156 / 162
あなたの名前を呼んで
群青 碧 3-3
しおりを挟む
会いたいと思っていても、やっぱり気まずくて避ける日々が続いていた。
それに、なんだかあっくんからも避けられているような気がして…。
…この間手を振り払っちゃったし、もう嫌われちゃったのかな…。
嫌われてしまったのなら、それでいい。その方が、いい。
わかっているのに、胸が痛くて痛くて死んでしまいそうだ。
「…どうしたら、痛くなくなるんだろう…」
ぎゅっと胸を押さえて必死に考えた。
だけど、解決策は1つも出てくることはなくただただ、痛みは増すばかりだった。
いつもの階段で同じように蹲っていると「…やっぱり、ここにいた」と不意に声が響いた。
その声に驚いて顔を上げればずっと会いたくて仕方なかったあっくんが泣きそうな顔をして立っていた。
「…な、で…」
「……なんでだろうな。ただ、佳乃が泣いてる気がして気がついたらここに来ていた」
「…だいじょうぶ、だよ。泣いてないよ」
ああ、もう。どうしてこんな事言っちゃうんだろう。
会いたかったって。言いたいのに。
ぐっと唇を噛んで耐えているとあっくんの手が伸びてきて「強く噛むな。傷になるぞ」と優しく唇をなぞった。
それに気持ちが思わず緩んで、堪えていた涙が頬を伝った。
「…どうして、泣く?そんなに俺が嫌いか?」
「ち、違くてっ…なんで、なんでっ…俺、あっくんの事避けてたのに!…なんで、こんなに優しくするの…っ…」
一度流れ始めた涙は止まる事を知らず、嗚咽をあげながら言う。
この優しさは今だけなんだよね?それなら、そんな優しさなんて知りたくない。
そんな目で、仕草で、俺を見ないで。
必死に声を抑えようと手で口を覆う。
早く、早く、止まってよ。
「…佳乃、ダメだ。そんな事をしたら、キツいだろう」
俺の手を外そうと触れてくるけど俺はそれをいやいやと振り払う。
俺なんてもう放っておいてほしい。涙なんてひとりで止められるから。
そうやって、生きてきたんだから。
「くそっ…」
不意に、痛いほど強く抱きしめられ踠いても踠いてもその腕が外れることはなかった。
大丈夫だ。そう繰り返し言われて何が大丈夫なのと声を荒げた。
そして、お前はどうしてそうやって一人で生きようとするんだと言われて俺は思わず。
「どうしてって…そうやって生きるしか、なかったからだよ!」
と、泣きながらあっくんを押しのけた。
***
久しぶりに書いたら中々まとまらず…もう少しだけお付き合い願います。
それに、なんだかあっくんからも避けられているような気がして…。
…この間手を振り払っちゃったし、もう嫌われちゃったのかな…。
嫌われてしまったのなら、それでいい。その方が、いい。
わかっているのに、胸が痛くて痛くて死んでしまいそうだ。
「…どうしたら、痛くなくなるんだろう…」
ぎゅっと胸を押さえて必死に考えた。
だけど、解決策は1つも出てくることはなくただただ、痛みは増すばかりだった。
いつもの階段で同じように蹲っていると「…やっぱり、ここにいた」と不意に声が響いた。
その声に驚いて顔を上げればずっと会いたくて仕方なかったあっくんが泣きそうな顔をして立っていた。
「…な、で…」
「……なんでだろうな。ただ、佳乃が泣いてる気がして気がついたらここに来ていた」
「…だいじょうぶ、だよ。泣いてないよ」
ああ、もう。どうしてこんな事言っちゃうんだろう。
会いたかったって。言いたいのに。
ぐっと唇を噛んで耐えているとあっくんの手が伸びてきて「強く噛むな。傷になるぞ」と優しく唇をなぞった。
それに気持ちが思わず緩んで、堪えていた涙が頬を伝った。
「…どうして、泣く?そんなに俺が嫌いか?」
「ち、違くてっ…なんで、なんでっ…俺、あっくんの事避けてたのに!…なんで、こんなに優しくするの…っ…」
一度流れ始めた涙は止まる事を知らず、嗚咽をあげながら言う。
この優しさは今だけなんだよね?それなら、そんな優しさなんて知りたくない。
そんな目で、仕草で、俺を見ないで。
必死に声を抑えようと手で口を覆う。
早く、早く、止まってよ。
「…佳乃、ダメだ。そんな事をしたら、キツいだろう」
俺の手を外そうと触れてくるけど俺はそれをいやいやと振り払う。
俺なんてもう放っておいてほしい。涙なんてひとりで止められるから。
そうやって、生きてきたんだから。
「くそっ…」
不意に、痛いほど強く抱きしめられ踠いても踠いてもその腕が外れることはなかった。
大丈夫だ。そう繰り返し言われて何が大丈夫なのと声を荒げた。
そして、お前はどうしてそうやって一人で生きようとするんだと言われて俺は思わず。
「どうしてって…そうやって生きるしか、なかったからだよ!」
と、泣きながらあっくんを押しのけた。
***
久しぶりに書いたら中々まとまらず…もう少しだけお付き合い願います。
0
お気に入りに追加
791
あなたにおすすめの小説
市川先生の大人の補習授業
夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。
ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。
「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。
◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC)
※「*」がついている回は性描写が含まれております。
ちょっと待ってもらっていいですか?とりあえず、10年ぐらい。
15
BL
頭、普通。顔、まぁまぁ(当社比)。性格、普通(?)。
毎日毎日普通の生活を送っていた俺。
朝目が覚めたら、そこは森でした。…は…?
気づいたらイケメンに囲まれ、求愛され…俺もうついていけねぇよ!!
ちょっと待ってくれ!お願いだから!あと10年ぐらい!!!
とっても普通(顔は普通ではない)な青年が突然トリップする話。
ここは、ゲームの世界。でも現実。強くてニューゲーム、不可。
総愛され。
いつになるかはわかりませんが、こっちはささっと物語を進めたい。です。
オレが受けなんてありえねえ!
相沢京
BL
母親の再婚で財閥の家族になってしまった勇人。
父親が後継者争いに巻き込まれないようにと全寮制の男子校に転入した。
そこには兄がいると聞かされていたが、すでにオレの偽者がいた。
どうするオレ?
拉致されたり、宇宙人みたいな奴が転校してきたり
兎に角厄介ごとに巻き込まれる主人公の話です。
お願い***********
お気に入り、誤字・脱字や感想などを頂き誠にありがとうございます。
未熟な私ですが、それを励みに更新を続けていきたいと思いますので
よろしくお願いいたします。
私の事を調べないで!
さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と
桜華の白龍としての姿をもつ
咲夜 バレないように過ごすが
転校生が来てから騒がしくなり
みんなが私の事を調べだして…
表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓
https://picrew.me/image_maker/625951
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる