さよならの合図は、

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ちがうよ、

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「あき、…さ、佐伯先生!」

「…あぁ、君か。どうしたの?何か、質問かな」

呼びかけたのはいいけど、俺はそれから何も言葉を発せなかった。
…秋良さんに、君と呼ばれてなんの感情もない目を見られてしまって、ショックだった。

「はぁ…何もないなら、もう行くけど」

「ぁっ…せ、先生は…!」

ぐっと手を握りしめて意を決して口を開く。

「どうしてっ…どうして、教師になったんですか…?」

兄さんのため、ですか?

何かを願うかのように秋良さんを見つめて返事を待つけど、一向にその返事は返ってこない。
…俺と、話すのも嫌なのかな。
俯いて自己嫌悪に陥っていると、「俺は…」と声が聞こえて勢いよく秋良さんを見た。

「…いや、なんでもない。君には関係ないことだよ」

「ぇ…」

「それじゃあ、僕は行くから」

そして一度も振り返ることなく秋良さんは行ってしまった。
僕、なんて…俺にさえ、本心を見せたくないんですか?

秋良さん…兄さんが死んでしまったのは、秋良さんのせいだなんて、誰も思ってないんです。
だから…もう、自分を責めるのはやめてください。

そう言いたいけれど、今の俺にはどうしようもなくて授業開始の鐘がなるまでずっと秋良さんが去って行った方を見つめていた。

兄さんならこんな時、どうするんだろう。俺は、どうしたらいいんだろう。
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