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第三章
その一 タルタロス:残酷大公、登場す
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まず、マヤの目を引いたのは髪であった。
それは多分地毛ではなく、昔の貴族が付けたような白い鬘を、子供がふざけてやったかのように、黄色や赤で斑に染め上げたものだった。だが、その下には、鋭い切れ上がった碧い眼がぎょろぎょろとせわしなく動いている。
鷲鼻の下に広がる口は、なるほど残酷な笑みを浮かべていたが、服は目が痛くなるような赤色。そしてその腰には奇怪な文様が施された柄に入った長い剣が、ぶらぶらとだらしなく揺れていた。
なんだか、あたしが昼間、仮装したピエロみたいだ……。
「諸君! 吾輩が残酷大公である! ソドムの支配者にして、永遠を彷徨う者だ! 楽しんでいるかね? 短い一生を楽しまぬのは、愚劣の極みであるぞ!」
キィキィと甲高い声が跳ね上がると、従業員の一人が頭を下げて前に出る。
「この棟の主任であります、マルブルクでございます」
残酷大公は手を振って、主任を下がらせた。
「本日、ここに来たのは他でもない! 人に会いに――」
胸をそらして辺りをねめつけていた残酷大公の視線が、マヤの所で止まる。驚愕、と取れなくもない表情がその顔に浮かんだ。
「これはこれは……なんとも下品に育ったものだ!」
残酷大公の視線を正面から受けながら、マヤの胸中に暗雲が急速に広がりだす。
なんだって? 育った?
「そこにいる女。前に出ろ。マヤ、何とかと名乗っているのだったか?」
マヤはジャンの手を探ると、しっかり掴み、見上げた。ジャンが下唇を噛みながら、目を瞬かせている。人混みが静かに割れ、二人は手を繋いでその間を縫って、進み出た。
「ふむ……ハインリッヒとよろしくやっていると思ったが、あいつは失敗したか! しかしまあ、よりによって手品師と昵懇になるとは! 傑作だ! 皆もそう思うだろう!」
残酷大公の後ろの一団は笑い始めた。その人を見下し、蔑む視線にマヤはげんなりした。
「哀れなり! 嘘に塗り固められて蚯蚓の様に生きる女よ。盗人に嘘を吹きこまれ、本当の名も知らず、荒野にて道化と交わるか!」
「……この野郎、なにをごちゃごちゃと――」
マヤの背にジャンが軽く触れる。マヤは下唇を噛むと、息を大きく吐いた。
「……あたしをからかいにきたのですか? それはとてもお暇なことで!」
忍び笑いが残酷大公の後ろの一団から漏れ続ける。
マヤはじろりとそちらを睨むと、胸に白い薔薇をつけた中年の男が、前に一歩出た。顔には薄ら笑いが張り付いている。
「貧乏人め、なんだその目は? 我々は貴様らとは生きている世界が違うんだぞ! ねえ、大公? このような俗人は放っておきましょう。それとも、この女を処刑するので?」
残酷大公は首を傾げて、男を見た。その顔にも笑いが張り付いていた。
「どうかな? ところで貴様」
残酷大公の目がきらりと輝く。
「吾輩の金庫から金を盗んだろう?」
男の顔から表情が消えた。
「知っているぞ、パイク。吾輩の事を目の見えぬ輩と同類に扱っているそうじゃないか? んん? 吾輩が何も知らぬと思ったか? 吾輩の目が見えぬとでも思ったか? ん?」
パイクはぶるぶると震えながら、膝をついた。
「た、大公……お慈悲を……どうか……」
「喜べパイク。貴様が常々言っていた退屈からの解放がやってきた! さあ行くぞ!」
残酷大公が手を翳す。すると、足にすがりついていたパイクは、ふわりと空中に浮いた。
「た、助けてくれ! マルガレータぁ! お前も盗んだじゃないか! あの女も同罪だ!」
残酷大公は逃げ出そうとした赤毛の女に、素早く手を翳す。見えない何かに殴られたように、彼女は床に突っ伏した。そのまま押さえつけられたように震えだす。
「女、そこに寝ていろ! さあ……」
