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第八章 虚無の呪詛
虚無の呪詛 第八節
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市場に酒場、広場や露店など、町の中を次々と巡回していくアイシャとカイ。
「どうだアイシャ、何か感じるか?」
「いいえ。ここも特に怪しい魔力はないみたいです」
「そっか。まあ焦らずにいこう」
「ええ」
二人は引き続き調査を行い、特にアーティスト関連のものを扱う店では入念に確認し、聞き込みもしたが、目ぼしい収穫はなかった。
「ここもないかあ。あのライムって妖魔、まさか町から出ていった訳じゃないだろうな」
「その可能性もありますけど、確信がない以上、いまはこうして地味に調べるしかないですね」
「分かってる。…カトーの奴、無事だといいな」
心配するカイを見てアイシャが微笑む。
「カイくん、カトーさんのこととても気に入っているのですね」
「そりゃそうさ。あいつのことを見てるとよ、オヤジのことを思い出すからさ」
「カイくんのお父さん?」
二人は人が少ない小さな噴泉の前で立ち止まる。
「俺の両親もカトー達と同じ身分違いの恋をしてさ、それが理由で別れてたんだ」
「え…」
カイは互いに支えあって噴水の壷を持つ男性と女性の彫刻を見ながら語る。
「大商人の息子のオヤジが家の反対を押し切れずに、一言も言わず母さんを捨ててさ、母さんも母さんでオヤジに会わずに、ただひっそりと泣いていた…」
(((母ちゃん、また父ちゃんのことで泣いてるの?)))
(((ううん、違うの、ごめんねカイ、心配させて)))
(((…ねえ、父ちゃんに会いに行こうよ、僕も父ちゃんに会いたいし)))
(((無理なの、仕方ないのよ…私達は最初から一緒にいるべきではなかったの…カイも大人になったら理解するわ…)))
在りし日の光景にカイが強く拳を握り締める。
「理解してたまるかよ…っ。俺だって、人の関係がいつも上手く行く訳じゃないぐらい分かってるつもりさっ。でもよっ、一回も会話を試さずにただ自分の気持ちから逃げ続けるってのは納得いかねえっ。一度ぐらい話し合えば、ひょっとしたらなんとか行けた可能性だってあるじゃないかっ。それができなくても、はっきりケジメをつけていれば、一人で泣くこともないし…っ」
「カイくん…」
アイシャはギュッと手を胸元に押さえる。
「だからカトーさんのこと、こんなに心配してあげてるのですね」
「ああ、カトーが何も言わずに町を離れようとするのを聞いて、オヤジのことが浮んでさ、それでほっとけなくなったんだ」
「そうなのですね…。でも大丈夫、カイくんがこうして彼を応援してあげてるもの。きっと女神様も二人の仲を見守ってくださるに違いないですよ」
「ああ。…本当は、オヤジのこと以外にも理由はあるけどな」
「どんなのですか?」
流れ出る噴水を見つめながらカイは呼吸を整える。
「昨日にも言っただろ?カトーのことは、ある意味自分のこととも言えるから」
「自分のこと…?」
きょとんとするアイシャに、カイが決意を決め、手を強く握り締めては真っ直ぐに立って彼女を見つめる。
「ここで言うのは場違いだし、君に迷惑をかけるかもしれないけどさ」
その真剣な声と力強い眼差しに、アイシャの胸がドキッと高鳴る。
「カ、カイくん?」
「さっきも言ったように、自分の気持ちを隠すのは嫌いだから、率直に言うよ」
「カイくんっ」
軽くうろたえるアイシャに、カイはゆっくりと近づき、彼女の澄んだ黄金色の瞳を真っ直ぐ見据えた。
「俺はアイシャが好きだ。王女としても、巫女としてでもなく、ただ一人の女の子として、心から好きなんだ」
アイシャの頬が熱で赤く染められる。
「も、もうカイくんったら、年上をからかうのは――」
「からかいなものか。お世辞でもないんだ。これは俺の心からの本音だ。好きだよ、アイシャ。付き合いたいぐらいに。…アイシャは、俺のこと、どう思ってるんだ?」
カイの告白が熱い恥じらいとなってアイシャの頬を染め、頭の思考を溶かす。胸が暴れるように弾ける。気恥ずかしさで目を逸らそうとも、カイの真剣な眼差しが楔のように体を拘束する。
「わ、私――」
しどろもどろとするアイシャに、カイが手を挙げて止めた。
「大丈夫、今すぐに答えなくてもいいし、最後になって断っても全然構わないよ。ただの平民の俺が、王女であるアイシャとは身分が違い過ぎるのも分かる。だからカトーを励ました時に言ったように、俺はアイシャと居ても恥じないような人になるよう一生懸命がんばるからさ。平民と王族が結ばれる最初の先例になれるぐらいに」
「カイ、くん」
暫くの、無言。
「…うっわ、ごめん…勢いに乗って一方的に告白って、よく考えたら最低だよなっ」
カイもまた耳まで赤くなり、照れ隠しのように頭をくしゃくしゃと掻く。
「べ、別に、そんなことは――」
「そっ、そろそろ行こうかっ、まだ周ってない場所とか一杯あるしさっ」
カイがアイシャの手を急に、けれど大事に握っては優しく引張っていく。
「あっ、ちょっとカイくん…っ」
人混みを分けながら進む二人。アイシャは自分の手を握るカイの手の体温を感じながら、その逞しい背中を見ながら、必死に落ち着こうとした。
最初はただ、可愛らしい子だと思った。家族でジュリアスとルドヴィグの二人の兄しかいない自分にとって、カイの好意はまるで弟が姉に向けるようなものだ。
そしてカイが異性であることへの自覚がないから、彼へ向ける自分の心はいつも無防備だった。そのせいで彼の一切着飾らない、愚直なまでに真っ直ぐな告白は、アイシャのさらけ出して無防備のままの心の奥へと深く深く突き刺さっていた。
強く握るカイの手の体温が、火照った自分の手を更に熱くする。逞しいカイの背中が、異性としての彼を更に強く意識させる。
(カイくん、私…っ)
「ここは…カトーの屋台がある市場だっけ」
二人が歩みを緩むと、そこは昨日訪れた市場の入口だった。
「その、カイくん」
「カトーの奴、無事なんだろうか…兄貴たちが行ってるから大丈夫だと思うけど」
「カイくんっ、手っ」
「あっ、ご、ごめん!」
強く握りしめたアイシャの手を慌てて離すカイ。ようやく解放されたアイシャはホッとするような、どこか心惜しいような複雑な思いになった。
「ちょっと夢中に歩いてたから気付かなくて…ごめんな。痛かったか?」
「だ、大丈夫。ただちょっとだけ、驚いただけですから」
また暫くの、無言。
「そ、そういやアイシャ、まだアイツに会ってないよな。後で改めて紹介するよ」
「カトーさんのこと?」
「うん?カトーって誰だ」
「えっ、誰って…」
カイの突然の反応にアイシャが困惑する。
「ほら、カイくんが昨日会ったアリス様の恋人の■■■…」
ザリッ
視界が一瞬真っ赤になり、アイシャが軽くよろめく。
(これは…っ!)
「そういや俺達、何故アリスのために調査を行って――」
アイシャが瞬時に呪文を唱えて己を守り「月よっ」そして素早くカイの耳元で指をパチンと鳴らした。
「うわっ!いきなりどうした…ってあれ、俺どうしてカトーのことを忘れ…」
「カイくん、呪いです!あそこから凄く邪悪な呪いが撒かれてカトーさんのことを忘れさせようとして…っ」
「なんだってっ」
カイはアイシャが指差す方向を見やる。
「そっちは…カトーの屋台がいる場所じゃねえかっ!」
「カイっ?アイシャ!」
「兄貴!?」
人混みを分けてウィルフレッドエリネ、ルルが駆けつける。
「兄貴どうしてここに?カトーのアトリエに行ったんじゃ」
ウィルフレッドの傍で何とか息を落ち着かせるエリネ。
「それが、彼はもうそこにいなくて、アトリエにライムの魔法陣があったの!」
「ライムの魔法陣だって!?じゃあアイツ、ライムに取り憑かれて…っ」
「ああ、それで大急ぎ彼の屋台に行こうと思ったんだ、早く彼のところに――」
「あぁっ!」「キュッ!キュキュキュウッ!」
突如強烈な悪寒がエリネを襲い、ウィルフレッドは急いで彼女を支える。ルルもまた妙に落ち着かなくて跳び回る。
「おいエリーっ?」「どうしたエリーっ?」
「何か、あっちから物凄く邪悪な魔力が急激に膨らんで…っ」
それを見てアイシャは先ほどのように呪文をエリネとウィルフレッド、ルルに向けて唱えて指を弾くと、エリネとルルの体の負担が軽くなった。
「どうエリーちゃん、楽になった?」
「うん、ありがとうアイシャさん」
「きっと私が呪いを弾けたのに気付いて、焦って呪いを強まったに違いないですっ」
「こうしちゃいられねえっ、早く急ごうっ!」
「ええっ」
「エリー、歩けるか?」
「うん、大丈夫ウィルさん、早く行きましょうっ!」
四人はすぐさまカトーの屋台へと走り出した。
******
「ウィルくん達の情報だと、カトーくんの屋台はこの市場にいるはずだよ」
同じ市場の、別の入口へとたどり着くレクスとアリス。その市場は町の主な区画から逸れており、道理で見つけられなかったとアリスは思った。
「カトー…」
心配そうなアリスを見て、レクスはその緊張をほぐそうと彼女に話しかける。
「アリス殿、僕の仲間が先に彼の様子を見に行ってるから、そこまで心配しなくても大丈夫だよ」
「お気遣いありがとうございます。ただ、心配と言うより、実はちょっと怒ってるんです」
「怒ってる?」
アリスはキュッと口を結ぶ。
「私は美術商の娘として、それなりにこの界隈での厳しさを知っているつもりです。カトーの生活が苦しいのは承知の上ですし、お互い助け合う覚悟だって決めてあるのに…。お父さんに何を言われたかは分からないけど、私と相談もせずに勝手に離れるのがどうしても納得いかなくて…」
可愛らしい令嬢と見えて、意外としたたかな子だなとレクスは思った。
「でも後で会ったら、きっと文句を言うよりも、嬉しさのあまりにそんなこと全部忘れてしまうかもしれません」
苦笑するアリス。
「惚れた弱みって奴かな。でもまあ一応、軽くチョップを入れるぐらいの愚痴は叩きこんだ方が良いかもね」
「ふふ、そうですね」
少し大げさにジェスチャーするレクスにアリスが小さく笑い出す。
(…ちょっとラナ様っぽいかな、僕のさっきの言い方)
「おお、これはレクス様ではありませんか」
(え、この声…やばっ)
レクスが慌ててアリスを自分の後ろに隠す。
「レクス様っ?」
「しっ!ケント様がすぐ前にいるよっ!」
「えっ!?」
アリスが慌ててフードを深く被ってレクスの後ろに隠れる。
「まさかこのような所で会うとは奇遇ですね」
ケントが衛兵たちを従いながらメイソンと共に歩み寄る。
「あはは、そーですね奇遇ですね」
「今日は使用人も一緒ですかレクス様。一日の滞在延長を申請しておりましたが、その用事をなさってる最中ですか?」
アリスに気付いてないことに二人は密かに安心する。
「そんなところだよ、ところでこちらの方は?」
「ああ、紹介しますよ。メイソン・カーティガン。私と同じ美術商もやっており、三国を跨ぐ大商人でもあります。若い頃に彼の投資がなければ、今日の私はいなかったでしょう」
「ケン自身の努力もあってこそ、ですがね」
老紳士は穏やかに微笑む。
「へえ、凄い御仁なんだね。僕はレタ領の領主レクス・アートゥルスです。よろしくメイソン殿。…ところでケント様、その手に持ってるのは?」
レクスはケントが手に持ってる彫刻に注目した。
「ああ、これですか?いつの間にか手元にあって、本当はすぐに捨てようと思ったのですが、どうも何かが引っかかってこのまま持ってたんですよ」
(あの彫刻…っ!)
