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第一章 姫巫女の祓魔師
ランスロット・ポール
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二人はピクニックの箱を持ったまま、森の中で、いい場所を見つけた。
頭上からは陽光がさし、小鳥がないている。天気は晴れで、雲一つない、快晴だ。
草の匂いが気持ちいい。
お弁当箱を広げ、二人はラブラブ・ピクニックを始めた。
木の大きな切株に座っている。
「お前も、正義感強いよな、マリア」と、ダミアンが、マリアの手作りのサンドイッチを食べながら言う。
「嘆願書、10回だしてもめげないなんて、な!あ、そうだ、そのハナシ!10回目の嘆願書、ランスロット先輩、っていう先輩にとられた、って言ったけど、今度、ランスロット先輩が、マリアたち、有志の祓魔師と会いたいそうだ!」
「!本当?ダミアン!!・・・で、そのランスロット様って、どんな方なの?年齢は?偉い方なの?」
「ランスロット先輩は、だな。本名、ランスロット・ポール、ハイランダーの一族の出身の方だ。年齢は26歳、君の4つ上。ギルドの3傑の一人、と呼ばれている。まあ、超強い、みんなの尊敬の的だが、落ち着いた方でもある。その方、あだ名が、“閃光のランスロット”っていうんだ」
「まあ、それはどうして?」
「先輩は、これは内緒なんだが、光の精霊と契約している、珍しい魔術師で、雷の化身の剣・サンダーシャイン・ソードが使えるんだ!しかも、風の精霊の”俊足“と掛け合わせて使っているから、電光石火の速さで、敵を一瞬でぶった切る、それが先輩の戦闘スタイルなんだ!」
「まぁ!」
「びっくりしたろ?リラの期待の星、と言われているんだぜ?裏で。あとな・・・」
そういって、ダミアンは、持ってきたカバンから、とあるノートを取り出した。小さなメモ帳だ。
「俺のスケジュール帳なんだが・・・・。なんでも、先輩は、クロード大賢者と接触があった、ってもっぱらの噂さ!しかも、先輩、なにか探し回ってる。俺らには、教えて下さらないが」
「ふぅん・・・・」
「まあ、先輩、いい人だから、マリア達の嘆願書、放っておけなかったんじゃないかな。マリアも、いよいよギルド入り、かもな!」
「だって、ダミアン、このままだと世界が危ない、って話だし!祓魔師の力が与えられたシスターは、世界各地とはいえ、まだまだ少ないのだし、私たちで、何とかしないと!」
「そうだな、知名度も少ないな。ま、いざという時は、俺が一緒にギルドで戦ってやるから、安心しろ、マリア」
「ありがとう、ダミアン」
「最近は、アンデッドやガーゴイルも凶暴化している、っていうし、ギルドとの連携は、確かに必要な気が俺もする。トップは、戦闘のろくな経験もない、女性、ましてや教会につとめるシスターちゃんたちに任せるのは責任問題になる、とか、いざとなったら足手まといになるんじゃないか、とか、いろいろ言ってるが、本当はどうなんだろうな。女性蔑視だと、俺は思うぜ?かといって、君を危険にはさらしたくないが」
「ダミアン、ここは頼んだわ!アイリスのように、魔法も使えるシスターたちだって結構いるし、私たちだって役に立てる、ってことを、教えてやりましょう!世界が危ないのよ?」
「そうだな」
その日のピクニックのあと、1週間後、ランスロット・ポールと、マリアとアイリスを代表とする有志のシスターたち10名が、教会で会うことになった。
その二日前のこと。マリアとアイリスが、二人でダミアンを連れ添って、夜勤を務めていた時のことだった。
月夜の夜だった。軽く冷える夜だった。
その日は、日が落ちた後、午後8時ぐらいから、夜勤を勤めていた。
「キャーーー!!」と、どこからか声がした。
ダミアンとアイリスが駆けだす。マリアもそのあとを追う。
通行中の女性が、空中から現れたと推測される3体のアンデッドに襲われそうになっていた。
「おりゃあ!」と、ダミアンがシャイン・ソードの「水流波」でアンデッドに直撃する。水の勢いで骨が4~5本ほど折れたアンデッドたちが、グギギ……と立ち上がる。
「あと一発だな!」と言って、ダミアンがシャイン・ソードで直接、アンデッドと切りあう。アンデッドも剣を持っている。
そのすきに、アイリスが女性を助け、走って逃げるように言った。
「悪魔・虚無からの創造!」とマリアがいい、ストールを空に放って、アンデッドたちの動きを封じる。
一方、そのころ、ランスロット・ポールは、ギルド・黄金の夜明け団・リラ本部で、掃除係をしていた後輩から、相談を受けていた。
「先ほど、郵便物が届きましてね。でも、あて先がなくて。ギルド宛てなんですけど、急ぎの用でしょうか、今開けてもいいと思います?個人情報的に?」と言われ、ランスロットが、「自分が責任持つから、開けよう、」と言って、後輩からその手紙を受け取った。
真っ黒の封筒・・・表面も、裏面も。そこに、金色の縁取り模様がしてあり、宛名も金色のインクで書かれていた。どうも怪しい。
ランスロットが裏返して、差出人を見ると、そこには、「アスタロス公爵より」とだけ書かれていた。思い切って、封蝋の封を開ける。
「君たちは帰っていいぞ、もう掃除はそれぐらいで大丈夫だ、」とランスロットが優しく告げ、険しい表情で、手紙をもって、外に出ていった。
「あ、ちょっ、先輩!勝手に持って行っていいんですかぁ?!?」
