彼女を奪還せよ!

yyyNo.1

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本編

募る不安

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(ナタリーはどこ?前半分にいるのかな…。そもそもこの列車であっている?)

日が落ち、辺りは暗く肌寒さを感じる。膝を抱えて木箱に寄りかかり体重を預ける。見知らぬ土地、疲労、犯人達に見つかるかもしれないという恐怖の中、思考がどんどんと後ろ向きになっていく。

「ナタリー…無事でいて…」
ナタリーの無事を祈る気持ちとこれまでの後悔から、今は膝を抱えてすすり泣く事しか出来なかった。

気が付くと、丁度朝陽が昇るところだった。朝陽に向かって両手を組み、祈る。
(今日こそナタリーを助け出せますよう、僕に勇気を下さい。全て上手くいきますように…!)

ナタリーが拐われて三日目を迎えた。

(拐われて三日…。きっとナタリーも限界が近いはず…。)

一つ前のコンテナに移ろうにも、左右のどこにも足場はなかった。

(屋根を伝うしかない…?一度降り……るのはナシだ。列車のスピードと並走は無理)

リュックの中身を見ても、もうロープはない。唯一使えそうなのは余った有刺鉄線だ。

(またこいつを使うのは避けたい…。痛いし。ナシナシ!)

麻の袋が目に止まる。
(勿体無いけど…。)
麻の袋をナイフで切ってどんどん紐状にしていく。紐はどれだけあっても困らない。大きな麻の袋の残りを加工して、小さな袋を作り、小麦粉を一掴み分だけポケットに忍ばせておく。目潰し位にはなるかも。

大きな麻の袋3つに紐状にしたものをくくりつけ、紐一本通す隙間を開けて、左右に木箱を積んでいく。

コンテナの端まできたら、足場になるように階段状に積む。紐を軽く引っ張り命綱になることを確認する。これでコンテナから落ちても紐さえ握っていれば、なんとかなる…はず!いや、するんだ!

(よし…!!行くぞ!!)

木箱に足をかけ、コンテナの屋根に登ると、列車の車両を数える。

「コンテナはあと四つもあるのか…。」

登った屋根は、捕まるところが何もないことが怖い。這って慎重に進む。

列車が丁度左カーブに差し掛かった。

「うおぉぉぉぉ…!落ちる!落ちる!落ちる!」
身体が右に流される。何とか手足を踏ん張って耐えるがジリジリと流されていってしまう。

縁ギリギリのところで何とか耐えきり、列車はまた直線に進む。

コンテナの端に辿り着き、後ろ向きに降りる。足場は車両連結部の僅かな部分しかないので、慎重に降りていく。

(もうちょっと…!)
爪先が何度も空を蹴る。握力が限界を迎えた頃、爪先に僅かに触れる感触があった。そっと爪先に体重をかけ、後ろ向きに着地できた。

なんとか身体を正面に向け、次のコンテナの扉を開けようと試みる。

(無理無理無理!!)

方法は二つ。
一つ目は、扉が開いた瞬間、握っていた紐から手を離し、コンテナの中に飛び込む。それも足から。
二つ目は、扉を開けたら再度、連結部分を戻り、開いた扉に向かって中に飛び込む。

連結部分を戻れるかな!?
冷や汗が出る。爪先しか置けないような足場を戻る位なら、一つ目の方法の方が成功率はありそうだった。

(やるしかない…!!でも、やりたくないぃぃ!!)

何度か深呼吸する。深く息を吸ったところで紐をナイフで切って、連結部分を爪先で走り、取っ手に全身ですがり付く。

取っ手を上に動かし、扉が少し開いた感触を感じる。右手はコンテナの取っ手を掴んで身体を支え、左手は開いたコンテナの縁を掴むことができた。何とか左足をコンテナの中にかけたいが扉が邪魔をして足が届かない。

(飛ぶしかない…!!)
左足を振り子のように降ってタイミングを計る。


「せーーのっっ!!!!」









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