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帝国の激震
第149話 真っ向からの勝負
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「ベナル、エガ、ノアンカ、カシラビ、ちょといいか?」
俺は男性陣の一部を呼び寄せた。
今の俺の気持ちを聞いてもらいたいという事と、今後の作戦についての情報を得たいと考えていたからだ。
「非常識なのは十分に解っている、だが、聞いてほしい、俺はこの状況を打開したいと考えている」
最初俺は、全員に呆れられると思っていたのだが、それは意外にも、全員、待っていたかのように、笑顔だっった。
「ユウスケなら、きっとそう言うと思っていたよ」
「噂じゃ、かなりのやり手と聞いていますからね」
「ユウスケじゃなければ、こんな状況、どうにもならんですぜ、俺は何でも協力するんでな」
実は皆、俺に何かを期待していたようだった、それはロームボルド准将だけではなかったのだ。
「俺はこの国の人間ではない、時間は少ないが情報がほしい、このメンバーなら必要な情報が集まると思う、5分でいい、作戦会議の時間をくれないか?」
俺は、前にシズが作ってくれた、周辺国を含んだ勢力図を取り出し、オルコ帝国、ドットス王国、フキアエズ王国、更に北のエフライム公国、その上に位置するタリル街道までが入った地図の上で会議を始めた。
「結論から言えば、オルコ反乱勢力に対して、真っ向から勝負を挑みたい」
「まあ、ユウスケらしい発想だな、そんな予感はしていたが、、、」
半ば、呆れ顔のベナルが、俺を諭すようにそうは言うが、それでいて、何か期待感のようなものを感じた。
「オルコの総兵力と、周辺国の兵力差を教えてほしいのだが」
「オルコ軍の総兵力は約85万、ドットス軍が24万、フキアエズ王国は、、、、」
「申し訳ないが10万程度の弱小軍隊だ」
「二国を足しても34万人、、、か」
「単純に足した話ではだめだ、国境警備に使用している兵力は割くことが出来ない、無人化すれば、隣国軍だけではなく匪賊まで攻めてくるからな。純粋に攻撃に充てられる兵力は実際もっと少ないぞ」
ベナルの言う事はもっともだ、しかし、それは同時にオルコも同じ事が言える、そこに何か勝機があるのでは、と思える。
「北のエフライム公国って、どうなんだ?」
「エフライムは軍事強国だからな、45万規模の勢力が控えている」
「ずいぶん多いな、何でそんなに多いんだ?」
これは地政学上の話になるらしいのだが、実はオルコ帝国とエフライム公国の更に北側には、タリル街道と呼ばれる騎馬民族の通り道があって、広大なタリル公国が通行権をもっている、現世で言うところのシルクロードがそれに近い。
このタリル街道を使って、周辺国は常に侵略の恐怖に怯える状態が数千年単位で続いているのだそうだ。
これは、ジンギス ハン率いるモンゴル軍が、その周辺国家を平定してゆく状況に少し似ている。
この脅威に対して、国境を堅く守らなければならないため、兵力自体はタリル街道に接していない国家とそうでない国家には差が生じるのだとか。
エフライムとオルコは、一応タリル公国の関係国としているため、全面戦争には発展しないが、タリル公国は政変が非常に多く、君主が変わる度に方針が180度変わるので、油断出来ないとのことだった。
「タリル公国を味方に付けることは出来ないのだろうか?」
「それは考えない方がいい、オルコ帝国より、何倍も厄介で話の通じない国家だ、それが出来たら周辺国は苦労していないしね」
エガが、諭すように発言する、まあ、エガの言う通りだ、そんな簡単な話ではないわな。
「エガは、北のエフライムとは交流はないのか?」
「もちろんあるよ、国境を接しているしね。ただ、こちらは穀倉地帯で、あっちは工業国だから、根本的にイコールのつきあいとは言えないし、今話があった通り、あちらは軍事大国なんだ、鉄鉱石も採れるから尚更だ」
なるほど、鉄鉱石ね。
、、、、これは一つの解決法になるかもしれないな。
でも、これだけじゃ全く足りない、もっと根本的なインパクトが必要だ。
「カシラビ、いつかハイハープ峡谷で出会った君の友人、、、えーと、ほら、オルコ軍の」
「ああ、ローハンな」
「そう、ローハン、彼と連絡って出来るのか?」
「まあ、俺が個人的にってんなら、まあ出来なくはないけど、なんだ?」
「ああ、オルコの状況を確認したいんだ、それとオル、君たちの仲間に、オルコ領内の巨人は居るのか?」
「ああ、居ることはいるが、オルコ軍には荷担していない。本来であれば、俺たち巨人族は公平平等が信条だが、今回の件は、さすがに俺たちも頭に来ている、国境を問わず、協力させてほしい」
これは願ってもない、助かる。
そして、この巨人族の申し出は、別の所で非常に役に立った。
「ユウスケ、巨人族の申し出はすごいぞ、俺たちハイハープの民は、昔から巨人族恐れていた、、、本人たちを前に言いにくいのだが、かつては人身御供《ひとみごくう》の習慣があったほどだ」
人身御供、、、、ああ、、、ええっ、そうなの?、オル達巨人族は、人間喰うのか?