残酷大公は空中でもがくパイクに手を翳しながら、ロビーを出ると、手摺に飛び乗り、吹き抜けに一歩踏み出す。そのまま、何もない空間を階段を上るように、一歩一歩と上がって行った。
「うわっ、空中を歩いてるぞ!? これって手品……じゃないよな」
マヤの問いにジャンは頷く。
マヤは手摺に駆け寄ると、上を見上げた。吹き抜けの上のせり出した通路に残酷大公はふわりと着地した。浮いていたパイクは通路の端に転がり落ちると、悲鳴を上げ、許しを請い始めた。
薄笑いを浮かべる残酷大公に階層警察官が走り寄ると、膝をつき何かを差し出した。
「あれは――マイクか? ねえ……何が始まるの?」
「それは――」
ジャンが答える前に拡声器から、擦れた男の声が響いた。
『国民諸君! 及びお客人達! ようこそ、ソドムへ!』
残酷大公は腰から剣を抜くと、パイクの前に転がした。そして懐から注射器を出すと自分の首に、紅い液体を打ちこむ。
『この男は! 私の金庫から金を盗んだ! そこの連中と共謀してだ!』
残酷大公の指さす方を見ると、飛び出た通路の斜め下に、やはり突き出したバルコニーのようなものがある。そこに、四~五人の男達が同様に跪いていた。
その傍らには、恐らくドーヴィルで襲ってきた、あのガスマスクと思われる人物が立っていた。階層警察の制服で、袖をまくっている。その手には――
「おい、あいつがいる! 銃を持ってる!」
マヤの叫びに、近くにいた男が小さく呟いた。
「あれは去年からいる処刑人だよ。カスパールと名乗ってる」
『本来ならば、その場で八つ裂きにして海に投げ込むところであるが――』
大公は耳まで裂けんばかりに笑いながら、高らかに手を三回打った。
『慈悲深い吾輩は、最後の機会を賊にやろうと考えたのだ。さあ、決闘だ! 諸君、賭けよ! 盗人よ! 吾輩を殺せば、自由だ。負ければ――』
パイクは素早かった。獰猛な顔つきに変わるや、跪いた体制から剣を拾い、そのまま一気に突きこんだ。剣は残酷大公を貫通し、何かを背中から飛び出させた。客のどよめきと悲鳴が上がり、血煙が舞いあがった。それはひくひくと蠢いていた。
し、心臓!
マヤはジャンの手を探ると、強く握った。パイクはそのまま、剣を振り上げた。残酷大公の上半身は縦に切り裂かれた。よろよろと後ろに下がった大公に、パイクは勝ち誇った声をあげながら、更に追撃を咥えるべく、踏み込んで剣を突きだした。
だが、残酷大公はその一撃を右手で受け止めた。血しぶきをあげ、手を貫通させながら握り、剣を折りとる。血に濡れ、裂けた顔で大公は笑いに笑った。
『惜しいな! この程度で吾輩は死なぬ! さて、盗人。今のが貴様の全力か? もし全力なら……死ぬしかないぞ!』
残酷大公は、手で折った剣を踏み込みながら突き出し、大きく薙ぎ払った。
パイクの首が千切れ飛び、弧を描いて吹き抜けを落ちていった。
それは多分地毛ではなく、昔の貴族が付けたような白い鬘を、子供がふざけてやったかのように、黄色や赤で斑に染め上げたものだった。だが、その下には、鋭い切れ上がった碧い眼がぎょろぎょろとせわしなく動いている。
鷲鼻の下に広がる口は、なるほど残酷な笑みを浮かべていたが、服は目が痛くなるような赤色。そしてその腰には奇怪な文様が施された柄に入った長い剣が、ぶらぶらとだらしなく揺れていた。
なんだか、あたしが昼間、仮装したピエロみたいだ……。
「諸君! 吾輩が残酷大公である! ソドムの支配者にして、永遠を彷徨う者だ! 楽しんでいるかね? 短い一生を楽しまぬのは、愚劣の極みであるぞ!」
キィキィと甲高い声が跳ね上がると、従業員の一人が頭を下げて前に出る。
「この棟の主任であります、マルブルクでございます」
残酷大公は手を振って、主任を下がらせた。
「本日、ここに来たのは他でもない! 人に会いに――」
胸をそらして辺りをねめつけていた残酷大公の視線が、マヤの所で止まる。驚愕、と取れなくもない表情がその顔に浮かんだ。
「これはこれは……なんとも下品に育ったものだ!」
残酷大公の視線を正面から受けながら、マヤの胸中に暗雲が急速に広がりだす。
なんだって? 育った?