アリスがフードからチラ見して、それがかつてカトーが自分をモデルにして作った彫刻だとすぐに分かった。
「だがやはりただの荷物にしかなりませんね。君、これをどこかに捨て――」
「お父様!」
「なっ、アリス!?」「ちょ、アリス殿!?」
ケントの手に持つ彫刻を押さえ、アリスが彼に問い詰める。
「お父様!これカトーの彫刻ですよね!?どうして貴方がこれを持ってるのっ?」
「アリス、何故君がここに?それに誰の名前を言ってるのだ?」
「カトーよ!お父様は彼のこと知ってますよね!?」
「名前…?」
困惑するケントにレクスもまた不審に思った。
「ケント様どうしたの?昨日でも■■■のこと言ったばかり――」
ザリザリザリッ
急劇な眩暈がレクスを襲い、彼は慌てて頭を抑える。
「なっ、なに…?これはいったいっ?」
「…あっ」
アリスが突如、市場の奥を見据える。僅かだか、誰かの呻き声が聞こえたからだ。そして呻き声であっても、それが愛するカトーのものだと彼女はすぐさま分かった。
「この声…カトーッ」
「あっ、ちょっとアリス殿!」「アリス!」
奥へと駆けつけるアリスをレクスやケント達が追っていく。
そして同じくカトーの屋台へと駆けるウィルフレッドとカイ達は、ついに彼の屋台がいる巷へと到着する。
「あそこがカトーのアトリエだ…なっ?」
「うおっ!なんだありゃっ?」
それは異様な光景だった。カトーの屋台を中心に、ぼんやりとした禍々しい赤黒色のオーラが立ち込んでおり、風が不吉に渦巻いてはボロボロに破れたビラを舞い上がらせていた。しかしそれとは対照的に、すぐ傍で談笑する人々は誰にもそれに気付かずにいた。正常と異常のアンバランスさが一層の不気味さを醸し出す。
「なんて強い呪いなのっ、目視できるほど大気を歪めてるなんて…!」
「! カトーだ!そこにカトーがいる!」
ウィルフレッドが指す渦巻きの中心に、カトーは座っていた。空ろな目で見上げ、口を半開きしながら、壊れた玩具のように泣き笑いをし、両手は無気力に垂らしてビクビクと痙攣している。その後ろの暗い影に、揺らめく赤い目が浮かび上がった。
『カアッ』
奥からカラスの不吉な声がコダマし、ウィルフレッドを除くエリネ達が思わず耳を塞ぐ。
「きゃあっ!」「キュウウウ~!」
「うおっ、なんだこのきしょい音は!」
「ライムの…呪いの声ですっ、私達を威嚇しているんですっ!」
これと同時に、向かい側にアリスとレクス、ケント達が到着する。
「あっ、レクス様ぁ!」
「カイくん!?ウィルくん達も!」
「あそこ!カトーがあそこでライムに取り憑かれてるんだ!」
「えっ!?あそこ何も無いけどっ?」
「へっ!?レクス様までっ?」
「ライムですカイくんっ!ライムの呪いがカトーさんへの認識を妨げて…っ」
「カトーっ!?貴方なの!?」
だがアリスは、苦しそうに呻いているカトーを一目で認識した。アイシャが驚く。
(アリス様はカトーさんが見えるのっ?)
「カトー!今すぐ行くわ!」
『カアァッ』
カラスの威嚇の声が一層強まる。
「だめっ!アリス様!迂闊に近づいてはっ!」
だがアリスは臆もせずにカトーのところへと駆ける。
「カト――」
『「カアアァァァァッ!!!」』
翅を広がせるカラスのように影が膨張する。カラスとカトーの悲鳴が重なって響くと、爆風がカトーを中心に爆ぜた。その近くにいる取り巻きや人々が吹き飛ばされる。
「きゃああぁぁっ!」「うわあぁぁあっ!」
「危ないっ!」「うおおっ!?」
急いでケントやメイソンをかばうレクス。
カイ達にかばられるアイシャとエリネの横から、ウィルフレッドが飛び出して吹き飛ばされるアリスを受け止めた。
「大丈夫かっ?」
「は、はい。貴方は…」
「カトーの知り合いだ」
「これで大丈夫です、ケント様っ」
レクスやケント、メイソン達の傍に駆けたアイシャが加護の呪文を施すと、ケント達もようやくカトーのことをはっきり意識することができた。
「こ、これはいったい…っ?私は何故、カトーのことを」
「カトーさんを呪い殺そうとするライムの呪いの仕業です」
「ライム…、呪いですと」
レクスもようやく覚めた頭を振って立ち上がる。
「大丈夫かレクス様っ」
「ああ、もう問題ないよカイくん。まさかカトーがライムに憑り憑かれたなんて…早くカトーを助けないと――」
『「カアアァァァァッ!!!」』
レクス達がカトーを見ると、彼は悲鳴にも似た奇声を発しては、渦巻く爆風を纏いながら狂ったように走り出す。
「カトー!待って!」「おいっ」
ウィルフレッドを跳ね除けてカトーを追うアリス。
「「「わあああぁぁっ!」」」「くっ!」
パニックに陥って暴走する人混みが、アリスを止めようとするウィルフレッドを阻んだ。
「アリスッ!待つんだアリス!」
「あっ、ケント様!」「ケンッ」
ケントもまたレクスやメイソン達を置いてアリスを追った。
「くそっ、みんな急ごう!」
カイの一言でアイシャ達もウィルフレッドに続き、必死に混乱する人込みを掻き分けながらカトーとアリスを追った。
「メイソン様っ、いきなりだけど衛兵達とここで街の人々の誘導をお願いっ」
「あっ、レクス様っ!」
レクスがラナとミーナに知らせるために信号花火を空に向けて撃つと、カイ達とともに駆けだした。
【続く】
「どうだアイシャ、何か感じるか?」
「いいえ。ここも特に怪しい魔力はないみたいです」
「そっか。まあ焦らずにいこう」
「ええ」
二人は引き続き調査を行い、特にアーティスト関連のものを扱う店では入念に確認し、聞き込みもしたが、目ぼしい収穫はなかった。
「ここもないかあ。あのライムって妖魔、まさか町から出ていった訳じゃないだろうな」
「その可能性もありますけど、確信がない以上、いまはこうして地味に調べるしかないですね」
「分かってる。…カトーの奴、無事だといいな」
心配するカイを見てアイシャが微笑む。
「カイくん、カトーさんのこととても気に入っているのですね」
「そりゃそうさ。あいつのことを見てるとよ、オヤジのことを思い出すからさ」
「カイくんのお父さん?」
二人は人が少ない小さな噴泉の前で立ち止まる。
「俺の両親もカトー達と同じ身分違いの恋をしてさ、それが理由で別れてたんだ」
「え…」
カイは互いに支えあって噴水の壷を持つ男性と女性の彫刻を見ながら語る。
「大商人の息子のオヤジが家の反対を押し切れずに、一言も言わず母さんを捨ててさ、母さんも母さんでオヤジに会わずに、ただひっそりと泣いていた…」
(((母ちゃん、また父ちゃんのことで泣いてるの?)))
(((ううん、違うの、ごめんねカイ、心配させて)))
(((…ねえ、父ちゃんに会いに行こうよ、僕も父ちゃんに会いたいし)))
(((無理なの、仕方ないのよ…私達は最初から一緒にいるべきではなかったの…カイも大人になったら理解するわ…)))
在りし日の光景にカイが強く拳を握り締める。
「理解してたまるかよ…っ。俺だって、人の関係がいつも上手く行く訳じゃないぐらい分かってるつもりさっ。でもよっ、一回も会話を試さずにただ自分の気持ちから逃げ続けるってのは納得いかねえっ。一度ぐらい話し合えば、ひょっとしたらなんとか行けた可能性だってあるじゃないかっ。それができなくても、はっきりケジメをつけていれば、一人で泣くこともないし…っ」
「カイくん…」
アイシャはギュッと手を胸元に押さえる。
「だからカトーさんのこと、こんなに心配してあげてるのですね」
「ああ、カトーが何も言わずに町を離れようとするのを聞いて、オヤジのことが浮んでさ、それでほっとけなくなったんだ」
「そうなのですね…。でも大丈夫、カイくんがこうして彼を応援してあげてるもの。きっと女神様も二人の仲を見守ってくださるに違いないですよ」
「ああ。…本当は、オヤジのこと以外にも理由はあるけどな」
「どんなのですか?」
流れ出る噴水を見つめながらカイは呼吸を整える。
「昨日にも言っただろ?カトーのことは、ある意味自分のこととも言えるから」
「自分のこと…?」
きょとんとするアイシャに、カイが決意を決め、手を強く握り締めては真っ直ぐに立って彼女を見つめる。
「ここで言うのは場違いだし、君に迷惑をかけるかもしれないけどさ」
その真剣な声と力強い眼差しに、アイシャの胸がドキッと高鳴る。
「カ、カイくん?」
「さっきも言ったように、自分の気持ちを隠すのは嫌いだから、率直に言うよ」
「カイくんっ」
軽くうろたえるアイシャに、カイはゆっくりと近づき、彼女の澄んだ黄金色の瞳を真っ直ぐ見据えた。
「俺はアイシャが好きだ。王女としても、巫女としてでもなく、ただ一人の女の子として、心から好きなんだ」
アイシャの頬が熱で赤く染められる。
「も、もうカイくんったら、年上をからかうのは――」
「からかいなものか。お世辞でもないんだ。これは俺の心からの本音だ。好きだよ、アイシャ。付き合いたいぐらいに。…アイシャは、俺のこと、どう思ってるんだ?」
カイの告白が熱い恥じらいとなってアイシャの頬を染め、頭の思考を溶かす。胸が暴れるように弾ける。気恥ずかしさで目を逸らそうとも、カイの真剣な眼差しが楔のように体を拘束する。
「わ、私――」
しどろもどろとするアイシャに、カイが手を挙げて止めた。
「大丈夫、今すぐに答えなくてもいいし、最後になって断っても全然構わないよ。ただの平民の俺が、王女であるアイシャとは身分が違い過ぎるのも分かる。だからカトーを励ました時に言ったように、俺はアイシャと居ても恥じないような人になるよう一生懸命がんばるからさ。平民と王族が結ばれる最初の先例になれるぐらいに」
「カイ、くん」
暫くの、無言。
「…うっわ、ごめん…勢いに乗って一方的に告白って、よく考えたら最低だよなっ」
カイもまた耳まで赤くなり、照れ隠しのように頭をくしゃくしゃと掻く。
「べ、別に、そんなことは――」
「そっ、そろそろ行こうかっ、まだ周ってない場所とか一杯あるしさっ」
カイがアイシャの手を急に、けれど大事に握っては優しく引張っていく。
「あっ、ちょっとカイくん…っ」
人混みを分けながら進む二人。アイシャは自分の手を握るカイの手の体温を感じながら、その逞しい背中を見ながら、必死に落ち着こうとした。
最初はただ、可愛らしい子だと思った。家族でジュリアスとルドヴィグの二人の兄しかいない自分にとって、カイの好意はまるで弟が姉に向けるようなものだ。
そしてカイが異性であることへの自覚がないから、彼へ向ける自分の心はいつも無防備だった。そのせいで彼の一切着飾らない、愚直なまでに真っ直ぐな告白は、アイシャのさらけ出して無防備のままの心の奥へと深く深く突き刺さっていた。
強く握るカイの手の体温が、火照った自分の手を更に熱くする。逞しいカイの背中が、異性としての彼を更に強く意識させる。
(カイくん、私…っ)
「ここは…カトーの屋台がある市場だっけ」
二人が歩みを緩むと、そこは昨日訪れた市場の入口だった。
「その、カイくん」
「カトーの奴、無事なんだろうか…兄貴たちが行ってるから大丈夫だと思うけど」
「カイくんっ、手っ」
「あっ、ご、ごめん!」
強く握りしめたアイシャの手を慌てて離すカイ。ようやく解放されたアイシャはホッとするような、どこか心惜しいような複雑な思いになった。
「ちょっと夢中に歩いてたから気付かなくて…ごめんな。痛かったか?」
「だ、大丈夫。ただちょっとだけ、驚いただけですから」
また暫くの、無言。
「そ、そういやアイシャ、まだアイツに会ってないよな。後で改めて紹介するよ」
「カトーさんのこと?」
「うん?カトーって誰だ」
「えっ、誰って…」
カイの突然の反応にアイシャが困惑する。
「ほら、カイくんが昨日会ったアリス様の恋人の■■■…」
ザリッ
視界が一瞬真っ赤になり、アイシャが軽くよろめく。
(これは…っ!)
「そういや俺達、何故アリスのために調査を行って――」
アイシャが瞬時に呪文を唱えて己を守り「月よっ」そして素早くカイの耳元で指をパチンと鳴らした。
「うわっ!いきなりどうした…ってあれ、俺どうしてカトーのことを忘れ…」
「カイくん、呪いです!あそこから凄く邪悪な呪いが撒かれてカトーさんのことを忘れさせようとして…っ」
「なんだってっ」
カイはアイシャが指差す方向を見やる。
「そっちは…カトーの屋台がいる場所じゃねえかっ!」
「カイっ?アイシャ!」
「兄貴!?」
