114 / 290
怒号と雄叫び
第113話 情熱のロクソム城
しおりを挟む
その日の夜、ロクソム城は、城下町の隅まで聞こえるほどの興奮で満たされた。
中庭に集められた兵士は、マキュウェルの訓示の一つ一つに歓声をもって答えた。
公約通り、兵士たちには城の酒保を開放して、思う存分に祝杯を上げさせた。
普段は、ライバル同士であまり仲の良くない各連隊の兵士達も、今日は同じ勝者の仲間である意識が芽生え、8000名の将兵と、城内は一体感をもって飲み明かした。
その頃、ロクソム城内、謁見の間において、各級指揮官が集められ、マキュウェル王女と至近距離で話が出来る機会を得た、、、こりゃ、若い将校はイチコロだな。
最後にマキュウェルは、将校団に対して演台からこう話をした。
「先ほど、国王陛下から使者が訪れ、此度の勝利に対する並々ならぬお褒めの言葉と、処遇に対するお話を賜りました」
場内がどっと沸き上がる。
今回の戦勝は、近年希な大戦であるとともに、3万の敵を相手に、僅か8千の兵で敵を撃退しての勝利であり、その英雄的行為は武功として比類ないものになるだろう。
そして、この戦いの中心にいた軍人達、特に軍師のベナル、ロームボルド連隊長、A中隊長のマキヤ少佐、B中隊長のノアンカ大尉、C中隊長のウクルキ大尉は、確実に昇格だろう。
ベナルは晴れて将軍職確定だろうな、やったなリラル。
マキュウェルの演説中も、リラルは列中で、瞳を潤ませて微笑んでいた。
そして、マキュウェルは突然、ベナルを壇上に呼ぶと「リラルに言うべきことがあるでしょう」と、彼に水を向けた。
「リラル、、、この勝利を君に捧ぐ。、、、我が妻となってほしい。」
一瞬、城内の全員がキョトンとした。
何しろ、戦勝の興奮に包まれた会場に、それ以外の要素が入り込むなんて、だれも考えていなかったからだ。
しかし、あの堅物、ベナル軍師の突然の告白に、それまでの事情を知らない各級指揮官の興味は、大いに奮い立ったようだった。
そして、そんな均衡を最初に破ったのは、意外にもロームボルド大佐だった。
「今日の良き日に婚姻の誓とは、なんと縁起の良い!、立会人の名誉を我に頂ければ光栄ですぞ」
会場が再び歓喜に包まれる。
珍しく赤面するベナル、、、幸福そうなリラル、、、感動する玲子君、、、、玲子君?
おいおい、また、真っ先に泣いているよ、本当に女性は友人の結婚に弱いんだな。
、、、俺もいつか、玲子君と、そんな関係になれるだろうか。
もう、心の奥にあるものを隠さず晒すならば、俺はもう玲子君に求婚したいほど、普通に惚れている。
、、あまり玲子君の事を言えないな、俺もすっかりここの空気に飲まれている、うっかり玲子君にプロポーズしてしまいそうだ。
で、その玲子君は、さっきから紅潮しながら、俺の方をチラチラと見ている。
、、、、大丈夫か?この状況。
今夜だけは、一緒に寝られない。
彼女を自分のものにしてしまいたくなる。
でも、それは今ではない。
俺たちは、再び危険な旅に出る。
その時、妻となった玲子君が近くに居れば、俺はきっと判断を誤る。
だから、、、この気持ちは、もう少し我慢だ。
見れば、悪乗りした小隊長クラスの青年将校たちが、ベナルを担いでそこら中を練り歩いている。
それを見て、会場は笑と歓声に包まれている。
幸福な情景だ。
俺にもこの幸福を守る一翼を担いたいという願望が顔を出す。
そうだな、この幸福な時間を守らなければいけないな。
中庭に集められた兵士は、マキュウェルの訓示の一つ一つに歓声をもって答えた。
公約通り、兵士たちには城の酒保を開放して、思う存分に祝杯を上げさせた。
普段は、ライバル同士であまり仲の良くない各連隊の兵士達も、今日は同じ勝者の仲間である意識が芽生え、8000名の将兵と、城内は一体感をもって飲み明かした。
その頃、ロクソム城内、謁見の間において、各級指揮官が集められ、マキュウェル王女と至近距離で話が出来る機会を得た、、、こりゃ、若い将校はイチコロだな。
最後にマキュウェルは、将校団に対して演台からこう話をした。
「先ほど、国王陛下から使者が訪れ、此度の勝利に対する並々ならぬお褒めの言葉と、処遇に対するお話を賜りました」
場内がどっと沸き上がる。
今回の戦勝は、近年希な大戦であるとともに、3万の敵を相手に、僅か8千の兵で敵を撃退しての勝利であり、その英雄的行為は武功として比類ないものになるだろう。
そして、この戦いの中心にいた軍人達、特に軍師のベナル、ロームボルド連隊長、A中隊長のマキヤ少佐、B中隊長のノアンカ大尉、C中隊長のウクルキ大尉は、確実に昇格だろう。
ベナルは晴れて将軍職確定だろうな、やったなリラル。
マキュウェルの演説中も、リラルは列中で、瞳を潤ませて微笑んでいた。
そして、マキュウェルは突然、ベナルを壇上に呼ぶと「リラルに言うべきことがあるでしょう」と、彼に水を向けた。
「リラル、、、この勝利を君に捧ぐ。、、、我が妻となってほしい。」
一瞬、城内の全員がキョトンとした。
何しろ、戦勝の興奮に包まれた会場に、それ以外の要素が入り込むなんて、だれも考えていなかったからだ。
しかし、あの堅物、ベナル軍師の突然の告白に、それまでの事情を知らない各級指揮官の興味は、大いに奮い立ったようだった。
そして、そんな均衡を最初に破ったのは、意外にもロームボルド大佐だった。
「今日の良き日に婚姻の誓とは、なんと縁起の良い!、立会人の名誉を我に頂ければ光栄ですぞ」
会場が再び歓喜に包まれる。
珍しく赤面するベナル、、、幸福そうなリラル、、、感動する玲子君、、、、玲子君?
