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番外編 学園祭の話
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体育祭が終わったかと思えば、すぐに学園祭へと気持ちを切り替えていかなければならない。
何故なら…。
「…なぁんで体育祭と学園祭って期間があいてないわけぇ…?おかしくなぁい?」
「しゃーねーだろ。そういう学校なんだ、ここは」
「準備大変すぎだよぅ…疲れたぁ…」
っていうかまず体育祭をもっと早くしてほしいし…じめっとした暑さが気持ち悪い…。
「まぁ、1から地道に準備するわけでもないし大丈夫だろ」
「…そうなの?」
「ああ。…伊達に金持ち学校やってねーからな」
「ふぅん…そんなもん?」
「そんなもん」
とにかく生徒が楽しめたらいい、みたいな感じなのかな。
でもみんなで夜遅くまで残って準備したりするの、楽しそうだけどね。やった事ないし、漫画でしか読んだ事ないけどさぁ…。実際にはそんな事ないのかな。
シャーペンを指でくるくる回しながら考えていたら佐原に「お前少しは話し合いに参加しろよ」と笑われた。
「…だぁってぇ……オレの役割決まってるんでしょー?もう拒否するのも面倒だし勝手に進めてほしい…」
「みんなお前に期待してんだよ。…ぶふっ」
「笑うなよな!…佐原も道連れにしてやる…」
「むりむり、俺は…」
「はぁーい!ごめんねぇ、お話中なのに…やっぱり佐原がどーーーーーしてもオレと一緒に接客やりたいって言ってるんだけど…だめかなぁ?」
ちょ、おまえ!!と佐原の声を笑顔で抑え手を挙げた。
そう、オレがここまでやる気がないのには理由がある。
クラスでやる出し物が、コスプレ喫茶なのだがオレは当初裏方を希望していた。
なのに!また!佐原が…「神永は接客だろ~そのコミュ力を活かせ」と勝手に名前を『接客』の場所へと書き換え、気付いた時には遅くオレはコスプレをして接客をする事が確定してしまったのである。
体育祭の時といい、今といい…佐原くんにはしっかり反省して貰おうと思います☆
突然声をあげたオレにみんなは驚いていたが、無駄にぶりっ子を発揮すればみんな二つ返事でOKしてくれた。
うんうん、みんないい人だなぁ。
「んふふ、いいってよぅ。やったねぇ」
「くそっ…なんて事を…!」
「まあまあ~佐原は何になるんだろうね~楽しみだね~」
にやにやと佐原を見て揶揄っていると横から視線を感じて顔を向ければ、直也がこちらを見ていてその表情がどこか不満気で思わずくすっと笑みを零してしまった。
…ふ、めっちゃ眉間に皺寄ってる。
「どしたの、直也」
「…別に」
「あ、そういえば直也も接客だったよね?大丈夫なの?」
「……客と必要以上に話すわけじゃないんだろ。注文聞くのと配膳はちゃんとやる」
わぁお、機嫌が悪い。
「なんか、拗ねてる?」
「…拗ねてない」
「えぇ、うそ~……よいしょっと。ほら、おいで?」
めちゃくちゃぶすっとしてるのに拗ねてないは嘘だよなぁ。
椅子ごと直也に近づいて腕を直也に向かって開けば直也は迷う素振りもなく、ぽすんとオレの肩に頭を乗せた。
すり…とその頭に少しすり寄って撫でれば小さく「ごめん」と呟く声が聞こえた。
「…ふふ、なにが?…学園祭楽しみだねぇ」
「…あぁ」
「オレ、こういうの初めてだから、わくわくしちゃうんだよね」
「…初めて?」
弾む声を隠しきれずそう言うとガバッと頭を上げて目を見開き驚かれた。
ええ?そんな驚く事?
前の学校での記憶なんて殆どないし、まともに授業を受けたことさえあんまりないんじゃないかなぁ。
…本当、ここに来てオレ変わったなといつも思う。
「え?うん。…オレ、前の学校サボりがちだったからねー。こんなイベントに参加した事ないや」
「そ、か……そうか…」
「だから直也と色んなところまわりたいし、一緒に接客出来るのも楽しみ」
「……俺も」
にへら、と笑えば直也も同じように笑みを返してくれた。
笑いあっているオレ達を見た佐原が「だからイチャつくなら帰ってからやれって」とげんなりとした表情で言った。
旬くんとイチャつけないからって落ち込むなよなぁ。
「そういえば旬くんのクラスって何やるの?」
「ん?あー…なんだっけな、メイド喫茶?って言ってたような」
「うわ、それ絶対旬くんメイドになるやつだよ」
「は!?なんで」
「だってめっちゃかわいいし」
前にオレが髪をいじってから何度も旬くんはオレに教わりに来ていて。
『相馬の横で自信を持ちたいから』と笑った旬くんは凄く強くて、綺麗だった。
いやあ、本当に可愛かったなぁ。
そんな旬くんが裏方を希望しても表に立たされることは目に見えている。
大丈夫かなぁ。慣れてなさそうだけど。
思い出し笑いをしていると佐原にがくがくと揺さぶられた。
「ちょ、なに!?やめてよ…!」
「ど、どうにかならねぇかな!?」
「いや、無理でしょ…オレ、旬くんが断れると思わないもん。優しいし」
「そ、そんな…」
「天罰だー」
ケラケラと笑いながら旬くんにMINEを送る。
『旬くん、メイド喫茶するんだってね。何するの?』
『それが…何故かメイド服を着ることになって。似合わないって拒否したんだけど、ネタ?なのかな?』
『えー絶対似合うよー。当日楽しみにしてるねん。あと、佐原が超面白いから写真あげるー』
カシャっと項垂れる佐原を撮って旬くんに送ればすぐに既読がつき『何かあったの?』ときたので、『後で聞いてみなよ』と返しお疲れ様!とうさぎが言っているスタンプを送った。
「佐原、旬くんやっぱりメイドになるみたいだよ。楽しみだね」
「まじかぁあああ!!!…見たい、見たいけど…他の奴らに見せたくない…」
「取り敢えず他の人に見せる前に、自分が見ちゃったら?」
メイド服買って、と付け足せば佐原の目がキラリと輝いた気がした。
えっと、ごめんね。旬くん。
***
5月も終盤ですね。
すみません、サボってました。
ついでに今更ですが新しくお話書き始めました。
『消えたいと願ったら、猫になってました。』
『死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。』
変身ブームがきちゃったんですかね。
上は短編で気が向いたら更新っていう感じなので、完結まで気長にお待ちください。笑
下はネタは去年ぐらいに出て来てたんですが文字にするのに時間がかかりました。
宜しくお願いします!
何故なら…。
「…なぁんで体育祭と学園祭って期間があいてないわけぇ…?おかしくなぁい?」
「しゃーねーだろ。そういう学校なんだ、ここは」
「準備大変すぎだよぅ…疲れたぁ…」
っていうかまず体育祭をもっと早くしてほしいし…じめっとした暑さが気持ち悪い…。
「まぁ、1から地道に準備するわけでもないし大丈夫だろ」
「…そうなの?」
「ああ。…伊達に金持ち学校やってねーからな」
「ふぅん…そんなもん?」
「そんなもん」
とにかく生徒が楽しめたらいい、みたいな感じなのかな。
でもみんなで夜遅くまで残って準備したりするの、楽しそうだけどね。やった事ないし、漫画でしか読んだ事ないけどさぁ…。実際にはそんな事ないのかな。
シャーペンを指でくるくる回しながら考えていたら佐原に「お前少しは話し合いに参加しろよ」と笑われた。
「…だぁってぇ……オレの役割決まってるんでしょー?もう拒否するのも面倒だし勝手に進めてほしい…」
「みんなお前に期待してんだよ。…ぶふっ」
「笑うなよな!…佐原も道連れにしてやる…」
「むりむり、俺は…」
「はぁーい!ごめんねぇ、お話中なのに…やっぱり佐原がどーーーーーしてもオレと一緒に接客やりたいって言ってるんだけど…だめかなぁ?」
ちょ、おまえ!!と佐原の声を笑顔で抑え手を挙げた。
そう、オレがここまでやる気がないのには理由がある。
クラスでやる出し物が、コスプレ喫茶なのだがオレは当初裏方を希望していた。
なのに!また!佐原が…「神永は接客だろ~そのコミュ力を活かせ」と勝手に名前を『接客』の場所へと書き換え、気付いた時には遅くオレはコスプレをして接客をする事が確定してしまったのである。