「そこにいる女。前に出ろ。マヤ、何とかと名乗っているのだったか?」
マヤはジャンの手を探ると、しっかり掴み、見上げた。ジャンが下唇を噛みながら、目を瞬かせている。人混みが静かに割れ、二人は手を繋いでその間を縫って、進み出た。
「ふむ……ハインリッヒとよろしくやっていると思ったが、あいつは失敗したか! しかしまあ、よりによって手品師と昵懇になるとは! 傑作だ! 皆もそう思うだろう!」
残酷大公の後ろの一団は笑い始めた。その人を見下し、蔑む視線にマヤはげんなりした。
「哀れなり! 嘘に塗り固められて蚯蚓の様に生きる女よ。盗人に嘘を吹きこまれ、本当の名も知らず、荒野にて道化と交わるか!」
「……この野郎、なにをごちゃごちゃと――」
マヤの背にジャンが軽く触れる。マヤは下唇を噛むと、息を大きく吐いた。
「……あたしをからかいにきたのですか? それはとてもお暇なことで!」
忍び笑いが残酷大公の後ろの一団から漏れ続ける。
マヤはじろりとそちらを睨むと、胸に白い薔薇をつけた中年の男が、前に一歩出た。顔には薄ら笑いが張り付いている。
「貧乏人め、なんだその目は? 我々は貴様らとは生きている世界が違うんだぞ! ねえ、大公? このような俗人は放っておきましょう。それとも、この女を処刑するので?」
残酷大公は首を傾げて、男を見た。その顔にも笑いが張り付いていた。
「どうかな? ところで貴様」
残酷大公の目がきらりと輝く。
「吾輩の金庫から金を盗んだろう?」
男の顔から表情が消えた。
「知っているぞ、パイク。吾輩の事を目の見えぬ輩と同類に扱っているそうじゃないか? んん? 吾輩が何も知らぬと思ったか? 吾輩の目が見えぬとでも思ったか? ん?」
パイクはぶるぶると震えながら、膝をついた。
「た、大公……お慈悲を……どうか……」
「喜べパイク。貴様が常々言っていた退屈からの解放がやってきた! さあ行くぞ!」
残酷大公が手を翳す。すると、足にすがりついていたパイクは、ふわりと空中に浮いた。
「た、助けてくれ! マルガレータぁ! お前も盗んだじゃないか! あの女も同罪だ!」
残酷大公は逃げ出そうとした赤毛の女に、素早く手を翳す。見えない何かに殴られたように、彼女は床に突っ伏した。そのまま押さえつけられたように震えだす。
「女、そこに寝ていろ! さあ……」
残酷大公は空中でもがくパイクに手を翳しながら、ロビーを出ると、手摺に飛び乗り、吹き抜けに一歩踏み出す。そのまま、何もない空間を階段を上るように、一歩一歩と上がって行った。
「うわっ、空中を歩いてるぞ!? これって手品……じゃないよな」
マヤの問いにジャンは頷く。
マヤは手摺に駆け寄ると、上を見上げた。吹き抜けの上のせり出した通路に残酷大公はふわりと着地した。浮いていたパイクは通路の端に転がり落ちると、悲鳴を上げ、許しを請い始めた。
薄笑いを浮かべる残酷大公に階層警察官が走り寄ると、膝をつき何かを差し出した。
「あれは――マイクか? ねえ……何が始まるの?」
「それは――」
ジャンが答える前に拡声器から、擦れた男の声が響いた。
『国民諸君! 及びお客人達! ようこそ、ソドムへ!』
残酷大公は腰から剣を抜くと、パイクの前に転がした。そして懐から注射器を出すと自分の首に、紅い液体を打ちこむ。
『この男は! 私の金庫から金を盗んだ! そこの連中と共謀してだ!』
残酷大公の指さす方を見ると、飛び出た通路の斜め下に、やはり突き出したバルコニーのようなものがある。そこに、四~五人の男達が同様に跪いていた。
その傍らには、恐らくドーヴィルで襲ってきた、あのガスマスクと思われる人物が立っていた。階層警察の制服で、袖をまくっている。その手には――
「おい、あいつがいる! 銃を持ってる!」
マヤの叫びに、近くにいた男が小さく呟いた。
「あれは去年からいる処刑人だよ。カスパールと名乗ってる」
『本来ならば、その場で八つ裂きにして海に投げ込むところであるが――』
大公は耳まで裂けんばかりに笑いながら、高らかに手を三回打った。
『慈悲深い吾輩は、最後の機会を賊にやろうと考えたのだ。さあ、決闘だ! 諸君、賭けよ! 盗人よ! 吾輩を殺せば、自由だ。負ければ――』
パイクは素早かった。獰猛な顔つきに変わるや、跪いた体制から剣を拾い、そのまま一気に突きこんだ。剣は残酷大公を貫通し、何かを背中から飛び出させた。客のどよめきと悲鳴が上がり、血煙が舞いあがった。それはひくひくと蠢いていた。
し、心臓!
マヤはジャンの手を探ると、強く握った。パイクはそのまま、剣を振り上げた。残酷大公の上半身は縦に切り裂かれた。よろよろと後ろに下がった大公に、パイクは勝ち誇った声をあげながら、更に追撃を咥えるべく、踏み込んで剣を突きだした。
だが、残酷大公はその一撃を右手で受け止めた。血しぶきをあげ、手を貫通させながら握り、剣を折りとる。血に濡れ、裂けた顔で大公は笑いに笑った。
『惜しいな! この程度で吾輩は死なぬ! さて、盗人。今のが貴様の全力か? もし全力なら……死ぬしかないぞ!』
残酷大公は、手で折った剣を踏み込みながら突き出し、大きく薙ぎ払った。
パイクの首が千切れ飛び、弧を描いて吹き抜けを落ちていった。
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