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制裁は屈辱的に♥

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 アガルタの使者達全員の取り調べが終わり、ルカスの鬼畜さをまた発揮する事になった。自白する者には恩情を掛け、牢獄から出しはするものの、監視下にある部屋で人並みの扱いを受けさせていた。だが、自白してもいつまでも牢獄から出れないデイル。少しでも自由を与えると、マシュリーが安心しないとルカスの考えにより、数日経っても投獄中である。

「アガルタの首都からジェルバ迄はおよそ10日程の道程………投獄してから20日の猶予が有りますが、その前に開放可能な者は開放してもいいと思いますが?」
「するさ………今日で投獄5日目か……あと15日………結婚式の準備もしていかなきゃならないから俺達は帰るが、ここの常駐者達が15日後に開放させてやってくれ」
「分かりました」
「…………で、用意しておいて欲しいんだが……」

 ルカスやマーク、常駐者達との会議中。ルカスの提案に、呆気に取られてしまう。

「ほ、本当に…………コレ………」
「あぁ、デイルへのにな」
「…………何処まで、貴方は嫉妬深いんですか………彼はフラレたんですよ?」
「言ったろ?マシュリーの事に関しては心が狭く鬼畜で結構………あの頭の中にマシュリーの想像させていた事さえも、俺は許さん……命を取らなかっただけでも、有難く思って欲しいな………アガルタへ帰れるかは分からんがな」
「…………まぁ………難しいでしょうね……兵士達から聞く限りでは、サディスト的な性格らしいので………投獄した兵士の中には、亡命させてくれ、と泣きついた者も居たとか………」

 お茶を飲み、マーク達の言葉に耳を傾けるルカスは、仕方ない、と続けた。

「一度は俺達に牙を向いたんだ……裏切る奴は、また裏切る………俺達に剣を抜いた時点で却下だ」
「…………当然ですね……アガルタでどういう制裁が待っていようと、我々には関係ない……牙を向いたなら戦う、尻尾を振るなら、見守る………ですよね?」
「…………あぁ……無駄な血は流す必要は無い……血で大地を汚すな」

 開放方法を決定し、その後のアガルタの行動を把握しなければならず、頭をフル回転し、意見を出し合う。

「帰って来ない使者達を迎えに来るとしても気付かなければ来ませんしね………ツェツェリア族の宝石は毎年受取に来るぐらいなので、最短でも35日後、更に報告するに戻っても45日前後………兵士を向けに決めて準備期間が分かりませんが常に戦闘態勢が出来るのならば55日~60日後にはアガルタとの戦闘が起きるかと………」
「迎えに来たら、その日から考えてもいいだろう………アガルタの兵士に、戦力や所持する武器を把握出来てる者は居なかったか?」
「…………生憎下っ端ばかりの様で、対ジェルバとの戦闘自体を甘く見ている可能性もあります………ジェルバの兵士は弱い、とアガルタの兵士は口を揃えて言ってましたし、少し脅し武器さえ奪えば直ぐに投降する、と…」
「…………まぁ、暫くは壁からの攻撃だけで防げるかもしれんな………甘く見ていてくれているなら、その間にモルディアから兵士を送っておくのも手だし、今の人数でどうにかなるかは、35日前後の兵力次第か………コルセアがどう出てくるかもまだ分からないからなぁ………あまりここで両国相手をしたくはないが………」

 地図を広げ、指し棒でアガルタの戦闘方法を予測しつつ、コルセアの動向も頭に入れ、対策を練るルカス。その両国と相交える戦闘があってもいいように、国境の壁を半分以上高く厚くした。しかし、籠城戦になる事は無くとも、ジェルバとモルディアの国境の警備もまた重要になり、その隙にモルディアとコルセアの国境も警戒を怠れないのだ。ジェルバが奪われれば、恐らく両国が狙うのはモルディア。それだけは避けねばならない。

「……………封印さえ解ければな……」
「………頼っては駄目ですよ、ルカス様」
「分かってるさ…………たく……埒が開かんな……とりあえず、アガルタの戦力をもっと聞き出せ、デイルにも一応聞いておけよ」

 ルカスはそう言うと、席を立つ。

「何方へ?」
「身体が鈍っててな………訓練場へ行ってくる………最近、書類やこういう打合せばかりで、肩が凝るから動かしてくる………序でに兵士達の打込み相手に付き合ってやるのも悪くないしな」
「ならいいですけど…………」
「何だ?何か言いたげだな」
「マシュリー様の部屋に行くと言うなら阻止しようと思いまして」
「……………その手が……」
「ルカス様…………生憎、マシュリー様は部屋には居ませんからね」
「え!!何処に居る!!」

 書類の整理をし、片付けているマークはルカスに冷たい目線を送る。

「ルカス様は訓練場へどうぞ」
「だから、マシュリーは何処だ!」
「エリスから聞いた話では街に行く、と………ルカス様が訓練場へ行かれるなら良いですが行かずにマシュリー様を探しに行く様であれば、ルカス様の御裁可待ちがたっぷりあるので、そちらをお願いします」
「……………し、仕事…………まだあったのか」
「勿論、ですよ……、お戻り下さい」

 仕事放棄をするルカスではない事はマークはよく知っていて、マークが手に負えない案件は、ルカスはマークに任せない。もし放棄しようものなら、倍以上の仕事を持ち込ませるマークだ。よって、優先順位でルカスは仕事をする羽目になってしまった。




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