彼女を奪還せよ!

yyyNo.1

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本編

暗転

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左足がコンテナの縁に引っ掛かり、左手で身体を引き寄せ、右肩から中に飛び込んだ。

自然と息が上がり、安堵から暫く動けなかった。
「怖かった怖かった怖かった。うひゃあぁぁぁ。」
成功した喜びより安堵の方が大きかった。これをあと三回もやるのか。もう犯人に見つかるように目立つ行動をして、ナタリーと一緒に捕まる方法を取ったほうが早いかもしれない。一緒に捕まった後になんとか隙をみて逃げる。

ん?むしろ、こっちのほうが完璧な方法かもしれない。見つかった途端に撃ち殺されない限りは。…まさかいきなり発砲したりしないよね…?うん。これは最終手段にしよう。いきなりは駄目だ。

「ナタリー!!どこだい!!ナタリー!!返事して!!」

起き上がって目があったのは、犯人の皆さんだった。

「あ………。」

お互い目を丸くして見つめあう。
(まずいまずいまずいまずい!!どうしよう!)

「皆さん……。え、えと、こんなところで…。ご、ご機嫌よう。」
(こんなことを言いたいんじゃないのに!どうしよう!)

「よぉ。あんちゃん。お姫様を助けに来たヒーローって訳だなぁ?あぁ?」
リーダーと見られる男がニタニタ笑いながら、声をかけてきた。

「…彼女をどこにやった。」
怯むのを悟られないようにリーダー格の男に告げる。

「いやいや、泣けるねぇ、愛の力ってやつぁ。なぁ皆、そうは思わないか?」

大の男が十数人もいるんだ。逃げたいに決まってる。それでもナタリーを助けたい、その思いだけが後ろに下がろうとする足をその場に留める。

「質問に答えろ。彼女はどこだ」
精一杯の虚勢を張る。そうでもしないと親方に申し訳ない。

「知りたいかぁ?彼女の所に連れていってやろうかぁ。あの世かもしれないがなぁ!」

お腹に衝撃が走り倒れた。リーダー格の男に蹴られていた。立ち上がる隙もなく男達に取り囲まれ、袋叩きにあう。頭を守ろうと本能的に丸くなる。

どこか遠くで、「身ぐるみ剥いで縛っておけ。女と一緒に売り飛ばす」という声が聞こえた気がした。


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