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白銀の風神

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 ブワッッッッッッッ!!

「「「「「うわぁぁぁぁぁぁッ!」」」」」

 人が舞う。鎧を着て人が風に舞いぐるぐると舞っていく。流石にそれには、ルカス意外の者は、度肝を抜かれた。魔獣も怯え逃げて行く。風の柱が出来、中には人が打ち上げられて、風の柱から落ちる人の山が出来ていった。

「これなら、相手が5000居ようが、関係ないな…………な!そう思うだろ?マーク」
「………………」
「何か言えよ!」
「…………言えるかぁ!!ジェルバでの斬撃以上のモノ出さないで下さいよ!心の準備があるでしょ!!俺達モルディアの者でも、流石にびっくりするわ!!しかも、何余力もある…………え?まだある……」
「言ったろ?力の使い方次第………光の属性の方はネックレスで制御してるからな」
「え?風は制御してないんですか?」
「した事は無い………まだイケる」
「…………ば………化物………」

 人山から、コルセア兵士が怪我をしてルカスに向けて言った。風柱の中で人と人、人や剣、盾、鎧、兜に当たり、怪我をするのは分かっていた。だから、ルカスは『帰れ』と言ったのだ。

「重傷だな、やっぱり…………帰れって言ったろ?コルセア兵」
「……………引け!引け~っ!!」
「はいはい、帰れ帰れ」

 だが、逃げて行く兵士達、重傷や亡くなった兵士達に魔獣達が襲い掛かる。

「重傷者達持って帰れ!!」
「うわぁっ!助けてっ!!」

 しかし、魔獣達は容赦ない。暫くルカスも様子を見るが、魔獣達に殺気を放つと、魔獣達は一気に怯えて襲うのを止めた。

「止めろ」
「グルルルルルルッ………」
「お前達も死ぬか?………人間じゃないから容赦しないぞ?」
「………………」

 魔獣達は静かに消え去っていくと、ルカスも深い深呼吸をして落ち着いた。

「息のある者を救護しろ…………死亡者は砦迄運んでやれ」
「はっ!」
「ルカス様!」
「おぉ、レナード久しぶり」
「久しぶりじゃないですよ!なんすか!アレかっこいいっですね!」
「…………どっちにしたって、人を傷付ける……防衛の為とはいえ、結局は攻撃と一緒だ」

 剣に血は着かないが、手応えはあるのはいい気分ではない。

「ルカス様、お耳に入れておきたい事が」
「何だ?」
「コルセアに潜っていた部下が、デイル・ツェル・ジェルバを見たらしいです」
「生きてたのか………アガルタ国王の処刑と共に処分されるか、が知られて生かされるかと思ってはいたが、後者か」
「それが、デイル助かってます」
「…………あるな」
「何か、とは?」
「コルセア国王の目的と、デイルの目的は一致はしているとは思うが、完全に一致すると思うか?」
「思いませんね………デイルの目的はですし」

 マークも会話に参加する。

「コルセア国王の目的もだが、『虹色の涙』だと思う」
「ですね、コルセア国王の愛妻家は有名ですし」

 レナードの情報から、コルセア国王の性格等は知っているらしいルカス。

「だが、マシュリーの美しい姿見たら分かんねぇぞ?」
「あぁ、それルカス様以上の執着心の男は居ないかと」
「居るとしたら、デイルだけっす」
「一緒にするな!!」

          ♡♤♡♤♡

 モルディアとコルセアの再戦は直ぐに王宮に知らされた。皇太子妃懐妊祝賀祭の日に合わせ、突入させたコルセア国王。祝賀祭であれば皇太子や皇帝は首都モルディアー二に居る筈だと思っての事だったが、待機していたルカスの方が一枚上手だった、と知らしめた。
 そして、その知らせは驚愕する知らせ。

『白銀の髪の男の一太刀で竜巻が起こり、何も出来ず、魔獣を味方に付け、撤退する羽目になりました』

「は、は、が竜巻を起こしただと!!」

 コルセア国王は一報を握り締め付ける。

「まさか………既に『虹色の涙』を………」
「陛下………た、竜巻を起こされては、我々は戦う前に全滅します……」
「どうにかしろ!」
「どうにか………しろ、と申されましても……なぁ?」
「なぁ?ではない!!」
「「「「!!」」」」

 怒鳴るコルセア国王の声に肩を竦める臣下達。

「…………そうだ………あの男を呼べ!!」
「あの男?」
「ジェルバの男だ!!」
「は、はい!!」

 慌ててデイルを呼びに行かせ、コルセア国王は少し落ち着いた様子。

「あやつが、どれだけモルディアの事を知っているかは分からんが………知恵を借りるしかなかろう……私と同じなら……再び拷問し、『虹色の涙』を作らせろ」
「…………はっ」

 首の皮一枚の生命の蝋燭。デイルはどう動くのか。
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