体育祭の時といい、今といい…佐原くんにはしっかり反省して貰おうと思います☆
突然声をあげたオレにみんなは驚いていたが、無駄にぶりっ子を発揮すればみんな二つ返事でOKしてくれた。
うんうん、みんないい人だなぁ。
「んふふ、いいってよぅ。やったねぇ」
「くそっ…なんて事を…!」
「まあまあ~佐原は何になるんだろうね~楽しみだね~」
にやにやと佐原を見て揶揄っていると横から視線を感じて顔を向ければ、直也がこちらを見ていてその表情がどこか不満気で思わずくすっと笑みを零してしまった。
…ふ、めっちゃ眉間に皺寄ってる。
「どしたの、直也」
「…別に」
「あ、そういえば直也も接客だったよね?大丈夫なの?」
「……客と必要以上に話すわけじゃないんだろ。注文聞くのと配膳はちゃんとやる」
わぁお、機嫌が悪い。
「なんか、拗ねてる?」
「…拗ねてない」
「えぇ、うそ~……よいしょっと。ほら、おいで?」
めちゃくちゃぶすっとしてるのに拗ねてないは嘘だよなぁ。
椅子ごと直也に近づいて腕を直也に向かって開けば直也は迷う素振りもなく、ぽすんとオレの肩に頭を乗せた。
すり…とその頭に少しすり寄って撫でれば小さく「ごめん」と呟く声が聞こえた。
「…ふふ、なにが?…学園祭楽しみだねぇ」
「…あぁ」
「オレ、こういうの初めてだから、わくわくしちゃうんだよね」
「…初めて?」
弾む声を隠しきれずそう言うとガバッと頭を上げて目を見開き驚かれた。
ええ?そんな驚く事?
前の学校での記憶なんて殆どないし、まともに授業を受けたことさえあんまりないんじゃないかなぁ。
…本当、ここに来てオレ変わったなといつも思う。
「え?うん。…オレ、前の学校サボりがちだったからねー。こんなイベントに参加した事ないや」
「そ、か……そうか…」
「だから直也と色んなところまわりたいし、一緒に接客出来るのも楽しみ」
「……俺も」
にへら、と笑えば直也も同じように笑みを返してくれた。
笑いあっているオレ達を見た佐原が「だからイチャつくなら帰ってからやれって」とげんなりとした表情で言った。
旬くんとイチャつけないからって落ち込むなよなぁ。
「そういえば旬くんのクラスって何やるの?」
「ん?あー…なんだっけな、メイド喫茶?って言ってたような」
「うわ、それ絶対旬くんメイドになるやつだよ」
「は!?なんで」
「だってめっちゃかわいいし」
前にオレが髪をいじってから何度も旬くんはオレに教わりに来ていて。
『相馬の横で自信を持ちたいから』と笑った旬くんは凄く強くて、綺麗だった。
いやあ、本当に可愛かったなぁ。
そんな旬くんが裏方を希望しても表に立たされることは目に見えている。
大丈夫かなぁ。慣れてなさそうだけど。
思い出し笑いをしていると佐原にがくがくと揺さぶられた。
「ちょ、なに!?やめてよ…!」
「ど、どうにかならねぇかな!?」
「いや、無理でしょ…オレ、旬くんが断れると思わないもん。優しいし」
「そ、そんな…」
「天罰だー」
ケラケラと笑いながら旬くんにMINEを送る。
『旬くん、メイド喫茶するんだってね。何するの?』
『それが…何故かメイド服を着ることになって。似合わないって拒否したんだけど、ネタ?なのかな?』
『えー絶対似合うよー。当日楽しみにしてるねん。あと、佐原が超面白いから写真あげるー』
カシャっと項垂れる佐原を撮って旬くんに送ればすぐに既読がつき『何かあったの?』ときたので、『後で聞いてみなよ』と返しお疲れ様!とうさぎが言っているスタンプを送った。
「佐原、旬くんやっぱりメイドになるみたいだよ。楽しみだね」
「まじかぁあああ!!!…見たい、見たいけど…他の奴らに見せたくない…」
「取り敢えず他の人に見せる前に、自分が見ちゃったら?」
メイド服買って、と付け足せば佐原の目がキラリと輝いた気がした。
えっと、ごめんね。旬くん。
***
5月も終盤ですね。
すみません、サボってました。
ついでに今更ですが新しくお話書き始めました。
『消えたいと願ったら、猫になってました。』
『死んだと思ったら生まれ変わって魔族になってたんですが…。』
変身ブームがきちゃったんですかね。
上は短編で気が向いたら更新っていう感じなので、完結まで気長にお待ちください。笑
下はネタは去年ぐらいに出て来てたんですが文字にするのに時間がかかりました。
宜しくお願いします!
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