人混みを分けてウィルフレッドエリネ、ルルが駆けつける。
「兄貴どうしてここに?カトーのアトリエに行ったんじゃ」
ウィルフレッドの傍で何とか息を落ち着かせるエリネ。
「それが、彼はもうそこにいなくて、アトリエにライムの魔法陣があったの!」
「ライムの魔法陣だって!?じゃあアイツ、ライムに取り憑かれて…っ」
「ああ、それで大急ぎ彼の屋台に行こうと思ったんだ、早く彼のところに――」
「あぁっ!」「キュッ!キュキュキュウッ!」
突如強烈な悪寒がエリネを襲い、ウィルフレッドは急いで彼女を支える。ルルもまた妙に落ち着かなくて跳び回る。
「おいエリーっ?」「どうしたエリーっ?」
「何か、あっちから物凄く邪悪な魔力が急激に膨らんで…っ」
それを見てアイシャは先ほどのように呪文をエリネとウィルフレッド、ルルに向けて唱えて指を弾くと、エリネとルルの体の負担が軽くなった。
「どうエリーちゃん、楽になった?」
「うん、ありがとうアイシャさん」
「きっと私が呪いを弾けたのに気付いて、焦って呪いを強まったに違いないですっ」
「こうしちゃいられねえっ、早く急ごうっ!」
「ええっ」
「エリー、歩けるか?」
「うん、大丈夫ウィルさん、早く行きましょうっ!」
四人はすぐさまカトーの屋台へと走り出した。
******
「ウィルくん達の情報だと、カトーくんの屋台はこの市場にいるはずだよ」
同じ市場の、別の入口へとたどり着くレクスとアリス。その市場は町の主な区画から逸れており、道理で見つけられなかったとアリスは思った。
「カトー…」
心配そうなアリスを見て、レクスはその緊張をほぐそうと彼女に話しかける。
「アリス殿、僕の仲間が先に彼の様子を見に行ってるから、そこまで心配しなくても大丈夫だよ」
「お気遣いありがとうございます。ただ、心配と言うより、実はちょっと怒ってるんです」
「怒ってる?」
アリスはキュッと口を結ぶ。
「私は美術商の娘として、それなりにこの界隈での厳しさを知っているつもりです。カトーの生活が苦しいのは承知の上ですし、お互い助け合う覚悟だって決めてあるのに…。お父さんに何を言われたかは分からないけど、私と相談もせずに勝手に離れるのがどうしても納得いかなくて…」
可愛らしい令嬢と見えて、意外としたたかな子だなとレクスは思った。
「でも後で会ったら、きっと文句を言うよりも、嬉しさのあまりにそんなこと全部忘れてしまうかもしれません」
苦笑するアリス。
「惚れた弱みって奴かな。でもまあ一応、軽くチョップを入れるぐらいの愚痴は叩きこんだ方が良いかもね」
「ふふ、そうですね」
少し大げさにジェスチャーするレクスにアリスが小さく笑い出す。
(…ちょっとラナ様っぽいかな、僕のさっきの言い方)
「おお、これはレクス様ではありませんか」
(え、この声…やばっ)
レクスが慌ててアリスを自分の後ろに隠す。
「レクス様っ?」
「しっ!ケント様がすぐ前にいるよっ!」
「えっ!?」
アリスが慌ててフードを深く被ってレクスの後ろに隠れる。
「まさかこのような所で会うとは奇遇ですね」
ケントが衛兵たちを従いながらメイソンと共に歩み寄る。
「あはは、そーですね奇遇ですね」
「今日は使用人も一緒ですかレクス様。一日の滞在延長を申請しておりましたが、その用事をなさってる最中ですか?」
アリスに気付いてないことに二人は密かに安心する。
「そんなところだよ、ところでこちらの方は?」
「ああ、紹介しますよ。メイソン・カーティガン。私と同じ美術商もやっており、三国を跨ぐ大商人でもあります。若い頃に彼の投資がなければ、今日の私はいなかったでしょう」
「ケン自身の努力もあってこそ、ですがね」
老紳士は穏やかに微笑む。
「へえ、凄い御仁なんだね。僕はレタ領の領主レクス・アートゥルスです。よろしくメイソン殿。…ところでケント様、その手に持ってるのは?」
レクスはケントが手に持ってる彫刻に注目した。
「ああ、これですか?いつの間にか手元にあって、本当はすぐに捨てようと思ったのですが、どうも何かが引っかかってこのまま持ってたんですよ」
(あの彫刻…っ!)
