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幕間 その1
ハルフェンの技術レベル、そして人々
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それは、どこまでも広がる青空とそれを綴る白雲が心地良く感じられた日のことだった。ある町の近郊でテントを張っていたレクスの騎士団は、せわしなく補給や点検の作業を行っていた。兵士達の手伝いを丁度終わらせたウィルフレッドに、カイとエリネが声をかける。
「あっ、兄貴ここにいたんだな」
「カイ、エリー。どうした二人とも?」
肩のルルを撫でながらエリネが説明する。
「うんとね、実はコークスさんやボルガさん達に頼まれて、これからお兄ちゃんと町に資源の買出しに行くつもりなの。そこでウィルさんも一緒に散策がてらに誘うかと思って」
「ほら、兄貴は俺達の世界のこと、まだ分かってないところも結構あるだろ?ついでに色々と紹介できればと思ってさ」
「それは嬉しいな。手伝いも兼ねてぜひ同行させてくれ」
「そうこなくっちゃ!」
「嬉しいですっ。行きましょう」
******
エリネとカイが先導して舗装された町のレンガ道を歩くウィルフレッドは、もう異世界からのことを隠さずにいられるからか、今まで以上に目を輝かせては行き来する人々や店を興味津々と観察していた。
時折みられるエルフやドワーフも珍しいし、地球では見られないメルヘンチックな魔法道具や食べ物が並ぶ店。たとえこのハルフェンに来て暫く経つ今でも、いまだに新鮮な刺激を彼に与えてくれる。
「綺麗な町並みだな…クラトネもそうだったが、建物は頑丈に作られているだけでなく、どれも綺麗な作りで見ていて気持ち良い」
「あはは、そう言ってくれて嬉しいよ兄貴。そういやシスターが授業で言ってたっけ、俺達の建築技術の基盤はクラフトが大得意なドワーフが固めたんだって」
「そうよ。お兄ちゃん覚えてて偉い」
「ちぇ、俺だってこれぐらい覚えてるよ」
横切る馬車を避けてはやはりそうかと、カイの話に納得するウィルフレッド。このハルフェンに着てからずっと観察していたが、この世界の技術レベルは基本的に原始的だが、一部偏りがある。その代表例の一つが建築だ。
「ん…」
町の小さな広場にある噴泉を見て足を止めたウィルフレッド。水が流れ出る竜の彫像の口には、青い小さな石みたいなのが嵌めこまれてるのが見えた。
「あれは確か… 魔晶石だったな。ああやって水を出しているのか」
「そうですよ、前にも説明したように、 魔晶石は様々な種類があって、あちらは水を生成する 流水石が使われてますね」
エリネの説明で改めて噴泉や下水道、建物に町を歩くドワーフ、エルフを見るウィルフレッド。
(やはり、ドワーフや 魔晶石などこの世界の独自の要素もあるからか。文明ができた時間を考えれば建築関係はそれなりに先進的だな…)
ふと、町の自警団らしい衛兵たちが簡素な胸当てを着て、槍などを持ちながら談笑して巡回しているのを見かけた。
(…けど、やはり偏ってはいるな。今までの戦闘から見て、 魔晶石という素材がありながら銃らしきものはないようだし、戦闘の分野はあまり発展されてないのだろうか。騎士や魔法の文化や、いわゆる民族特性のためか?)
「ワンワンウゥワンっ!」
「キュキュ~っ!?」
果物屋を横切った途端、店の子犬が急に吼え出し、それに驚いたルルはエリネの肩の反対側に周っては威嚇するように毛を逆立ちする。それ見て店主が慌てて子犬を抑えた。
「こらボルっ!ごめんなお嬢さん、うちの子がその子をびっくりさせて」
「大丈夫ですよ。ボルちゃん可愛い子ですね。ほらルル、大丈夫だから」
「キュウウゥ…」
エリネがルルを落ち着かせるよう撫でるなか、ウィルフレッドはボルと、店に並んだリンゴやオレンジ、幾つかこの世界特有の物を眺めた。
(それにしても、殆ど永い冬よりも過去の時代のものだが、動物や植物は本当に地球と似ているな。言葉は自動翻訳システムにより対応可能になるほど酷似してるし、暦法は多少異なるが殆ど同じだ。文化的にも旧世紀の文化の片鱗が結構ある…生理的に限りなく近い人間種の存在といい、こんな世界が存在するのはただの偶然なのだろうか?)
