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 あの後、直人も加わって、のぶと三人で大泣きした。小泉も泣きそうになってたけど、必死に耐えたようで……。ゲストは泣き出している俺達に一様に困惑していたが、小泉がなんとか収拾してくれたようだった。
 梓は直人に泣きつかれ、がっちりホールドされてしまうと、逃げられるものも逃げられなくなってしまい、そのまま二次会へ強引に連れ込まれてしまった。その辺はさすが直人、と言ったところか。
 こんなつもりじゃなかった、と分かりやすく顔に書く梓だったが、直人に会ったが運の尽きだろう。

 直人が俺の代わりに聞きたいこと全部聞いてくれた。聞いてくれ、なんて頼んだわけじゃないんだけど、これぞ根掘り葉掘り自分の興味が向くままに色んなことを聞き出してくれた。

 大学で教育学部に通っていたこと。現在、社会科の高校教師として仕事をしていること。そして、大学時代からの恋人と遠距離恋愛中ってことも、聞きだした。

「女なの?」

 直人が怪訝に眉を寄せて梓に詰め寄った。

「女ですよ。普通に考えたら女でしょ」
「同い年なの?」
「なんですか……? ダメなんですか?」
「いやだって、柄沢は男で、年上だぞ?」
「か……っ、柄沢さんは元恋人で、僕の現恋人ではないです!」

 顔を赤くして怒る梓に、直人は肩をすくめると、「恋人居るってよ」って残念そうに俺を見た。

「でもつまり……、要するに……奪えばいいんだろ? その女から、梓を」

 グラスに残っていた酒を一気に飲み干し、俺は真っ直ぐ梓を見つめた。

 俺を睨むように見ていた梓だけど、睨めっこに勝ったのは俺の方で……。梓はカタカタと唇を震わせるとそのまま片手で目元を隠し、ズっ……と、一度だけ鼻をすすった。

「梓ちゃん……」

 ゆっくり呼吸を繰り返して気持ちを落ち着かせようとする梓だったけど、直人はそっとその背中を撫で、優しく笑った。

「もう大丈夫だよ。我慢すんなって。意地だって張るなよ。……な?」

 そして俺たちの、二度目の恋が始まった。

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