「それは大昔の話だ、今は人は喰わない、そんなに美味しくない」
、、、、何で味知ってるんだよ。
まあ、人間関係というか、上下関係と言うか、何となく理解は出来たけど、とりあえず材料は揃ったな。
俺は男性陣の一部を呼び寄せた。
今の俺の気持ちを聞いてもらいたいという事と、今後の作戦についての情報を得たいと考えていたからだ。
「非常識なのは十分に解っている、だが、聞いてほしい、俺はこの状況を打開したいと考えている」
最初俺は、全員に呆れられると思っていたのだが、それは意外にも、全員、待っていたかのように、笑顔だっった。
「ユウスケなら、きっとそう言うと思っていたよ」
「噂じゃ、かなりのやり手と聞いていますからね」
「ユウスケじゃなければ、こんな状況、どうにもならんですぜ、俺は何でも協力するんでな」
実は皆、俺に何かを期待していたようだった、それはロームボルド准将だけではなかったのだ。
「俺はこの国の人間ではない、時間は少ないが情報がほしい、このメンバーなら必要な情報が集まると思う、5分でいい、作戦会議の時間をくれないか?」
俺は、前にシズが作ってくれた、周辺国を含んだ勢力図を取り出し、オルコ帝国、ドットス王国、フキアエズ王国、更に北のエフライム公国、その上に位置するタリル街道までが入った地図の上で会議を始めた。
「結論から言えば、オルコ反乱勢力に対して、真っ向から勝負を挑みたい」
「まあ、ユウスケらしい発想だな、そんな予感はしていたが、、、」
半ば、呆れ顔のベナルが、俺を諭すようにそうは言うが、それでいて、何か期待感のようなものを感じた。
「オルコの総兵力と、周辺国の兵力差を教えてほしいのだが」
「オルコ軍の総兵力は約85万、ドットス軍が24万、フキアエズ王国は、、、、」
「申し訳ないが10万程度の弱小軍隊だ」
「二国を足しても34万人、、、か」
「単純に足した話ではだめだ、国境警備に使用している兵力は割くことが出来ない、無人化すれば、隣国軍だけではなく匪賊まで攻めてくるからな。純粋に攻撃に充てられる兵力は実際もっと少ないぞ」
ベナルの言う事はもっともだ、しかし、それは同時にオルコも同じ事が言える、そこに何か勝機があるのでは、と思える。
「北のエフライム公国って、どうなんだ?」
「エフライムは軍事強国だからな、45万規模の勢力が控えている」
「ずいぶん多いな、何でそんなに多いんだ?」
これは地政学上の話になるらしいのだが、実はオルコ帝国とエフライム公国の更に北側には、タリル街道と呼ばれる騎馬民族の通り道があって、広大なタリル公国が通行権をもっている、現世で言うところのシルクロードがそれに近い。
このタリル街道を使って、周辺国は常に侵略の恐怖に怯える状態が数千年単位で続いているのだそうだ。
これは、ジンギス ハン率いるモンゴル軍が、その周辺国家を平定してゆく状況に少し似ている。
この脅威に対して、国境を堅く守らなければならないため、兵力自体はタリル街道に接していない国家とそうでない国家には差が生じるのだとか。
エフライムとオルコは、一応タリル公国の関係国としているため、全面戦争には発展しないが、タリル公国は政変が非常に多く、君主が変わる度に方針が180度変わるので、油断出来ないとのことだった。
「タリル公国を味方に付けることは出来ないのだろうか?」
「それは考えない方がいい、オルコ帝国より、何倍も厄介で話の通じない国家だ、それが出来たら周辺国は苦労していないしね」
エガが、諭すように発言する、まあ、エガの言う通りだ、そんな簡単な話ではないわな。
「エガは、北のエフライムとは交流はないのか?」
「もちろんあるよ、国境を接しているしね。ただ、こちらは穀倉地帯で、あっちは工業国だから、根本的にイコールのつきあいとは言えないし、今話があった通り、あちらは軍事大国なんだ、鉄鉱石も採れるから尚更だ」
なるほど、鉄鉱石ね。
、、、、これは一つの解決法になるかもしれないな。
でも、これだけじゃ全く足りない、もっと根本的なインパクトが必要だ。
「カシラビ、いつかハイハープ峡谷で出会った君の友人、、、えーと、ほら、オルコ軍の」
「ああ、ローハンな」
「そう、ローハン、彼と連絡って出来るのか?」
「まあ、俺が個人的にってんなら、まあ出来なくはないけど、なんだ?」
「ああ、オルコの状況を確認したいんだ、それとオル、君たちの仲間に、オルコ領内の巨人は居るのか?」
「ああ、居ることはいるが、オルコ軍には荷担していない。本来であれば、俺たち巨人族は公平平等が信条だが、今回の件は、さすがに俺たちも頭に来ている、国境を問わず、協力させてほしい」
これは願ってもない、助かる。
そして、この巨人族の申し出は、別の所で非常に役に立った。
「ユウスケ、巨人族の申し出はすごいぞ、俺たちハイハープの民は、昔から巨人族恐れていた、、、本人たちを前に言いにくいのだが、かつては人身御供《ひとみごくう》の習慣があったほどだ」
人身御供、、、、ああ、、、ええっ、そうなの?、オル達巨人族は、人間喰うのか?
「それは大昔の話だ、今は人は喰わない、そんなに美味しくない」
、、、、何で味知ってるんだよ。
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