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第九章 新たなるメッセージ
任務完了
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それですっかりのびて気を失ってしまった父親に対し、ヨハンネスは軽蔑したように見て、
「お前、考え方が根本的に間違ってるよ!俺から、警察に今回の決闘のルール違反の件は報告しておく。アストランの戦士ギルド・グノーシスの一人として、厳正に対処する」とだけ告げた。
「コレット!」と、フレデリクがコレットに駆け寄る。
二人はひしと抱き合った。
「ま、これで少しは一件落着、かな?」と、ヨハンネスがずれたジャケットの襟を正す。
その後のヨハンネスの見聞録によると、23歳になり、女性が法律で、自らの意志で、両親の許可なく結婚できる年齢になったら、二人は結婚する予定だそうだ。
コレット嬢の、父が決めた婚約者は例の逮捕された決闘者しかいなかったらしく、他の親族にも、年頃の男性がいないため、コレット嬢の父も、しぶしぶ二人の仲を認めつつあるらしい。
「本当に、ありがとうございました!」と、フレデリクがおじぎをする。
「いえいえ、フレデリクさん、私は依頼された任務をしただけですから」と、ヨハンネスが軽く微笑む。
「それにしても、ずいぶんと差別主義者の義父さんですね。逮捕をきっかけに、ちょっとは目が覚めたらしいが、まあアストランの貴族には珍しくない気性の方ですがね。悲しいことに」
「・・・・・そうですね。それでも、、コレットにとっては、たった一人の父君ですから、僕も、認めてもらえるように、今の仕事、精進して頑張るつもりです!」
「うん、それはいい心構えだと思います」と、ヨハンネスがにっこりと微笑む。
コレット嬢からもお礼の言葉を受け取り、ヨハンネスは笑顔を見せ、二人と別れた。
ギルドで報酬を受け取り、銀行口座に預けておいた。
「さって、ようやく出発か……!!」と、ヨハンネスは銀行を後にし、一人そっとつぶやいた。
今日は、5月16日。ヨハンネスの18歳の誕生日、23日が、リューベック兄妹が、アストランのホラントの町を後にする、希望の日だ。
「任務の後は・・・・レッツ・ジゼルたん!!」と言って、ヨハンは、足取り軽く、ジゼルの待つ教会へと向かった。
教会では、午後2時頃だったのだが、ジゼルはまだ教会学校で授業を受けていた。
その間、ヨハンネスは、司祭様と旅の段取りを話し込んでいた。
「そうか、ヨハンネス君、君もついに出発を……!!」
「はい、司祭様。偉い、ペルセウス座の神々様からのメッセージです。無視するわけにはいきません。俺と、ジゼルの間でもきちんと話し合い、決めたことです」
「そうか。――時にヨハンネス君、君はミニチュア魔法、というものを知っているかな?」
「ああ、あれですよね、遠征のときとかに、俺の先輩が使ってたのを、見たことがあります。食料や衣服などを、小さくして収納できる魔法ですよね?」
「うむ、そうだ。君は使えないようだが、ジゼルちゃんには、授業で教えておいたから、ジゼルちゃんにしてもらいなさい」
「はい、それはよかった!さすが俺のジゼルたん」
「兄妹、いつまでも仲良くな!」
「はい、そのつもりです、司祭様」そう言って、ヨハンネスはシスターたちの一人から受け取ったコーヒーを飲み、ジゼルの授業が終わるのを待った。
1時間ほどシスターたちと歓談していたのち、妹が教室から出てくるのが見えた。
「ジゼルたーーん!!」と、ヨハンネスが手を振る。
それに気づいた、友達と話してジゼルが、友達に二言三言告げたあと、別れを告げ、兄の元へ駆け出した。
「お兄ちゃん!」
「今日もまじめに授業受けてたか、ジゼルたーーん?」
「もちろん、お兄ちゃん!」
「うん、それならいいんだ」
「ジゼルたん、1週間後に出発するから、しばらく、教会学校は、お休みすることになるけど・・・・」
「うん、お兄ちゃん、分かってる」
ジゼルが教会でいつものお祈りを始めたので、ヨハンはその姿をこれまたいつものように見守っていた。
シスターたちに、ジゼルが、妹がお世話になりました、と挨拶をしてまわるのも忘れなかった。
「わたしは信じます。唯一の神、全能の父、天と地、見えるもの、見えないもの、すべてのものの造り主を。わたしは信じます。唯一の主……」
と、シスターたちと一緒に、ジゼルが祈りの言葉を聖堂の御像に捧げる。
お祈りが済んでしまうと、二人の兄妹は仲良く手をつないで帰宅の道路についた。
「あのね、お兄ちゃん、今日が、お休み前の最後の授業だったんだけどね、お兄ちゃん」とジゼルが微笑んで言う。
「うん、ジゼルたん」
「みんながお別れ会を開いてくれたの!それでね・・・・・」
そう言って、二人は話をしながら歩いていた。
「お兄ちゃん、明日からは、不定形物を除く縮小呪文、すなわちミニチュア魔法で、旅の準備、進めようね!」
