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「たった一人のクロードファン」
シオン修道会
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その後、シオン修道会についていくつかの情報を得たクロードは、手帳にいくつかメモし、町長のいる町役場を後にした。
「そこのお方・・・」と、町の界隈を歩いていたクロードは、とある老婆に話しかけられた。
「あなたは魔法の心得はお持ちで?」と、老婆がにたりと笑う。
「え、ええ、少しは」と、変装してうわずった声で、クロードがわざとらしく言う。
「魔法学校とかにいったのかしら??」と、老婆が微笑む。
クロードの目にきらりと正義の炎が宿る。が、すぐにその光を消し、ただの30歳前後に見えるように変装する。
「は、はい、自分はリラの北部・ソロモン魔法学校の出です。今は小さなギルドの所属して暮らしています」と、クロード。
「いいわねえ、ねえ、いい話があるんだけど、ちょっと聞いていかない??」と、老婆が、奥の路地に手招きして誘う。
「それは、ぜひ!お金にも困っていまして・・・」
「そりゃあ、そうよね!この町周辺じゃあ、まず稼げない仕事が多いものねぇ・・・」と、老婆がニタニタと笑う。
(仲間が来るまで、ちょっと想定外だが、いい獲物が見つかった)とクロードは思い、路地裏の暗闇の中へ、老婆とともに消えていった。
「おっかしいなぁ、クロード賢者、待ち合わせの場所に来ないぜ??」と、クロードが老婆についていった3日後、クロードに助っ人を頼んだギルド員・カレルが、仲間のスヴェンに言う。二人は車を乗り捨て、徒歩でトランスバールの町に来ていた。
町長にも話をつけた。だが、「賢者様は確かに、3日前にいらっしゃったが、その後のことは何も聞いてない」の一点張りだった。
「こりゃ困ったな・・・俺らだけで相手になる組織でもないし、20名近くの若者を助けてやることも、難しいだろう」
「もしかして、シオン修道会の奴らに、やられちまったんじゃあ・・・・・」
「そんなわけないだろ!賢者様だぞ!」と、スヴェン。
「賢者様を信じるんだ。だが、俺らはとりあえず、身分を隠して、消えた賢者様の情報をつかもう」と、スヴェン。
(なるほどね、この村の地下にこんな施設が・・・)
その頃、老婆からうまくシオン修道会に潜入したクロードは、シオン修道会に入ったフリをして、修道会の独特な、赤色と黒の修道服に身を包み、地下通路を歩いていた。
今では、クロードを誘惑してきた老婆ではなく、シェリングという修道会のメンバーが、たいまつを手に、クロード(レナルド・ヴァイゼと名乗っていた)を先導した。
「おい、新人、よくこのグループに入ることを承諾したな!偉いぞ。我らが神は、主ではなく、新たな主・シェムハザなり」と、シェリング。修道服は、真っ赤な血の色の服に、黒の十字架のデザインの衣服だった。腰は、白のひもで縛ってある。
(シェムハザねぇ・・・こいつら、何言ってんのか、分かってんのか・・・??)と、クロードはぼんやりと思った。
「へい、アニキ」と、クロードが演技をする。
「だが、君のような、頭のよさそうな優秀な人材を団員にできて、私も嬉しいよ。もう少し魔法が使えるなら、なおよかったんだが、魔法は初歩だけ使えるんだっけ・・・??まあいい、これからよろしく頼む」と言って、シェリングが、クロードの背中をバンバンと叩く。
クロードも、たいまつに、魔法の炎を灯していた。
「まず君には、3日間でこの組織の目的をレクチャーしてきたが、早速君に指令を与える。この先の立派な牢獄を見てほしい」と、シェリング。
「牢獄・・??」と、クロード。
「あれだよ、見たまえ、レナルド君」と、シェリングが両手を広げる。
シェリングが、たいまつを煌々と上に掲げ、少し遠くを、クロードに見せる。
そこには、鉄の鉄格子でできた、人を収納する牢獄がずらっと続いているのだった。
「奥はな、麻薬の収納庫になってるんだ。手前は人買いに売る人間な」と、シェリング。
「・・・・そうっすか、先輩」と、クロードが低い声を出す。
「レナルド君、まず君には、この地下の収納庫の見張り番15名のうちの一人と交代してほしい。君にも、仕事を覚えてほしくてね」と、シェリング。
「了解しました、先輩」と言って、クロードは、敵の数が15名と、べらべらと喋って教えてくれたシェリングに感謝した。
二、三、仕事の内容の指示を受け、クロードはその15名のうちの一人と交代した。シェリングは、休憩時間だから、と階上の部屋に戻って行った。