平行世界に関する理論は、今の地球でも一部科学者達が熱心に取組んでいる分野の一つではあるが、魔法と言う異なる法則が存在するから考え難い。となるとやはり普通に異世界なのか。
だがウィルフレッドはこれ以上深く考え込むことはしなかった。
(まあ、俺は学者でもないし、お陰ですんなり環境に溶け込められて助かっているから別にいいか…。それに、あくまで限りなく近いだけであって細かい違いは一杯あるしな)
そう、なによりも『マナ』という、自分とこの世界の人々の一番の違いが存在するから、人種的には大きく異なる。地球ではサイキック能力というものも存在するが、原理は違うはずだし、地球人とこの世界の人々はあくまで生理外観的に非常に類似するだけだ。
遺伝子学的に果たして近いのか、そもそも遺伝子学が適用できるのかでさえ知らない。この世界の識者か、または地球の科学者あたりでならより面白い研究ができるかもしれないが。それは自分の関知するところではないだろう。
「んっ」
「どうしたんだい兄貴?」
「なんか美味しそうな匂いが…」
ウィルフレッドが向いた方向には、掌一つ大きい木の実らしきものを窯に多く入れて焼いてる店があった。焼かれている実からは、かすかに香ばしい匂いが漂っていた。
「あっ、あれアルルーン焼きじゃねえか。久しぶりに見たなぁっ」
「ほんとっ、それに上手に焼いてるから匂いが素敵…っ」
「アルルーン焼き…?」
「えっとね。アルルーンは満月が綺麗に映る湖畔で生息する歩く植物で、その実は殆ど果肉はないけど、替わりに独特な香りがするから、それを利用して作られた料理の一つがアルルーン実焼きなの。ウィルさん食べてみます?」
「ああ、ぜひっ」
――――――
「いらっしゃいお客さん。アルルーン焼き一ついかがかな?」
店主が店に寄ってきたカイ達に元気よく挨拶した。
「どーも、アルルーン焼き三つちょうだい」
「はい、少々お待ち下さいね」
店主がパーラーで窯の中に詰めた実を何度かかき混ぜ、燻る木炭の火粉が散ると、実に熱そうな三つのこんがり実を取り出した。それらを皿に載せると、店のベンチに座った三人にスプーンとともに渡す。
「どうぞ、アツアツだから気をつけてね」
ウィルフレッドは困惑しながら焦げた実を見る。
「これ…このまま食べるのか?」
エリネとカイがクスリと笑い出す。
「勿論違いますよ」
「こうやって実を割るんだよ兄貴」
カイ達は注意深く実の接合跡みたいな線に両手の親指を当てて力を入れると、パカリと実が二つに分かれた。それを見てウィルフレッドもさっそく実を開けてみると、実に食欲をそそる香ばしい匂いがホカホカと湯気とともに立ち上った。
空っぽになっている実の中は半分が米で、残り半分はそぼろ肉で詰まれており、その上にパセリと思われる香辛料や調味料らしい染みなどがふんだんにかけられていた。長時間実の中で蒸し焼きされた米と肉、そして香辛料がアルルーンの実の独特な匂いと混ざり合い、熟成した香りがこれでもかとウィルフレッドの鼻を心地良く刺激する。
「どうぞ召し上がってください、ウィルさん」
「俺達のおごりだから遠慮しないでくれ。あ、食べるときは肉と米をかき混ぜたほうが美味しいよ」
「ああ、ありがとう」
実に美味しそうに食べ始めるカイ達を見て、ウィルフレッドもさっそくスプーンで米と肉をかき混ぜる。かき混ぜられる米と肉から、しっかりと中まで通った熱気がさらにブワッと迎えると、一匙すくっては口へと運んだ。
実の殻がしっかりと閉じ込めた水分が肉と米に柔らかさを与え、そしてアルルーンの実特有の香りが香辛料や調味料をこれらと見事に融合させた。ピリピリとした味、鼻をくすぐり続ける強烈な香り、そしてアツアツで柔らかな舌触りの三方面からなるハーモニーは、ウィルフレッドが今まで食べてきたどの合成食品や調味料よりも遥かに刺激的で、美味しかった。
「うん、相変わらず美味しいよねアルルーン焼き」
「ああ、いつ食べてもうめぇや。どうだ兄貴?口に合って――」
