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オレ、怒ってるんじゃないし。

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くぅ~んと鳴き声が聞こえてきそうな表情で話しかけてくる楢原にオレは別に怒ってるわけじゃないし!とむくれた。
怒ってるんじゃなくて……悔しいだけだし…。
でもそれを言ってもわからないんだろうなぁ。だって、楢原だもん。

気持ちよく二度寝しようと思ったのに。

バッと布団を退けて楢原を恨めしそうに睨むと楢原はビクッと体を震わせた。なんでびびってんのさ。

「…怒ってない」
「じゃあなんでそんなにむくれてんだよ…俺、神永に嫌われたくない…」
「っ…き、嫌いになんて…」
「なら教えてくれ。なにが、嫌だったんだ」

先程とは打って変わって優しく語りかけるような声で聞かれて、オレは思わずポロリと涙を溢してしまった。
それを見て慌てたのは楢原で、おろおろと動揺している。
グスッと鼻をすすり動揺している楢原に抱きついた。

「か、かみ…なが…?」
「…オレ、見ちゃったんだ」
「え?何を?」
「……楢原が、オレの知らない子と楽しそうにっていうか…幸せ~って表情で話してるの」
「……」
「オレ、それ見て…別にオレじゃなくてもいいんだって思って…」
「そんなわけないだろ!」
「…ん。…でも、オレ、うざくない…?」
「全然だ!むしろ俺は嬉しい。神永が俺を好きでいてくれる事が、すっげぇ嬉しい。幸せだ」

そう言ってはにかむ楢原にきゅんっと胸が鳴った。…乙女かよ。

「…でも神永が見たそれっていつだ?」
「…最近…かな」
「そいつさ、俺より少し背が小さい奴か?」
「んー…多分…?逃げちゃったからあんまり覚えてないや」

心当たりがあるのか楢原は、あーと声を出して微妙な顔をした。
…楢原がオレから離れていく事はないのかもしれないけど、どんな答えが返ってくるのか怖くてオレはギュッと目を瞑った。


「それさぁ…多分、真崎だぜ?」
「へ?」
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