(さあて、あとはこの14名の同志ってやつをどうするか、だな・・・厄介なのが、こいつらはただ洗脳されてる元は善人の子供だってことだ。殺すわけにもいかないし、親御さんのもとに戻さなきゃならない・・・と同時に、捕らえられたこの牢獄にいる人たちを助けることも必要だ。ここはスヴェンたちに連絡を取るべきだな)
と、クロードは一人思ったのだった。駆け足で、14名の見張りのもとへと駆けて行く。
よく観察していると、14名の見張り(みな若い人たちばかりだった)は、みな目の焦点が合っていなかった。魔法で洗脳されている証拠だろう。おそらく、操られている。
シェリングは、40代前後に見えたが、厳しい目をしていたので、あいつは若者を洗脳している側だろう、とクロードは思った。
牢獄にいる人たちを観察してみる。4歳ごろの幼い子から、50代ごろの、多少年配の人まで、幅広い年代の人たちが捕らえられている。衣服を見る限り、この灰色の服は、労働力としてどこかの国へ売り飛ばされるか、子供の場合、召使いとして人身売買の闇オークションに出されるんだろう、とクロードは察した。以前の任務で、この様式の服装を見たことが何度もあった。その灰色の布の腰あたりに、赤い文字で「卍」の文字が記されているのが一種の目印になっている。
スペツナズなど、小国地帯では名高い人身売買組織だが、それとは別の組織だろうが・・・・とクロードは巡回をしながら思った・・・まずは応援に連絡を取るのが先だ、と思った。
シェリングが階段をあがって、コツコツ、というブーツの音が消えたころ・・・クロードはだいたいのこの収容所の位置関係を把握していた。
「おい、新入り、どうした、巡回の班だろ、歩けよ」と、うつろな目をした男性・・・若者・・・が言う。
「行かせてもらうぜ・・・ミトラ・ミトラス・グレイン・ブランデンブルク!重力波!」と、振り向きざま、クロードがシャインソードを取り出して叫ぶ。
視界に入っていた10名ほどが、一気に地面にひれ伏す。重力に押しつぶされて、動けないようだ。声も出せないらしい。
「お前、何やってんだ!!」と、残った3~4名が、一斉に剣を取り出し、クロードに斬ってかかる。
「ま、普通王笏座のことなんて、知らないよな」と、クロードがニヤリと笑う。
魔力重宝のため、クロードが、シャイン・ソードで斬り合いをする。これしきの若者相手なら、楽勝だ。
あっという間に残りの4名を倒し、(わざと気絶させただけだった)、クロードは手早く、王笏座の激情波で、囚われている人たちの鉄格子をスパッと斬り落とす。この鉄格子は、魔法除けの呪文がかかっていたようだが、王笏座の加護の対策はしていなかったらしく、囚われていた人たちが歓声を上げる。
「そこのお方・・・」と、町の界隈を歩いていたクロードは、とある老婆に話しかけられた。
「あなたは魔法の心得はお持ちで?」と、老婆がにたりと笑う。
「え、ええ、少しは」と、変装してうわずった声で、クロードがわざとらしく言う。
「魔法学校とかにいったのかしら??」と、老婆が微笑む。
クロードの目にきらりと正義の炎が宿る。が、すぐにその光を消し、ただの30歳前後に見えるように変装する。
「は、はい、自分はリラの北部・ソロモン魔法学校の出です。今は小さなギルドの所属して暮らしています」と、クロード。
「いいわねえ、ねえ、いい話があるんだけど、ちょっと聞いていかない??」と、老婆が、奥の路地に手招きして誘う。
「それは、ぜひ!お金にも困っていまして・・・」
「そりゃあ、そうよね!この町周辺じゃあ、まず稼げない仕事が多いものねぇ・・・」と、老婆がニタニタと笑う。
(仲間が来るまで、ちょっと想定外だが、いい獲物が見つかった)とクロードは思い、路地裏の暗闇の中へ、老婆とともに消えていった。
「おっかしいなぁ、クロード賢者、待ち合わせの場所に来ないぜ??」と、クロードが老婆についていった3日後、クロードに助っ人を頼んだギルド員・カレルが、仲間のスヴェンに言う。二人は車を乗り捨て、徒歩でトランスバールの町に来ていた。
町長にも話をつけた。だが、「賢者様は確かに、3日前にいらっしゃったが、その後のことは何も聞いてない」の一点張りだった。
「こりゃ困ったな・・・俺らだけで相手になる組織でもないし、20名近くの若者を助けてやることも、難しいだろう」
「もしかして、シオン修道会の奴らに、やられちまったんじゃあ・・・・・」
「そんなわけないだろ!賢者様だぞ!」と、スヴェン。
「賢者様を信じるんだ。だが、俺らはとりあえず、身分を隠して、消えた賢者様の情報をつかもう」と、スヴェン。
(なるほどね、この村の地下にこんな施設が・・・)
その頃、老婆からうまくシオン修道会に潜入したクロードは、シオン修道会に入ったフリをして、修道会の独特な、赤色と黒の修道服に身を包み、地下通路を歩いていた。
今では、クロードを誘惑してきた老婆ではなく、シェリングという修道会のメンバーが、たいまつを手に、クロード(レナルド・ヴァイゼと名乗っていた)を先導した。