カイ達が思わず驚愕した。ウィルフレッドの実は既に半分が空っぽになっており、本人は口いっぱいに含んだ食べ物を実に幸福そうに目を閉じながらじっくりと 咀嚼していた。
「…う、うまい…っ」
「ぷっ、あははははっ!兄貴相変わらず美味しそうに食べるよな」
「ふふっ、ほんと、ウィルさん意外と可愛いですね。こっちまで食べ物が美味しく感じられます」
はっと気付くウィルフレッドが恥ずかしそうに口を手で覆った。
「あっ、いや、すまない。あまり美味しくてつい…」
「前から思ったけどさ、うちの食べ物をいつも美味しそうに食べてるけど、兄貴の世界の食べ物ってそんなに不味いのか?」
「それは…」
「もうお兄ちゃん、ウィルさんが美味しそうに食べてるのに失礼なこと聞かなくて良いのっ。今はじっくり料理を楽しんでください、ウィルさん」
「ああ、ありがとう」
最後の一口を口に運んだウィルフレッドに、店主がもう一つアルルーン実を差し出した。
「はいどうぞお客さん、こっちはおまけのおごりですよ」
「えっ。いやでも、悪いのでは…」
「いいんですよ。こんなに美味しそうにうちの料理を食べてくれるのは料理人冥利につきますから、これはちょっとしたお気持ちですから」
満面の笑顔を浮かべる店主に、エリネやカイの勧めるような表情を見て、ウィルフレッドは恥ずかしながらもそれを受け取った。
(そういえば、これも地球とかなり違うところだな…)
この世界がまだ若いゆえなのか、または民族的など他の要因によるものか、ハルフェンの人々の性格は大体親切で、善性寄りな雰囲気を強く感じられた。あの盗賊ドハンでさえも悪事に染めてはいるものの、悪性の表し方は地球の凶悪なサイバーギャング達などと比べると穏やかなものとも言える。だからなのか、ここでの善悪的な概念は非常に明確に分けられていて、かなりシンプルだ。
邪神教団の話を聞いた時もそうだった。今の地球は善悪の概念自体が非常に曖昧になっていて、個人のエゴこそが価値観の中心にある。だから教団に対しても、善であるカイ達みたいに彼らは許しがたい悪という考え方ではなく、教団達の子供達への危害は間違いなく自分のエゴとは相容れないものだったからの気持ちが大きかった。
一応、昔見た童話などでカイ達の価値観はなんとなく理解できるが、いざこうして実在の人達と触れ合うと、やはりどこか違うのだなと感じるウィルフレッドだった。
「ふぅ…ごちそうさま、店主さん。本当に美味しかったですよ」
「どう致しまして。君みたいな客はいつでも歓迎ですから、ぜひまたお越しして下さいね」
営業スマイルでもアンドロイドの無機質な笑いでもない、店主の心からの優しい笑顔に、ウィルフレッドも恥ずかしながらも心から嬉しい笑顔を浮んで見せた。
(けど、だからこそ心地良いな…)
******
市場で買出しを終え、三人それぞれ品物を手に持って帰路についている道中、ある教会の中に何か儀式らしきものが行われてるのを見かけたウィルフレッド。
「うん?あれは…」
「どうしたんだ兄貴?」
「…いや、なんでもないさ」
教会の中の声と、ウィルフレッドは荷物もあるから遠慮していることに気付いたエリネ。
「大丈夫ですよウィルさん。まだ時間はありますし、中のあれ、見学しても全然問題ないですから」
「いいのか?」
「全然良いですよ。私も見るの久しぶりですし、中では座れることもできますから遠慮せずにっ。ほら、今回はウィルさんに私達の世界を案内する目的もありましたし」
「俺も兄貴が見たいなら全然良いぜ」
「そ、そうか…それじゃ、少しだけ寄って見ていいか?」
「うんっ」
教会に入ろうとする三人は、入口のすぐ隣の空き地で司祭らしき人が大勢の子供達の前で本を持ちながら何かを教えているのが見えた。
「あれは…ひょっとしたら授業なのか?」
「ああ、こういうのは基本的に教会の仕事だからな。もっと大きい町だと教会とは別の建物でやるらしいけど」
最後にその光景を一瞥して教会内に入った三人は、すぐそこにあるベンチに座った。前方の聖堂では、三つの女神像の上にあるステンドグラスから注ぐ光に照らされて荘厳な雰囲気をかもし出していた。そこにはもう一人の女司祭が赤ん坊を優しく抱いて洗礼盤から水をすくってはその体を洗い、その子の傍には両親らしき人物が敬虔に祈りを捧げている。
「気高きエテルネ様、どうかこの子に勇気を…美しきルミアナ様、どうかこの子に導きを…優しきスティーナ様、どうかこの子に幸運を…」
「あれはどんな儀式なんだ?」
「あれは生まれたばかりの赤ちゃんの魂を祝福する洗礼の儀式ですよ」
「魂を、祝福する…?」
「うん。生まれたばかりの赤ちゃんは健やかに育てられるようこうして女神様達にお祈りをするの。聖別した水で体や魂の良くないものを洗い流しながらね」
「魂…」
「そうだっ、せっかく兄貴も一度洗礼を受けてみないか?」
「俺が?」
「ああ、なにかの理由で洗礼できなかった人はたとえ大人でも後で祝福の洗礼は受けられるんだからさ」
ウィルフレッドはしばし考え込むと、頭を横に振った。
「いや、俺は別にいいんだ。ありがとう」
「どうしてだよ?別に減るもんじゃないんだしいいじゃねえか」
「もうお兄ちゃんったら、ウィルさんは別世界の人だからウィルさんの事情ってのがあるでしょ。したくないなら無理にしなくてもいいのよ」
「あ、そりゃそうか…」
小さく苦笑するウィルフレッド。
「それにしても魂、か…」
「魂がどうかしましたか?」
「この世界の人達の魂は、死後はどうなるとか、どこにいくとかそういう話も普通にあるんだな?」
「勿論ですよ。善良な人の魂は死後、基本的に女神達がかつて住まう天国に招かれるけど、悪事ばかり働いた人達は邪神が生まれたと言われる地獄に引き込まれて苦しむ定め、となってますね。ただ、一部人達の魂は土地や呪いなどによって縛られて、そのまま悪霊と化すのもいますけど」
(これは…多分俺の世界と決定的な違いの一つだな…)
宗教と同じように、今の地球で魂という単語を使う機会は殆どないし、そもそも、ここと同じ魂というものは存在しない。少なくとも現在までそれが確認されることは皆無だ。
いや、一つだけ限りなく類似したものがある。意識をサイバースペースに接続する技術が異様に発達した今こそ、魂と同義に扱われる 意識がある。これはAI関係とも大きく絡む。
狭義的な定義となるとやはりこの世界の魂とは違ってくる。地球では悪霊なんてものは存在しない。けど個人の存在を示す根源的なものを指す単語なら、間違いなく 意識が最適解だろう。
「そーいやあの司祭さん、服から見ると町の司祭じゃなくて教会国からの人っぽいな」
「巡礼でここを通ったのかも知れないわね」
「教会国…確かミナスって名前の国だったか」
そういえばかつてレクスが情勢説明の際に言及していたことを思い出すウィルフレッド。
「そうですよ。全国の三女神教会を統括する国で、三国教会の行政中心になるところですね。そこ所属の司祭様は特定の祭事の支援のほか、定期的に三国を巡回することもしてますから、そちらの方が多分そうなのかなと」
「なるほど…」
宗教を中心とするこの世界らしい構成だとウィルフレッドは思った。
******
日も暮れ始め、買出しの荷物を騎士団のキャンプ地に置き終えたウィルフレッド達。
「二人とも今日はありがとう。お陰で色々楽しんでもらったよ」
「あはは、気にすんなって。こっちこそ兄貴が楽しそうで嬉しい限りだぜ」
「そうよね。ねえウィルさん、今度はぜひウィルさんの世界のことを教えてください。そちらのことも色々と知りたいですから」
「だよなっ!俺もぜひ聞きたいっ!」
はしゃぐ二人にウィルフレッドは苦笑しながらも頷いた。
「そうだな、あまり楽しい話は聞けないと思うけど、出来る範囲で教えておくよ」
「うんっ、それで十分ですよっ」
「約束だぜ兄貴っ。んじゃ、またあとでなっ」
夕食の用意をするために二人は手を振ると離れ、彼らを見送ると、ウィルフレッドは適当にそこらへんの木の根元に座り、一日の出来事を振り返ってみた。
異世界ハルフェン…。自分の世界と似ているところもあるが、他に多くの物事が地球とは異なる土地…。エージェントとして異なる風習を受け入れて行動する訓練も受けたからすぐに適応はできたものの、ここまでかけ離れて、しかも実在している世界にいるというのは実に奇妙な体験だ。
(…アオト)
首にぶら下げているツバメの首飾りに触れては、すっかり暗くなった空を見上げるウィルフレッド。彼のこの世界での旅は、まだまだ始まったばかりだった。
【終わり】
「あっ、兄貴ここにいたんだな」
「カイ、エリー。どうした二人とも?」
肩のルルを撫でながらエリネが説明する。
「うんとね、実はコークスさんやボルガさん達に頼まれて、これからお兄ちゃんと町に資源の買出しに行くつもりなの。そこでウィルさんも一緒に散策がてらに誘うかと思って」
「ほら、兄貴は俺達の世界のこと、まだ分かってないところも結構あるだろ?ついでに色々と紹介できればと思ってさ」
「それは嬉しいな。手伝いも兼ねてぜひ同行させてくれ」
「そうこなくっちゃ!」
「嬉しいですっ。行きましょう」
******
エリネとカイが先導して舗装された町のレンガ道を歩くウィルフレッドは、もう異世界からのことを隠さずにいられるからか、今まで以上に目を輝かせては行き来する人々や店を興味津々と観察していた。
時折みられるエルフやドワーフも珍しいし、地球では見られないメルヘンチックな魔法道具や食べ物が並ぶ店。たとえこのハルフェンに来て暫く経つ今でも、いまだに新鮮な刺激を彼に与えてくれる。
「綺麗な町並みだな…クラトネもそうだったが、建物は頑丈に作られているだけでなく、どれも綺麗な作りで見ていて気持ち良い」
「あはは、そう言ってくれて嬉しいよ兄貴。そういやシスターが授業で言ってたっけ、俺達の建築技術の基盤はクラフトが大得意なドワーフが固めたんだって」
「そうよ。お兄ちゃん覚えてて偉い」
「ちぇ、俺だってこれぐらい覚えてるよ」
横切る馬車を避けてはやはりそうかと、カイの話に納得するウィルフレッド。このハルフェンに着てからずっと観察していたが、この世界の技術レベルは基本的に原始的だが、一部偏りがある。その代表例の一つが建築だ。
「ん…」
町の小さな広場にある噴泉を見て足を止めたウィルフレッド。水が流れ出る竜の彫像の口には、青い小さな石みたいなのが嵌めこまれてるのが見えた。
「あれは確か… 魔晶石だったな。ああやって水を出しているのか」
「そうですよ、前にも説明したように、 魔晶石は様々な種類があって、あちらは水を生成する 流水石が使われてますね」
エリネの説明で改めて噴泉や下水道、建物に町を歩くドワーフ、エルフを見るウィルフレッド。
(やはり、ドワーフや 魔晶石などこの世界の独自の要素もあるからか。文明ができた時間を考えれば建築関係はそれなりに先進的だな…)
ふと、町の自警団らしい衛兵たちが簡素な胸当てを着て、槍などを持ちながら談笑して巡回しているのを見かけた。
(…けど、やはり偏ってはいるな。今までの戦闘から見て、 魔晶石という素材がありながら銃らしきものはないようだし、戦闘の分野はあまり発展されてないのだろうか。騎士や魔法の文化や、いわゆる民族特性のためか?)
「ワンワンウゥワンっ!」
「キュキュ~っ!?」
果物屋を横切った途端、店の子犬が急に吼え出し、それに驚いたルルはエリネの肩の反対側に周っては威嚇するように毛を逆立ちする。それ見て店主が慌てて子犬を抑えた。
「こらボルっ!ごめんなお嬢さん、うちの子がその子をびっくりさせて」
「大丈夫ですよ。ボルちゃん可愛い子ですね。ほらルル、大丈夫だから」
「キュウウゥ…」
エリネがルルを落ち着かせるよう撫でるなか、ウィルフレッドはボルと、店に並んだリンゴやオレンジ、幾つかこの世界特有の物を眺めた。
(それにしても、殆ど永い冬よりも過去の時代のものだが、動物や植物は本当に地球と似ているな。言葉は自動翻訳システムにより対応可能になるほど酷似してるし、暦法は多少異なるが殆ど同じだ。文化的にも旧世紀の文化の片鱗が結構ある…生理的に限りなく近い人間種の存在といい、こんな世界が存在するのはただの偶然なのだろうか?)
平行世界に関する理論は、今の地球でも一部科学者達が熱心に取組んでいる分野の一つではあるが、魔法と言う異なる法則が存在するから考え難い。となるとやはり普通に異世界なのか。
だがウィルフレッドはこれ以上深く考え込むことはしなかった。
(まあ、俺は学者でもないし、お陰ですんなり環境に溶け込められて助かっているから別にいいか…。それに、あくまで限りなく近いだけであって細かい違いは一杯あるしな)
そう、なによりも『マナ』という、自分とこの世界の人々の一番の違いが存在するから、人種的には大きく異なる。地球ではサイキック能力というものも存在するが、原理は違うはずだし、地球人とこの世界の人々はあくまで生理外観的に非常に類似するだけだ。
遺伝子学的に果たして近いのか、そもそも遺伝子学が適用できるのかでさえ知らない。この世界の識者か、または地球の科学者あたりでならより面白い研究ができるかもしれないが。それは自分の関知するところではないだろう。
「んっ」
「どうしたんだい兄貴?」
「なんか美味しそうな匂いが…」
ウィルフレッドが向いた方向には、掌一つ大きい木の実らしきものを窯に多く入れて焼いてる店があった。焼かれている実からは、かすかに香ばしい匂いが漂っていた。
「あっ、あれアルルーン焼きじゃねえか。久しぶりに見たなぁっ」
「ほんとっ、それに上手に焼いてるから匂いが素敵…っ」
「アルルーン焼き…?」
「えっとね。アルルーンは満月が綺麗に映る湖畔で生息する歩く植物で、その実は殆ど果肉はないけど、替わりに独特な香りがするから、それを利用して作られた料理の一つがアルルーン実焼きなの。ウィルさん食べてみます?」
「ああ、ぜひっ」
――――――
「いらっしゃいお客さん。アルルーン焼き一ついかがかな?」
店主が店に寄ってきたカイ達に元気よく挨拶した。
「どーも、アルルーン焼き三つちょうだい」
「はい、少々お待ち下さいね」
店主がパーラーで窯の中に詰めた実を何度かかき混ぜ、燻る木炭の火粉が散ると、実に熱そうな三つのこんがり実を取り出した。それらを皿に載せると、店のベンチに座った三人にスプーンとともに渡す。
「どうぞ、アツアツだから気をつけてね」
ウィルフレッドは困惑しながら焦げた実を見る。
「これ…このまま食べるのか?」
エリネとカイがクスリと笑い出す。
「勿論違いますよ」
「こうやって実を割るんだよ兄貴」
カイ達は注意深く実の接合跡みたいな線に両手の親指を当てて力を入れると、パカリと実が二つに分かれた。それを見てウィルフレッドもさっそく実を開けてみると、実に食欲をそそる香ばしい匂いがホカホカと湯気とともに立ち上った。
空っぽになっている実の中は半分が米で、残り半分はそぼろ肉で詰まれており、その上にパセリと思われる香辛料や調味料らしい染みなどがふんだんにかけられていた。長時間実の中で蒸し焼きされた米と肉、そして香辛料がアルルーンの実の独特な匂いと混ざり合い、熟成した香りがこれでもかとウィルフレッドの鼻を心地良く刺激する。
「どうぞ召し上がってください、ウィルさん」
「俺達のおごりだから遠慮しないでくれ。あ、食べるときは肉と米をかき混ぜたほうが美味しいよ」
「ああ、ありがとう」
実に美味しそうに食べ始めるカイ達を見て、ウィルフレッドもさっそくスプーンで米と肉をかき混ぜる。かき混ぜられる米と肉から、しっかりと中まで通った熱気がさらにブワッと迎えると、一匙すくっては口へと運んだ。
実の殻がしっかりと閉じ込めた水分が肉と米に柔らかさを与え、そしてアルルーンの実特有の香りが香辛料や調味料をこれらと見事に融合させた。ピリピリとした味、鼻をくすぐり続ける強烈な香り、そしてアツアツで柔らかな舌触りの三方面からなるハーモニーは、ウィルフレッドが今まで食べてきたどの合成食品や調味料よりも遥かに刺激的で、美味しかった。
「うん、相変わらず美味しいよねアルルーン焼き」
「ああ、いつ食べてもうめぇや。どうだ兄貴?口に合って――」
カイ達が思わず驚愕した。ウィルフレッドの実は既に半分が空っぽになっており、本人は口いっぱいに含んだ食べ物を実に幸福そうに目を閉じながらじっくりと 咀嚼していた。
「…う、うまい…っ」
「ぷっ、あははははっ!兄貴相変わらず美味しそうに食べるよな」
「ふふっ、ほんと、ウィルさん意外と可愛いですね。こっちまで食べ物が美味しく感じられます」
はっと気付くウィルフレッドが恥ずかしそうに口を手で覆った。
「あっ、いや、すまない。あまり美味しくてつい…」
「前から思ったけどさ、うちの食べ物をいつも美味しそうに食べてるけど、兄貴の世界の食べ物ってそんなに不味いのか?」
「それは…」
「もうお兄ちゃん、ウィルさんが美味しそうに食べてるのに失礼なこと聞かなくて良いのっ。今はじっくり料理を楽しんでください、ウィルさん」
「ああ、ありがとう」
最後の一口を口に運んだウィルフレッドに、店主がもう一つアルルーン実を差し出した。
「はいどうぞお客さん、こっちはおまけのおごりですよ」
「えっ。いやでも、悪いのでは…」
「いいんですよ。こんなに美味しそうにうちの料理を食べてくれるのは料理人冥利につきますから、これはちょっとしたお気持ちですから」
満面の笑顔を浮かべる店主に、エリネやカイの勧めるような表情を見て、ウィルフレッドは恥ずかしながらもそれを受け取った。
(そういえば、これも地球とかなり違うところだな…)
この世界がまだ若いゆえなのか、または民族的など他の要因によるものか、ハルフェンの人々の性格は大体親切で、善性寄りな雰囲気を強く感じられた。あの盗賊ドハンでさえも悪事に染めてはいるものの、悪性の表し方は地球の凶悪なサイバーギャング達などと比べると穏やかなものとも言える。だからなのか、ここでの善悪的な概念は非常に明確に分けられていて、かなりシンプルだ。
邪神教団の話を聞いた時もそうだった。今の地球は善悪の概念自体が非常に曖昧になっていて、個人のエゴこそが価値観の中心にある。だから教団に対しても、善であるカイ達みたいに彼らは許しがたい悪という考え方ではなく、教団達の子供達への危害は間違いなく自分のエゴとは相容れないものだったからの気持ちが大きかった。
一応、昔見た童話などでカイ達の価値観はなんとなく理解できるが、いざこうして実在の人達と触れ合うと、やはりどこか違うのだなと感じるウィルフレッドだった。
「ふぅ…ごちそうさま、店主さん。本当に美味しかったですよ」
「どう致しまして。君みたいな客はいつでも歓迎ですから、ぜひまたお越しして下さいね」
営業スマイルでもアンドロイドの無機質な笑いでもない、店主の心からの優しい笑顔に、ウィルフレッドも恥ずかしながらも心から嬉しい笑顔を浮んで見せた。
(けど、だからこそ心地良いな…)
******
市場で買出しを終え、三人それぞれ品物を手に持って帰路についている道中、ある教会の中に何か儀式らしきものが行われてるのを見かけたウィルフレッド。
「うん?あれは…」
「どうしたんだ兄貴?」
「…いや、なんでもないさ」
教会の中の声と、ウィルフレッドは荷物もあるから遠慮していることに気付いたエリネ。
「大丈夫ですよウィルさん。まだ時間はありますし、中のあれ、見学しても全然問題ないですから」
「いいのか?」
「全然良いですよ。私も見るの久しぶりですし、中では座れることもできますから遠慮せずにっ。ほら、今回はウィルさんに私達の世界を案内する目的もありましたし」
「俺も兄貴が見たいなら全然良いぜ」
「そ、そうか…それじゃ、少しだけ寄って見ていいか?」
「うんっ」
教会に入ろうとする三人は、入口のすぐ隣の空き地で司祭らしき人が大勢の子供達の前で本を持ちながら何かを教えているのが見えた。
「あれは…ひょっとしたら授業なのか?」
「ああ、こういうのは基本的に教会の仕事だからな。もっと大きい町だと教会とは別の建物でやるらしいけど」
最後にその光景を一瞥して教会内に入った三人は、すぐそこにあるベンチに座った。前方の聖堂では、三つの女神像の上にあるステンドグラスから注ぐ光に照らされて荘厳な雰囲気をかもし出していた。そこにはもう一人の女司祭が赤ん坊を優しく抱いて洗礼盤から水をすくってはその体を洗い、その子の傍には両親らしき人物が敬虔に祈りを捧げている。
「気高きエテルネ様、どうかこの子に勇気を…美しきルミアナ様、どうかこの子に導きを…優しきスティーナ様、どうかこの子に幸運を…」