おいおい、また、真っ先に泣いているよ、本当に女性は友人の結婚に弱いんだな。
、、、俺もいつか、玲子君と、そんな関係になれるだろうか。
もう、心の奥にあるものを隠さず晒すならば、俺はもう玲子君に求婚したいほど、普通に惚れている。
、、あまり玲子君の事を言えないな、俺もすっかりここの空気に飲まれている、うっかり玲子君にプロポーズしてしまいそうだ。
で、その玲子君は、さっきから紅潮しながら、俺の方をチラチラと見ている。
、、、、大丈夫か?この状況。
今夜だけは、一緒に寝られない。
彼女を自分のものにしてしまいたくなる。
でも、それは今ではない。
俺たちは、再び危険な旅に出る。
その時、妻となった玲子君が近くに居れば、俺はきっと判断を誤る。
だから、、、この気持ちは、もう少し我慢だ。
見れば、悪乗りした小隊長クラスの青年将校たちが、ベナルを担いでそこら中を練り歩いている。
それを見て、会場は笑と歓声に包まれている。
幸福な情景だ。
俺にもこの幸福を守る一翼を担いたいという願望が顔を出す。
そうだな、この幸福な時間を守らなければいけないな。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
この学園には図書委員がいない!
空飛ぶ桂川
恋愛
「メガネをかけていなければ図書委員ではない!!」
メガネフェチ過ぎるあまり、わざわざ大きな図書室がある高校を選んだ男子高校生。
メガネ女子図書委員とのラブストーリーに夢と期待を膨らませ向かった図書室で待っていたのは決してメガネをかけない女の子だった。
メガネフェチのメガネフェチによるメガネフェチのための学園ラブコメ!!
視えるのに祓えない~九条尚久の心霊調査ファイル~
橘しづき
ホラー
書籍発売中!よろしくお願いします!
『視えざるもの』が視えることで悩んでいた主人公がその命を断とうとした時、一人の男が声を掛けた。
「いらないならください、命」
やたら綺麗な顔をした男だけれどマイペースで生活力なしのど天然。傍にはいつも甘い同じお菓子。そんな変な男についてたどり着いたのが、心霊調査事務所だった。
異世界日帰りごはん【料理で王国の胃袋を掴みます!】
ちっき
ファンタジー
異世界に行った所で政治改革やら出来るわけでもなくチートも俺TUEEEE!も無く暇な時に異世界ぷらぷら遊びに行く日常にちょっとだけ楽しみが増える程度のスパイスを振りかけて。そんな気分でおでかけしてるのに王国でドタパタと、スパイスってそれ何万スコヴィルですか!
薔薇の寵妃〜女装令嬢は国王陛下代理に溺愛される〜完結
クリム
BL
田舎育ち男爵家の次男坊ルーネは、近衛隊長の兄に頼まれ王宮に上がり、『女性』として3歳のアーリア姫殿下のお世話役になってしまう。姫殿下と16歳も離れているデューク国王陛下代理に思いを寄せられ押し倒されてしまう。男だとバレてしまっても、デューク国王陛下代理に求められ、次第に絆され、愛し合う、仮想中世王宮ボーイズラブです。
何故、私が.......
神々廻
ミステリー
最近、殺人鬼が貴族の青年を中心に殺し回っていると言う噂が広まる。
貴族の青年だけを狙うと聞いていたのだが、何故か私の従者が狙われてしまい、それを目撃してしまった私は一命は取り留めたものの、足を刺されてしまった。
殺人鬼は誰?私に異常に執着して、段々とオカシクなって行く義弟?それとも........?
第4回ホラー・ミステリー大賞に応募してます。誤字が合ったら教えて頂けると嬉しいです!!
異世界でゆるゆる生活を満喫す
葉月ゆな
ファンタジー
辺境伯家の三男坊。数か月前の高熱で前世は日本人だったこと、社会人でブラック企業に勤めていたことを思い出す。どうして亡くなったのかは記憶にない。ただもう前世のように働いて働いて夢も希望もなかった日々は送らない。
もふもふと魔法の世界で楽しく生きる、この生活を絶対死守するのだと誓っている。
家族に助けられ、面倒ごとは優秀な他人に任せる主人公。でも頼られるといやとはいえない。
ざまぁや成り上がりはなく、思いつくままに好きに行動する日常生活ゆるゆるファンタジーライフのご都合主義です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる