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昔の話(Side:公彦)

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聞きたくない、というアキラを無理矢理引き留め公園のベンチに座ったはいいが俺は未だに話すか迷っていた。
もし、もしも……話してアキラが思い出す代わりに今までの記憶をなくしてしまったら。

俺はもう二度と立ち直れないし、二度とアキラの前には現れないだろう。

口を開いては閉じてを繰り返す俺に焦れたのかアキラは小さく溜息を吐いて「何があってもお前を責めない。約束する」と隣にいる俺にギリギリ届くような声量で言った。

それを聞いて俺は覚悟を決め口を開く。


ーーーーー

俺と、アキラの出会いは10年前。…それより経ったかもしれない。
アキラ…というより、ショウとの出会いというか。
ここを話すと長くなってしまうから、もう少し後に話すけれど。

俺とアキラ…ショウは同じ高校で出会っただ。

同じ高校で、同じクラスで…席が前後で。
仲良くなるのに時間はかからず気付けば毎日一緒に過ごしてお互いが親友となっていた。

先に好きになったのは俺の方。
でも親友という立場を手放すことが出来なくて、かといって閉じ込めることも出来なくて苦しくて徐々にショウから離れていった。

そんな俺にショウは怒ったのかある日いつも通り先に教室を出ようとした俺の腕を捕まえて空き教室に連れて行った。


「…なんで最近俺のこと避けんの」
「…避けてないよ」
「避けてるだろ!なんだよ!俺が何かしたなら言えばいいだろ!今更何を遠慮してんだよ!」
「ショウは何もしてないよ。…俺が、俺が勝手に…」


好きになっただけ。
思わず口から出そうになったその言葉を慌てて手で抑える。
それさえも気に障ったのか「…結局、仲がよくて何でも言えるって思ってたのは俺だけだったんだな。もういい、わかった」と言って俯いたままショウは教室から出て行ってしまった。

俺は追いかけようとしたけど追いかけたところでこんな気持ち言えるわけでも、誤魔化しがきくわけでもないと思ってぎゅっと手を握りしめてショウの背中を見送った。


それが、間違いだった。








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