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番外編 学園祭の話2
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体育祭ムードから一気に学園祭ムードへと変わったある日、旬くんから『相馬に何か変な事言った?』と連絡がきてオレは暫し考えたのち『言ったかも。ごめんね☆』と反省の色が見えない謝罪を返した。
佐原ってばこの間オレが言った事実践しちゃった感じー?やだねえ、若いって。
「神永くんがこっちで、楢原くんがこっちね!きつかったら教えて!」
「智充、行くぞ」
「…はぁい」
衣装担当の子から当日着る予定の衣装を渡され(事前にサイズは計測済み)直也と一緒に別室へと向かう。
因みに佐原は熱出してお休み。…あ、だから旬くんにメイド服着て欲しいなんて言っちゃったのかな。やば。
「そういえばどんな服なんだろうね」
「まあ、変な服じゃないといいけどな」
「ふふ。確かに」
この日まで衣装は秘密だって言われてきたけど、正直断れる段階じゃないのが怖すぎてオレ泣いちゃいそう。
体育祭の時みたいに女装はいやだよぅ…あ、でも直也の軍服姿はまた見たいかも…いやでも他の衣装も見たい…。
うんうんと別の事で悩んでいたら直也に「どうした?」と心配そうに声をかけられ「な、なんでもないよ!」と慌てて衣装を取り出した。
そして、袋の中に入っていたのは…。
「…うげ、何………ん……なんか、短い……?」
「うおっ…なんだこれ。………んん……?」
衣装を見てもピンとこないオレ達だったが、ひらひらと紙が落ちた事に気づき拾い上げて読んでみると、クラスメイトが書いたのか『テーマは吸血鬼だよ~!2人はペアで着て貰います!着方はこれを見てね!』と書いてあった。
…吸血鬼?
「テーマはもうこの際気にしないとして……これ、着れるかなぁ…」
「取り敢えず着てみようぜ」
「ちゃんと着れるまでお互い向こう向いてようね」
悪戦苦闘しながら衣装を身につけなんとか形になった。
……うーん…ひょろいとはいえ、こんな180も身長があるような男が着てて大丈夫なのかな。
オレの衣装はベスト?のような形の襟ぐりの開いた赤と黒の色合いのトップスに、黒のショートパンツ(本当にやめてほしい)、そしてマントのようなロングコートに首元にはリボン…なぁんでこんなに大変なものにしちゃったのぉぉおぉ…。
当日以外でもう着たくない…それぐらい疲れた…。
ていうか何も聞こえないけど直也は大丈夫なのかな。
「直也?大丈夫?着れた?」
「んー…おう。多分、大丈夫だ」
「じゃあ、振り向くね!」
んふふ、ぜーったいかっこいいもんね!ちゃっかりスマホ持ってきたしみんなより先に見て写真撮りまくるもんねー!
にやにやとした表情を隠さず振り向き、直也の姿を目にして固まったオレを見た直也は「…ふ、智充かわいい」と頬を赤く染めた。
だが、それ以上にオレは顔を赤くしてぽーっと直也に見惚れている。
ちょ、ちょっと直也さん……かっこよすぎませんか……。
直也はオレとは反対の詰襟のシャツにスカーフ、タイトな黒のパンツにマント…それに黒の手袋。…ダメだ、かっこよすぎてちゃんと説明が出来ない。ごめんね、みんな。頑張って想像してほしい。
「ふぇ…なおや、かっこいい……」
「そうか?ここ鏡ないから、いまいち分かんねーな。…つうか、智充のその格好見せたくないんだけど」
「へ?オレ?…まあ、確かに見世物ではないよねーこれ」
コートをひらりと広げて脚を出せば直也が焦ったように「絶対それ俺以外の前でするなよ!!」と言ってきた。
えぇ?なんでぇ…。
そんな思いが顔に出ていたのか「いいから、絶対に、するなよ」と凄まれてしまった。むぅ。
「直也、写真撮っていい?」
「あ?……いいけど、俺にも撮らせろよ」
「…誰にも見せないでね?」
こんな格好直也以外誰にも見られたくないよ…。学園祭は仕方ないとしてもさぁ…。
こて、と首を傾げて言えば直也は当然だとでもいうように、
「なんで智充のかわいい姿を他の誰かに見せねーといけねぇんだよ」
と笑った。
…胸がきゅんとした。
その後何枚も写真を撮り、教室に戻ったのはかなり時間が経ってからだった。
クラスメイトに怒られはしなかったけど心配するから連絡はしてねと苦笑いで言われ、申し訳なさと同時に恥ずかしくて顔が赤くなった。
「2人共やっぱりすごく似合うねー!今日はサイズ調整だけだから、これだけだけど…当日は本格的にするから、宜しくね!」
「本格的って…牙とか?」
「そうそう!メイクもするけど、ちゃんと始まりから終わりまでサポートするからね!」
「わ、かった…」
