59 / 73
第七章
7-3-2
しおりを挟む
優梨の心の声をなるべく聞こえないようにするために、祥は頻繁に心を通じて話しかけ続けた。
だが祥の努力も功を奏さず、永緒はだんだん口数が減り、ついには一言も話さなくなってしまった。
昼食を終えて優梨が席を外した後も、永緒は心なしか気分が沈んでいるようだった。
「永緒、何かあったら早く言えよ」
「うん。でも、何ともないから。ありがとう」
「……なぁ永緒。明日からはフツーに屋上で食おうか」
「いいの?」
「ああ、いきなり弁当ってのは早すぎたかもしない。昼休みの余った時間で、クラスの奴らと少しずつ話していけばいいかなって」
祥は少し気が急いていたのかもしれない。永緒には永緒のペースがあるのだ。これは自分だけの問題ではないのだから、こちらがもっと合わせなければ。
「ありがとう。俺なんかのために、ここまでしてくれて」
「俺なんかって何だよ! 恋人のために、尽くしてやりたいって思うの、当たり前だと思うんだけど」
途中からは回りに聞こえないように、永緒の耳元で囁く。するとその顔に、困ったような笑みが浮かぶ。
「俺、本当に祥がいないと生きていけないかも……」
「ま、またそんな大袈裟なことを」
「大袈裟なんかじゃないよ。祥のお陰で俺、変われそうなんだ。これからもいっぱい頼るけど、よろしくね」
「おう。どんと来い! ずっと一緒だって言っただろ」
祥の言葉に、永緒は飛び切りの笑顔で応えたのだった。
だが祥の努力も功を奏さず、永緒はだんだん口数が減り、ついには一言も話さなくなってしまった。
昼食を終えて優梨が席を外した後も、永緒は心なしか気分が沈んでいるようだった。
「永緒、何かあったら早く言えよ」
「うん。でも、何ともないから。ありがとう」
「……なぁ永緒。明日からはフツーに屋上で食おうか」
「いいの?」
「ああ、いきなり弁当ってのは早すぎたかもしない。昼休みの余った時間で、クラスの奴らと少しずつ話していけばいいかなって」
祥は少し気が急いていたのかもしれない。永緒には永緒のペースがあるのだ。これは自分だけの問題ではないのだから、こちらがもっと合わせなければ。
「ありがとう。俺なんかのために、ここまでしてくれて」
「俺なんかって何だよ! 恋人のために、尽くしてやりたいって思うの、当たり前だと思うんだけど」
途中からは回りに聞こえないように、永緒の耳元で囁く。するとその顔に、困ったような笑みが浮かぶ。
「俺、本当に祥がいないと生きていけないかも……」
「ま、またそんな大袈裟なことを」
「大袈裟なんかじゃないよ。祥のお陰で俺、変われそうなんだ。これからもいっぱい頼るけど、よろしくね」
「おう。どんと来い! ずっと一緒だって言っただろ」
祥の言葉に、永緒は飛び切りの笑顔で応えたのだった。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
ゆるふわメスお兄さんを寝ている間に俺のチンポに完全屈服させる話
さくた
BL
攻め:浩介(こうすけ)
奏音とは大学の先輩後輩関係
受け:奏音(かなと)
同性と付き合うのは浩介が初めて
いつも以上に孕むだのなんだの言いまくってるし攻めのセリフにも♡がつく
クソザコ乳首くんの出張アクメ
掌
BL
おさわりOK♡の家事代行サービスで働くようになった、ベロキス大好きむっつりヤンキー系ツン男子のクソザコ乳首くんが、出張先のどすけべおぢさんの家で乳首穴開き体操着でセクハラ責めされ、とことんクソザコアクメさせられる話。他腋嗅ぎ、マイクロビキニなど。フィクションとしてライトにお楽しみください。
ネタの一部はお友達からご提供いただきました。ありがとうございました!
pixiv/ムーンライトノベルズにも同作品を投稿しています。
なにかありましたら(web拍手)
http://bit.ly/38kXFb0
Twitter垢・拍手返信はこちらから
https://twitter.com/show1write
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる