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オレ、モテ期。

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悩み事かと言われたきり黙ってしまった相手を見てどうしたものかと首を傾げる。
悩み事と言えば悩み事だけど、ほぼ初対面の人に話す内容でもない。
うん、ここは誤魔化そう。

「ちょっと疲れただけなので、大丈夫です」

「…そうは、見えないが」

うーーーーん面倒な人っぽいぞー?
大丈夫って言ってんだからスルーするのが常識だろーい!多分。
というかこの人誰なの。村人という事以外何も知らないけど。まあ村人でもないけどさ。

「…いえ、大丈夫です。それじゃあ、僕はもう行くので」

「いや、こっちで話そう。生徒の悩みは放っておけない」

ぺこっと頭を下げて立ち去ろうとしたら腕を掴まれてどこかに引っ張られ始めた。
何この人ぉ…ごういーん。
気付かれないように溜息を吐いて大人しくついていく。
生徒の悩みは~とか言ってたけどこの人も生徒だよね?どゆこと。

大人しくついて行った先の部屋には『生徒会室』と書かれていて、オレやべー奴に目つけられたんかなぁと遠い目になった。

「そこのソファに座っていてくれ。飲み物を淹れてくる」

「え、いや、おかまいなく…」

もう帰りたいんですけどォ…というオレの気持ち虚しく無視されて給湯室へと入って行った。
…これしれっと帰ってもバレなさそうだな。あの人何考えてるか分かんないしここで帰っても意味なさそうだけど。



コトッと目の前に置かれた紅茶はすごく美味しそうで、有難く頂いた。お茶請けも用意してくれてるし、その好意を無碍にすることなんて出来ないよねー。ってことでいただきまぁす。

むぐむぐと食べていると目の前の人はふっと笑った。
…おい、今鼻で笑っただろ。

「……それで、貴方は僕に何が聞きたいんですか」

「ん?あぁ…そうだな。直球に聞くが、今恋人はいるか?」

紅茶を噴き出さなかったことを褒めてほしい。
この人何言ってんだ!?もう怖すぎるんだけど!
てかオレに恋人がいたところで何か問題でも!?いないけど!!

「…いませんが」

「そうか。じゃあ、俺と付き合ってほしい」

「は!?…僕と、貴方は殆ど話したことはないですよね…」

「そんなものは関係ない。お前が好きだ」

「えぇ…」

この人は宇宙人ですか?
頭が痛い。話が通じない。もうオレ泣いちゃいそう。
ここに来て色んなことが起こりすぎて混乱してるのに、なんでこんな事になるわけ?

ぐっと手を握りしめ頭を下げる。

「…すみませんが、僕は付き合えません」

「何故だ」

「……貴方の事を、よく知らない事もそうですが…」

頭に浮かんだのは楢原の顔。ここで断らなければ楢原を傷ついてしまいそうで。
そこまで考えてオレはあぁ…答え出てるじゃん。と少しおかしくなった。

「…僕、大切な人がいるんです」

なので、すみません。とまた頭を下げれば男は少し黙った後「わかった」と言った。
ほっとして顔をあげれば「まあ、俺の方がいいと思わせればいいだけだしな」と言われこいつまじでやべぇ奴じゃん。とドン引きした。
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