……この学園の本格的ってどこまでいくのかわかんない分、怖いんだけど。
***
次で終わったらいいなとは思います。
因みに「吸血鬼 ペア」で調べました。(安直)
佐原ってばこの間オレが言った事実践しちゃった感じー?やだねえ、若いって。
「神永くんがこっちで、楢原くんがこっちね!きつかったら教えて!」
「智充、行くぞ」
「…はぁい」
衣装担当の子から当日着る予定の衣装を渡され(事前にサイズは計測済み)直也と一緒に別室へと向かう。
因みに佐原は熱出してお休み。…あ、だから旬くんにメイド服着て欲しいなんて言っちゃったのかな。やば。
「そういえばどんな服なんだろうね」
「まあ、変な服じゃないといいけどな」
「ふふ。確かに」
この日まで衣装は秘密だって言われてきたけど、正直断れる段階じゃないのが怖すぎてオレ泣いちゃいそう。
体育祭の時みたいに女装はいやだよぅ…あ、でも直也の軍服姿はまた見たいかも…いやでも他の衣装も見たい…。
うんうんと別の事で悩んでいたら直也に「どうした?」と心配そうに声をかけられ「な、なんでもないよ!」と慌てて衣装を取り出した。
そして、袋の中に入っていたのは…。
「…うげ、何………ん……なんか、短い……?」
「うおっ…なんだこれ。………んん……?」
衣装を見てもピンとこないオレ達だったが、ひらひらと紙が落ちた事に気づき拾い上げて読んでみると、クラスメイトが書いたのか『テーマは吸血鬼だよ~!2人はペアで着て貰います!着方はこれを見てね!』と書いてあった。
…吸血鬼?
「テーマはもうこの際気にしないとして……これ、着れるかなぁ…」
「取り敢えず着てみようぜ」
「ちゃんと着れるまでお互い向こう向いてようね」
悪戦苦闘しながら衣装を身につけなんとか形になった。
……うーん…ひょろいとはいえ、こんな180も身長があるような男が着てて大丈夫なのかな。
オレの衣装はベスト?のような形の襟ぐりの開いた赤と黒の色合いのトップスに、黒のショートパンツ(本当にやめてほしい)、そしてマントのようなロングコートに首元にはリボン…なぁんでこんなに大変なものにしちゃったのぉぉおぉ…。
当日以外でもう着たくない…それぐらい疲れた…。
ていうか何も聞こえないけど直也は大丈夫なのかな。
「直也?大丈夫?着れた?」
「んー…おう。多分、大丈夫だ」
「じゃあ、振り向くね!」
んふふ、ぜーったいかっこいいもんね!ちゃっかりスマホ持ってきたしみんなより先に見て写真撮りまくるもんねー!
にやにやとした表情を隠さず振り向き、直也の姿を目にして固まったオレを見た直也は「…ふ、智充かわいい」と頬を赤く染めた。
だが、それ以上にオレは顔を赤くしてぽーっと直也に見惚れている。
ちょ、ちょっと直也さん……かっこよすぎませんか……。
直也はオレとは反対の詰襟のシャツにスカーフ、タイトな黒のパンツにマント…それに黒の手袋。…ダメだ、かっこよすぎてちゃんと説明が出来ない。ごめんね、みんな。頑張って想像してほしい。
「ふぇ…なおや、かっこいい……」
「そうか?ここ鏡ないから、いまいち分かんねーな。…つうか、智充のその格好見せたくないんだけど」
「へ?オレ?…まあ、確かに見世物ではないよねーこれ」
コートをひらりと広げて脚を出せば直也が焦ったように「絶対それ俺以外の前でするなよ!!」と言ってきた。
えぇ?なんでぇ…。
そんな思いが顔に出ていたのか「いいから、絶対に、するなよ」と凄まれてしまった。むぅ。
「直也、写真撮っていい?」
「あ?……いいけど、俺にも撮らせろよ」
「…誰にも見せないでね?」
こんな格好直也以外誰にも見られたくないよ…。学園祭は仕方ないとしてもさぁ…。
こて、と首を傾げて言えば直也は当然だとでもいうように、
「なんで智充のかわいい姿を他の誰かに見せねーといけねぇんだよ」
と笑った。
…胸がきゅんとした。
その後何枚も写真を撮り、教室に戻ったのはかなり時間が経ってからだった。
クラスメイトに怒られはしなかったけど心配するから連絡はしてねと苦笑いで言われ、申し訳なさと同時に恥ずかしくて顔が赤くなった。
「2人共やっぱりすごく似合うねー!今日はサイズ調整だけだから、これだけだけど…当日は本格的にするから、宜しくね!」
「本格的って…牙とか?」
「そうそう!メイクもするけど、ちゃんと始まりから終わりまでサポートするからね!」
「わ、かった…」
……この学園の本格的ってどこまでいくのかわかんない分、怖いんだけど。
***
次で終わったらいいなとは思います。
因みに「吸血鬼 ペア」で調べました。(安直)
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