「あれはどんな儀式なんだ?」
「あれは生まれたばかりの赤ちゃんの魂を祝福する洗礼の儀式ですよ」
「魂を、祝福する…?」
「うん。生まれたばかりの赤ちゃんは健やかに育てられるようこうして女神様達にお祈りをするの。聖別した水で体や魂の良くないものを洗い流しながらね」
「魂…」
「そうだっ、せっかく兄貴も一度洗礼を受けてみないか?」
「俺が?」
「ああ、なにかの理由で洗礼できなかった人はたとえ大人でも後で祝福の洗礼は受けられるんだからさ」
ウィルフレッドはしばし考え込むと、頭を横に振った。
「いや、俺は別にいいんだ。ありがとう」
「どうしてだよ?別に減るもんじゃないんだしいいじゃねえか」
「もうお兄ちゃんったら、ウィルさんは別世界の人だからウィルさんの事情ってのがあるでしょ。したくないなら無理にしなくてもいいのよ」
「あ、そりゃそうか…」
小さく苦笑するウィルフレッド。
「それにしても魂、か…」
「魂がどうかしましたか?」
「この世界の人達の魂は、死後はどうなるとか、どこにいくとかそういう話も普通にあるんだな?」
「勿論ですよ。善良な人の魂は死後、基本的に女神達がかつて住まう天国に招かれるけど、悪事ばかり働いた人達は邪神が生まれたと言われる地獄に引き込まれて苦しむ定め、となってますね。ただ、一部人達の魂は土地や呪いなどによって縛られて、そのまま悪霊と化すのもいますけど」
(これは…多分俺の世界と決定的な違いの一つだな…)
宗教と同じように、今の地球で魂という単語を使う機会は殆どないし、そもそも、ここと同じ魂というものは存在しない。少なくとも現在までそれが確認されることは皆無だ。
いや、一つだけ限りなく類似したものがある。意識をサイバースペースに接続する技術が異様に発達した今こそ、魂と同義に扱われる 意識がある。これはAI関係とも大きく絡む。
狭義的な定義となるとやはりこの世界の魂とは違ってくる。地球では悪霊なんてものは存在しない。けど個人の存在を示す根源的なものを指す単語なら、間違いなく 意識が最適解だろう。
「そーいやあの司祭さん、服から見ると町の司祭じゃなくて教会国からの人っぽいな」
「巡礼でここを通ったのかも知れないわね」
「教会国…確かミナスって名前の国だったか」
そういえばかつてレクスが情勢説明の際に言及していたことを思い出すウィルフレッド。
「そうですよ。全国の三女神教会を統括する国で、三国教会の行政中心になるところですね。そこ所属の司祭様は特定の祭事の支援のほか、定期的に三国を巡回することもしてますから、そちらの方が多分そうなのかなと」
「なるほど…」
宗教を中心とするこの世界らしい構成だとウィルフレッドは思った。
******
日も暮れ始め、買出しの荷物を騎士団のキャンプ地に置き終えたウィルフレッド達。
「二人とも今日はありがとう。お陰で色々楽しんでもらったよ」
「あはは、気にすんなって。こっちこそ兄貴が楽しそうで嬉しい限りだぜ」
「そうよね。ねえウィルさん、今度はぜひウィルさんの世界のことを教えてください。そちらのことも色々と知りたいですから」
「だよなっ!俺もぜひ聞きたいっ!」
はしゃぐ二人にウィルフレッドは苦笑しながらも頷いた。
「そうだな、あまり楽しい話は聞けないと思うけど、出来る範囲で教えておくよ」
「うんっ、それで十分ですよっ」
「約束だぜ兄貴っ。んじゃ、またあとでなっ」
夕食の用意をするために二人は手を振ると離れ、彼らを見送ると、ウィルフレッドは適当にそこらへんの木の根元に座り、一日の出来事を振り返ってみた。
異世界ハルフェン…。自分の世界と似ているところもあるが、他に多くの物事が地球とは異なる土地…。エージェントとして異なる風習を受け入れて行動する訓練も受けたからすぐに適応はできたものの、ここまでかけ離れて、しかも実在している世界にいるというのは実に奇妙な体験だ。
(…アオト)
首にぶら下げているツバメの首飾りに触れては、すっかり暗くなった空を見上げるウィルフレッド。彼のこの世界での旅は、まだまだ始まったばかりだった。
【終わり】
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