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決 意
第171話 死する時も、どうか
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ブラックナイト・ユニット討伐隊がこちらに向かっている情報は、オルコ包囲部隊と、こちらのレジスタンス側に同時に届いていた。
「すまない、逆に我々が来たことで討伐隊を呼び寄せた形になってしまった」
ウクルキが責任を感じてマルスルに詫びたが、マグネラのレジスタンス側は、全くそのように感じてはいなかった。
「何を言っている、君たちが俺たちを救うために突進してきた時、どれだけ救われた気持ちだったか解るまい、士気の落ちていたマグネラ市民は、今や大きな力を得たと、君たちを歓迎している、どうかそのように捉えないでくれ」
マルスルが、そのように言ってくれるのは有り難く感じたが、それでも元軍人のウクルキとしては、住民に迷惑をかけるという事が、どうしても許せないことだった。
ウクルキは、いざ戦いとなった場合、討伐隊だけでも引き付けるため、部隊をマグネラから北上させ、再び逃走の日々を送る考えであった。
そのため、新妻のメルガを、父親のルガに預けようと考えていたのだ。
「お義父さん、せっかくここまで来ましたが、討伐隊の数が多すぎます、私達だけなら駿足を活かし再び逃走に転じる事が出来ますが、メルガを伴っていては逃げきれないでしょう。残念ですが、ユウスケ殿が増援に駆け付けるまでの間、メルガをここに置いて行きます、お願いできますか?」
ルガは、少し困った様子だった、それは娘がウクルキの妻として、覚悟を決めている事が目に見えていたからだ。
そう考えていた時、その本人は目に大粒の涙を浮かべながら、近付き、ウクルキに後ろから抱き着くと
「嫌です、わがままを言っていることは解ります、でも、せかっくまたお会い出来たのに、、、ここで別れるくらいなら、貴方と共に行きます、死する時も、どうか共に」
新妻メルガの必死の願いに、ウクルキは困り果てた。
本音を言えば連れて行きたいが、このままでは何も解決出来ないまま、不毛な籠城戦となって行くだろう、討伐隊だけではない、恐らく帝都からも恐ろしい数の本隊が合流してくる、そうなってはもはや討伐隊を引き付ける作戦すらできなくなってしまう。
「あなた、それにエレーナ様が挙兵してこちらに向かっています、きっと良い方向に進みます、今はエレーナ様やユウスケ様を信じましょう。」
「それがいいと、私も思う、どうだろう、娘のわがままを、どうか聞き入れては頂けませんか?」
ルガが優しい笑顔で、思い詰めたウクルキを諭す。
そんな状況を見ていた玲子君が、俺に通信を送って来る。
『雄介様、さすがにこの状況を打開するのは困難かと思われます、どうされますか?」
『大丈夫、俺に任せてくれ、とにかく玲子君は、俺が言った通りに部隊を動かしてくれ、必ず逆転させてみせるから!」
『雄介様、、、、はい、私もメルガさんを見習って、雄介様を信じますわ」
頼むぞ玲子君、俺と君とでしか、この状況を打開できないからな。
『シズ、聞こえるか?フキアエズ軍の状況はどうだ?」
『はい、大丈夫みたいです、エレーナ皇女が挙兵したという話はフキアエズ王国にも、もう届いています、こうなるとフキアエズ軍は西に兵を集めるしかありません、ドットス軍も大挙して西のオルコ国境に兵を進めているようです」
『管理人、少しお願いできますか?」
『はい、どのような?」
『トランシーバーになって下さい!」
『、、、、は?」
まあ、そんなリアクションになるわな、でも、今度はドットス側とフキアエズ側との連絡手段を確保しなければならない、恐らくマキュウェルは、ドットス本国に帰還し、エレーナとともに挙兵しなければならないだろう、フキアエズの王子がフキアエズ軍の指揮を執るとして、ドットス軍と呼吸を合わせて動くには、トランシーバーが必要になる、、、、なので。
「すまない、逆に我々が来たことで討伐隊を呼び寄せた形になってしまった」
ウクルキが責任を感じてマルスルに詫びたが、マグネラのレジスタンス側は、全くそのように感じてはいなかった。
「何を言っている、君たちが俺たちを救うために突進してきた時、どれだけ救われた気持ちだったか解るまい、士気の落ちていたマグネラ市民は、今や大きな力を得たと、君たちを歓迎している、どうかそのように捉えないでくれ」
マルスルが、そのように言ってくれるのは有り難く感じたが、それでも元軍人のウクルキとしては、住民に迷惑をかけるという事が、どうしても許せないことだった。
ウクルキは、いざ戦いとなった場合、討伐隊だけでも引き付けるため、部隊をマグネラから北上させ、再び逃走の日々を送る考えであった。
そのため、新妻のメルガを、父親のルガに預けようと考えていたのだ。
「お義父さん、せっかくここまで来ましたが、討伐隊の数が多すぎます、私達だけなら駿足を活かし再び逃走に転じる事が出来ますが、メルガを伴っていては逃げきれないでしょう。残念ですが、ユウスケ殿が増援に駆け付けるまでの間、メルガをここに置いて行きます、お願いできますか?」
ルガは、少し困った様子だった、それは娘がウクルキの妻として、覚悟を決めている事が目に見えていたからだ。
そう考えていた時、その本人は目に大粒の涙を浮かべながら、近付き、ウクルキに後ろから抱き着くと
「嫌です、わがままを言っていることは解ります、でも、せかっくまたお会い出来たのに、、、ここで別れるくらいなら、貴方と共に行きます、死する時も、どうか共に」
新妻メルガの必死の願いに、ウクルキは困り果てた。
本音を言えば連れて行きたいが、このままでは何も解決出来ないまま、不毛な籠城戦となって行くだろう、討伐隊だけではない、恐らく帝都からも恐ろしい数の本隊が合流してくる、そうなってはもはや討伐隊を引き付ける作戦すらできなくなってしまう。
「あなた、それにエレーナ様が挙兵してこちらに向かっています、きっと良い方向に進みます、今はエレーナ様やユウスケ様を信じましょう。」
「それがいいと、私も思う、どうだろう、娘のわがままを、どうか聞き入れては頂けませんか?」
ルガが優しい笑顔で、思い詰めたウクルキを諭す。
そんな状況を見ていた玲子君が、俺に通信を送って来る。
『雄介様、さすがにこの状況を打開するのは困難かと思われます、どうされますか?」
『大丈夫、俺に任せてくれ、とにかく玲子君は、俺が言った通りに部隊を動かしてくれ、必ず逆転させてみせるから!」
『雄介様、、、、はい、私もメルガさんを見習って、雄介様を信じますわ」
頼むぞ玲子君、俺と君とでしか、この状況を打開できないからな。
『シズ、聞こえるか?フキアエズ軍の状況はどうだ?」
『はい、大丈夫みたいです、エレーナ皇女が挙兵したという話はフキアエズ王国にも、もう届いています、こうなるとフキアエズ軍は西に兵を集めるしかありません、ドットス軍も大挙して西のオルコ国境に兵を進めているようです」
『管理人、少しお願いできますか?」
『はい、どのような?」
『トランシーバーになって下さい!」
『、、、、は?」
まあ、そんなリアクションになるわな、でも、今度はドットス側とフキアエズ側との連絡手段を確保しなければならない、恐らくマキュウェルは、ドットス本国に帰還し、エレーナとともに挙兵しなければならないだろう、フキアエズの王子がフキアエズ軍の指揮を執るとして、ドットス軍と呼吸を合わせて動くには、トランシーバーが必要になる、、、、なので。
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