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改変世界の作戦会議
第89話 実際に使う羽目に
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翌日、俺とカシラビ伍長、そしてその部下の兵士たち数名と、ハイハープ峡谷の偵察へ向かった。
カシラビ伍長の部下も、この地域出身者を集めているらしく、みんな顔見知りで、仲が良さそうだった。
心なしか、カシラビ伍長も機嫌が良いらしく、笑顔を覗かせていた。
、、、たぶん、彼らは貴族が嫌いってやつなんだろうな、どこの世界にも、反骨精神旺盛《はんこつせいしんおうせい》なやつっているもんだ。
ベナルやマキヤもいいやつだけど、俺はこちらのグループのメンバーに親しみと安心感を得ていた。
「ユウスケ様、昨日頂いた地図は、兵士の間で大変好評ですよ、それに、こんなに刷って頂いてありがとうございます、みんな大喜びですよ」
俺は、シズに昨日刷ってもらった地図を、今日のメンバーにも渡していた。
この地図は、将校よりも地元兵士にすこぶる好評だった。
基本的にこの世界の地図は、戦術的に重要か、貴族のランドマークが重要視され、庶民のランドマークを記入する習慣が無いようだった。
そこへ行くと、この地図は、シズが上空から測量したものなので、作成者のエゴや主観が入ることなく、正確な地図であるため、貴族には何ら価値のない川の窪みや、民家の位置などまで記されている。
彼らは、自分の家を見つけると、大層喜んだ。
当然、山岳部にあるカシラビ伍長の実家も記入されているため、それも今日のご機嫌に繋がったのだろう。
俺たちは、この峡谷を上ってゆく中で、色々な話をした。
この国のこと、隣国オルコ帝国のこと、王女のこと、作物の収穫、家畜のこと、他愛の無い世間話から政治の話まで、貴族や王族のいる前では話せないことも多かった。
しかし、この国の王家は、予想しているよりもずっと国民に愛されていて、当然マキュウェルが城主をしているこのロクソム城のことは、ハイハープに生きる民にとって、とても誇らしいことなのだそうだ。
それ故に、みんなマキュウェルのことを本気で心配しているようだった。
もちろん、マキュウェルが変装して冒険者やっていたことは、国民に一切伏せられていることらしいので、彼らは皆、そのことについては知らないようだった。
峡谷の下は、意外と開けている部分もあって、俺たちの一行は、そこで昼食を採ることにした。
峡谷の冷たい水は、なによりのご馳走だった、昼食に準備された料理は、サンドイッチにとてもよく似たもので、兵士の兵糧《ひょうろう》とは全く別のものであった。
そのためか、この日の昼食も、兵士たちにはとても好評だった。
実際、この国の料理は美味いものが多い。
サンドイッチですらこのボリューム。
兵士たちは峡谷の水を沸かして、俺にお茶を勧めてくれた。
現世にいた頃は、自分でお茶を入れて飲む習慣が無かったため、人が入れてくれた茶が、とても美味く感じられた。
この国の茶葉は独特で、飲むと後頭部が快楽を感じているような錯覚に陥る。
現世で言うと、、、ジャスミン茶のような味だろうか、これは帰ったら自分でも飲んでみよう、、、、超微炭酸水は、もうさすがに使えないしな。
俺が、この国のお茶を楽しんでいると、カシラビ伍長が焚火にかけてあったポットを蹴飛ばし、こぼれた熱湯で焚火を消す。
一同に緊張が走る。
敵だ。
気配はしたのだろう。
『シズ、解るか?敵の勢力は?」
俺は峡谷の上空で待機していたシズに、この先の敵の勢力について尋ねた。
『はいGF、オルコ帝国軍の調査隊ですね、大丈夫、GFの側とほぼ同数です」
まあ、ほぼ同数とはいえ、これは俺にとって初のオルコ帝国軍との接触だ。
緊張が走る、川は一本、このまま彼らが進んでくれば、確実に戦闘となる。
こちらも偵察程度のつもりだったから、かなり軽装だ、、、、拳銃だけが頼りか。
