僕は平凡に生きたい

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体育祭

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鳥の鳴き声で目が覚めた俺はデジャヴを感じていた。
…うーん…嫌な予感がする…。

「あ、そろそろ準備しなきゃ…。」

一度伸びをして部屋を出てお弁当の準備から始める。
一応多めに持って行こうかなぁ。
親の来ない体育祭なんて初めてすぎて何が起こるのか気になって仕方がない。

「よっし!準備完了!」

荷物を全部持って部屋を出ようとしたところでガチャッと扉が開く音がした。

「…ん、佳乃もう行くの?」

「千蘿くんおはよう!うん、人が多くなる前に行こうかなと思って。」

「そう。…気をつけてね。」

「ふふ、ありがとう。」

部屋から出てきた千蘿くんは少し眠たそうにしながら俺に近づいてきて優しく頭を撫で始めた。
それに小さく笑みをこぼす。お兄ちゃんっていたらこんな感じなのかな。…俺の周りの人お兄ちゃんみたいな人が多いなぁ。

「それじゃ、そろそろ行くね。」

「ん。」

玄関の扉をあけて部屋を出ようとすれば千蘿くんがその扉を押さえてくれる。めっちゃ紳士。
お礼を言いつつ部屋を出ると「佳乃。」と呼ばれた。

「?なに?」

「…頑張れ。」

振り向いて首を傾げ千蘿くんを見上げると応援の言葉と共に唇に何か当たった感触があった。
え?と思っている間に扉が閉まり後に残されたのはぽかーんと口を開ける俺だけだった。

俺、ここに来てからちゅーされすぎじゃない…?

千蘿くんはなんでちゅーしたの…不思議すぎる。
はてなをたくさん出しながら歩き始め学校へと向かう。

そして悩んだ末に俺が出した結論は、応援の気持ちだった。

**
「今から体育祭を開始致します。」

その宣言と共にわっ!と歓声が上がる。
みんな気合い入ってるなぁ~。

「よーしの。」

「あ、颯くん!」

「日頃の練習の成果をやっと見せれるな!」

「うん!颯くん毎日ありがとう!おかげで俺、体力が物凄くついた気がするよ!」

「…おう!」

謎の間があったけど笑顔で肯定してくれる颯くんに俺も満面の笑みを浮かべる。
色々会話をしていると先程の歓声とは比べ物にならない…叫び声?が聞こえ始めた。
思わずビクッと体を揺らすと颯くんが「あー生徒会か。」とステージの方に目を向ける。

「生徒会の人ってやっぱりすごい人気なんだねぇ。」

「そうだなー。まあ顔もいいし…身近なアイドルって存在なんじゃないか?」

「身近なアイドル…。」

生徒会長さんは真顔で登壇してるし、副会長さんは綺麗な笑みを浮かべてるし、会計さんは手を振ってる…書記さんは…相変わらず眠たそうだ。

確かにアイドルだ。…若干名違うけど。

きゃー!と黄色い(?)声が上がってるけど会長さんがマイクを持った瞬間ピタリと止まった。
す、すごい。思わず拍手をしてしまった。

***
やっと始められました…。
すみません。1話更新になります。
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