27 / 48
本編
暗転
しおりを挟む
左足がコンテナの縁に引っ掛かり、左手で身体を引き寄せ、右肩から中に飛び込んだ。
自然と息が上がり、安堵から暫く動けなかった。
「怖かった怖かった怖かった。うひゃあぁぁぁ。」
成功した喜びより安堵の方が大きかった。これをあと三回もやるのか。もう犯人に見つかるように目立つ行動をして、ナタリーと一緒に捕まる方法を取ったほうが早いかもしれない。一緒に捕まった後になんとか隙をみて逃げる。
ん?むしろ、こっちのほうが完璧な方法かもしれない。見つかった途端に撃ち殺されない限りは。…まさかいきなり発砲したりしないよね…?うん。これは最終手段にしよう。いきなりは駄目だ。
「ナタリー!!どこだい!!ナタリー!!返事して!!」
起き上がって目があったのは、犯人の皆さんだった。
「あ………。」
お互い目を丸くして見つめあう。
(まずいまずいまずいまずい!!どうしよう!)
「皆さん……。え、えと、こんなところで…。ご、ご機嫌よう。」
(こんなことを言いたいんじゃないのに!どうしよう!)
「よぉ。あんちゃん。お姫様を助けに来たヒーローって訳だなぁ?あぁ?」
リーダーと見られる男がニタニタ笑いながら、声をかけてきた。
「…彼女をどこにやった。」
怯むのを悟られないようにリーダー格の男に告げる。
「いやいや、泣けるねぇ、愛の力ってやつぁ。なぁ皆、そうは思わないか?」
大の男が十数人もいるんだ。逃げたいに決まってる。それでもナタリーを助けたい、その思いだけが後ろに下がろうとする足をその場に留める。
「質問に答えろ。彼女はどこだ」
精一杯の虚勢を張る。そうでもしないと親方に申し訳ない。
「知りたいかぁ?彼女の所に連れていってやろうかぁ。あの世かもしれないがなぁ!」
お腹に衝撃が走り倒れた。リーダー格の男に蹴られていた。立ち上がる隙もなく男達に取り囲まれ、袋叩きにあう。頭を守ろうと本能的に丸くなる。
どこか遠くで、「身ぐるみ剥いで縛っておけ。女と一緒に売り飛ばす」という声が聞こえた気がした。
自然と息が上がり、安堵から暫く動けなかった。
「怖かった怖かった怖かった。うひゃあぁぁぁ。」
成功した喜びより安堵の方が大きかった。これをあと三回もやるのか。もう犯人に見つかるように目立つ行動をして、ナタリーと一緒に捕まる方法を取ったほうが早いかもしれない。一緒に捕まった後になんとか隙をみて逃げる。
ん?むしろ、こっちのほうが完璧な方法かもしれない。見つかった途端に撃ち殺されない限りは。…まさかいきなり発砲したりしないよね…?うん。これは最終手段にしよう。いきなりは駄目だ。
「ナタリー!!どこだい!!ナタリー!!返事して!!」
起き上がって目があったのは、犯人の皆さんだった。
「あ………。」
お互い目を丸くして見つめあう。
(まずいまずいまずいまずい!!どうしよう!)
「皆さん……。え、えと、こんなところで…。ご、ご機嫌よう。」
(こんなことを言いたいんじゃないのに!どうしよう!)
「よぉ。あんちゃん。お姫様を助けに来たヒーローって訳だなぁ?あぁ?」
リーダーと見られる男がニタニタ笑いながら、声をかけてきた。
「…彼女をどこにやった。」
怯むのを悟られないようにリーダー格の男に告げる。
「いやいや、泣けるねぇ、愛の力ってやつぁ。なぁ皆、そうは思わないか?」
大の男が十数人もいるんだ。逃げたいに決まってる。それでもナタリーを助けたい、その思いだけが後ろに下がろうとする足をその場に留める。
「質問に答えろ。彼女はどこだ」
精一杯の虚勢を張る。そうでもしないと親方に申し訳ない。
「知りたいかぁ?彼女の所に連れていってやろうかぁ。あの世かもしれないがなぁ!」
お腹に衝撃が走り倒れた。リーダー格の男に蹴られていた。立ち上がる隙もなく男達に取り囲まれ、袋叩きにあう。頭を守ろうと本能的に丸くなる。
どこか遠くで、「身ぐるみ剥いで縛っておけ。女と一緒に売り飛ばす」という声が聞こえた気がした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
貴妃エレーナ
無味無臭(不定期更新)
恋愛
「君は、私のことを恨んでいるか?」
後宮で暮らして数十年の月日が流れたある日のこと。国王ローレンスから突然そう聞かれた貴妃エレーナは戸惑ったように答えた。
「急に、どうされたのですか?」
「…分かるだろう、はぐらかさないでくれ。」
「恨んでなどいませんよ。あれは遠い昔のことですから。」
そう言われて、私は今まで蓋をしていた記憶を辿った。
どうやら彼は、若かりし頃に私とあの人の仲を引き裂いてしまったことを今も悔やんでいるらしい。
けれど、もう安心してほしい。
私は既に、今世ではあの人と縁がなかったんだと諦めている。
だから…
「陛下…!大変です、内乱が…」
え…?
ーーーーーーーーーーーーー
ここは、どこ?
さっきまで内乱が…
「エレーナ?」
陛下…?
でも若いわ。
バッと自分の顔を触る。
するとそこにはハリもあってモチモチとした、まるで若い頃の私の肌があった。
懐かしい空間と若い肌…まさか私、昔の時代に戻ったの?!
もう、振り回されるのは終わりです!
こもろう
恋愛
新しい恋人のフランシスを連れた婚約者のエルドレッド王子から、婚約破棄を大々的に告げられる侯爵令嬢のアリシア。
「もう、振り回されるのはうんざりです!」
そう叫んでしまったアリシアの真実とその後の話。
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
冷徹義兄の密やかな熱愛
橋本彩里(Ayari)
恋愛
十六歳の時に母が再婚しフローラは侯爵家の一員となったが、ある日、義兄のクリフォードと彼の親友の話を偶然聞いてしまう。
普段から冷徹な義兄に「いい加減我慢の限界だ」と視界に入れるのも疲れるほど嫌われていると知り、これ以上嫌われたくないと家を出ることを決意するのだが、それを知ったクリフォードの態度が急変し……。
※王道ヒーローではありません
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる