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決 意

第172話 隠し事は

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 ということで、シズ妖精を介して、ムスキに事情を話すことになった。

「えええっ、妖精さんの存在をマキュウェル様に?」
 
 ムスキが驚くのも無理はない、妖精の存在なんて、ムスキにしか信じてもらえないと、普通なら考えるわな。

「そうなの、GF,,,ユウスケ様の考えでは、もう一人の妖精をマキュウェル様に付けて、ドットスに向かってもらうことで、フキアエズに残る私と、ドットスに帰るマキュウェル様と、ミスズ、ユウスケ様の四か所がテレパシーで繋がるのよ。そうすれば、瞬時にお話しが出来るでしょ?」

「いや、そうなんだけど、妖精の存在を、マキュウェル様が飲み込めるのかしら?」

「大丈夫、、、なんじゃないかなー、、。」

 シズは、希望的観測を述べたが、ここはマキュウェルに理解してもらわないと、作戦自体が成立しなくなる。
 これは、ドットス王国とフキアエズ王国が初めて軍事同盟を組む重大局面だ、エフライム公国も作戦には参加しないが、兵を動かして陽動作戦を行う以上、これは三国を動員する一大軍事作戦だ、失敗は許されない。
 エレーナだって挙兵したと言っても、兵の出所は結局ドットスの兵を割いているから、兵力比に影響は無いしな。

 こうして、マグネラの街が危機的状況になりながら、その外側では着々と軍事的な準備が侵攻しつつあった。
 正直、これも俺が予想しているよりも遥かに早い進展だった。
 まさか、エレーナが挙兵するなんて思ってもいなかったから、これは大誤算だった。
 メルガが皇女だと信じられている間は、ドットスもフキアエズもこの内乱には一定の距離を取って静観出来ると思っていた。
 しかし、当のエレーナがドットス王国で挙兵してしまえば、それはフキアエズが不可侵条約を条件に引き渡した皇女が偽物だったことを公言してしまうようなもので、これはとても困ったことだ。
 更に悪いことに、これによって、ドットスも偽皇女の工作に加担していることに自動的になる訳だから、エレーナの挙兵を支援しない訳にはゆかなくなる、、、あのお嬢ちゃん、あの年でそんなことまで計算ずくとは、末恐ろしい。
 おかげでこの事態の急展開に、俺はとにかく作戦軸を追い付かせなければならない羽目に陥ってしまった。
 この三国を動かすより、ずっと未知数であった、巨人族の説得と参戦を、より急がなければならなかった。

「あの、マキュウェル様、、、、ちょっといいかしら」

 ムスキは、いかにも何か言いにくそうな表情でマキュウェルを呼び寄せる。
 幼馴染で気の知れたムスキのことだけに、彼女がこれほど困った顔で呼び出すことは、とても珍しい事だった。

「どうしたのムスキ?、ドットスへの帰還を急がないといけないタイミングなのに」

「そのことなんですけどね、、、私、こっちに残って、エガさんと一緒にいちゃ、だめかな?」

 マキュウェルは少々怪訝な顔をした。
 プロポーズの返事は先延ばしにしているとはいえ、マキュウェルの心は結婚に向けてある程度は固まっていた。
 しかし、状況が状況であり、この騒動がひと段落しなければ、結婚はおろか、ドットスもフキアエズも、滅ぼされてしまう可能性すらある。
 そんな中で、ムスキが何か言いにくそうにエガこと、フキアエズの王子であるエニオガーノ・フキアエズの元に残りたいというのは少しわがままな意見に聞こえた。
 、、、、まさか、ムスキはエガに気があるのでは、、、いや、よりによって、まさか。

「どうしたの?、あなたがパーティの人事に口出しするなんて、珍しいじゃない」

「うん、そうなんだけどね、実は、、、ユウスケから、さっきそのような提案がありまして、、、」

 マキュウェルは、さすがに稚拙な嘘だと感じた、ユウスケの現在位置すら解らない状況で、意思疎通など、出来る訳がない。
 マキュウェルは、益々、ムスキがエガに好意を寄せているのではと心配になった。

「ねえムスキ、私達は子供の頃からの親友よね、、、、隠し事はいけないと思うのよ、、、正直に言って!」

 ムスキは、ついに追い詰められたと降参するしかないと感じた。

「じゃあ、、、じゃあ、言うね、実は、私、、、」

 マキュウェルは固唾を飲んだ、親友であるムスキの口から、秘密が語られる、それも、自分たちの友情に、決定的な亀裂が入るかもしれない。

「あのね、この子たちをね、、、、見て欲しいんだ」

 ムスキがそう言うと、双子のような可愛らしい妖精二人が、ムスキを挟んで左右からひょっこり顔を出す。


 マキュウェルは、、、、、固まった。
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