アリスがフードからチラ見して、それがかつてカトーが自分をモデルにして作った彫刻だとすぐに分かった。
「だがやはりただの荷物にしかなりませんね。君、これをどこかに捨て――」
「お父様!」
「なっ、アリス!?」「ちょ、アリス殿!?」
ケントの手に持つ彫刻を押さえ、アリスが彼に問い詰める。
「お父様!これカトーの彫刻ですよね!?どうして貴方がこれを持ってるのっ?」
「アリス、何故君がここに?それに誰の名前を言ってるのだ?」
「カトーよ!お父様は彼のこと知ってますよね!?」
「名前…?」
困惑するケントにレクスもまた不審に思った。
「ケント様どうしたの?昨日でも■■■のこと言ったばかり――」
ザリザリザリッ
急劇な眩暈がレクスを襲い、彼は慌てて頭を抑える。
「なっ、なに…?これはいったいっ?」
「…あっ」
アリスが突如、市場の奥を見据える。僅かだか、誰かの呻き声が聞こえたからだ。そして呻き声であっても、それが愛するカトーのものだと彼女はすぐさま分かった。
「この声…カトーッ」
「あっ、ちょっとアリス殿!」「アリス!」
奥へと駆けつけるアリスをレクスやケント達が追っていく。
そして同じくカトーの屋台へと駆けるウィルフレッドとカイ達は、ついに彼の屋台がいる巷へと到着する。
「あそこがカトーのアトリエだ…なっ?」
「うおっ!なんだありゃっ?」
それは異様な光景だった。カトーの屋台を中心に、ぼんやりとした禍々しい赤黒色のオーラが立ち込んでおり、風が不吉に渦巻いてはボロボロに破れたビラを舞い上がらせていた。しかしそれとは対照的に、すぐ傍で談笑する人々は誰にもそれに気付かずにいた。正常と異常のアンバランスさが一層の不気味さを醸し出す。
「なんて強い呪いなのっ、目視できるほど大気を歪めてるなんて…!」
「! カトーだ!そこにカトーがいる!」
ウィルフレッドが指す渦巻きの中心に、カトーは座っていた。空ろな目で見上げ、口を半開きしながら、壊れた玩具のように泣き笑いをし、両手は無気力に垂らしてビクビクと痙攣している。その後ろの暗い影に、揺らめく赤い目が浮かび上がった。
『カアッ』
奥からカラスの不吉な声がコダマし、ウィルフレッドを除くエリネ達が思わず耳を塞ぐ。
「きゃあっ!」「キュウウウ~!」
「うおっ、なんだこのきしょい音は!」
「ライムの…呪いの声ですっ、私達を威嚇しているんですっ!」
これと同時に、向かい側にアリスとレクス、ケント達が到着する。
「あっ、レクス様ぁ!」
「カイくん!?ウィルくん達も!」
「あそこ!カトーがあそこでライムに取り憑かれてるんだ!」
「えっ!?あそこ何も無いけどっ?」
「へっ!?レクス様までっ?」
「ライムですカイくんっ!ライムの呪いがカトーさんへの認識を妨げて…っ」
「カトーっ!?貴方なの!?」
だがアリスは、苦しそうに呻いているカトーを一目で認識した。アイシャが驚く。
(アリス様はカトーさんが見えるのっ?)
「カトー!今すぐ行くわ!」
『カアァッ』
カラスの威嚇の声が一層強まる。
「だめっ!アリス様!迂闊に近づいてはっ!」
だがアリスは臆もせずにカトーのところへと駆ける。
「カト――」
『「カアアァァァァッ!!!」』
翅を広がせるカラスのように影が膨張する。カラスとカトーの悲鳴が重なって響くと、爆風がカトーを中心に爆ぜた。その近くにいる取り巻きや人々が吹き飛ばされる。
「きゃああぁぁっ!」「うわあぁぁあっ!」
「危ないっ!」「うおおっ!?」
急いでケントやメイソンをかばうレクス。
カイ達にかばられるアイシャとエリネの横から、ウィルフレッドが飛び出して吹き飛ばされるアリスを受け止めた。
「大丈夫かっ?」
「は、はい。貴方は…」
「カトーの知り合いだ」
「これで大丈夫です、ケント様っ」
レクスやケント、メイソン達の傍に駆けたアイシャが加護の呪文を施すと、ケント達もようやくカトーのことをはっきり意識することができた。
「こ、これはいったい…っ?私は何故、カトーのことを」
「カトーさんを呪い殺そうとするライムの呪いの仕業です」
「ライム…、呪いですと」
レクスもようやく覚めた頭を振って立ち上がる。
「大丈夫かレクス様っ」
「ああ、もう問題ないよカイくん。まさかカトーがライムに憑り憑かれたなんて…早くカトーを助けないと――」
『「カアアァァァァッ!!!」』
レクス達がカトーを見ると、彼は悲鳴にも似た奇声を発しては、渦巻く爆風を纏いながら狂ったように走り出す。
「カトー!待って!」「おいっ」
ウィルフレッドを跳ね除けてカトーを追うアリス。
「「「わあああぁぁっ!」」」「くっ!」
パニックに陥って暴走する人混みが、アリスを止めようとするウィルフレッドを阻んだ。
「アリスッ!待つんだアリス!」
「あっ、ケント様!」「ケンッ」
ケントもまたレクスやメイソン達を置いてアリスを追った。
「くそっ、みんな急ごう!」
カイの一言でアイシャ達もウィルフレッドに続き、必死に混乱する人込みを掻き分けながらカトーとアリスを追った。
「メイソン様っ、いきなりだけど衛兵達とここで街の人々の誘導をお願いっ」
「あっ、レクス様っ!」
レクスがラナとミーナに知らせるために信号花火を空に向けて撃つと、カイ達とともに駆けだした。
【続く】
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