「おい、新人、よくこのグループに入ることを承諾したな!偉いぞ。我らが神は、主ではなく、新たな主・シェムハザなり」と、シェリング。修道服は、真っ赤な血の色の服に、黒の十字架のデザインの衣服だった。腰は、白のひもで縛ってある。
(シェムハザねぇ・・・こいつら、何言ってんのか、分かってんのか・・・??)と、クロードはぼんやりと思った。
「へい、アニキ」と、クロードが演技をする。
「だが、君のような、頭のよさそうな優秀な人材を団員にできて、私も嬉しいよ。もう少し魔法が使えるなら、なおよかったんだが、魔法は初歩だけ使えるんだっけ・・・??まあいい、これからよろしく頼む」と言って、シェリングが、クロードの背中をバンバンと叩く。
クロードも、たいまつに、魔法の炎を灯していた。
「まず君には、3日間でこの組織の目的をレクチャーしてきたが、早速君に指令を与える。この先の立派な牢獄を見てほしい」と、シェリング。
「牢獄・・??」と、クロード。
「あれだよ、見たまえ、レナルド君」と、シェリングが両手を広げる。
シェリングが、たいまつを煌々と上に掲げ、少し遠くを、クロードに見せる。
そこには、鉄の鉄格子でできた、人を収納する牢獄がずらっと続いているのだった。
「奥はな、麻薬の収納庫になってるんだ。手前は人買いに売る人間な」と、シェリング。
「・・・・そうっすか、先輩」と、クロードが低い声を出す。
「レナルド君、まず君には、この地下の収納庫の見張り番15名のうちの一人と交代してほしい。君にも、仕事を覚えてほしくてね」と、シェリング。
「了解しました、先輩」と言って、クロードは、敵の数が15名と、べらべらと喋って教えてくれたシェリングに感謝した。
二、三、仕事の内容の指示を受け、クロードはその15名のうちの一人と交代した。シェリングは、休憩時間だから、と階上の部屋に戻って行った。
(さあて、あとはこの14名の同志ってやつをどうするか、だな・・・厄介なのが、こいつらはただ洗脳されてる元は善人の子供だってことだ。殺すわけにもいかないし、親御さんのもとに戻さなきゃならない・・・と同時に、捕らえられたこの牢獄にいる人たちを助けることも必要だ。ここはスヴェンたちに連絡を取るべきだな)
と、クロードは一人思ったのだった。駆け足で、14名の見張りのもとへと駆けて行く。
よく観察していると、14名の見張り(みな若い人たちばかりだった)は、みな目の焦点が合っていなかった。魔法で洗脳されている証拠だろう。おそらく、操られている。
シェリングは、40代前後に見えたが、厳しい目をしていたので、あいつは若者を洗脳している側だろう、とクロードは思った。
牢獄にいる人たちを観察してみる。4歳ごろの幼い子から、50代ごろの、多少年配の人まで、幅広い年代の人たちが捕らえられている。衣服を見る限り、この灰色の服は、労働力としてどこかの国へ売り飛ばされるか、子供の場合、召使いとして人身売買の闇オークションに出されるんだろう、とクロードは察した。以前の任務で、この様式の服装を見たことが何度もあった。その灰色の布の腰あたりに、赤い文字で「卍」の文字が記されているのが一種の目印になっている。
スペツナズなど、小国地帯では名高い人身売買組織だが、それとは別の組織だろうが・・・・とクロードは巡回をしながら思った・・・まずは応援に連絡を取るのが先だ、と思った。
シェリングが階段をあがって、コツコツ、というブーツの音が消えたころ・・・クロードはだいたいのこの収容所の位置関係を把握していた。
「おい、新入り、どうした、巡回の班だろ、歩けよ」と、うつろな目をした男性・・・若者・・・が言う。
「行かせてもらうぜ・・・ミトラ・ミトラス・グレイン・ブランデンブルク!重力波!」と、振り向きざま、クロードがシャインソードを取り出して叫ぶ。
視界に入っていた10名ほどが、一気に地面にひれ伏す。重力に押しつぶされて、動けないようだ。声も出せないらしい。
「お前、何やってんだ!!」と、残った3~4名が、一斉に剣を取り出し、クロードに斬ってかかる。
「ま、普通王笏座のことなんて、知らないよな」と、クロードがニヤリと笑う。
魔力重宝のため、クロードが、シャイン・ソードで斬り合いをする。これしきの若者相手なら、楽勝だ。
あっという間に残りの4名を倒し、(わざと気絶させただけだった)、クロードは手早く、王笏座の激情波で、囚われている人たちの鉄格子をスパッと斬り落とす。この鉄格子は、魔法除けの呪文がかかっていたようだが、王笏座の加護の対策はしていなかったらしく、囚われていた人たちが歓声を上げる。
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