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しおりを挟む「君ねぇ、泳ぐにはまだ早いと思うよ?たまたま俺が通りかかったからいいものを、普通に死んでしまうからね?」
「……はぁ……」
「最近の子は何を考えているのか分からないよ、おじさんには…」
僕は確か海に沈んでいって、もうこの世にはさよならをしたはずだったんだけど。
目の前にはまだぶつぶつと何か言っている男の人ーーおじさんだと言っているけど、僕には20代後半ぐらいにみえるーーがいて、甲斐甲斐しく僕をお世話?している。
別にあのまま放っておいてもよかったのに。
僕は口に出したつもりはなかったけど、ぽつりと口から漏れていたようで男の人はキッと瞼を吊り上げて怒った。
「君に何があったか知らないし、無理に聞こうとも思わない!けど、そんな、そんな悲しいことを言わないでくれ」
「……わかりました」
「うん、分かってくれたならいいんだよ。よし、お腹も空いただろう?君が眠っている間にご飯を作ったんだ」
彼は僕の手をひいてほかほかとまだ湯気のあがっている食事の前へと座らせた。
温かい食事は、初めてだった。
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