人たちが悪戦苦闘しているのを心配して、諦めるしかなくなっていた。 それが日常となってしまい、イヴォンヌの心が疲弊していく一方となっていたところで、そこから目まぐるしく変化していくとは思いもしなかった。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

私はざまぁされた悪役令嬢。……ってなんだか違う!

杵島 灯
恋愛
王子様から「お前と婚約破棄する!」と言われちゃいました。 彼の隣には幼馴染がちゃっかりおさまっています。 さあ、私どうしよう?  とにかく処刑を避けるためにとっさの行動に出たら、なんか変なことになっちゃった……。 小説家になろう、カクヨムにも投稿中。

【完結】死がふたりを分かつとも

杜野秋人
恋愛
「捕らえよ!この女は地下牢へでも入れておけ!」  私の命を受けて会場警護の任に就いていた騎士たちが動き出し、またたく間に驚く女を取り押さえる。そうして引っ立てられ連れ出される姿を見ながら、私は心の中だけでそっと安堵の息を吐く。  ああ、やった。  とうとうやり遂げた。  これでもう、彼女を脅かす悪役はいない。  私は晴れて、彼女を輝かしい未来へ進ませることができるんだ。 自分が前世で大ヒットしてTVアニメ化もされた、乙女ゲームの世界に転生していると気づいたのは6歳の時。以来、前世での最推しだった悪役令嬢を救うことが人生の指針になった。 彼女は、悪役令嬢は私の婚約者となる。そして学園の卒業パーティーで断罪され、どのルートを辿っても悲惨な最期を迎えてしまう。 それを回避する方法はただひとつ。本来なら初回クリア後でなければ解放されない“悪役令嬢ルート”に進んで、“逆ざまあ”でクリアするしかない。 やれるかどうか何とも言えない。 だがやらなければ彼女に待っているのは“死”だ。 だから彼女は、メイン攻略対象者の私が、必ず救う⸺! ◆男性(王子)主人公の乙女ゲーもの。主人公は転生者です。 詳しく設定を作ってないので、固有名詞はありません。 ◆全10話で完結予定。毎日1話ずつ投稿します。 1話あたり2000字〜3000字程度でサラッと読めます。 ◆公開初日から恋愛ランキング入りしました!ありがとうございます! ◆この物語は小説家になろうでも同時投稿します。

【完結】本当の悪役令嬢とは

仲村 嘉高
恋愛
転生者である『ヒロイン』は知らなかった。 甘やかされて育った第二王子は気付かなかった。 『ヒロイン』である男爵令嬢のとりまきで、第二王子の側近でもある騎士団長子息も、魔法師協会会長の孫も、大商会の跡取りも、伯爵令息も 公爵家の本気というものを。 ※HOT最高1位!ありがとうございます!

これでも全属性持ちのチートですが、兄弟からお前など不要だと言われたので冒険者になります。

りまり
恋愛
私の名前はエルムと言います。 伯爵家の長女なのですが……家はかなり落ちぶれています。 それを私が持ち直すのに頑張り、贅沢できるまでになったのに私はいらないから出て行けと言われたので出ていきます。 でも知りませんよ。 私がいるからこの贅沢ができるんですからね!!!!!!

処理中です...