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マグネラ攻防戦
第184話 連絡が取れなくなりました
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「ハイヤー卿、お久しゅうございます」
レッグ少佐は、ルガ・ハイヤーを見かけるや、すぐさま跪き丁重に挨拶をした。
それを見ていたウクルキは、やはり自分が思った通りの立場であったのだと、あらためて感じた。
「おお、ホーウエイのところの、レッグだったな、立派な軍人になったものだ、嬉しぞ。今は、、少佐か、偉くなったものだ、メルガ、おい、メルガ、ホーウエイの長男が来てくれたよ」
薄暗い後方支援所から、作業着ながら気品ある美しさを放つメルガが訪れると、レッグは息を飲んだ。
レッグの家系は、ハイヤー卿の統治する地方の貴族であった。
それなりの領地を与えられたホーウエイ家は、毎年秋になると収穫祭を盛大に行い、そこにはハイヤー卿と娘のメルガがよく来ていた。
メルガは幼い頃からホーウエイ候の領地が大好きであり、また長男のレッグの事を兄のように慕っていた。
もちろんレッグも、メルガの事は少し年の離れた妹のように感じていたが、中央政治の中心にいて、皇女殿下の真横に居るメルガの事は、妹と感じつつ、雲の上の人物でもあった。
軍務に追われ、実家の領地に帰ることも少ないくなっていたのと同時に、皇女殿下により近しい状況となっていたハイヤー家は、実家の収穫祭にも来ることが少なくなっていた。
それ故に、レッグが最後にメルガを見たのは4年前、彼女がまだ11歳の時であった。
、、、そのため、ウクルキがメルガのことを「我が妻」と呼んだ時、彼は一瞬耳を疑ったのだ、まさか、あんなに幼かったメルガを嫁に、、、ウクルキは何か特殊性癖の持主なのかと勘繰っていたところであったが、今目の前に現れたメルガを見て、そんな疑問は全て吹き飛んでしまった、なぜなら、そこには少女の姿はなく、美しい淑女が一人居ただけだったのだから。
「、、、メルガ姫、、、お久しゅうございます、なんと美しくおなりに」
「まあ、レッグ、このような所でお会いできるなんて!」
メルガは少し目を潤ませながら両手を口に充てて再会を喜んだ。
その後ろから、玲子君も現れた。
レッグは、メルガの後ろから現れた美しい東洋人に目を奪われた。
「ウクルキさん、ちょっといいかしら」
玲子君は、ウクルキを呼ぶと深刻な表情を浮かべながら室内へ入って行った。
「ハイヤー卿、今の東洋人は誰ですか?」
「ああ、ミスズという東洋人で、ドットスから派遣されてきたユウスケ殿の従者と聞く」
ハイヤー卿は、これまでに一体何があったのかをレッグに説明した。
レッグも薄々気付いてはいたが、やはりメルガはエレーナの影武者として中央に呼ばれていたのだと、あらためて知ることとなった。
それ故に、彼女を処刑の窮地から救い出し、命がけでここまで来てくれたウクルキに対し、尊敬の念に堪えなかった。
しかし、玲子君とウクルキの会話は、深刻なものであった。
「雄介様と連絡が取れなくなりました」
玲子君は、体内ディバイスを使用した通信が、もう二日以上も不通となっていることをウクルキに初めて打ち明けた。
「それじゃあ、ユウスケ殿の安否は?」
「はい、解りません、こんなことは初めてです、恐らく、敵の中に、私達の術に秀でた者がいて、こちらの意思疎通を阻害している可能性もあります」
ウクルキは、彼女たちの使う通信手段が、何かテレパシーのようなものと理解していたが、そのような術の中にも、妨害方法があるのだと感じた。
しかし、玲子君の表情が、その深刻さを理解させるのには十分な状況であった。
そんな時、いよいよマグネラの包囲に向けた23,000の増援部隊は到着するのである。
レッグ少佐は、ルガ・ハイヤーを見かけるや、すぐさま跪き丁重に挨拶をした。
それを見ていたウクルキは、やはり自分が思った通りの立場であったのだと、あらためて感じた。
「おお、ホーウエイのところの、レッグだったな、立派な軍人になったものだ、嬉しぞ。今は、、少佐か、偉くなったものだ、メルガ、おい、メルガ、ホーウエイの長男が来てくれたよ」
薄暗い後方支援所から、作業着ながら気品ある美しさを放つメルガが訪れると、レッグは息を飲んだ。
レッグの家系は、ハイヤー卿の統治する地方の貴族であった。
それなりの領地を与えられたホーウエイ家は、毎年秋になると収穫祭を盛大に行い、そこにはハイヤー卿と娘のメルガがよく来ていた。
メルガは幼い頃からホーウエイ候の領地が大好きであり、また長男のレッグの事を兄のように慕っていた。
もちろんレッグも、メルガの事は少し年の離れた妹のように感じていたが、中央政治の中心にいて、皇女殿下の真横に居るメルガの事は、妹と感じつつ、雲の上の人物でもあった。
軍務に追われ、実家の領地に帰ることも少ないくなっていたのと同時に、皇女殿下により近しい状況となっていたハイヤー家は、実家の収穫祭にも来ることが少なくなっていた。
それ故に、レッグが最後にメルガを見たのは4年前、彼女がまだ11歳の時であった。
、、、そのため、ウクルキがメルガのことを「我が妻」と呼んだ時、彼は一瞬耳を疑ったのだ、まさか、あんなに幼かったメルガを嫁に、、、ウクルキは何か特殊性癖の持主なのかと勘繰っていたところであったが、今目の前に現れたメルガを見て、そんな疑問は全て吹き飛んでしまった、なぜなら、そこには少女の姿はなく、美しい淑女が一人居ただけだったのだから。
「、、、メルガ姫、、、お久しゅうございます、なんと美しくおなりに」
「まあ、レッグ、このような所でお会いできるなんて!」
メルガは少し目を潤ませながら両手を口に充てて再会を喜んだ。
その後ろから、玲子君も現れた。
レッグは、メルガの後ろから現れた美しい東洋人に目を奪われた。
「ウクルキさん、ちょっといいかしら」
玲子君は、ウクルキを呼ぶと深刻な表情を浮かべながら室内へ入って行った。
「ハイヤー卿、今の東洋人は誰ですか?」
「ああ、ミスズという東洋人で、ドットスから派遣されてきたユウスケ殿の従者と聞く」
ハイヤー卿は、これまでに一体何があったのかをレッグに説明した。
レッグも薄々気付いてはいたが、やはりメルガはエレーナの影武者として中央に呼ばれていたのだと、あらためて知ることとなった。
それ故に、彼女を処刑の窮地から救い出し、命がけでここまで来てくれたウクルキに対し、尊敬の念に堪えなかった。
しかし、玲子君とウクルキの会話は、深刻なものであった。
「雄介様と連絡が取れなくなりました」
玲子君は、体内ディバイスを使用した通信が、もう二日以上も不通となっていることをウクルキに初めて打ち明けた。
「それじゃあ、ユウスケ殿の安否は?」
「はい、解りません、こんなことは初めてです、恐らく、敵の中に、私達の術に秀でた者がいて、こちらの意思疎通を阻害している可能性もあります」
ウクルキは、彼女たちの使う通信手段が、何かテレパシーのようなものと理解していたが、そのような術の中にも、妨害方法があるのだと感じた。
しかし、玲子君の表情が、その深刻さを理解させるのには十分な状況であった。
そんな時、いよいよマグネラの包囲に向けた23,000の増援部隊は到着するのである。
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