そういう後輩の言葉をあとに、ランスロット・ポールは、さっそうと、急ぎ足で、ギルドの蒼と白色のコートに身を包み、夜の闇の中へととけていった。
頭上からは陽光がさし、小鳥がないている。天気は晴れで、雲一つない、快晴だ。
草の匂いが気持ちいい。
お弁当箱を広げ、二人はラブラブ・ピクニックを始めた。
木の大きな切株に座っている。
「お前も、正義感強いよな、マリア」と、ダミアンが、マリアの手作りのサンドイッチを食べながら言う。
「嘆願書、10回だしてもめげないなんて、な!あ、そうだ、そのハナシ!10回目の嘆願書、ランスロット先輩、っていう先輩にとられた、って言ったけど、今度、ランスロット先輩が、マリアたち、有志の祓魔師と会いたいそうだ!」
「!本当?ダミアン!!・・・で、そのランスロット様って、どんな方なの?年齢は?偉い方なの?」
「ランスロット先輩は、だな。本名、ランスロット・ポール、ハイランダーの一族の出身の方だ。年齢は26歳、君の4つ上。ギルドの3傑の一人、と呼ばれている。まあ、超強い、みんなの尊敬の的だが、落ち着いた方でもある。その方、あだ名が、“閃光のランスロット”っていうんだ」
「まあ、それはどうして?」
「先輩は、これは内緒なんだが、光の精霊と契約している、珍しい魔術師で、雷の化身の剣・サンダーシャイン・ソードが使えるんだ!しかも、風の精霊の”俊足“と掛け合わせて使っているから、電光石火の速さで、敵を一瞬でぶった切る、それが先輩の戦闘スタイルなんだ!」
「まぁ!」
「びっくりしたろ?リラの期待の星、と言われているんだぜ?裏で。あとな・・・」
そういって、ダミアンは、持ってきたカバンから、とあるノートを取り出した。小さなメモ帳だ。
「俺のスケジュール帳なんだが・・・・。なんでも、先輩は、クロード大賢者と接触があった、ってもっぱらの噂さ!しかも、先輩、なにか探し回ってる。俺らには、教えて下さらないが」
「ふぅん・・・・」
「まあ、先輩、いい人だから、マリア達の嘆願書、放っておけなかったんじゃないかな。マリアも、いよいよギルド入り、かもな!」
「だって、ダミアン、このままだと世界が危ない、って話だし!祓魔師の力が与えられたシスターは、世界各地とはいえ、まだまだ少ないのだし、私たちで、何とかしないと!」
「そうだな、知名度も少ないな。ま、いざという時は、俺が一緒にギルドで戦ってやるから、安心しろ、マリア」
「ありがとう、ダミアン」
「最近は、アンデッドやガーゴイルも凶暴化している、っていうし、ギルドとの連携は、確かに必要な気が俺もする。トップは、戦闘のろくな経験もない、女性、ましてや教会につとめるシスターちゃんたちに任せるのは責任問題になる、とか、いざとなったら足手まといになるんじゃないか、とか、いろいろ言ってるが、本当はどうなんだろうな。女性蔑視だと、俺は思うぜ?かといって、君を危険にはさらしたくないが」
「ダミアン、ここは頼んだわ!アイリスのように、魔法も使えるシスターたちだって結構いるし、私たちだって役に立てる、ってことを、教えてやりましょう!世界が危ないのよ?」
「そうだな」
その日のピクニックのあと、1週間後、ランスロット・ポールと、マリアとアイリスを代表とする有志のシスターたち10名が、教会で会うことになった。
その二日前のこと。マリアとアイリスが、二人でダミアンを連れ添って、夜勤を務めていた時のことだった。
月夜の夜だった。軽く冷える夜だった。
その日は、日が落ちた後、午後8時ぐらいから、夜勤を勤めていた。
「キャーーー!!」と、どこからか声がした。
ダミアンとアイリスが駆けだす。マリアもそのあとを追う。
通行中の女性が、空中から現れたと推測される3体のアンデッドに襲われそうになっていた。
「おりゃあ!」と、ダミアンがシャイン・ソードの「水流波」でアンデッドに直撃する。水の勢いで骨が4~5本ほど折れたアンデッドたちが、グギギ……と立ち上がる。
「あと一発だな!」と言って、ダミアンがシャイン・ソードで直接、アンデッドと切りあう。アンデッドも剣を持っている。
そのすきに、アイリスが女性を助け、走って逃げるように言った。
「悪魔・虚無からの創造!」とマリアがいい、ストールを空に放って、アンデッドたちの動きを封じる。
一方、そのころ、ランスロット・ポールは、ギルド・黄金の夜明け団・リラ本部で、掃除係をしていた後輩から、相談を受けていた。
「先ほど、郵便物が届きましてね。でも、あて先がなくて。ギルド宛てなんですけど、急ぎの用でしょうか、今開けてもいいと思います?個人情報的に?」と言われ、ランスロットが、「自分が責任持つから、開けよう、」と言って、後輩からその手紙を受け取った。
真っ黒の封筒・・・表面も、裏面も。そこに、金色の縁取り模様がしてあり、宛名も金色のインクで書かれていた。どうも怪しい。
ランスロットが裏返して、差出人を見ると、そこには、「アスタロス公爵より」とだけ書かれていた。思い切って、封蝋の封を開ける。
「君たちは帰っていいぞ、もう掃除はそれぐらいで大丈夫だ、」とランスロットが優しく告げ、険しい表情で、手紙をもって、外に出ていった。
「あ、ちょっ、先輩!勝手に持って行っていいんですかぁ?!?」
そういう後輩の言葉をあとに、ランスロット・ポールは、さっそうと、急ぎ足で、ギルドの蒼と白色のコートに身を包み、夜の闇の中へととけていった。
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