「そうだね、ジゼルたん!俺、その魔法知らないから、よろしく頼むぜ、ジゼルたん!」
「うん、お兄ちゃん!任せて!」
「お前、考え方が根本的に間違ってるよ!俺から、警察に今回の決闘のルール違反の件は報告しておく。アストランの戦士ギルド・グノーシスの一人として、厳正に対処する」とだけ告げた。
「コレット!」と、フレデリクがコレットに駆け寄る。
二人はひしと抱き合った。
「ま、これで少しは一件落着、かな?」と、ヨハンネスがずれたジャケットの襟を正す。
その後のヨハンネスの見聞録によると、23歳になり、女性が法律で、自らの意志で、両親の許可なく結婚できる年齢になったら、二人は結婚する予定だそうだ。
コレット嬢の、父が決めた婚約者は例の逮捕された決闘者しかいなかったらしく、他の親族にも、年頃の男性がいないため、コレット嬢の父も、しぶしぶ二人の仲を認めつつあるらしい。
「本当に、ありがとうございました!」と、フレデリクがおじぎをする。
「いえいえ、フレデリクさん、私は依頼された任務をしただけですから」と、ヨハンネスが軽く微笑む。
「それにしても、ずいぶんと差別主義者の義父さんですね。逮捕をきっかけに、ちょっとは目が覚めたらしいが、まあアストランの貴族には珍しくない気性の方ですがね。悲しいことに」
「・・・・・そうですね。それでも、、コレットにとっては、たった一人の父君ですから、僕も、認めてもらえるように、今の仕事、精進して頑張るつもりです!」
「うん、それはいい心構えだと思います」と、ヨハンネスがにっこりと微笑む。
コレット嬢からもお礼の言葉を受け取り、ヨハンネスは笑顔を見せ、二人と別れた。
ギルドで報酬を受け取り、銀行口座に預けておいた。
「さって、ようやく出発か……!!」と、ヨハンネスは銀行を後にし、一人そっとつぶやいた。
今日は、5月16日。ヨハンネスの18歳の誕生日、23日が、リューベック兄妹が、アストランのホラントの町を後にする、希望の日だ。
「任務の後は・・・・レッツ・ジゼルたん!!」と言って、ヨハンは、足取り軽く、ジゼルの待つ教会へと向かった。
教会では、午後2時頃だったのだが、ジゼルはまだ教会学校で授業を受けていた。
その間、ヨハンネスは、司祭様と旅の段取りを話し込んでいた。
「そうか、ヨハンネス君、君もついに出発を……!!」
「はい、司祭様。偉い、ペルセウス座の神々様からのメッセージです。無視するわけにはいきません。俺と、ジゼルの間でもきちんと話し合い、決めたことです」
「そうか。――時にヨハンネス君、君はミニチュア魔法、というものを知っているかな?」
「ああ、あれですよね、遠征のときとかに、俺の先輩が使ってたのを、見たことがあります。食料や衣服などを、小さくして収納できる魔法ですよね?」
「うむ、そうだ。君は使えないようだが、ジゼルちゃんには、授業で教えておいたから、ジゼルちゃんにしてもらいなさい」
「はい、それはよかった!さすが俺のジゼルたん」
「兄妹、いつまでも仲良くな!」
「はい、そのつもりです、司祭様」そう言って、ヨハンネスはシスターたちの一人から受け取ったコーヒーを飲み、ジゼルの授業が終わるのを待った。
1時間ほどシスターたちと歓談していたのち、妹が教室から出てくるのが見えた。
「ジゼルたーーん!!」と、ヨハンネスが手を振る。
それに気づいた、友達と話してジゼルが、友達に二言三言告げたあと、別れを告げ、兄の元へ駆け出した。
「お兄ちゃん!」
「今日もまじめに授業受けてたか、ジゼルたーーん?」
「もちろん、お兄ちゃん!」
「うん、それならいいんだ」
「ジゼルたん、1週間後に出発するから、しばらく、教会学校は、お休みすることになるけど・・・・」
「うん、お兄ちゃん、分かってる」
ジゼルが教会でいつものお祈りを始めたので、ヨハンはその姿をこれまたいつものように見守っていた。
シスターたちに、ジゼルが、妹がお世話になりました、と挨拶をしてまわるのも忘れなかった。
「わたしは信じます。唯一の神、全能の父、天と地、見えるもの、見えないもの、すべてのものの造り主を。わたしは信じます。唯一の主……」
と、シスターたちと一緒に、ジゼルが祈りの言葉を聖堂の御像に捧げる。
お祈りが済んでしまうと、二人の兄妹は仲良く手をつないで帰宅の道路についた。
「あのね、お兄ちゃん、今日が、お休み前の最後の授業だったんだけどね、お兄ちゃん」とジゼルが微笑んで言う。
「うん、ジゼルたん」
「みんながお別れ会を開いてくれたの!それでね・・・・・」
そう言って、二人は話をしながら歩いていた。
「お兄ちゃん、明日からは、不定形物を除く縮小呪文、すなわちミニチュア魔法で、旅の準備、進めようね!」
「そうだね、ジゼルたん!俺、その魔法知らないから、よろしく頼むぜ、ジゼルたん!」
「うん、お兄ちゃん!任せて!」
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