俺は、この国の正装になった際、剣も帯刀するようになっていた、、、てっきり指揮刀程度に考えていたが、実際に使う羽目になろうとは。
カシラビ伍長の部下も、この地域出身者を集めているらしく、みんな顔見知りで、仲が良さそうだった。
心なしか、カシラビ伍長も機嫌が良いらしく、笑顔を覗かせていた。
、、、たぶん、彼らは貴族が嫌いってやつなんだろうな、どこの世界にも、反骨精神旺盛《はんこつせいしんおうせい》なやつっているもんだ。
ベナルやマキヤもいいやつだけど、俺はこちらのグループのメンバーに親しみと安心感を得ていた。
「ユウスケ様、昨日頂いた地図は、兵士の間で大変好評ですよ、それに、こんなに刷って頂いてありがとうございます、みんな大喜びですよ」
俺は、シズに昨日刷ってもらった地図を、今日のメンバーにも渡していた。
この地図は、将校よりも地元兵士にすこぶる好評だった。
基本的にこの世界の地図は、戦術的に重要か、貴族のランドマークが重要視され、庶民のランドマークを記入する習慣が無いようだった。
そこへ行くと、この地図は、シズが上空から測量したものなので、作成者のエゴや主観が入ることなく、正確な地図であるため、貴族には何ら価値のない川の窪みや、民家の位置などまで記されている。
彼らは、自分の家を見つけると、大層喜んだ。
当然、山岳部にあるカシラビ伍長の実家も記入されているため、それも今日のご機嫌に繋がったのだろう。
俺たちは、この峡谷を上ってゆく中で、色々な話をした。
この国のこと、隣国オルコ帝国のこと、王女のこと、作物の収穫、家畜のこと、他愛の無い世間話から政治の話まで、貴族や王族のいる前では話せないことも多かった。
しかし、この国の王家は、予想しているよりもずっと国民に愛されていて、当然マキュウェルが城主をしているこのロクソム城のことは、ハイハープに生きる民にとって、とても誇らしいことなのだそうだ。
それ故に、みんなマキュウェルのことを本気で心配しているようだった。
もちろん、マキュウェルが変装して冒険者やっていたことは、国民に一切伏せられていることらしいので、彼らは皆、そのことについては知らないようだった。
峡谷の下は、意外と開けている部分もあって、俺たちの一行は、そこで昼食を採ることにした。
峡谷の冷たい水は、なによりのご馳走だった、昼食に準備された料理は、サンドイッチにとてもよく似たもので、兵士の兵糧《ひょうろう》とは全く別のものであった。
そのためか、この日の昼食も、兵士たちにはとても好評だった。
実際、この国の料理は美味いものが多い。
サンドイッチですらこのボリューム。
兵士たちは峡谷の水を沸かして、俺にお茶を勧めてくれた。
現世にいた頃は、自分でお茶を入れて飲む習慣が無かったため、人が入れてくれた茶が、とても美味く感じられた。
この国の茶葉は独特で、飲むと後頭部が快楽を感じているような錯覚に陥る。
現世で言うと、、、ジャスミン茶のような味だろうか、これは帰ったら自分でも飲んでみよう、、、、超微炭酸水は、もうさすがに使えないしな。
俺が、この国のお茶を楽しんでいると、カシラビ伍長が焚火にかけてあったポットを蹴飛ばし、こぼれた熱湯で焚火を消す。
一同に緊張が走る。
敵だ。
気配はしたのだろう。
『シズ、解るか?敵の勢力は?」
俺は峡谷の上空で待機していたシズに、この先の敵の勢力について尋ねた。
『はいGF、オルコ帝国軍の調査隊ですね、大丈夫、GFの側とほぼ同数です」
まあ、ほぼ同数とはいえ、これは俺にとって初のオルコ帝国軍との接触だ。
緊張が走る、川は一本、このまま彼らが進んでくれば、確実に戦闘となる。
こちらも偵察程度のつもりだったから、かなり軽装だ、、、、拳銃だけが頼りか。
俺は、この国の正装になった際、剣も帯刀するようになっていた、、、てっきり指揮刀程度に考えていたが、実際に使う羽目になろうとは。
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